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フォレストサイドハウスの住人たち(その8)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2014/06/23 (月) 16:43 ID:Y0hYsB6o No.2549
浦上と千春の新婚生活がスタートしました。新しい章でも二人の生活をもう少し追ってみます。や
がて、運命の糸に操られるようにして、フォレストサイドハウスの中で展開するストリーの中心に千
春は押し出されることになります。相変わらず普通の市民が織りなす物語を語り続けます。ご支援く
ださい。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その
11)』の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきま
す。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余
脱字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにし
ます。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

  ・(1)2014.5.8   
     文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示します。
  
  ・記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8
    文頭にこの記事があれば、記事番号1779に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後
    の修正日付です。
 
   ご面倒でも当該記事を読み直していただければ幸いです
                                        ジロー   


[15] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(203)  鶴岡次郎 :2014/07/22 (火) 14:38 ID:JMeePnsI No.2563
真剣な面持ちの浦上を見て、佐王子が少し笑みを浮かべています。そして、おもむろに口を開きま
した。

「ついにその時が来ましたか…、
正直申し上げて、もっと早くやってくると私は予想していました。

おっしゃる通り、連絡を受けてすぐに対応するべきだと思いましたが、
一週間の間を取ったのは、その間に・・・、
浦上さん自身の体で奥様の実態を十分察知してほしいと思ったからです・・」

沈痛な口調で佐王子が話しています。しかし言葉の内容とは裏腹に、佐王子はなんだか嬉しそうな
表情を浮かべているのです。

「以前申し上げたように、奥様は千に一人、万に一人と思えるほど、性感に恵まれた方です。彼女
の中で湧き上がる情欲は凡人には計り知れないものだと思います。もしこの欲望が暴走し始めると、
彼女自身でも、これを制御することは難しいと思います。感情を暴走させないよう、彼女の欲望を
適当にその都度、分散発散させることが絶対必要です。

これまでその兆候が目立たなかったのは子育てに彼女の精力が向いていたからだと思います。子育
てが終わり、いろいろな束縛から解き放たれ、彼女が持っている能力が、ここへきて大きく、花開
いたのですね…、もう・・・、誰も彼女を止めることはできません…」

佐王子が、沈痛な面持ちでつぶやくように言いました。落胆の表情を浮かべ、浦上がじっと佐王子
の表情を読んでいます。

「今はデルドーで一時しのぎが出来ていますが、
いずれ本身でないと満足出来なくなると思います・・。
浦上さんは並以上に強い男ですが、
正直申し上げて、あなた一人では到底、無理だと思います・・・」

「・・・・・・・」

浦上が沈痛な表情で黙って頷いています。一週間千春の相手をして、浦上は千春の底知れない情欲
を体験したのです。どんなに頑張っても、到底一人では太刀打ちできないことを悟ったのです。
もし、この一週間の経験がなければ、男の能力を否定する佐王子の言葉に浦上は反論したかもしれ
ないのですが、今は大人しく頷くことしかできないのです。

「もし・・、このまま何もしないでいれば、
妻は・・、そして僕の家族は・・、どうなるのでしょう・・」

「はけ口の見当たらない、異常な情欲と・・・、
あなたに忠実でありたいと願う愛情の狭間で悩みぬき・・・、
奥様は・・、多分・・、平常心を失うことになると思います・・。
そんなことになれば、平和な家庭に影が差し込みます・・」

男欲しさに体を燃やす千春は、外で男を求めることが出来ないまま、悩み、葛藤して、精神的にも、
肉体的にも、大きなダメージを受け、それが平和な浦上家に影を落とすことになると、佐王子は指
摘しているのです。

「千春に男を与えればいいのですか…?」

「奥様が他の男に抱かれることを浦上さんが快く許し、千春さんが精神的な大きな負担や、度を越
した罪悪感を持たないで、他の男に抱かれることが出来れば、問題はかなり改善されると思います。

それには、浦上さんの辛い決心と、そうした淫らな環境を受け入れるため、奥様の気持ちの整理が
必要だと思います・・」

佐王子が言葉を選びながら、慎重に答えています。浦上はじっと考え込んでいます。男にとって、
かなりつらい決断を迫られているのです。勿論、佐王子が出したこの結論は、浦上にとって、あら
かじめ予想できたことだったのです。


[16] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(204)  鶴岡次郎 :2014/07/29 (火) 12:20 ID:Bu3nxBoY No.2564

視線を床に落とし何事か考えに耽っていた浦上が、覚悟を固めた様子をその表情に見せて顔を上げ
ました。

「佐王子さん・・、千春のことをよくご存じですし、彼女のことを今でも、大切に思っていただい
ていることを私はよく承知しております。ここは経験豊富なあなたに頼るのが一番いいと私は考え
ております。

私は何よりも、千春と我が子の幸せを優先したいのです。
そのために私自身が辛い思いをすることは何とか凌げると思います・・・、
あなたがいいと思われる方法を教えてください・・・」

絞り出すように浦上が声を出しています。

「判りました・・。
浦上さんの決心がそこまで固いのであれば、
ご家族の皆さんの幸せのため、ひと肌も、ふた肌も脱ぎたいと思います。

一つ伺いますが、千春さんが気心を許せる男性をご存じないですか、そうした方が居れば、その方
にお願いして、定期的に千春さんの相手をしていただけるようお願いするのです。それで、かなり
千春さんの心身は安定すると思います」

「一人・・・、心当たりがあります・・」

「そうですか・・、それならその方にお願いするのが一番です。
こんな話なので浦上さんから声をかけるのは難しいでしょうから、
よろしければ私が交渉役になっても構いません。

ところで・・・、その方はご近所にお住まいなのですか・・・」

「佐王子さん…、
千春も、そして私も心を許せる人は・・、
それは、佐王子さん、あなたです…。

こんな難しいことを頼めるのは、あなたを置いて他には考えられません、
お仕事が忙しいと思いますが、千春のため、私たち家族のため、
お力を貸していただけませんか・・・」

「・・・・・・・・」

冷静に考えれば、浦上の選択はこの場の状況を考えると、ごく妥当なものだと思いますし、当然佐
王子もそのことをある程度予想すべきだと思うのですが、意外なことにこの依頼を佐王子は予想し
ていなかったようで、驚きで言葉を失っているのです。


[17] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(205)  鶴岡次郎 :2014/08/04 (月) 14:11 ID:0ORqP2u2 No.2566

夫が頭を下げて妻を抱いてくれと頼んでいるのです。そして佐王子が今でも千春を愛しているのは
彼の態度を見れば判るのです。千春にしても佐王子に抱かれるのであればそれほど大きな抵抗を感
じないであろうと浦上は考えているのです。

これだけ条件が整っているのに、佐王子は困惑の表情を浮かべて、ただ黙り込んでいるのです。佐
王子の沈黙の意味を浦上は捉えかねていました。

「ご迷惑だと思いますが、曲げて了承願いたいのです。佐王子さんであれば、千春も安心して身を
任せることが出来ると思います。私も、佐王子さんであれば、悔しいことは悔しいですが、なんと
か我慢できる気がするのです。他の男と千春が関係することは・・、この切羽詰まった状況で気の
小さい男だと思われても・・、なんとしても我慢できないのです」

浦上の話はほとんど佐王子の耳には入っていませんでした。日頃から人の世の動きを読むのに長け、
臨機応変に戦略を立てる佐王子にしては珍しく、今回の浦上の提案は寝耳に水の思いだったのです。

浦上の申し出を予想すべきだったと、佐王子は今になって、自身の迂闊さを責めているのです。そ
して、このような簡単な状況判断が出来なかった理由が佐王子には良く判っているのです。予想で
きなかったその事実より、浦上の依頼を予想できなかった理由を悟り、佐王子にしては珍しく、狼
狽え、慌てふためいているのです。

〈俺としたことが…、
浦上さんの依頼を全く読めていなかった・・。
状況を追って行けば浦上さんの出方は簡単に読めたはずだ…、

『千春さんを抱いてくれ・・』と頼まれて、こんなに有頂天になっている。
千春さんへの思いで、俺の勘が完全に狂っていたのだ・・、
俺も、意外に若いところが残っているようだ…〉

自分の中に残っている若さを自嘲しながら、佐王子は全身に湧き上がる興奮を楽しんでいました。
こんな思いを持つのは本当に久しぶりなのです。そして、今更ながら千春を思う自身の気持ちの強
さ、真摯さに気づき、我が身と、心の若さに驚き、そして同時に喜びを噛み締めていたのです。

「私はもう直ぐ55歳になります。若い頃の様に無茶は出来ない体だと思うことが最近多いのです。
商売の方もむやみに間口を広げないよう注意しております」

佐王子が珍しく気弱な発言をしています。申し出を断られるのではと、浦上は心配そうな表情で佐
王子を見ています。

「良いでしょう・・、他ならぬ浦上さんと千春さんのことです。
私でお役に立つようなら、精いっぱい頑張らせていただきます・・・」

「ありがとうございます・・・」

佐王子が軽く頭を下げ、浦上が深々と頭を下げています。これで男二人の話し合いは完了したので
す。


[18] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(206)  鶴岡次郎 :2014/08/06 (水) 14:06 ID:6UY14g1o No.2567

方針が決まれば実行は早い方がいいと、浦上が提案して、二人はそのレストランを出て、歩いて10
分ほどの距離にあるFSマンションへ向かいました。自宅で待っている千春には佐王子を連れて行
くことを浦上は連絡しませんでした。

佐王子を見て千春は驚き、次にはあまりの嬉しさで、その場にうずくまり泣き出してしまったので
す。二人の男は互いに顔を見合わせて、笑っていました。

二人とも食事は済ませて来たと告げたのですが、千春は手早くビールと軽いつまみを準備して二人
を無理やり食卓に座らせました。笑みを浮かべて二人の男はおいしそうにビールのコップを傾けま
した。

千春の心づくしの料理が食卓に並べられました。豚肉と小エビ、イカなど海鮮物が入った中華風野
菜炒めと鯵の塩焼きです。これらはいずれも佐王子の大好物なのです。さすが、昔関係のあった元
恋人の好物料理は忘れていないのです。そして、その料理をよく覚えていて、手早く準備した千春
は佐王子への好意を未だ失っていないようです。

勿論、佐王子は千春の心づくしを理解していました。古風なやり方で、合掌した両手の指の間に箸
を挟み込み、目を閉じて感謝の祈りをささげているのです。その閉じた瞳から、涙が・・、ゆっく
りと滲み出ていました。

以前、二人が付き合っていた時のことです。佐王子が一人住まいをするマンションへ、佐王子が留
守の間に訪ねてきた千春は、良くこの料理を作ってくれたのです。佐王子が夜遅く仕事を終えてマ
ンションのドアーを開けると千春の声と一緒に、このごちそうの香りが佐王子を出迎えていたので
す。

真剣に千春との結婚生活を考えた時期もありました。結婚話を出さば断われるはずがないと確信し
ていたのです。しかし、佐王子には結婚を申し出る勇気がなかったのです。結果として浦上に千春
を奪われ、佐王子はそれ以来固定した女を作ったことさえないのです。

久しぶりに千春の料理を見て思わずさ佐王子の涙腺が緩んでいるのです。まさか、千春の嫁ぎ先で、
この料理で接待を受けるとは、佐王子は夢にも思っていなかったのです。ただ一人、浦上だけは中
華と和食が入り混じった、この妙は組み合わせの料理の意味を理解できていなかったのです。



「僕が呼び出して、この近くのレストラン・・・、
ほら、イタリアンで何とか言ったかな、
千春と二、三度行ったことがある店なんだが・・・」

「レストラン地中海でしょう・・」

「アッ・・、そうそう・・、
その地中海に佐王子さんを呼び出して、
久しぶりに飲むことにしたのだよ・・」

実のところは話に夢中になっていて、レストランでは浦上も佐王子もほとんどの飲み食いしなかった
のです。話し合いが終わり、二人の男は緊張から解放され、空腹を感じ始めていたのです。千春の料
理の腕はかなりの物でした。それから次々と出される料理も若い主婦としては合格点以上の出来栄え
でした。二人の男は大いに飲み、食べました。

昔話に花が咲き、二時間余りがあっという間に過ぎました。もう、夜の10時を回っています。そ
れでも、肝心の話はまだ千春に告げていないのです。

「佐王子さん・・、夜も遅くなったようだから、
今夜はよろしければ泊まって行きませんか・・・?」

かなり酩酊した視線を宙に走らせながら、浦上が佐王子に言っています。元々、浦上はそんなに酒
に強くないのです。飲めばすぐに眠気を催して眠りおちる質なのです。佐王子が恐縮して手を振って
いますが、浦上は酔っ払い特有の執拗さで自分の主張を続けています。

「判りました・・、
明日は休日ですから、私の仕事も休みです。
今夜はお世話になります」

佐王子の返事を聞いた浦上は安心したのでしょう、そのままテーブルに顔を伏せて、眠りおち、鼾
を発しています。

「あら、あら・・、こんなに酔っ払って・・、
ゴメンナサイ、この人がこんなに酔っ払うのは久しぶりなんです。
佐王子さんに会って、よほどうれしいのだと思います・・」

「昼間の疲れがどっと出たんだよ・・、
寝室へ連れて行った方がいいね・・」

佐王子と千春が大男の浦上に肩を貸し、やっとのことでベッドに寝かせつけました。笑いながら、
浦上の背広を脱がせている千春を残して、佐王子は一人で寝室を出ました。


[19] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(207)  鶴岡次郎 :2014/08/11 (月) 16:21 ID:QICNc5kU No.2568
20畳ほどの居間に革張りのソファーがあり、大型テレビもここでは小さく見えます。ソファーに
腰を下ろし佐王子はゆっくりと部屋の中を見渡しました。床に敷き詰めた絨毯の上にいくつかの幼
児用玩具が転がっているのが愛嬌です。

千春と別れて以来、佐王子は彼女のことを一日だって忘れたことがありません。浦上家の周りにア
ンテナを広げていて、それなりに浦上家の情報は掴んでいるのです。千春の退職、長男の出産、F
Sハウスへの転居、浦上の部長昇格、浦上家のことはかなりのところまで掴んでいるのです。そし
て、千春が幸せな生活を送っていることを心から喜んでいたのです。

そんな時、突然浦上から電話連絡を受け、千春が底知れない情欲に取りつかれ、悩まされているこ
とを知らされたのです。当然、いつかはこの日が来ることを佐王子は予想していたのですが、いざ、
それが現実になると、佐王子は慌てました。狼狽える自身をしかりつけながら、佐王子は必死で対
応策を練りました。

何を置いてもまず浦上が千春の症状を正確に理解し、彼一人の力では千春の症状に到底対応できな
いことを彼自身の体で学び取ることが大切だと佐王子は考えたのです。それで、一週間、千春に奉
仕することを浦上に命じたのです。

浦上は頑張りました。並の男では一日か二日で音を上げていたでしょう、一週間、とにかく頑張り
通したのです。その結果、浦上は自身の無力さと千春の人間離れした情欲をよく理解したのです。
そして、この先、千春と一緒に生活をするためには、どんなに嫌でも、どんなに堪えがたいことで
あっても、千春に他の男を与えることが必要だと悟ったのです。

浦上から千春を抱くように依頼された時、佐王子は慌てました。予想さえしていなかった浦上の申
し出を聞き、嬉しさと、驚きで、言葉を失っていたのです。しかし、冷静になって考えると、浦上
の申し出はそれほど意外なことではなかったのです。過去の経緯を考えると、佐王子が対応するの
が一番簡単で、安全なことは自明のことなのです。

〈ああ・・、俺も焼きが回ったかな…、
千春のことを今でも忘れられなくて、俺の目が曇っていたということか・・〉

佐王子は自嘲的にそうつぶやいていました。

〈待てよ…、あいつ…、千春には何も告げなかったが…、
そうか・・、すべて俺に預けて、
酔ったそぶりを見せて、あいつは寝てしまったんだ…、
さて・・、どうすればいいのだろう…〉

その昔、手玉に取った千春ですから、どこを吸い、どこを擦れば、どう鳴くか、女の体の隅々まで
知り尽くしているのですが、人妻になった千春は、今では遠くに立つ女なのです。黙って抱き寄せ、
口を吸えば喘ぎだし、簡単に靡いた女ではなくなっているはずなのです。


千春がダイニングルームに戻ってきました。大男の浦上を相手にかなり奮闘したのでしょう、前髪
が乱れ、額にうっすらと汗がにじみ、髪の毛が額に張り付いているのです。来客を予想していな
かったのでしょう、胸のところが大きく開いた薄手で、ミニの花柄ワンピースの下はどうやらNB
らしく、豊かな乳房の半分以上が顔を出し、授乳経験のある黒い乳首がくっきりと布を押し上げて
いるのです。

その昔、その景色は見慣れているはずなのですが、久しぶりに接する佐王子には新鮮に見えました。
少年の様にその光景から慌てて視線を外しているのです。

「ああ・・、疲れた…、
背広を脱がせるだけで大仕事だった・・、
あの様子では朝までぐっすりネ・・・・、

保さん…、
今夜は泊まって行けるのでしょう・・」

久しぶりに名前で呼ばれて佐王子は少し慌てています。


[20] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(208)  鶴岡次郎 :2014/08/16 (土) 18:01 ID:.QQhd7XU No.2569
体がほとんど触れるほど近づいて、男の側に千春が座りました。懐かしい女の体臭が男の鼻孔を刺
激しています。それだけで、男は高揚した気分になっています。

「そうだな…
明日の仕事は午後からだし、
家に帰っても誰も待っていないから・・、
迷惑でなければ、泊めていただくかな・・」

千春の顔を見ないようにして、何気ない口調で男が返事しています。

「そうして・・、
主人もきっと喜ぶと思う・・、
ところで、Y市のマンションは以前のままなの…」

「ああ・・、そうだよ、
千春ちゃんが泊まっていた頃と何一つ変わっていないよ」

「あら・・、そう・・
懐かしいな・・・、
ああ・・、そう、そう、窓から見えるラブホテル、
相変わらずなの…」

「以前より、過激になっている、
こちらが見ていると判ると、わざと脚を開いて見せる女もいる…、
多分、大部分が素人の女だと思うけれど・・、
その気になると、女の方が大胆だね・・」

「ふふ・・・・」

二人きりになると一気に昔のことが蘇り、二人の仲は急速に接近しています。無理もありません、
千春がまだ20歳そこそこで、初めて佐王子に抱かれ、それから8年余り、佐王子の手で女の全て
を開発され、彼の要請で娼婦にまで身を落としたのです。考え方によっては浦上と過ごした8年間
の結婚生活より、佐王子と過ごした8年間の方が千春にとっては密度が濃いと思います。

「一週間前、ご主人から電話があった・・・、
10年近く会っていないはずだから、正直、最初はだれか判らなかった・・、
千春の名前を聞いてようやく思い出したほどだった・・」

「10年は経っていないは、8年足らずよ・・」

「そうだったかな・・、
それにしても遠い昔の気がする・・・。
確か、千春と彼の結婚について三人で話し合うことになったんだったね、
俺も若かったが、あの時、千春はほんの子供だった気がする・・」

「よく言うわね…、
そんな子供みたいな女にお客を取らせていたのよ、保さんは・・」

「ハハ・・・、
これは一本参った・・、
確かに、おっしゃる通り俺はどうしょうもない男だよ・・
今も、あの頃とちっとも変らない渡世を送っているよ・・」

「相変わらずね・・、
自分のことをそんな風に言うのは…、
でも、どうしょうもない男だったら主人は声を掛けないと思う、
どんな相談をしたのかわからないけれど・・・、
主人は保さんを信頼しているのよ・・」

少し真剣な表情で、やや強い調子で千春が言っています。


[21] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(209)  鶴岡次郎 :2014/08/21 (木) 13:43 ID:nYpHgyUI No.2570

「概略を電話で聞いたのだが、とても込み入った話なので、
その場で結論を出せなくて、日を改めて面談することにした・・。
それが今日だった・・・、
この近くのレストランで話し合いをした・・・」

「きっと、私のことでしょう・・」

「・・・・・・・」

佐王子が黙って頷いています。

「それで保さんは・・
どう答えたの…」

「どう答えるて…」

「とぼけないで、私には判っているのよ、
保さんを見た時ピーンと来た・・・、
私のことを保さんに頼んだのでしょう…」

「・・・・・・・」

佐王子は千春の勘の鋭さにびっくりしていました。この調子ではすべて見通されていると覚悟を決
めていました。

「相変わらず勘の良い子だ・・、
今から話すことはお二人にとって、とっても大切なことだから、
話の先が読めていても、一通り、私の説明を黙って聞いてほしい・・。
それほど大切な話なのだ・・・」

佐王子の真剣な様子を見て、事の重大さがわかったのでしょう、千春が黙って頷いています。

「千春・・・、
ああ・・、二人きりの時は、これからも千春と呼ばせてほしい・・

ご主人と話し合っていて、判ったことなんだが…、
浦上さんは千春のことを本当に大切に思っているようだ・・。
多分、ご主人は千春をこの世で自分の命より大切だと思っているようだ。

これから先、どんな事態が発生しても、
ご主人の千春への愛情を疑ったりしてはいけない。
このことを、千春はしっかり頭に刻み込んでほしい・・」

千春が笑みを浮かべて頷いています。

「千春が想像しているように、ご主人から千春を定期的に抱いた欲しいと、今日、正式に申し込み
があった。ご主人一人ではとても千春を満足させること出来ないとおっしゃるのだ」

予想していたこととはいえ、浦上が佐王子に正式に申し込んだことを聞き、千春は驚きを押さえる
ことが出来ませんでした。

「以前付き合っている時感じていたのだが、千春は一人の男で満足できる女でないと思っていた。
誤解しないでほしいのだが、千春が見境なく男漁りをする女だと言っているのではない、むしろ、
逆に千春はとても貞操観念の強い女だと思っている。それだけに、一人の男に縛り付けると、自分
の欲望と強い貞操観念の板挟みにあって、精神に異常をきたすほど悩む可能性が高いと思っている。
このことは俺も、浦上さんも、同じ意見だ・・」

佐王子は熱心に語りかけました。千春はどのような気分でこの話を聞いているのでしょうか、見る
限りではおとぎ話を聞いているように、おだやかで、明るい表情で耳を傾けています。 

「ご主人は、千春さえ同意すれば、定期的に千春を抱いて良いと言われている。
幸い、俺の仕事は夜が中心だから、昼間、このマンションに来て務めを果たしてほしいと指示され
た。勿論、俺にとってはこちらからお願いしたい気持ちが正直なところだから、一も、二もなく、
その場でお引き受けした次第だ・・・、
こんな事情だが、どうだろう、千春の気持ちは…」

恋する少年の様に、素直な、それでいて、男のねばりつくようなギトギトした執念を、その瞳の奥
に見せて佐王子が千春を見つめています。千春は相変わらず捉えどころのない表情で佐王子を見つ
めています。


[22] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(210)  鶴岡次郎 :2014/08/22 (金) 17:50 ID:JMeePnsI No.2571

佐王子の質問には答えないで、ゆっくりと千春が立ち上がりました。そして、少し後ずさりして、
テーブルから少し離れたところに立ち、彼女の全身を佐王子に見せつけています。その表情から彼
女の意図は知ることはできません、茫洋として、視線は宙を漂っているのです。佐王子は黙って千
春を見つめていました。

ゆっくりとワンピースの肩紐を肩から外しました。最初に左肩、そして右肩、支えを失った布が肩
から滑り落ち、腰の位置で留まっています。ダイニングテーブルを照らす淡い光が女の豊かな胸を
浮き出させています。やはりNBです。

女も興奮しているのでしょう、男の視線を感じて、豊かな乳房が大きく、ゆっくりと上下に動いて
いるのです。大ぶりの乳房の先端にある黒い突起が明確に立ち上がっています。

女の手がワンピースを下へ一気に下ろしました、白いショーツも一緒に引き下げられています。全
裸の女が淡い光の中に立っています。慣れ親しんだ肉体を男はじっと見つめています。滑らかな胸、
張りのあるウエストライン、そして数えきらないほど交わったその部分、どの部分にも甘い思い出
が秘められているのです。欲情した時に発せられる特有の香りが女の体から発散されています。全
ての記憶が男の頭脳に蘇っています。

「主人の気持ちをありがたくいただかせていただきます。
私にとっては、これ以上の物は考えられないありがたい贈り物です。
ご存じのとおり、万事に行き届かない女ですが、よろしくお願い申します」

女はその場に正座して、両手を前にだして、深々と頭を下げました。つやつやとした女の背中と臀
部が男からよく見えます。

「俺との関係を復活することになって、
千春から俺やご主人への要求はないのか・・」

佐王子が訊ねました。

ゆっくりと頭を起こした千春が真っ直ぐに男に視線を向けて、やがてゆっくりと口を開きました。
形のいい乳房と魅惑的な股間の茂みが男の視線を捉えています。女は両手を膝に置き、絨毯の上で
正座しています。

「私は佐王子さんが好きでした。
いえ・・、今でも大好きです。
ですから、元の様に抱かれるのは正直言って、うれしいです。
でも、その半面、少し怖いのです…」

静かな、控えめの声で女が言いました。男は黙って頷いています。この種の話をする男女の会話に
しては、互いに恐ろしく冷静です。

「保さんとの関係を元に戻すに当たって、一つだけ申しあがておきたいことがあります。こちらか
らお願いしておきながら、いろいろ条件を付けるのは本来してはいけないことだと言うことも良く
判っています。しかし、このことだけは、はっきりしておきたいのです。もし、佐王子さんがこの
ことを約束していただけないのであれば、今回の話は私から断りたいとさえ思っています・・」

真剣な面持ちで千春が語っています。全裸の女が恥じらいを見せないで、求道者のような表情をし
て真剣に語る姿には、不思議な魅力があります。その道の専門家である佐王子にとっても新しい発
見であるようで、熱い視線で千春を見つめています。

「佐王子さん・・、良いですね…?」

何も反応を見せないで、うれしそうにただ千春を見つめている佐王子を見て、その態度を咎めるよ
うに、千春が返事を催促しています。


[23] フォレストサイドハウスの住人たち(その8)(211)  鶴岡次郎 :2014/08/23 (土) 11:45 ID:Y0hYsB6o No.2572

夫公認で抱かれることになり、いわばその愛人契約条件を真剣な表情で話す全裸の千春に佐王子は
見惚れていたのです。裸の女が男を誘う手管には慣れきっている佐王子ですが、裸であることを忘
れたように真剣に話しかける千春にはそれまで経験したことが無い不思議な魅力があったのです。
千春の言葉で我に返り、少し慌てて返事をしています。

「エッ・・、ああ・・、勿論、その通りだ、
千春の言い分が通らなかったらこの話は無しだ・・
ご主人も、もちろん私も、千春の嫌がることは絶対しない・・」

佐王子らしくもなく、偶然垣間見せた千春の新しい魅力に心を奪われ、返事を忘れていたのです。

「ありがとうございます。それを聞いて安心しました。それでは申し上げます。

以前、佐王子さんに抱かれている時、何時、佐王子さんから結婚を申し込まれるのかと、私は心を
弾ませて待っていました。妻にしていただかなくても、愛人関係をはっきりさせていただくだけで
もよかったのです。

『千春は俺の女だ・・』とはっきり約束していただけるだけで、良かったのです。しかし、私の気
持ちが判っているのに、佐王子さんは最後まで、誘いの言葉をかけてきませんでした。今でも、そ
のことでは佐王子さんを恨んでいます・・」

いたずらっぽい表情で千春が語っています、佐王子が困った表情で千春を見ています。

「現在では、ご存じのように私は人妻で、子供も一人います。
主人を心から愛していますし、子供と主人を守るためなら、私は自分の命など惜しいとは思いま
せん。以前とはここが違うのです。私には守るべきものが出来たのです」

誇らしげな表情で千春が語っています。

「保さんに抱かれると、多分、私は夢中になり、保さんと離れたくないと思うようになるはずです。
もしかすると、今の生活を捨てて、保さんの懐に飛び込もうとするかもしれないのです。こんな自
分の変化が、私は怖いのです・・」

「・・・・・・」

おそらく本音を千春は語っているのだろうと佐王子は理解していました。それでも男は黙って頷い
ているだけでした。

「そこでお願いがあるのです。
もし・・、私が保さんに夢中になり、今の家庭を忘れるようなそぶりを少しでも見せたら、その時
は、私を殴りつけてもいい、乱暴な言葉を吐いても良い、考えられる限り汚い言葉で私をののしり、
私をボロ布の様に捨ててほしいのです・・。

早い段階なら、元に戻れると思うのです…」

「・・・・・・・・・・・・」

唖然として佐王子が千春を見つめています。千春は真剣そのものです。

「佐王子さんは男だから、女の私より、理性的に行動できると思っています。
それに、佐王子さんにも守るべきものがたくさんあるはずです。
いまさら、私ごとき女のために今の生活を捨てる気持ちは持たないと思います。
だから、佐王子さんにお願いするのです・・。
今の家庭を守るため、ぜひ、私の願いを聞き届けて下さい・・」

「判った・・、千春の覚悟が良く判った…、
千春の言った言葉はそのまま、私自身の自戒の言葉にするよ。
千春を俺のモノにしたくなったら、俺は黙って千春から離れることにする。
勿論、千春が旦那や子供を捨てることは絶対許さないつもりだ・・」

こうして、好意を抱きながら、互いの意に反して別れて暮らしていた男と女が、再会し、男と女の
関係を復活する奇妙な愛人契約条件を取り交わしたのです。両人ともに凄まじい能力を秘めたその
道の達人です。迸り出た愛液があたりに立ち込めるほどすごい情交がこれから展開されると思いま
すが、果たして今取り交わした口約束がどこまで守られるか・・、どちらが先にこの約束に違反す
るか、じっくりと見守っていくことにしたいと思います。

そして、千春と佐王子がこの契約を交わしたことにより、佐王子はSFマンションに頻繁に出入り
するようになり、このマンションに住まう幾人かの女が佐王子の牙にかかり、それまでとは異なる
女の道を選ぶことになるのです。その経過についてはすでにいくつかエピソードをそれぞれ個別に
紹介しておりますが、これから先に紹介する話も含めて、いずれ整理して、それぞれのエピソード
の相関関係を明らかにするつもりです。


[24] 新しいスレへ移ります  鶴岡次郎 :2014/08/23 (土) 12:07 ID:Y0hYsB6o No.2573
話の区切りが来ましたので、新しい章を立てます。ジロー


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