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フォレストサイドハウスの住人たち(その9)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2014/08/29 (金) 13:51 ID:Bu3nxBoY No.2575

子育てに一区切りつけた千春に、それまで抑えられていた情欲の波が堰を切ったような勢いで押し
寄せてきました。彼女自身でもどうすることも出来ない圧倒的な情欲に千春は苦悩するのです。長
期出張から帰ってきた浦上は千春の体が変わったことに気が付きます。そして、しばらく忘れてい
た8年前の佐王子の忠告を思い出していました。

『千春は千人、いや・・、万人に一人の女です・・、
そんな女を妻にする幸せを手にした男は、それなりの覚悟をしなければいけない。

少しでも、異常を感じたら、私に連絡をしてください。
決して一人で解決しようとしないでください・・・・。
千春の幸せを願う気持ちがあれば、必ず私に連絡ください・・・』

浦上はその時がついに来たと感じ取っていました。8年ぶりのコンタクトでしたが、何のためらい
も持たないで、佐王子に連絡を入れたのです。

浦上から連絡を受けた佐王子は、一週間千春に徹底奉仕することを浦上に命じました。浦上は頑張
りました。一週間後、浦上は自身の無力さと、千春の底知れない情欲の凄さをしっかり感じ取って
いたのです。

夫公認で、佐王子と千春は昔の関係を復活することになりました。性豪二人が再会して、スロット
ルを一杯開いて会いまみえるのです。彼らの周囲が無事でいられるはずはありません。この二人を起
点にして、SFマンションに妖しく淫らな雰囲気が広がっていくのです。実はこれまで既に佐王子
が手をそめたいつくかの淫らなエピソードを先行して断片的に紹介しております。これらの事件も
二人が起点であることが追々に明らかになります。

相変わらず普通の市民が織りなす物語を語り続けます。ご支援ください。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・(1)2014.5.8 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示しま
す。
・記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8 文頭にこの記事があれば、記事番号1779に二
回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直していた
だければ幸いです
                                        ジロー  


[2] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(212)  鶴岡次郎 :2014/08/29 (金) 14:11 ID:Bu3nxBoY No.2576

淫乱貞女

それまで正座していた千春がゆっくりと立ち上がりました。そして、男に近づき、彼のシャツのボ
タンに手をかけたのです。男が少し慌てています。

「ここでやるのか…、
それは・・・、まずいだろう・・」

男は浦上が寝ているはずの寝室に目をやり、慌てた様子で女の手を止めています。

「いいの!・・、本来なら、彼が率先してこの話をまとめるべきところ、酔っぱらったふりをして
この交渉を私たちに任せたのだから、それなりのことは覚悟を決めていると思う。それに・・、
これから先、私と保さんが仲良くしているところを、見る機会が増えるはずだから、そうしたこと
に慣れるためにも、私と保さんが抱き合っている姿を見た方がいいのよ…、
見せつけてやりましょうよ・・・」

艶然と笑みを浮かべて男の衣類をはぎ取る千春です。最後にショーツをズボンと一緒にはぎとりま
した。半立ちの見事な業物が勢いよく飛び出しています。

「ああ・・、この香り…、懐かしい…」

顔を近づけ、深々とその香りを吸い込んでいます。そして自然の成り行きで口に含んでいます。女
の口も、そしてすっぽりと吸い込まれた男根も、8年前を思い出したようです。

「旦那以外の物を食べるのは、結婚以来初めてなのか…?
それとも・・・、案外、いろいろ味わっていたりして・・・・」

「痛た・・・・・た・・・・」

女がかなり力を入れて男根に歯を当てています。男がおおげさに痛がっています。深く口に咥えた
まま、千春が笑みを浮かべています。

男が少し屈み込んで亀裂に指を伸ばすとそれを待っていたかのように女が大きく脚を広げています。
指が二本、易々と吸い込まれています。さすがに男の指使いは卓越しています。その指二本で数知
れない女を落としてきたのです。

女は指を迎え入れたその瞬間から、別次元の世界に飛んでいます。そうすることを教えられ、そう
すれば、考えられないほどの喜悦を勝ち取ることを教えられているのです。女の体はかって教えを
受けたとおり動いています。こうなると女には男の存在以外気になるものは何もなくなるのです。

全身を痙攣させ、うめき声を上げ、激しく潮を噴き上げながら、時には男根を口に吸いこんだり、
ある時は男の肌に吸い付いたり、女は全身を痙攣させ悶えています。男は亀裂に差し込んだ指を絶
えず動かしています。それが仕事ととはいえ、辛抱強く、飽きずに、責め続けるのです。これほど
悶える女体を見れば並の男であれば、我慢出来ずにとびかかるはずですが、男はそんな気ぶりも見
せず、ただ奉仕を続けています。

亀裂から吹き上げられた女水が男の腕を、そして全身を濡らしています。

「欲しい…、欲しい…
チ○ポ欲しい…、入れて・・・」

萌える瞳を男に向けながら、女が甘い声で頼んでいます。男が微笑み頷いています。女を床に寝か
せて、女のワンピースを腰の下に敷いて、床の汚れ防止策を施し、男は両手で女の足首を持ち、
いっぱいに開きました。女が嬉しそうに悲鳴を上げ、限界まで広げられた股間から破裂音が響き渡
り、大量の潮が噴き出ています。とてもワンピース一枚で吸い取れる量ではありません。

男が男根を亀裂に向けて差し向けました。そして特別構えるのではなく、無造作に、腰を突き出し
ました。ズブズブと8年ぶりに男根が女陰に吸い込まれています。男の瞳に涙があふれているのを
女は知りません。男の腰使いが急になりました。女の悲鳴が喜悦の喘ぎ声に変わっています。

それから一時間余り、戦いは続き、そして、女が激しいけいれんを起こし、怪鳥ような悲鳴を上げ
て、全身を痙攣させて悶絶しました。男はじっと耐えています。戦が終わったのです。あふれ出た
女水で絨毯が滴る程に濡れています。


[3] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(213)  鶴岡次郎 :2014/09/03 (水) 17:10 ID:40WbnNKo No.2577

それからしばらくして、男の腕の中で女が覚醒しました。男の顔を見て、恥ずかしそうに微笑んで
います。そして急いで体を男に密着させて、四肢を男に絡めて、顔を男の胸に埋めています。激し
く悶え、失神したことを本気で恥ずかしがっているのです。

男は女の頭に唇を寄せ、優しく唇を押し付けています。懐かしい髪の香りを嗅ぎ取り、男の瞳がま
た濡れています。時には愛情をもって、時には事務的に、ほぼ毎日の様に女を抱いている佐王子で
すが、女を抱いた後こんなに胸を熱くすることは少ないのです。彼にとって、千春はやはり特別の
女のようです。

男は大の字になって床に体を投げ出しています。女は男の体に四肢絡めて、縋り付くようにしてい
ます。濡れた亀裂は男の脇腹に押し付けられているのです。終わった後、こうして体を男に密着さ
せて睦言を交わすのが千春は好きなのです。男もそのことを承知していて、女の体をやさしく抱き
しめています。

女は情事を堪能した満足感あふれる表情です。一方、男の表情には大きな変化はありませんが、注
意深く見ると明らかに千春を抱く前と様子が変わっているのです。余裕がなくなっているのです。
剣士が試合に臨み、自分より格下だと確信していた相手から予想外の攻撃を受けてたじろいでいる、
そんな雰囲気をその表情に残しているのです。

「私…、どう・・、良かった・・・?
私…、変わったでしょう・・・・
変でなかった・・・・」

出産を経験した女は自身の体の変化を男がどう思っているか気にしているのです。

「良かったよ…、久しぶりに本物の女を抱いた気持ちだ、
以前より凄く良くなった感じだ…。
特に、中の締め付けがはっきりと分かるようになった・・・
正直言ってこれほど良くなっているとは思わなかった・・・・」

佐王子はかなり真剣に千春の体を事細かく論評し、千春は千春で師に使える弟子のような表情で佐
王子の話を聞いているのです。少し奇妙な光景ですが、こうしてセックスのあと、その感想を真剣
に語り合うのは二人の習慣です。

以前、二人が出会って間がない頃、千春の中に隠された才能を認めた佐王子は千春にいろいろな性
技を厳しく教え込みました。一方、千春も、佐王子に気に入られるため、懸命に佐王子の教えを学
びました。佐王子の見込み通り、千春は見る見るうちに女を磨いていったのです。この頃、二人は
セックスが終わった後、かなりの時間を割いていわゆる反省会をしていたのです。佐王子が千春の
技と体の動きについて論評し、千春がそれについていろいろ質問し、時にはもう一度実技練習する
こともあったのです。

8年後再会した男と女は、以前の習慣を思い出し、その頃の様に、男が真剣に千春の体を語ってい
るのです。女は眩しそうに男を見上げて、それでも嬉しさを隠さない表情を浮かべています。

「そう・・、そう言われると嬉しい・・
それにしても・・、
保さんは相変わらず、凄いね…
一気に昔を思い出しちゃった・・・・
保さんに抱かれると、
その後は腰が立たなくなっていたのよ・・・
今日、久しぶりに失神してしまった、恥ずかしい・・・・」

男の胸に唇を寄せて、舌を突き出し、肌を舐め、汗の味を確かめながら、女はうっとりした表情で
話しています。一方、男は表情にこそ出しませんが、女の成長を目の当たりにして、ある種の恐怖
感さえ感じながら、慎重に女の成長度合いを測っているのです。

〈本人はまだ気が付いていないようだが…、
以前と比べると全く別人と思えるほどだ・・・、
以前も良い女であることは確かだったが、それでも並の上クラスだった。

しかし、今は・・、明らかに群を抜いている…、
これほどの女は・・、そう多くない・・、
そう・・・、あの方に近づいたようだ・・・・〉

佐王子はかって感銘を受けた一人の女を思い出していました。組に籍を置き女性専科の遊び人とし
て全国を放浪し、数知れない女を味わって来た佐王子にとってさえ、印象に残る女はそう多くない
のです。千春の成長した素晴らしい体を味わい、彼はある女を思い出していました。彼が『あの
方・・』と尊敬の気持ちで呼ぶあの女、的屋の親分の情婦、由美子の顔を思い出していたのです。


[4] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(214)  鶴岡次郎 :2014/09/05 (金) 14:00 ID:pkbeFWtU No.2580

彼の中では別格の女である由美子を思い出し、彼女と千春を比較しているのです。それほど千春の
成長は佐王子を驚かしていたのです。

〈以前は入口の締め付けだけが強かったが、
二段目、三段目の締め付けがはっきり分かるようになった・・、
もっと成長すれば、自由にあそこの筋肉を動かせるようになるだろう…

そうなれば、俺でも、3分と持たないだろう…、
今だって、堪え切れなくて、少し洩らしたようだ・・・
千春はどうやら、あの方にさらに一歩、近づいたようだ・・・〉

佐王子は静かな驚きと興奮の中に居ました。千春はそれほど成長していたのです。長年修業を積ん
だ結果、佐王子はその気になれば、『接しても漏らさない』で、セックス出来るのです。いままで、
佐王子がその気になって女性と接して、思わず漏らしたことはないのです…、ただの一度の敗北を
除いて・・・。

どうやら、千春は佐王子を漏らさせたあの伝説の女性にまた一歩近づいたようです。


その時…、突然、千春が大きな声を上げました。

「ああ・・・・ん、ダメだわ…、
また・・、したくなってきた・・・・」

激しい情事の余韻に体を委ねて、女はぼんやりしているはずと思っていた男は、女の大声にびっく
りして、腕の中にいる女を見ています。女は、男の体に自身の体を強く押し付け、悶えながら声を
出しています。

「こんなに感じると保さんのことが忘れられなくなる・・
ああ・・、たまらない、我慢できない…
ネェ・・、もう一度・・、いいでしょう・・・・」

男の耳に口を近づけ囁くように言葉を出し、体を微妙にくねらせているのです。甘い吐息が男の耳
朶を刺激し、濡れた亀裂が男の脇腹を微妙にこすっているのです。

男の驚き表情を見て、女は自身の恥かしい行為に気が付いた様子です…。

「ダメね…、
こんな調子ではせっかくの主人の好意をいつか裏切ることになる…」

千春はほとんど泣き出しそうになりながら話しています。佐王子は黙って女の頭を撫ぜています。

「抱かれる前は絶対主人のことは忘れない・・、
これは体の疼きを治めるため、主人が私に与えてくれた手段なのだと、
自分に言い聞かせるのだけど・・・、
保さんに愛撫されると、子供のこともあの人のことも・・、
全部・・・、忘れてしまっていた…」

ほとんど泣きながら千春は話しています。

「保さんが私の中に入ってきた時は、もうダメだと思った・・・・
保さんのことばかり考えていた…、
所詮・・、私は浮気が出来ない女なのかしら…」

涙を流しながら千春は冷静に自分の情欲を分析しようとしています。

「今回に限ったことではない…、
男をアソコに迎え入れるといつでも本気になってしまう・・・・
昔とちっとも変っていない・・・・・
私は、浮気と本気の使い分けができない女なのよ…」

独身時代、たくさんの男に抱かれた時のことを思い出しているようです。どうやら、程度の差こそ
あれ、男を迎え入れると千春はすべてを忘れ、その男に惚れぬくようなのです。


[5] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(215)  鶴岡次郎 :2014/09/09 (火) 16:23 ID:99gquKMw No.2581

微笑みを浮かべて千春の顎に手を当て、佐王子は女の瞳を覗き込み、そしてゆっくりと口を開きました。

「抱かれる男にその都度本気で惚れる…、
それは・・、千春が素晴らしい女である証拠だと思う。
何も恥じることはないと思う・・」

「でも・・・、
こんなに惚れっぽいと、いつか主人を裏切り、とんでもない方向へ走ってしまいそうで…、
それが怖い・・、
私・・、私自身を信じることが出来ないのが怖い・・・」

千春は本気で自身の淫蕩な体を怖がっているようです。佐王子はどう慰めるべきか迷っているのです。

「確かに千春がそのことで悩むのは当然だ・・。
そうだ・・、この話を聞けば少しは気が楽になるかもしれない…。
そんな悩みを持っている女性は千春一人でないことを少し話そう・・」

何かいいアイデアを思いついたようで、佐王子は自信に満ちた口調で話し始めました。

「由美子姐さんと呼ばれている、私の尊敬する女性のことを少し話す。一部上場企業の役員を務める立
派なご主人がいて、お二人の子供にも恵まれ、絵にかいたような幸せな家庭を築かれている女性だ。

子育てが終わった頃から、千春と同じように抑えきれない女の情欲に悩まされるようになり、ご主人は
自分一人の力ではとても夫人の情欲を治めることが難しいと判断され、ご夫婦で相談され、ご主人は夫
人に愛人を与えることにしたのだ。いろいろの偶然が働いて、結局、的屋の親分が夫人の愛人になった。

的屋・・て、知っているか・・?
そうだ・・、その通りだ、古い言葉で最近はあまり使わないが、
お祭りなどで屋台を出している業者のことをそう呼んでいるのだ。
正業のないヤクザとは基本的に違うのだが、それでも彼女が育った社会では一度も会う機会がなかった
別世界の男であるのは確かだ。

その親分の愛人となった夫人は、その日から親分に激しく抱かれるのは勿論のこと、親分の仲間の男達
へも貸し出されるようになった。それが彼らの習慣だったのだ。こうして、夫人は毎日のように違う男
の相手をするようになり、抱かれた男の数はあっという間に100人を超えるようになった・・・。普
通の家庭の主婦であった夫人が娼婦並の男性経験をすることになったのだ。

このように話すと、夫人は堕ちるところまで堕ちた場末の娼婦の様に変貌したと思うだろうが、夫人を
見る限り、上品な雰囲気は変わらず、ただ、多数の男達と接した結果、一寸した仕草ににじみ出る色香
がさすがと思わせるほどすごいものに変わったのだ・・。勿論、ご主人も夫人のその変化を歓迎されて
いると聞いている・・・」

「でも・・、いろいろな男の味を知ったら、女は元へは戻れないと思う・・、
結局、その夫人はご主人の元を離れ、家庭は崩壊し、
いずれ、彼女自身はどん底の社会に堕ちることになるのでは・・」

千春が当然の質問をしています。

「実を言うと、私も一度その夫人と接したことがある。
その時感じたのだが、私と一緒に居る間・・・、
私の腕の中では、夫人は完全に私の女になっていた・・。

ご主人のことも、情夫である親分のことも、全部忘れて、
私のことだけを考えている雰囲気だった。
私自身は『夫人に愛されている』と、全身で感じることが出来た。

そうはいっても私もその道のプロだから、女の演技に騙されることはない。
そんな私が『・・・惚れられている・・』と感じたのだから、
由美子姐さんはあの瞬間、本気で、私に惚れていたに違いないと思う・・・」

「・・・・・・・」

千春は黙って聞いています。女の様子を注意深く観察しながら佐王子は話を続けました。佐王子が他人
に由美子のことを話すのはこれが初めてのことでした。


[6] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(216)  鶴岡次郎 :2014/09/11 (木) 11:33 ID:QICNc5kU No.2583

ここで千春から質問が出るのを待った佐王子ですが、女が口を開かないのを知り、また話し始めました。

「全てが終わって、衣服を着けてお話しする段になると、その時は礼儀正しい令夫人の居ずまいに戻って
いて、わずか30分前、私の腕の中で娼婦の様に悶えた夫人の姿はどこにもなかった。

その時になってようやく気が付いた。夫人を抱いている時、私は夫人から惚れられていると感じたのだ
が、それは私に限ったことではなく、男に抱かれている時、夫人はすべてを忘れ、その男に惚れこみ、
その男の女になって情事に没頭し、事が終われば、寝室での戯事をすべて忘れたかのように他人の関係
に戻る、夫人にはそんな切り替えのできる才能が備わっているのだと思った・・・」

千春がびっくりした表情で佐王子を見つめ、反論しそうなそぶりを見せました。それでも、女はかろう
じて気持ちを抑え込み、口を閉じていました。今は、軽はずみな異論を出さず、最後まで佐王子の説明
を聞くべきだと判断した様子です。彼女が抱えている疑問が判ったのでしょう、その問いに答えるよう
に佐王子は説明を続けました。

「普通の女がそんなことをすれば、どこかにほころびが出て、男たちの嘲笑を受けることになるものだ
が、夫人の場合は、その切り替えがあまりに見事で、男達は夫人の演技を喜んで受け入れ、その演技を
楽しむことになるのだ。

夫人は男と居る間は娼婦と化し、家庭に戻ればいい妻であり、優しい母に戻っているのだと思った。勿
論、何もかも知っていながらそんな夫人を信頼し、心から愛しているご主人も素晴らしいと思う、並の
男ではとてもできないことだと思う。そして、娘さん達は、もちろん夫人の乱行を知ることもなく、お
二人から愛情をたっぷり注がれ、すくすくと成長され、それぞれに大学を出て、独立され、今ではそれ
ぞれに幸せな家庭を築かれていると聞いている・・・」

「私も・・、その奥様のような生き方が出来ると、言うのですか・・?
主人を愛する一方で、何人もの男に抱かれ、その都度その男たちに夢中になり、
ことが終われば、他人に戻れ・・・、と言うのですか・・・・。
無理…、想像するだけでも、私にはとてもできそうもない…」

少し怒気を含めて千春が佐王子に食いついています。

「誰にでもできることではないと思う。そのような女性の生き方には、それをうまくやるための、方法
論や、精神論は存在しないと思う。また、誰かに教えられて、出来ることでもないと思う…。
言葉を変えて言うと、選ばれた女性だけが出来る生き方だと思う…」

ここで佐王子は言葉を飲み込んで、じっと千春を見つめています。千春は複雑な表情を浮かべ、必死で
何かを探っている様子です。

「ここまで話すと判るだろう…、
この道のプロであり、数えきれないほど女性と接してきた私が感じるのだ、
千春さんには、あの方と同じ血が流れていると思う・・。
あの方と同じ女の生き方が出来るはずだ…。
千春さんは選ばれた女性なのだ・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

尊敬の気持ちを込めたのでしょうか、千春さんと言葉を改めて佐王子が語りかけています。千春はしみ
じみと彼の言葉を噛みしめていました。


[7] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(217)  鶴岡次郎 :2014/09/12 (金) 16:11 ID:WMoEF/5g No.2584

二人は黙りこくったまま、互いの思いにふけっていました。全裸の男と女が神妙な姿勢を見せて、深夜
、無言で向き合って、ソファーに腰を下ろしているのです。奇妙な、どちらかと言えば怪奇的な光景で
すが、二人の間にはさわやかな雰囲気が流れていました。

二分、三分と静かに時間が流れています。千春が何かを感じ、必死で答えを見つけようとしている様子
をやさしく見つめていた佐王子がようやく口を開きました。

「これ以上私から申し上げることはなにもない、
いえ・・、私ごときが軽はずみに忠告できる問題ではないのです。
私はただ、あなたとご主人の要求に応じて、あなたを慰めるため、
死力を尽くすつもりです。その先は、千春さん・・・・」

「・・・・・・・」

千春の名を呼び、そこで言葉を切り佐王子はじっと千春を見つめていました。千春もじっと佐王子を見
つめています。二人共に全裸であることはことさえ、もう忘れているような雰囲気です。

「その先は千春さん、あなた自身が考えてください。
急ぐ必要はないと思います。ご主人や私も支援します。
出来ることなら、先ほど話した由美子さんにあなたを会わせたいと思っています。
多分、彼女からたくさんのヒントを得ることが出来ると思います」

「よろしくお願い申します・・・」

いろいろ考えることがあって、言いたいこともたくさんある様子ですが、千春は考えることが多すぎて、
何も結論が出さない状態に陥り、言葉を出すことが出来ない様子です。それでも、千春は彼女自身でも
驚くほど素直な気持ちになっていたのです。そして、夫と佐王子の敷いた路線を、あまり考え込まない
で、とにかく歩き出してみる気になっていました。何か問題が発生した時、その時、また考えればいい
と少し投げ出した気分になっていたのです。

「寝室へ案内します・・・」

覚悟を決めると、千春の中に新たな情欲が沸き上がっていました。客間へ佐王子を案内するため、千春
は立ち上がりました。先に立って、二階の客間に通じる階段を上がる千春を見て、佐王子は改めて彼女
が全裸であることに気が付いています。勿論佐王子自身も全裸です。

先に立って階段を上がる女の股間はすべて男にさらされています。先ほどの情事で濡れたその部分は新
たな粘液でさらに潤いを増しているようです。亀裂の猥雑な動きが男の視線を捉えて離しません。そこ
から溢れ出た愛液が内股をべっとりと濡らしています。女も見られていることにすごく感じているので
す。

男の指がその部分に伸びています。女が立ち止り、振り向き、切なそうな表情で無理に笑みを浮かべて
います。男の指が亀裂に埋没し、ゆっくりと動いています。女は階段の手すりにつかまり、体を固定さ
せて、脚を開いています。女の脚はかなり大きく広げられていて、男の指が縦横に動きまわっています、
女は片手で口を押さえ、湧き上がる喜悦に堪えています。

「ああ・・・、ダメ・・・・、
そんなことをされては・・
主人に…、主人に、聞こえます・・・・・」

男の指が更に深く亀裂に埋没しています。その部分から大量の愛液が噴出して音を立てて階段に落ちて
います。耐えきれなくなった女が腰を落とし、階段の途中でしゃがみこんでいます。男が女の側に立ち
ました。女がすかさず男根を手に取り口に含んでいます。半立ちの男根は見る見るうちに大きくなって
います。不安定な姿勢のまま、女は情熱的に男根に舌を絡めています。

「部屋に入ろう…」

このまま進むと階段で挿入を求められる危険を察知した男が女の口から無理矢理男根を引き抜いていま
す。欲望の治まらない女は不満そうに男根に手を絡めています。男根の先端と女の唇の間に粘液の糸が
見えます。

女を抱え上げた男が唇を寄せ、女の口を吸っています。女は情熱的に男の唇を吸い始めました、そして
うめき声を出しながら四肢を男に絡めています。男はほとんど女を抱き上げるようにして階段を上りき
り、女が指差す部屋の扉を開けて中に入りました。

それから4時間、断続的に女の悲鳴が扉の外まで漏れ出ていました。こうして、稀代の色事師、佐王子
保と万人に一人の艶才を持つ女、浦上千春の再会の宴が始まったのです。


[8] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(218)  鶴岡次郎 :2014/09/17 (水) 17:40 ID:eg3FUBOY No.2585
佐王子と千春を居間に残して寝室へ消えた千春の夫、浦上は、千春がこの家で佐王子に抱かれるのを多
分予想していたと思うのですが、その夜、一度も姿を見せることはありませんでした。

他の男に妻が抱かれることになるわけですから、二人のことは気になるに違いないと思いますが、それ
以上に千春を佐王子に託すことを決め、その安堵感が浦上に久しぶりの安眠を与えていたのだと思いま
す。

思い返せば、海外出張から帰り、千春の体の異常に気がついてから一ケ月、彼はいつも何かに急き立て
られるようにして、体力の続く限り千春を抱いたのです。精神的にも、肉体的にも耐えられる限界を超
えていたのです。その縛りから解放されて、浦上はベッドで一人体を伸ばし、安眠を貪っているのです。
その心中を物語るかのように、眠りこけている彼の表情には大きな安堵感が現れていました。


週に二度か三度、昼過ぎ、佐王子は千春のマンションを訪れることにしています。子供が幼稚園から
戻ってくる三時頃までが二人の時間です。浦上は週末千春を抱くことにしているのですが、週末が待ち
きれなくて、出勤前に手を出し、出勤時間を遅らせることが時々起るのです。勿論、千春も心得ていて、
仕事に支障が出るほどの要求はしません。

千春は二人の男に抱かれる環境を満喫しています。欲求不満が解消し、千春は今花の盛りに入っている
ようで、街を歩くと、道行く男達だけでなく、女たちまで振り返るほど女の魅力が輝いているのです。
二人の男は千春の情欲にたじろぎながらも、今を盛りと咲き誇る千春の魅力を前にすると、自然と体が
動き、後になって後悔するほど体力を消耗してしまうのです。

千春の全身から発散される妖気に近い女の魅力に溺れながら、浦上はこんなに千春を魅力的に変えたの
は自分一人の力ではないことはよく承知しています。それだけに、千春に接するたびに、いや・・、千
春を見るたびに、胸が焦げるような嫉妬心に苛まれるのです。そしてその嫉妬心をエネルギーにして、
週末、浦上は千春に挑みかかるのです。


次第に、佐王子の存在に慣れてくると、佐王子と千春の閨の話を聞くのが浦上の楽しみになってきてい
ます。浦上が興奮することを知った千春も、好んで佐王子との情事の内容を事細かく浦上に話すのです。
それは、寝室にいる時だけでなく、朝食の時、夕食の時、世間話の延長の様に突然千春は語り始めるの
です。

「ネェ…、ここを見て・・・、なんだか痛いの・・・」

そう言って、スカートの裾を持ち上げ、朝食を食べている浦上に大腿部の内側を見せるのです。そこ
には、はっきりと歯型が残っているのです。

「歯形がくっきり残っているよ・・・・」

いつもの挑発だと知りながら、浦上は白い内股に残されたピンク色の歯型をじっと見てしまうのです。

「嫌だ…、
彼・・、興奮して、いろんなところを噛んだのよ・・、
ココだけでなく、他にも痛いところがある…、
もっと上の方だけれど、見ていただける・・・・」

「うん・・、そうしたいところだが・・・、
見ればそれだけで終わりそうにないから、今日は遠慮するよ、
今朝は重要な会議があって、遅れるわけにはいかないんだ・・」

「ふふ・・・・
では、お帰りを待っています・・・
それまでに保さんの歯形は消えているかもね・・・・

今日は保さんの来ない日だから、早く帰って来てほしい…
そしてね・・、新しい歯形をここに付けてほしい・・・・」

スカートの裾をいっぱいにまくり上げ、黄色いビキニショーツを見せ、股間を指さしながら千春が艶然
と笑っているのです。こんな調子で挑発されるわけですから、終業時間を待ちかねるようにして浦上は
急いで帰宅することになるのです。


[9] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(219)  鶴岡次郎 :2014/09/22 (月) 17:25 ID:JMeePnsI No.2586

浦上家の隣、1613号室には中年過ぎの佐原康夫と、幸恵夫妻が住んでいます。通常、セキュリィテ
イのいい高級マンションでは住人同士のお付き合いは少ないのですが、両家は入口ドアーが5メートル
と離れていないので、時々廊下で顔を合わせることが多いのです。そして、佐原夫妻には子供がなく、
幼い子供を連れた浦上家に佐原夫妻は興味を持ち、特に佐原夫人は浦上の長男を孫のように可愛がった
のです。そうした関係で浦上達がこのマンションに移り住んだ時から、両家は親しく付き合っているの
です。

佐原靖男は50歳を越えたばかりで、大手生命保険会社の役員をしていて、スレンダーな体つきで身長
が180センチ近く、その上、かなりのイケ面です。夫人の幸恵は佐原の6歳年下で、150センチに
届くかどうかという身長で、ふっくらと豊かな体をしています。ただ、裕福な家庭で育ったことを伺わ
せる良い雰囲気を持っていて、接する人すべてを包み込む明るさを備えています。

家庭にいる二人の主婦はほとんど毎日どちらかの家でお茶をする仲にまでなっています。互いの人柄や
性質が判ると、歳は違っても、互いに気を許すようになり、二人の女は夫にも言えないことを話し合う
ようになっていました。

このような付き合いですから、週に二、三度千春宅を訪れ、数時間二人きりで過ごす佐王子の存在に幸
恵はすぐに気が付きました。聞かれるままに素直に答える形で、千春は佐王子に定期的に抱かれている
ことを幸恵に話しました。そして、独身時代かなり奔放に遊んだことや、その時佐王子と深い付き合い
になったことも千春は話しました。さすがに、娼婦になったことまでは話しませんでしたが、佐王子の
紹介で彼以外の複数の男に抱かれたことまでも隠さず話しました。

「独身時代、多分・・、100人を超える男性を相手にしたと思います。
もし、今の主人に会っていなければ、
私・・、多分、彼の愛人になっていたと思います…。
そして、間違いなく、今頃は、体を売る商売に堕ちていたと思います・・
彼は風俗店の経営者なのです…」

「そう・・、私には想像もできない独身時代を過ごしたのね…、
・・・で、またどうして…、
そんな問題のある男と・・・、
今になって、寄りを戻すことになったの…?
私が見る限りご主人とは非常に上手く行っているようだけれど・・、
何か、問題があるの…」

びっくりしながらも、千春のことが心配なようで、優しく声を掛けています。興味本位でなく、千春の
身を本当に心配している様子なのです。

「主人との仲が良くなくて、私が浮気をしていると思いでしょうが、
そうではないのです。彼のことは主人も良く知っています・・」

「そう・・、ご主人もよくご存じなの…、
彼は・・、ご主人公認の愛人だと言うことなのね・・?」

幸恵の問いかけに千春が黙って頷いています。幸恵は何か考え込んでいます。そして、何かに気が付い
た様子ですが、その疑問を口にするのは憚れるようで、もの言いたげな表情を残したまま口を閉ざして
います。

「ご心配なく…、
主人にも週に一、二度は抱かれていて、
私たちの年齢では主人はよく頑張っている方だと思います…」

「そう・・、週に二度も・・・?
それで十分よ、何も不満を言うことはないわ・・、
私なんか・・、フフ・・、
ここで私のことは言う必要ないね・・・。

なら、どうしてご主人公認の愛人が必要になったの…、
判った・・、彼に脅かされて、やむを得ず寄りを戻したのね・・・」

幸恵が出した結論は当然の流れです。言うことを聞かなければ浦上の勤め先に千春の旧悪のすべてをバ
ラすと脅かされ、泣く泣く昔の男の愛人になったと幸恵は考えたのです。


[10] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(220)  鶴岡次郎 :2014/09/23 (火) 17:25 ID:Y0hYsB6o No.2587

幸恵がとんでもない誤解をしているのを知り、千春は慌てています。そして、佐王子の名誉のためにも
幸恵の誤解だけは解いておきたいと思ったのです。

「幸恵さん・・、そうではないのです…、
彼・・、佐王子さんと言うのですけれど、
先ほど言ったように職業は風俗店の経営者なのですが、
以前から、私達には紳士的に接してくれていて、主人も私も彼と付き合っていて、
何も困ることはないのです。

実は・・・、彼に主人からお願いして、
定期的に彼に抱かれているのです…」

「脅かされているわけではないのね・・・、
それで安心したけれど・・、
それでも、疑問は残る…、

頭が良く、良識のあるあなた方夫妻のことだから、
しっかりした考えがあると思うけれど・・
私にはちょっと付いて行けそうもないことね・・・、

正直言ってそんな淫らな関係は長く続けるものではないと思う…、
千春さんは若いのだから、そんな自堕落な行為を続けてはいけないと思う…」

どんな時でもはっきりと自分の考えを言える幸恵が苦笑を浮かべながら苦言を出しています。どうやら
浦上夫妻が遊びで淫らなスワッピングを楽しんでいると思いこんだようです。幸恵の誤解がこれ以上進
まないように、正直に何もかも告げる決意を千春は固めました。

「面白半分で私たちはこの道を選んだのではありません。
主人なりにいろいろ考え、悩み抜いた結果、この道を選んだのです。
彼に抱かれる道を主人が選んだのは私の因果な身体のせいなのです・・」

真剣な表情で幸恵に語り掛ける千春の様子を見て、幸恵の表情から笑みが消えました。何か深い事情が
あると感じ取った様子です。

「私・・・、授乳が終わった頃から、体が燃えるようになって・・・・、
どうにも我慢できなくなって、変な道具を使って、
毎日、何時間も自慰行為をするようなっていたのです。

それが主人に見つかって・・・、主人は私を叱るわけではなく・・・、
ただ、非常に慌てていました・・。
そして、直ぐに佐王子さんに連絡を入れたのです。

今になって思うと、何故だか判りませんが、主人は私がこんな体になることを予想していたようなの
です。そして、もし私がそうした兆候を見せたら、その道の専門家である彼、佐王子さんに連絡すると
決めていたようです。

主人と佐王子さんはいろいろ話し合ったようで、
その結果、佐王子さんが昔のように私を抱くことを決めたのです」

予想外の展開に幸恵はかなりびっくりしています。それでも、千春の言葉を疑っている様子ではありま
せん。同じ女性として、千春の苦悩がある程度理解できるようなのです。

「そう・・・、そういうことだったの…、
誤解して、早合点して、変な忠告をした私を許してね…。

普通の女でも、時々は、燃え上がる身体を持て余すことがあるけれど、
その程度が、千春さんの場合は強いのね・・、きっと・・・・
男たちは千春さんが人並み外れた欲望の持ち主だと見抜いていたのね…」

眩しそうな表情で幸恵は千春を見つめています。頬を染めて千春が視線を下に落としています。

「あなたが特別な女性であることに気が付いていた二人の男は、
あなたには何も相談しないで、
二人がかりであなたの苦しみを癒すと決めたのね…?」

「ハイ・・・、
私には一切相談がありませんでした。
決まったことを告げられ、その夜、八年ぶりに佐王子さんに抱かれました。

その日以来、週に二、三度彼が自宅へ来てくれるようになりました。
勿論、主人にも週二度ほど抱かれています・・・
正直に申します・・・。
今・・、私はとっても幸せです・・。心身ともに充実しています・・」

「・・・・・・・」

一気に秘密を語り終えた千春は紅潮した表情で幸恵を見つめています。想像を超える千春の話を聞き、
幸恵は絶句していました。それでも悪い感情は抱いていない様子で、ゆったりと笑みさえ浮かべている
のです。


[11] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(221)  鶴岡次郎 :2014/09/24 (水) 14:46 ID:FgbzS5zY No.2588
「いいお話ね・・・・」

幸恵がゆっくりと口を開きました。千春の話を誤解して、千春がみだらな乱交プレイを楽しんでいると
勘違いして、千春に苦言を出した時はかなりきつい表情を浮かべていたのですが、今は穏やかな表情に
戻っています。。

「夫婦の大切な秘密を私のような者に、良く話してくれました。
お話を伺い、いいお話だと思いました。感動しました・・。

千春さんの話を聞いていて、思い出した…、
以前何かの本で読んだことがある・・・。
あなたがその・・、「淫乱貞女」だったなんて…、
世間は広いようで、狭いものね・・・・」

「何ですか、その…、「淫乱貞女」とは・・・
単語の意味から察すると、褒め言葉ではないようですが…」

「一種の春本に属するもので、作者を覚えていないほどだから、あまり立派な本ではないけれどね・・、
私には結構面白い本だった・・。その本の中にその淫乱貞女が出てくるのよ…。

徳川中期時代の話だけれど、下級武士の嫁が嫁ぎ先で、次々と男を貪るおとぎ話なの…」


昼下がり、家事が終わった主婦二人には一日で一番のんびりできる時間帯です。二人には十分の時間が
あります。それを承知しているのでしょう、一口お茶を飲み、少し艶っぽい話に展開しそうな淫乱貞女
の物語を幸恵はゆっくり語り始めました。好きな物語だと言うだけあって、幸恵の語り口は滑らかで、
聞く者を十分ひきつける内容です。勿論、千春も好きな話題です。


北国の雄藩の下級武士であった佐伯次郎太は江戸表の務めが終わり3年ぶりに帰国することになりまし
た。三年前、佐伯は江戸勤めを自ら志願したのです。幼馴染のお静と結婚し貧しいけれど、絵にかいた
ような新婚生活を楽しんでいた最中、お静が流行病にかかりあっけなく逝ってしまったのです。結婚一
年も経たない時でした。

落ち込み、生きる気力を失っている次郎太に、周囲の者は転地療養が一番の薬だと考えて、彼に江戸勤
めを薦め、半ば強引に江戸へ送り出したのです。

三年経って、故郷に向かう次郎太は元気そのものです。三年前の今にも死にそうな雰囲気はどこにも存
在しません。それもそのはずです、彼の側に一人の若い女が旅姿で寄り添うようにして歩いているので
す。帰国が決まった時、次郎太は上司に願い出てその女、お高を上司の養女にした後、娶ったのです。
お高の実家、前身はその上司の他は誰も知りません。噂ではお高は幼い頃両親と死別し、育てられた親
戚筋との交流も今は絶えて無いと言うことです。

佐伯の実家では60歳を超えた父定右衛門と成人式を来年に控えた弟三郎太が次郎太とお高の帰りを
待っておりました。実母は次郎太が15歳の時亡くなり、父定右衛門は男手ひとつで次郎太と三郎太を
育て上げたのです。

女気と言えば年老いた女中一人の佐伯家に久しぶりに若い嫁が来たのです。定右衛門、三郎太は勿論、
近所も、親戚筋も文句なくお高を歓迎しました。
お高はどうやら良いところの家庭で育ったようで、炊事、洗濯、掃除など家事全般に不慣れな様子を見
せていましたが、そこはそうした仕事に長年慣れてきた佐伯家の男たちがカバーして、お高はボロを出
さないで何とか主婦として佐伯家に溶け込むことが出来たのです。

お高は明るく、ちょっと美人で、誰にも愛想が良く、不器用でも、陰日向なくかいがいしく働きますの
で、ご近所、親戚にもすぐに好かれるようになりました。特に、男性陣には抜群の人気でした。どうや
ら、一寸した仕草に他の女では見られない、男心を虜にするような色香がにじみ出ているからだと思い
ます。この色香にはお高が育った環境と深い関係があるのですが、主人の次郎太以外はその理由を知り
ません。


[12] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(222)  鶴岡次郎 :2014/09/25 (木) 17:30 ID:pTT.QEXo No.2589

そして三年経ちました。その間お高は長男、長女を産みました。不得意だった家事全般にも慣れ、今で
は近所でも評判の料理上手という噂が立っています。相変わらず人付き合いが上手い女性ですから、お
高のことを悪く言う人は居ません。また、男性たちを惹きつける色香は子供産んでますます磨きがかか
り、妖しいばかりの輝きを見せるようになっているのです。

次郎太は郡奉行配下で、広い藩内をくまなく歩き回るのが仕事です。時には数日泊りがけで出かけるこ
とも珍しくないのです。
ある日、予定より早く仕事を終え、本来なら庄屋で一泊する予定を変更し、次郎太は月明かりを頼りに
勝手知った山道を辿って、帰宅を急いだのです。可愛さが増してきた、長男、長女を見ることと、最近
特に色香が増してきたお高を抱くことを考えると、夜の山道を歩くことなど、次郎太には苦にもならな
かったのです。

今の時刻で夜の10時を過ぎた頃、次郎太は我が家に着きました。娘と息子はぐっすり寝ている頃で、
かわいいその寝顔を思い、次郎太は思わず一人笑いしていました。


寝静まっている家族を起こさないよう、家族だけが知っているロックを外し、ゆっくりと玄関木戸を開
けました。中は当然何の灯りもありません、満月の光がどこからか忍び込んで、闇に慣れた次郎太は何
の苦労もなく歩を進めています。広い土間を横切ると囲炉裏のある居間に行き着きます。囲炉裏では埋
め火が赤く輝いています。

「ああ・・・・、
そんなことをされては・・・
お高は・・、お高は・・、我慢できません・・・・」

居間の奥からその声は聞こえてきます。明らかにお高の声です。それも次郎太だけが知っているあの時
の喘ぎ声なのです。声のする方向には、父定右衛門の居室があります。 

忍び足で部屋の側に近づいた次郎太ははっきりと中の様子を読み取っていました。女の喘ぎ声に交
じって、定右衛門の低い声が聞こえるのです。どうやら男が女の股間をしゃぶっている様子です。特徴
のある粘着質の液体音さえ聞こえるのです。
様子では、定右衛門が無理矢理お高を犯しているわけではなく、むしろお高が主導している様子です。
そして二人の関係は昨日、今日始まった仲ではなく、かなり以前からそうした関係にあることをうかが
わせる様子なのです。

次郎太はじっと我慢しました。ここで踏み込めば、父と嫁を成敗しなければならなくなり、そしてその
ことが公になれば佐伯家は取り潰されることになるのです。幼い子供たちのこと、成人前の弟三郎太の
こと、などなど次郎太は懸命に考えました。そして、彼は静かにその場を離れ、玄関木戸を開け、外か
ら施錠して、近所の神社に向かったのです。その無人の神社で一夜を過ごすつもりなのです。幸い里人
の誰一人次郎太の帰宅に気付いた者はいませんでした。

朝日の出る前に、お高は定右衛門の床から離れました。寝る前に着ていた浴衣地の寝巻は肩から外され、
腰ひも一本でお高の体にまとわりついていました。定右衛門が二度も吐き出した精液が臀部と胸にこび
りつき、隠微な香りを発散させていました。定右衛門は大きな鼾を発して、眠りこけています。勿論、
暖かい季節の頃ですから、彼は裸で、布団さえ跳ね飛ばしているのです。完全に萎えた男根が股間に張
り付いていました。

定右衛門の寝姿を見た高はにっこりとほほ笑み、腰を曲げて男根に軽く口づけしました。そして、夏蒲
団を舅の腰まで掛けて、男根を隠しました。

高はゆっくりと立ち上がりました。今は盛りの女体が障子を通して差し込んでくる朝日に輝いています。
もう・・、高は完全に主婦に戻っています。これから井戸の側で体を清め、長女に授乳をして、家族の
朝餉の支度にとりかかるのです。

障子をゆっくり開きました。居間と定右衛門の部屋の間に半間幅ほどの板張り廊下が走っています。そ
の廊下を右に辿れば、夫婦の寝室へ行き着き、左に辿れば、義弟、三郎太の居室に行き着くのです。

夜明けの朝日が差し込み、磨き抜かれた廊下がぼんやりと光っています。その廊下に小さな布製の袋が
置かれているのです。ハッとした高は、へなへなとその場に跪きました。確かめなくても高には判って
いるのです。その袋は夫、次郎太が肌身離さず持ち歩いている財布だったのです。


[13] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(223)  鶴岡次郎 :2014/09/26 (金) 14:30 ID:.KLgzhjk No.2590
昨夜、次郎太が部屋の外に立ち、内部の様子をすべて覗きこんでいたことを高は悟りました。驚きと絶
望感で何も考えることが出来なくなった高は廊下に座り込んでしまいました。廊下に座り込んだまま、
しばらく茫然としていましたが、廊下の冷気を感じ取り、次第に落ち着いてきました。何故、夫が部屋
に乱入しなかったのか、その理由を高は考え始めていたのです・・・。

「旦那様・・・」

直ぐに、夫の優しくも、辛い決断の内容を高は察知していました。乱入すれば実の父と妻を切り捨てる
道しか次郎太には残されていないのです。実父、定右衛門にしても嫁と通じているところを息子に見つ
かれば、その場で自害する道しか存在しないのです。実父と妻、そして代々続いた佐伯家を守るために
は、ここは黙って引き下がるしか次郎太に残された道は存在しなかったのです。


「浮気がばれてしまったのね・・・
浮気をした者も、された者も、
三人三様に難しい局面を迎えることになったのね・・・・」

話に引き込まれていた千春が一息ついて、感想を述べています。

「そうよ・・、良くあるケースだけど、
義理の関係とはいえ、父親に手を出してはいけないよね・・・」

「それにしても、旦那様よく堪えたわね・・・・
普通の人だったら、カッーとなって切り込んでいる。
そうなれば、すべてが終わってしまうわね・・・。

お高さんにとっても、旦那様にとっても、
これから先が正念場ね、男と女の真剣勝負が始まるのね…
面白い展開ね、続きが気になるわ…」

並の主婦とは違う経験を積んでいる千春はさすがに一方的にお高を非難しないのです。そして一方では、
どうやら、幸恵がこの話を千春に披露した意図を何かを感じ取っている様子です。

「ではもう少し続きを話すわね…、
ああ・・、時間は良いの…?
そう・・、それでは続きを話すわね・・、
お高が財布を見つけて、夫の行動をすべて察知したところまで話したのね…」

熱い紅茶を一口飲んで、幸恵はゆっくり話し始めました。千春がこの話に興味を持っているのを幸恵は
喜んでいるのです。


[14] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(224)  鶴岡次郎 :2014/09/27 (土) 12:13 ID:AXdZRLD2 No.2591

部屋に踏み込まなかった次郎太の苦悩とその場を去ると決心した苦渋の選択の意味を高は正確に理解し
ていました。そして、事を荒立てるのを避けた夫の意志を尊重して、自身の身の振り方も次郎太の決断
にすべて任せ彼女自身はただ大人しく夫の沙汰を待つことにしたのです。結果として命を奪われること
になっても、熟慮の上、夫が選択した道であれば、黙って進むと高は短い時間に腹を固めたのです。

死をも辞さない覚悟を固めた高は、いつもの冷静さを取り戻していました。手を伸ばし夫の財布を拾い
上げ、部屋で寝ている舅には何も告げないで、その場を静かに去りました。やがて井戸端で体をぬぐう
高の半裸の姿を、ようやく姿を現した朝日が浮かび上がらせていました。そして、高は何事もなかった
ように、いつもの家事に取り掛かりました。

昼近く次郎太が元気で帰宅しました。二歳になる長男はやっと歩き始めたばかりで、言葉にならない声
を発して父親に抱き付いていました。一歳の長女を抱いて、何事もなかったように、高は夫を笑顔で迎
えました。次郎太も何のわだかまりを見せないで、妻が抱いている次女を奪い取るようにして抱き取り、
子供に頬を押し付けて戯れているのです。そんな夫の姿を高はじっと見つめていました。

長女を抱いて夫婦の居室へ入った次郎太は机の上に置かれた財布を見つけました。夫に浮気がばれたこ
とを高は承知していると次郎太に告げているのです。次郎太は少し考え、そして手を伸ばして財布を懐
にしまい込みました。


出張調査の報告書のまとめと、留守中に溜まった事務処理など、郡周りをした後は目の回るような忙し
さです。高もそのことは良く承知しています。帰宅したその日から次郎太は忙しい日々を送ることにな
るのです。ほとんど夜寝る時間もぎりぎりに制限して、仕事に没頭するのです。毎日自宅へ帰ってくる
のですが、帰って来ても自室で書き物をする毎日だったのです。

帰宅して4日経ちました。ようやく次郎太の仕事に一段落がつきました。この間、夫婦は満足に会話を
交わす機会が持てませんでした。互いに避けている訳でなく、夫の仕事が忙しく、すれ違いの生活だった
のです。そんなわけですから、夫婦の夜の交わりもまだ済ませていないのです。

郡周りの報告書を組頭に差し出し、出張中溜まった仕事も済ませ、明日は久しぶりに非番の日を迎える
のです。家族そろっての夕食が終わった後、長女を膝に抱き上げ、長男を右手に抱いて、囲炉裏端で次
郎太は珍しく盃を舐めています。そんなに強くない方ですが、酒は好きなのです。父、定右衛門と弟、
三郎太は夕食の後自室へ戻り、書見など好きなことをして時間を過ごしているようです。高が食事の後
始末を終え、前掛けで手を拭きながら囲炉裏端に戻ってきました。久しぶりに夫婦の時間が戻ってきた
のです。

やがて、長男が次郎太の膝の上に倒れ込むように眠り、そして続いて次郎太に抱かれていた長女が眠り
におちました。夫婦は互いに微笑みあって、妻が長女を受け取り、夫が長男を抱き上げ、二人の寝室へ
向かいました。

子供たちを寝かしつけた次郎太と高が囲炉裏端に戻ってきました。明日は次郎太の非番の日で、ゆっく
り朝寝が出来る日であることを、家族全員が知っています。

「お前も一杯どうだ・・・」

「いただきます・・」

目をつむり、両手で盃を持ち、高は白い喉を見せ、一気に盃を干しました。いける口なのです。

「さあ・・、もう一杯・・」

微笑みを浮かべて次郎太が盃を満たしました。素直に高は盃きを傾けています。ほとんど徳利が空きま
した。何か帰するところがあるような雰囲気を見せて、高は盃を重ねているのです。

「ああ…、もういただけません…、
これ以上いただいたら、倒れてしまいます・・・」

ほんのりと下瞼を染めて、高が盃を伏せています。そして、居ずまいを正して、まっすぐに次郎太を見
つめて、ゆっくりと口を開きました。


[15] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(225)  鶴岡次郎 :2014/09/29 (月) 16:26 ID:Bu3nxBoY No.2592
高の様子を見て、次郎太は手にした盃をお膳に戻し、少し居ずまいを正し、高の顔を見つめました。高
が何を話し出すか次郎太には十分想像できていたのですが、そんなそぶりを見せないで穏やかな表情を
浮かべて妻の顔を見ています。

「旦那様にお話があります・・・」

ほんのりと頬に朱色を漂わせ、前髪が数本白い額に垂れ下り、濡れた瞳で夫を見つめています。しっと
りとした肌から香気が立ち上がって、次郎太の鼻孔を遠慮なく刺激しています。迫りくる色香に、次郎
太は必死で堪えていました。二人のこれから先の生活を決める大切な時間が始まると自覚していて、変
な気を起こしてはいけないと思いながらも、10日余り禁欲生活をつづけた体は正直で、外からでも判
るほど男根を緊張させ、体を熱くしながら妻を見つめているのです。そんな夫の様子を高は余裕で観察
しています。

「この間の夜のことか・・・」

「ハイ・・・
財布を見つけた次の日にも話すべきだと思っていましたが、
お忙しそうなので、今日まで延び延びになりました・・」

「何時からのことだ・・・」

「あの夜で三度目です・・・、 
ニケ月前、旦那様が北の村へ出かけられた夜、
私がお父様の閨へ忍び込みました…」

自ら定右衛門の居室へ入ったことを高は素直に告げました。恐れていたことが現実になったことを次郎
太ははっきりと悟っていました。それでも表情を変えません。変わらず笑みを浮かべて妻を見ているの
です。

一方、高は、彼女から仕掛けて浮気をしたと告白しても、夫が表情を変えないのを見て安心しています。
場合によってはその場で殴り倒されても当然だと思っていたのです。この調子では最後まで、結果はと
もかく、穏やかに聞いてもらえそうだと思ったのです。高はゆっくりと告白を続けました。

「お父様は最初から消極的でした。
この前の夜も、お父様は止めようと言われました。
それでも、私が無理矢理抱き付いて・・・、
嫌がるお父様をお布団の上に押し倒して・・・・、
そして…、あの・・・」

「アレをしゃぶったのだろう・・・・」

「おっしゃるとおりです・・・、
抑え切れない情欲に狂ってしまった私は・・、
獣のように、お父様のモノにかじりつきました…」

顔を伏せ、恥ずかしさをを全身で表しながら、高が、それでも明瞭に答えています。

男根をしゃぶるのを高はことのほか好みます。そして一旦、彼女に咥えられると男はあっという間に
逝ってしまうほど高の技量は抜群なのです。

〈高はありのまますべてを話すと決めているようだ…、
覚悟を決めた上での告白のようだ…。

それにしても哀れなのは父上だ…、
罪の意識におびえながら、父上は必死で抵抗したのだろう・・、
しかし・・、高に咥えこまれたら…、どんな男でも逆らえない…、

抵抗できなくて、遂に高を抱きしめた時・・、
そして事が終わった後・・、
父上は何を思い、何を考えていたのだろう・・・、

今考えると、ある時から、父上の行動・態度が変わっていた、
昼間でも部屋に閉じこもることが多くなり、
まともに私の顔を見ることさえしないようになっていた・・、
父上も被害者なのかもしれない…〉

父、定右衛門がいかに抵抗しても、男根を咥えられては、どうすることも出来なかっただろうと、定右
衛門の罪を次郎太は理解しようとしているのです。そして、高の魅力に抗しきれなくて、獣のように嫁
と情を通じた父の苦悩に同情さえしていたのです。


[16] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(226)  鶴岡次郎 :2014/10/01 (水) 15:56 ID:QOzNok1Y No.2593

既に覚悟を決めているせいでしょうか、高は淡々と告白しています。次郎太の反応を確かめる余裕さえ
見せているのです。

「私から逃げようとされていたお父様のモノが・・、
私の口の中で十分になりました・・・。
お父様はあきらめて・・・、
私の頭をやさしく撫ぜてくれました・・・。

そして、口に咥えたまま、私がお父様を見上げると…、
優しく私を見つめて・・・、
『これっきりだよ・・』と、お父様は念を押されました・・
私は、黙って頷きました・・・・」

「・・・・・」

次郎太は黙って高を見つめていました。悪びれた様子を見せないで、むしろ挑戦的な表情とも見える様
子で、高はじっと次郎太を見つめ返しているのです。どうやら、ことさら赤裸々にその時の様子を話す
ことで、次郎太の反応を高は確かめようとしているのです。普通の男なら浮気相手の男根を咥えた様子
を聞けば、もう少し過激な反応を見せるのですが、高の予想に反して次郎太はかなりきわどい話を聞い
ても動きません。高は次郎太の真意を測りかねているようです。

「私が戻るのが待てなかったのか…、
我慢できなかったのか・・・」

「ハイ・・・、
自分が自分でない気分になり、
指や・・、あの・・・、野菜で慰めるのですが…、
余計に欲しくなって・・・、

廊下ですれ違った時、風呂上がりのお父様の肌の香りを嗅ぐと、
自分でも驚くほど濡れて・・、我慢できなくなって…
お父様の部屋へ入ってしまいました・・」

うな垂れて、高は恥ずかしそうにつぶやいています。舅との醜い関係を夫に見つかり、そのことを追求
される席にいるわけですから、普通の女であれば、まして武家の女であれば、自害も辞さない覚悟を見
せるものですが、高の様子を見る限りそれほどの罪悪感を持っていない様子です。高ばかりではありま
せん、追及している夫、次郎太も意外に冷静なのです。二人ともこうした事態はいずれ起こると予想で
きていたのではと思えるほど、冷静なのです。

「その様子では、これから先も・・、
私の居ない時、また父の処へ忍んで行きそうだね・・」

「ハイ・・・、申し訳ありません・・・。
この場では絶対そんな行為はしないと約束できるのです・・。
しかし、今の気持ちを正直に申し上げると・・、
これから先、今回と同じような情欲に取りつかれたら…、
欲望を抑え切る自信が持てません・・・・」

ここで初めて高は、はらはらと涙を流しました。

「こんな私がこの家に居ては、旦那様をはじめ、家族のみんなを不幸にします。
お願いです…、私を離縁してください…。
子供たちと別れるのは本当につらいのですが、
あの子たちのためにも、私が居ない方がいいと思えるのです・・・」

座布団から滑り降り、板敷の上に正座して、両手をついて、高は深々と頭を垂れています。

「頭を上げてほしい・・、
そんなにしていては、話が出来なくなる・・」

高が頭を上げました。涙で濡れた頬が行燈の淡い光を受けて輝いています。

「何もかも正直に良く話してくれた・・・。
父上を悪者にすれば罪も軽くなるはずだが・・・、
それをしないばかりか、お前は父上を庇おうとさえしている。
お前のその気持ちをありがたいと思っている・・。

お前の話は良く理解できた・・、
私はお前が言ったことを全部信用する。
そこで、私の考えを伝えて置きたい・・・」

ここで言葉を切り、お膳から盃を取り、底の方にわずかに残っていた液体をゆっくりとすすりました。
お高は緊張で体を固くして、夫を見つめています。いよいよ、最終審判が下るのです。


[17] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(227)  鶴岡次郎 :2014/10/02 (木) 13:58 ID:roCToQK6 No.2594
優しい瞳で次郎太が高を見ています。高はやや緊張した面持ちで夫の表情が意味するところを読み取ろ
うとしていました。しかし、次郎太が何を考え、何を言おうとしているのか、高には読み切れませんで
した。ただ、次郎太が正確に高の話を理解し、ごく冷静に裁決を出そうとしていることは高にも理解で
きたのです。

そうであれば、これ以上何も言うことはない、あとはただ夫が出した最終通告に従えばいいのだと高は
考えたのです。この考えに到達して、高の表情が穏やかになりました。微笑みさえ浮かべているのです。
高の表情にわずかな変化が出たのを次郎太は見逃しませんでした。すべてを語りつくし、思い残すこと
がなく、穏やかな心境で夫の評決を待っているのだと、次郎太は察知していました。ゆっくりと、本当
にゆっくりと次郎太は言葉を出しました。一言、一言確かめるように話し始めました。

「高を離縁しない・・・。
今回のことは何も起きなかった、何もなかった・・、
そういうことにするつもりだ・・・。

父上のことに関してだが・・・、
父上には今回のことでは、私から何も言わないつもりだ、
私から言わなくても、父上のことだ、十分に自分自身を罰していると思う・・・。
だから、お前からも父上には何も言う必要がない、普段通り接するのだ・・。
全て無かったことなのだから・・・」

柔和な表情を崩さないで、次郎太は明瞭な声で高に伝えました。びっくりした表情で夫を見て、そして
次の瞬間、高は床にひれ伏して泣き出しました。みんなが寝ている時間ですから、声を押さえています
が、感情が溢れて、彼女の背中が波打っていました。

気の済むまで泣かせるつもりなのでしょう、床に頭を付けて泣いている高に次郎太は優しい視線を投げ
かけていました。高のしゃくりあげる忍び声が暗闇に吸い込まれています。

この時、居間と廊下を仕切る板戸の陰から、そっと・・・、離れる影がありました。厠からの帰り、居
間から聞こえる夫婦の会話を耳にして、立ち止まり、図らずも、事の顛末を最後まで聞いてしまったの
です。あふれ出る涙を押さえようともしないで、影は居間にいる二人に深々と頭を下げ、そしてゆっく
りとその場から離れ、自室へ戻りました。


「はしたなく泣き出し、お恥ずかしいところをお見せしました。
離縁は避けられない、御手打ちになっても仕方がないと覚悟をしていました。
許していただけるとは思っていなかったのです・・・。
あまりに寛大なご処置で、今でも信じられません…、
本当に、これで宜しいのですか・・・」

涙をぬぐいながら、高がうれしさを抑えきれない様子で夫にお礼を言っています。

「今回のことは、私にも責任があることだと思っている。
先ほど言ったように・・、
今回のことは全てを無かったことにして、私は忘れるつもりだ。
今日を最後にして、二人の間でこの件を話題に出すこともない、
高もそのつもりでいてほしい…、判ったね…」

「ハイ・・、ありがとうございます・・」

また、涙をあふれさせながら、高が深々と頭を下げています。

「ところで…、これから先・・、
高の体のことだが…、
お前も気が付いているだろうが、
必ず、強烈な欲望が、いずれまた、襲ってくるだろう・・、
その対策を考えておく必要がある・・・」

「・・・・・・・・・」

高は声を飲んで夫を見つめています。夫の言葉で問題が何も解決していないことを知ったのです。一難
去って、それでもなお、大きな難題が残っていることを高ははっきりと認識していたのです。


[18] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(228)  鶴岡次郎 :2014/10/08 (水) 14:42 ID:TzL8TW8o No.2595

もとはといえば今回の事件は、抑えきれない情欲に狂ってしまった高が義父の居室を襲ったことが始ま
りなのです。三度目にこの浮気が夫にバレてしまって、死さえ覚悟したのですが、何故か夫は高を無罪
放免したのです。

離縁を逃れられたことを喜んでいたのですが、夫の指摘した通り、強い欲望が襲ってくれば、同じ過ち
を犯すことになると高自身でさえ思うのです。もしそんなことになれば、今度こそ破滅です。問題は何
も解決していなかったのです。

新たな問題を認識して、今更のように、ただ驚いている高です。そして、夫次郎太が冷静にその問題を
考えていることを知り、高は素直に感動していたのです。

「おっしゃる通りだと思います…。
私・・、間違いなく、また、罪を犯すと思います・・。
その時は・・、その時は、今度こそすべてが終わると思います…。
どうすれば・・、避けられるのか…、
私には・・・、どうして良いか、判りません・・・」

次郎太に頼る以外方法がないと判っているのですが、さすがにそれを言い出せないのです。

「強い欲望が襲ってきた時、
お前には強い男が絶対必要だと、私は思っている・・」

「その通りだとおもいます・・、
私には・・、旦那様に頼る以外術がありません・・・」

「勿論、その役目は俺の仕事だ・・、
しかし・・、お前もそのことにはうすうす気が付いているはずだと思うが、
残念ながら、私一人の力では・・、
とてもお前を満足させられないことは判っている・・」

「・・・・・・・・」

高はゆっくり首を振っているのですが、仕事が忙しい次郎太には高を十分満足させる時間も、体力も不
足していることを承知しているのです。現に空閨に堪えかねて義父に手を出しているのですから、次郎
太の言葉を否定することはできないのです。

「いろいろ考えたのだが、そんなにいい対策はない・・、
俺以外の男を準備することだ…」

「・・・・・」

他の男に妻を抱かせると、夫は言っているのです。言葉に詰まり、高は夫の顔から視線を外さないよう、
必死で頑張っていました。しかし、そのことを考えるだけで不思議な興奮が下半身から湧き上がり、高
の体を熱くしているのです。高は必死でその興奮を抑え込もうとしていました。少なくとも、夫の言葉
に興奮していることを、彼に悟られてはまずいと思っているのです。

「他の男に抱かれるのはお前には辛いことだと思うが、
それ以外に手がないのだ…」

「・・・・・・・」

返す言葉が見つからなくて、高はただ夫の顔をじっと見ていました。


[19] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(229)  鶴岡次郎 :2014/10/10 (金) 16:16 ID:tQXgChbA No.2596
高の命を救うため、何とか高を納得させることばかり考えている次郎太には、高の気持ちを読み取る余
裕がありません。浮かない表情で話を聞いている妻を見て、妻が酷く当惑していると理解しました。突
然他の男に抱かれろと夫が言い出したのですから、高が当惑するのは当然だと次郎太は思いました。ま
さか、高が興奮して濡らし始めていることなど想像することさえできないのです。

「こんなことを言い出した私を、高は軽蔑するだろうな・・・、
私さえ強ければ、お前にこんなことを言わなくて済むのだが、
こればかりは、なんともできないのだ…。
お前の体を癒し、今の生活を守るにはこの方法しか残っていないのだ、
そこのところを何とか理解して欲しい・・・・」

今にもその場に両手を着いて頭を下げかねない様子を見せて、次郎太が高を説得しています。

〈・・私は他の男に抱かれるのをそんなに嫌っていない、
私をやさしく抱いてくれる男なら、誰だって良い・・・〉

内心でそう言いながらも、高は神妙な表情を変えません。その表情は、夫の言い分はとても受けられな
いと語っているのです。

「やっぱり…、
こんな無茶な計画はダメなんだろうな・・・」

万作尽きた表情で次郎太は肩を落としています。

「旦那様・・・、
私の身体のことを思って、いろいろ考えていただき、
高は本当に幸せだと思っています。
それでも、他の男の方に身を任せるなど、
今の私には思いもよらないことです・・・」

次郎太が黙って何度も頷いています。

「お恥ずかしいのですが、旦那様には何もかも隠さず申し上げます。
もし・・・、お父様の部屋に入り込んだ時のような欲望にまた襲われたら、
多分・・・、私は・・・、
旦那様には本当に申し訳ないのですが…、
他の男の方に喜んで抱かれる気持ちになると思います…」

次郎太が目を輝かせて高の顔を見ております。

「汚らわしい欲望に私が襲われるのは、
一年先か・・、
あるいは明日かもしれません…。
その時になって慌てて、いろいろ考えるより、
旦那様がおしゃる通り、今から準備しておくのがいいと思います」

身を乗り出すようにして、高の言葉を聞き、次郎太が笑みを浮かべて何度も頷いています。

「旦那様のお許しが頂けるのなら…、
おぞましい私の身体を慰めるため、
旦那様のおっしょる他の男の方を前もって決めておくのが良いと思います」

「そうだよ・・、
まことにその通りだ…、
高は頭が良いのう・・・」

次郎太が喜びあふれる表情で語っています。高は内心で次郎太に謝っていました。他の男に抱かれるこ
とは、今の平常状態でも、嫌でなく、むしろ歓迎の気持ちの方が強いのです。いろいろ理屈をこねて夫
の案にいやいやながら賛成する姿勢を見せただけのことなのです。


[20] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(230)  鶴岡次郎 :2014/10/13 (月) 17:00 ID:welBTuRY No.2597

高は姿勢を改め、その場に手を着いて頭を下げました。頭を床に付けながら、高は夫に心から謝ってい
ました。

〈旦那様・・・、
他の男に抱かれると思うだけで体を濡らしている女です。
こんな女ですが、旦那様を愛することでは誰にも負けません、
この気持ちだけは判っていただきたいのです・・〉

夫に無言で語り掛け、そして、ゆっくりと頭を上げ、次郎太を見つめ口を開きました。

「もう・・、わがままは申しません。
他の男に身を任せろとおっしゃるなら、その通りいたします。
すべて旦那様のお考えに従います・・・。
よろしくお願い申します」

眩しそうに妻を見つめ、次郎太は大きく頷いています。こうして、夫公認で、嫌々ながらのそぶりを見
せながらも、他の男に抱かれることが決まったのです。


「ところで…、相手の男だが・・・、
父上と・・・、そして三郎太・・、
彼は近く成人を迎えることになるので、協力してもらうつもりだ・・・」。

「お父様と・・、そして三郎太さんとですか・・・」

「そうだ…、 
既にお前を抱いている父上だが、このことがあるので余計、厄介だ、
俺が良いと言っても、すんなりと受け入れないだろう…、
三郎にしても、思いがけない話で最初はびっくりすると思う・・、
しかし・・、高の体の事情を二人に良く話し、お前の命を救うためだと、正直に話せば、何とか納得し
てくれると思っている・・」

「・・・・・・・」

二人の男を説得するのは大変だが、妻は二人を受け入れると次郎太は思い込んでいる様子です。そのこ
とに多少引っかかっている高です。反論したいのですが、高は何も言うことが出来ませんでした。

〈・・・二人のことばかり心配しているけれど、
肝心の私の気持ちは気にならないのかしら…、
義理とはいえ、肉親の男に抱かれるのは私なのよ・・・・、

でも・・、無理ないわね…、
既に私はお父様に手を出した前科があるのだから・・、
私には異論がなく、喜んで抱かれるはずと彼が思い込むのは、当然ね、

本音を言えば、旦那様公認で二人に抱かれるのはうれしい・・、
それに・・、あの二人だって…、
旦那様は心配しているけれど、
私を公然と抱けるとなれば、喜ぶはず・・・・、
ふふ・・・、なんだか不思議な展開になってきた・・・・」

舅とはすでに三度も寝ているのです。そして、義弟三郎太はいつも眩しそうに高を見ていて、彼女に
並々でない興味を持っているのを高は十分察知しているのです。二人に抱かれることを考えるだけで、
もう・・、高は滴るほど濡らし始めていました。しかし、表面上は驚きと当惑の表情を作って、不満そ
うに次郎太を睨み付けているのです。


[21] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(231)  鶴岡次郎 :2014/10/14 (火) 12:18 ID:9//9nKMA No.2599

妻の心中で淫らな期待が膨らんでいることなど全く気付かない次郎太は、当然拒否を貫くと思った高が
その気になったこの機を逃さないで、畳みかけて、考えている計画をすべて高に話すつもりになってい
ます。

「私と、父上、それに三郎太、
当面は三人で凌げると思うが、それでも足りない時は・・・、
知り合いに協力をお願いすることになる・・
そのことをお前も覚悟を決めておいてほしい…」

「エッ・・・、他所の方にもお願いするのですか・・・」

「そうだ…、仕方ないだろう…、
家にいる男だけでは十分対応できないことが起こりそうな気がするのだ、
何しろ・・、お前の情欲は…、
ああ・・、そのことをここでいう必要はないな…、

とにかく・・、高の情欲を無理に抑え込むと高の命が危うくなるから、
その危険を回避するため、前もって男を用意しておいた方が良いのだ・・・」

「でも…、他所の男とは・・・」

「嫌か…」

「いえ・・、嫌というわけではありませんが…」

他の男に抱かれるのは嫌でないのです。それどころか、そのことを考えるだけで体が濡れ始めるのです。
つい・・、本音が反射的に出てしまって、高は慌てています。次郎太は妻の失言に全く気が付かない様
子です。

「他の男に抱かれることは、女にとって・・、
特に、私たち武家の妻にとって・・、
嫌とか、好きだとかの問題ではありません。

女なら誰だって、他所の男に抱かれるのは死ぬほど辛いことです…、
喜んで他の男に抱かれる女など居ません…」

「悪かった・・、私の質問が間違っていた。
そのことでは謝る・・。
しかし・・・・・」

「判っています・・、旦那様のおっしゃりたいことは判っています。
私の身体のため、私の命を救うためですよね…、
このことでは、先ほど申し上げたように、旦那様のおっしょる通り私は動きます。
他の男に抱かれろとおっしゃるなら・・、
私は旦那様の言葉に反抗しません・・・」

「そう言ってくれると、話が早い…、
まあ・・、お前にとっては大変なことだが・・、
あまり深刻に考えないで、病気治療だと自分に言い聞かせ、男に抱かれることだ。それに、そうしてい
れば昔を思い出して、いろんな男を味わうのも良いものだと思えるようになるだろう・・・」

「旦那様・・・
そのことには触れない約束です・・・」

「ハハ・・・、口が滑ってしまった…、
高の体を心配した上のことだから…、勘弁してくれ・・」

「いえ・・、そんなにあやまっていただくことではありません・・、
私こそ…、こんなに思っていただいて・・・、
何から、何まで・・・、本当に申し訳ありません・・」

涙で濡れた高の顔にようやく微笑みが戻ってきました。


[22] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(232)  鶴岡次郎 :2014/10/15 (水) 10:59 ID:.tRE0ZIM No.2600
もう・・、心配ないと思ったのでしょう、大きな仕事をやり遂げた後のような爽快感を次郎太は噛みし
めていました。そして、改めて目の前の妻に視線を走らせているのです。

風呂上がりの肌から甘酸っぱい香りが立ち上がり、次郎太の敏感な鼻孔を刺激するのです。いつものこ
とで、風呂上がりでは、下着は腰巻だけを着けているのです。ゆったりと着けている着物の合わせ目か
ら豊かな胸が顔を出し、その青白く光る丘の全貌が次郎太から見えるのです。最近太り始めたと高は嘆
いているのですが、今は盛りの女体は行燈の柔い光を浴びてぬめぬめと光っているのです。

〈この体を何人もの男が抱くのか…、
弄ばれ、悶え、そしておそらく喜悦の声を高々と上げるだろう・・、
いつもの様に・・、いや・・、いつも以上に・・・
たくさんの潮を吹き出すだろう・・。
今でもそうだが、毎夜、敷布の下に油紙を敷いておくことになりそうだ…〉

次郎太には全裸の高が悶える姿がはっきりと見えていたのです。股間は外からでもわかるほど緊張を高
めています。

高にも次郎太の股間の変化は判っていました。先ほどからの刺激で、彼女自身でもはっきり分かるほど
股間は濡れ、腰巻を濡らし始めているのです。

〈あんなに大きくして…、
欲しい・・、ぐっと・・入れてほしい・・〉

限界近く高は高まっていました。それでも表情は変えませんが、次郎太を見つめる瞳は正直で、しっと
り濡れてきらきら光っているのです。膝を崩し、さりげなく部屋着の裾を乱し太ももを見せています。
ほとんど股間の茂みまで顔を出しそうなほど膝を開いているのです。次郎太の視線が白い膚を遠慮なく
追っています。

二人の視線が絡まり合いました。夫婦の間だけに通じる沈黙の会話がねっとりと交わされ始めました。

〈・・お前の体を嘗め回したい・・・・、
その乳房を嘗め回し、乳首を口に含んで、噛みたい…、
そして、あそこの汁をジュルジュルと飲みたい・・・・、
ああ・・、抱きたい・・・〉

〈ああ・・・、堪らない・・・・、
抱いて・・、思い切り入れて・・・、ぐっと・・・・〉

しかし、もう一つ決めなければいけない大切な案件が残っているのです。次郎太は襲い掛かる情欲を振
り払うかのように、目の前の徳利に手を出し、取り上げ、盃に酒を注ごうとしましたが、一滴も酒は
残っていませんでした。高が慌てて立ち上がろうとするのを手で制し、次郎太はゆっくりと口を開きま
した。最後の仕上げにかかるのです。

「ところで・・・、先ほどの話だが…、
口では他所の男に抱かれて良いと簡単に言えるが…、
いざ、その気になると、そんな都合のよい男を探し出すのが難しいな、
どうしたものか…」

当然のことです。閉鎖的な武家社会で浮気男を探し出すのは本当に難しいのです。

「あの・・・
私に・・・、少し・・、心当たりがあります・・・・」

ためらいながら、高が口を開きました。そして、言葉を出した後、真っ赤に頬を染めて下を向いている
のです。どうやら、他の男に抱かれると決まった時点で、彼女なりに相手を物色していて、それなりの
相手を既に見当づけていたのです。あるいは、高の中ではその男に抱かれて狂いだしている自身の姿を
既に描いていたのかもしれません。

それでも、普段ならば決して口にしないことです。この場の淫蕩な雰囲気と燃え上がる身体のせいで高
は異常に淫らな気分になっていたのです。今なら、どんなに淫らなことでも出来るし、聞くに堪えない
恥ずかしい言葉も平気で出せる気分になっているのです。


[23] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(233)  鶴岡次郎 :2014/10/17 (金) 10:41 ID:eg3FUBOY No.2601

この問題でまさか妻から提案があるとは思ってもいなかったのです、次郎太はびっくりしています。

「エッ・・、
お前に男の心当たりがあるのか…、
まさか…、お前・・・、
既に・・・」

「エッ・・・」

夫の真意がわからない様子で高があどけない表情で首を傾げています。知らない内に舅に手を出してい
た高ですから、あるいは他所の男にもすでに抱かれている可能性があると次郎太は思ったのです。

「ああ・・・、何でもない・・、
そんなことはないよな…、
あるはずがない…、バカなことを考えたものだ…」

最後の言葉を自分に言い聞かせるようにつぶやいています。そして、まさかそんなことはないと黒い疑
惑を頭から慌てて消し去り、一瞬の間とはいえ、妻にあらぬ疑いをかけたことを次郎太は恥じていたの
です。

「何でもいい・・、考えがあるのなら、ぜひ、聞かせてほしい…。
少しでも可能性があれば、藁でも縋りたい気持ちだ・・
先にも言ったが、何を聞いても驚かないし、怒らないから・・」

「そんなに期待をしていただける内容ではありません。
たわいのない話ですから、お役に立てるかどうか…、
詩吟の会に月に二度ほど行かせていただいているのですが、
その席には、男の方も十数名いらっしゃいます…」

「ああ・・、成願寺でやっている会だな…
確か、組頭も会員だと聞いたことがある…、
そうか・・、その会の会員に声を掛けることも出来るね…
しかし、どうやって男達をその気にさせるのだ…」

「あの・・・、旦那様には、言い難いのですが…、
あの・・、時々、男の方から声を掛けられることがあります・・・。
帰り道、茶屋に寄って、美味しい物でも食べようと・・・、
誘われることが一度や二度ではありません・・」

「・・・・・・」

「殿方には一人では近づかないよう注意しているのですが、
厠に立った時など、一人きりになった時を狙って、
後を追ってきて、強引に迫って来る方もいるのです…」

厠に通じる薄暗いお寺の廊下の隅で、屈強な男に後ろから強引に抱きすくめられ、白い内股をちらつか
せるほど裾を乱して、必死で抵抗する高の姿を次郎太は思い描いていました。人に知られるのを恐れ高
は声を出しません、それをいいことに男の手が伸びて乳房に届いている可能性も高いのです。そんな状
態になった時、どんなに高潔な男でも獣に変身するのを次郎太は良く知っているのです。


[24] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(234)  鶴岡次郎 :2014/10/20 (月) 11:59 ID:uYsbw0kc No.2602

夫の気が付かないところで、妻が男たちの悪戯の対象になっていることを知り、何故か次郎太は体を熱
くしていました。

「後ろから羽交い絞めにされたのか…、
大切な処を直接触られたりしたのか…
そうなったら、男は狼になるよな・・・・」

声を震わせながら次郎太が聞いています。

「もう・・、何を言っているのですか、
そんなことをさせるはずがありません!・・・」

少し慌てた様子を見せ、ことさら強く反論する高を見て、乳房を・・、もしかすると股間まで・・、直
接触られたことがあるのだと、次郎太は確信していました。そして、その時、高は感じていたはずだ
と・・、快感で動きが取れずに男のなすがままだったのではと・・、次郎太は下半身を限界まで膨張さ
せて妄想していたのです。

夫が笑みを浮かべて聴いている様子を見てこれなら大丈夫だと思ったのでしょう、高はもう少し詳しく
話す気になりました。

「そんなことをさせるはずがないと申しましたが・・・、
本当に申し訳ございませんが…、
ちょっと油断した隙を狙って、胸や裾に手を入れてくる方も居ました・・・。
とっさに手を振り払うとそれ以上のことはさすがにしません・・・、
でも、にやにや笑って、ちっとも懲りてないのを見ると腹が立ちます・・」

「手を振り払った後、平手で殴ってやればいいのだよ・・・」

「そんなことできません…、
ダメと言って…、手を払いのけ…、
強く睨んだやるのが精いっぱいです・・・」

色っぽい目で睨み付けられたら、それは男にとって逆効果だと次郎太は思ったのですが、それを口には
出しませんでした。

「話の様子では、男たちは懲りていない様子だね…、
その後も、何度も、同じことをされるだろう・・・」

「そうなんです・・・、
本当に男の方って、皆・・、そうなんですね…」

男達に悪戯を受けた話を、次郎太が不快に思わず、それどころか話に乗っているのを知り、高は安心し
ています。さらに口が滑らかになっています。

「悪戯された時、私が強く言わないせいだと思うのですが、
何度も、同じ人が・・、
懲りもしないで仕掛けてくるのです…。

最近では、仕掛けてくる男の方も多くなって、
今ではほとんど全員が手を出して来ます、
そして、人前でも構わず仕掛けてくるのです…」

「どんな処で、仕掛けてくるのだ・・、
大勢集まっているから、他人目があるだろう・・・
毎回、厠帰りを狙うことも出来ないだろうし・・」

「廊下ですれ違った時、素早くお尻を触ったり、
座敷で側に座っていると、何気ない振で膝に手を置いてきたり…、
立ち話をしながら、素早く胸に触れてきたり…、
軽い悪戯ですが、本当に素早いのです、
殿方って…、少しも油断できないのですね・・・」

「そんなに嫌なら、会に出なければいいのでは・・・」

「ハイ・・、こんな目に合うのなら、出席するのを止めようと何度も思いました。
それでも、その日がやってくると、いそいそと出かけてしまうのです。
正直に申し上げます・・・。
私も・・・、この程度なら構わないだろうと…、
彼らの遊びに付き合っているところがあると思います・・・・

旦那様には、本当に申し訳ないのですが、
多分、私も楽しんでいるのだと思います・・」

「・・・・・・・・・」
 
本来であれば、武家の妻として、いえ女性として、生涯口を閉ざして話さない内容を高は語ったのです。
この場の雰囲気にほぐされて、話すべきでないことを夫に告白してしまったことを高はこの場になって
悔いている様子です。語り終わった後、不安そうに夫を見つめています。


[25] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(235)  鶴岡次郎 :2014/10/21 (火) 14:32 ID:nYpHgyUI No.2603

妻の話を聞いて不愉快になっている様子ではありません、それどころか次郎太は少し笑を浮かべている
のです。

〈なんてことだ・・、
私の知らない処で、妻はたくさんの男の注目を浴びているのだ、
どうして今までそのことに気が回らなかったのだろう…、
これだけの女だ・・・、
他の男が放っておくはずがないのだ、
これでは、高の夫として失格だな・・・〉

今まで妻が他所の男から誘われることなど、夢にも思ったことが無いのです。その気になって妻を改め
てみると、飢えた男達がたくさん居る外の世界に、彼女一人で出すのが怖くなるほど高は魅力的なので
す。子を二人産み、全身に丸みと艶が増し、襟元からこぼれる白い肌はしっとりと濡れていて、触れれ
ば指に吸い付きそうです。詩吟の会に集まった男たちがぎらぎら光る視線を高に当て、よからぬ妄想を
しているのが次郎太にもよく理解出来るのです。

勿論、居酒屋の女の様に愛嬌を振りまき、男を誘っているわけではないのです。どちらかといえば、地
味な着物を着て、目立たないように振る舞っているのです。それでも、地味な着物の下に隠された豊満
な女体が、そして彼女の身体から立ち上がる天性の芳香が、男たちの目を、そして嗅覚を刺激するので
す。

彼女自身も言っているように、男たちの仕掛けを表面上では拒否しながら、高はどこかで男達を受け入
れているのです。他の女性にはないこの性を、男たちは敏感に察知し、性懲りもなく、高に迫っている
のです。おそらく、詩吟の会に出ている全ての男がよからぬ妄想を高に抱いているはずだと次郎太はよ
うやく気が付いているのです。

そして、あることに気が付いたのです。妻はすべてを語りつくしていないと思い始めたのです。身近に
居る男とはいえ、決して手を出してはいけない義父にさえ、彼女から仕掛け、既に体の関係を三度も
持っているのです。そんな好色な女が、言い寄ってくる男達を避け続けることはできるはずがないと、
次郎太は辛い結論を出していました。

〈迫って来る男達を妻は拒否できないはずだ・・。
女がその気にさえなっていれば・・、
男にとって人妻ほど御し易い浮気相手は居ない・・、
男と女の間にこれだけ条件が整えば、あとは成り行きで、ズルズルと関係が深まるはずだ.
間違いなく、妻は男達とかなり深い関係になっているはずだ…〉

高が男達と深い関係になっているとすれば、彼女は大きな秘密を抱くことになり、それは彼女の体に
とって危険なことですから、この際すべてを吐き出させるべきだと次郎太は考えたのです。

微笑みを浮かべて、ゆっくりと口を開きました。

「私も男だから良く判るのだが…、
お前の様にいい女が側に居て、
ちょっとした悪戯を仕掛けても、すごく怒るわけでなく、
笑って見逃してくれることが続けば、この女は攻めやすい、モノになるかも、
その先に進みたいと、助兵衛心が騒ぐものだが・・・、
どうだろう・・、詩吟の会の男達は大人しくしているのかな…」

はっとした様子で表情が硬くなっていますが、次郎太が笑みを浮かべているのを見て、高は安心した様
子です。そして、何事か決心した様子を見せて、口を開きました。

「何もかもお見通しのようですね…、
お父様にしたことを考えると・・・、
そんなことが無いと言い張っても、旦那様には信用していただけませんね・・

これほどまでに、私のことを大切に思っていただく旦那様に隠し事はしません、
そんなことをすれば、天罰が来ると思います・・
何もかも、隠さず申します。御耳障りな話だと思いますが、お聴きください・・・・」

ここで言葉を切り、話す内容を整理しているのでしょうか、少しの間二人の間に沈黙が続きました。次
郎太は努めて柔和な表情を作っていますが、いよいよ高の秘密を知ることが出来ると思うと、胸が焼け
つくような嫉妬心と、それとは異なるある興奮が彼の中でもくもくと湧き上がっていました。


[26] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(236)  鶴岡次郎 :2014/10/23 (木) 13:06 ID:Y0hYsB6o No.2604

ここで言葉を切り、話す内容を整理しているのでしょうか、少しの間沈黙が続きました。期待と不安で
妻の言葉を待っているのですが、次郎太は表面上、努めて柔和な表情を作っています。

「名前を言えば、旦那様もご存知の方です。
その方のお名前はいずれ時期が来ればお話しすることになりますが、
ここでは、申し訳ありませんが名前を明かすのだけはお許しください。

以前から好ましいお方だと思っておりました。
何度か、茶屋に誘われたことがあり、その都度、気は動いたのですが、
結局お断りしていました・・・。

あの日、三ヶ月ほど前のことです。
その方が、帰り道が一緒だからと誘われ、二人でお寺を出たことがありました。
その時も茶屋に誘われましたが、丁寧に断りました…」

人妻が他の男と一緒に往来を歩くのは、現在でもタブーですが、当時では尚更です。詩吟の会の帰り道
だとはいえ、その禁をあえて犯したことから察すると、妻がその男に並々でない好意を寄せていると次
郎太は考えたのです。胸を締め付けるような嫉妬心が沸き上がっています。

「茶屋へ行くのがダメなら、気候が良いので、お寺の周りを少し散策しようと誘われました。それも断
ることが出来たのですが、お寺さんの裏庭に咲くサツキを思い出したのです。それで、散策するのであ
れば、サツキ園へ行きたいと私が告げました。

お寺の裏にたくさんのサツキが丹精込めて育てられているのを、旦那様もご存知ですよね、その頃は
ちょうど花の頃で、以前から見物に行きたいと思っていましたので、思わずそう言ってしまったのです。
後で考えると、殿方と二人きりでそんな寂しいところへ行くのは不注意な行動だったと思います・・・」

お寺の裏は小高い丘になっていて、その裏庭に千株を超えるサツキが育てられているのです。ここは毎
年見事な花をつけることで有名で、花の季節になれば村人たちは勿論近隣の町や村からも花見に訪れる
人が絶えない名所なのです。

その男に手を引かれて、かなり険しい道をゆっくり辿り、林の中をしばらく歩くと、強い花の香りが
漂ってきました。林を出ると寺男の住居兼作業小屋が建っていて、その奥に続く裏庭に千株のサツキが
絢爛と咲き誇っていました。

高は花園の中に入り込んで、子供のように花に鼻をくっつけたり、頬を寄せたりして夢中で花を楽しん
でいました。その様子をその男は笑みを浮かべて見ていたのです。

「うっかりしていたのですが・・、お昼をとっくに過ぎていましたから、その頃には先ほどまで見かけ
た村人は誰もその場に居なくなっていて、そこにいるのは私とあの方だけでした・・」

いよいよかと・・、次郎太の中で嫉妬心がうずき始めていました。

「後ろから抱きしめられた時、
初めて、その場には私達だけしかいないことに気が付きました。

胸と裾から、その方の手が入り込み・・、

あっという間に…、お乳も・・、そして・・・、
あの・・、前の大切な部分まで・・

その方に全部・・・、開放してしまいました・・。
本当に申し訳ありません・・・・」

殊勝に頭を下げていますが、高の瞳は挑戦的な色を帯び、夫の表情を注意深く観察しているのです。夫
の中に怒りや、嫉妬心以外の、それとは異なる感情の動きがあることを、女の性で、敏感に感じ取って
いる様子です。


[27] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(237)  鶴岡次郎 :2014/10/27 (月) 15:12 ID:AXdZRLD2 No.2605

満開の花の園で、屈強な男に後ろから抱きしめられ、前を開かれ、片方の乳房を全部曝し、男の手で開
かれた大腿部はほとんど陰毛が見えるほどに露出しています。目を閉じ、うっとりして男の手を、そし
て指を、女の大切な部分に迎え入れている妻の艶姿を、はっきりと次郎太は思い描き出していました。
不思議と怒りの感情は湧き上がっていませんでした。

「今・・、気が付いたのだが…、
男にそこを直接触られたのは・・、
その時が初めてではないだろう…、

詩吟の会で暗い廊下でいろいろいたずらされたと言っていたが・・・、
その時、お前は着物の上から軽く触られただけと私に話していた。
どうやら、それだけでは済まなくて、その部分を直接触らせたことがあるだろう」

「エッ…、どうして…」

夫の追及に高はびっくりしています。正に図星だったのです。それでも、夫の表情が穏やかで、笑みさ
え浮かべているのを確認して、高は決心しました。詩吟の会で、男達の悪戯を受け、着物の上から触ら
れたところまでは話したのですが、その先は絶対話せないと決めていたのです。夫に全部話そう・・、
高はそう決心したのです。

「申し訳ありません…、
お寺の中では抱きすくめられただけで、
着物の下に伸びてきた殿方の手を払いのけたと申し上げました…。
実のところは、そうではありません…。
隠すつもりではなく、いずれ全て正直に話すつもりでした・・」

「判っている・・、
女の口から恥ずかしいことを切り出せないことも理解できる。
私はすべてを知りたいと思っている。
辛いだろうが、思い切って話してほしい…」

静かに、説き伏せるように話す夫の言葉に、高は逆らうことが出来ませんでした。

「おっしゃる通り、何人かの殿方の指を・・・、アソコに受け入れました。
最初に強く拒否をすれば、そこまでさせることにはならなかったと思いますが、
一人に許すと、ずるずると・・、歯止めなく触らせるようになっていました。
私は・・、どこかでその行為を喜んで受け入れていたのかもしれません…。
本当に申し訳ありません…」

やはり高はお寺の中でも、自由に男達に体を触らせていたのです。薄暗い廊下の隅で、二、三人の男達
に取り囲まれ、胸も股間もあらわにして、愛液を迸せながら、男の指を受け入れて悶えている妻の姿を
はっきりと次郎太は思い描いていました。

「・・で、サツキ園で…、
その男とは最後まで行ったのか・・」

次郎太の問いかけに高は恥ずかしそうなそぶりを見せ、少しの間をおいて、わずかに首を横に振ってい
ます。

「男の方って強いのですね…、
着物前を強引に開かれ、乳房も、前の部分も全部丸見えになりました。
口を吸われ・・、乳房も・・・、アソコも・・・、
全部・・・、あの方の手と口に弄ばれました…。
日の光がまばゆい屋外でのことですから、恥ずかしくて…。
でも・・・、私は…・・、嫌がっていませんでした…」

着物の前をいっぱいに開かれ、乳房も股間もまばゆい太陽の元にさらけ出していました。高にとっては
初めての経験です。頭ではこんな恥ずかしい姿をさらしてはいけないと思いつつも、体は素直に反応し
て、背中を男に預け、脚を緩め、いっぱいに開いて、男の手をその部分に迎えこんでいたのです。


[28] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(238)  鶴岡次郎 :2014/10/29 (水) 15:16 ID:Bu3nxBoY No.2606

まばゆいばかりの日差しが降り注ぐサツキ園の中で、背後から男に抱きしめられ、着物の前をいっぱい
に開かれ、乳房もそして、股間の茂みさえもあらわに出して、男の指と唇で全身の性感ポイントを縦横
に弄ばれ、愛液をいっぱいしたたらせて、高は体をくねらせているのです。

男が何事かささやき、女を抱きかかえて、その場に寝かせようとしました。女がその手を止めて、男に
ささやいています。どうやら、外出着が汚れることを嫌った高が、抵抗しているのです。男は笑みを浮
かべて頷き、高の肩を抱きかかえるようにして、寺男がいる作業小屋に向かいました。

そこには6畳ほどのこぎれいな座敷が設えてあって、人目を忍ぶ身分の高い武士などはこの座敷からサ
ツキを楽しむことが出来るようになっているのです。酒も料理も出しませんが、お茶を出すことはでき
るのです。

男は慣れた様子で小銭を寺男に握らせています。寺男は40過ぎの実直そうな髯の濃い男で、二人を座
敷に案内し、お茶の道具を置き、お寺に行くので、あとはお願いしますと、高に言い置き、座敷を出て、
小屋を後にしました。どうやら、お忍びの男女がこの座敷を利用することは度々あるようです。

乱れた着物や髪を応急で整えてはいるのですが、先ほどまで庭で男に悪戯を受けていたことは一目見れ
ば判るのです。紅潮した表情を隠すようにして顔を伏せている女をちらっと見た寺男は余計なことを一
切言わず、女性にはそれ以上の視線を当てないよう注意する礼儀作法も心得ているようなのです。

静かなサツキ園の中にある作業小屋の中、こぎれいな小部屋に男と女が二人きりで残されたのです。サ
ツキ園に面した障子が開け放たれ、居ながらにして花を楽しめるようになっています。それでも二人に
とっては、もう・・、サツキはどうでもいいのです。

「寺男が去ると、その方は私を抱きしめ
口を吸いながら私の身体を触り始めました。

私は何も抵抗できませんでした・・、
いえ・・・、申し訳ありませんが、正直に申します。
私は…、その時を待っていました・・。

あっという間に…、帯を解かれ、長襦袢姿にされました・・。
畳の上に寝かされて・・、前を開かれ・・、
指と口で、なぶり続けられました・・」

長襦袢の前を剥かれ、全身を露わにして、抑えた悲鳴を上げながら、男の口と指で弄ばれ、全身をくね
らせて悶える妻の様を次郎太ははっきりと頭に描き出していました。

「もう・・、我慢できなくなりました・・。
私は・・・、恥ずかしさを忘れて、欲しいと言ったのです・・・、

その時は・・、ソレさえ頂けば・・、
後は・・、どうなってもいいと思ったのです・・。
申し訳ありません…。

ところが・・・、
あの方は、それだけは止しておこうとおっしゃいました・・
その一言で、私はハッと正気に戻りました…」

「なかなかの人物だな・・・」

皮肉でなく、思った通りを次郎太は口に出しました。

「それ以来、その方とは、時々、裏山に上りました。
同じように愛撫され、私もあの方のモノを咥えるようになっていました。
でも、その方とは・・、今まで最後まで行ったことが一度もありません・・・」

顔を伏せて最後の言葉を呟くように言いました。その言葉の裏には女の不満が込められていると次郎太
は感じ取っていました。

〈高は・・、
最後まで、やってほしかったのだろう…。
可愛いと言えば、かわいいものだ…、
女とは…、

しかし、男はそれをしなかった…。
最後の砦を残すことで・・、
男はかろうじて面目を保ったつもりなのだろう・・
まあ・・、
私だって、その男と同じように考えるだろうが・・〉

限界まで上り詰めると先のことを考える余裕が無くなり、ただひたすら男根を求める生き物だと、次郎
太は女性の性をそう見ているのです。一方、性器接触さえ避ければ、たとえ事がバレても、何とか言い
逃れできると男は狡猾に考える動物だと思っているのです。もし、自分がその男の立場に立っても同じ
ことをするだろうと、次郎太はその男の心情が手に取るように判るのです。


[29] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(239)  鶴岡次郎 :2014/10/30 (木) 14:37 ID:5sTGknQ6 No.2607

男が最後まで行かないことを高が不満に思っていることは確かなのです。その不満には気が付かないふ
りをして、彼女の表情を覗き込むようにして次郎太が口を開きました。

「高の話を聞いていて、少なからず妬けるが・・、
それにしても、その男はなかなかの人物のようだな…、
それに・・、先方も、お前のことは気に入っているようだ・・。
お前がその男に好意を持ち、何度も裏山に行ったのは、自然の流れのようだね…」

他所の男と何度も逢引をしたことを咎めないどころか、相手の男の器量を評価する夫の言葉に高は驚き
ながらも、感動していました。

〈旦那様は・・、怒っていない…、
聞くに堪えない私の浮気話を冷静に受け止めている。
私を愛していないから、それ故、私の行為を無視できるとも思えるが・・、
様子から察すると、その考えは間違っているように思える。
私の不届きな行為を、何とか理解しようとしているかのように見える・・。

何故だろう…、私には・・、理解できない・・・、
でも・・・、こんな立派な旦那様を欺くことはできない…、
結果としてどんなことになろうとも、
聞かれたことには正直に答えよう・・〉

夫にはありのままを告白しようと、高は改めて覚悟を固めていたのです。

「二人がそんなに良い仲になったなら・・、
その男以外はお前に振られたことになるね・・・
他の男達は、それで治まるのかな…」

からかうような口調で次郎太が笑みを浮かべて軽口をたたいています。夫の軽口に乗るのでもなく、そ
のことを否定するわけでもなく、高は不思議な表情を作って、じっと次郎太を見返しているのです。

「そうか・・、そうなのか…、
お前は・・・、
彼一本に絞ったわけではなかったのだ・・、
彼以外の人物とも、裏山へ行ったことがあるね・・」

何故判るの・・と、驚いた表情で次郎太を見て、そして、ちょっとはにかみながら、こっくりと頷いて
いるのです。

「本当に、何もかもお見通しなのですね…、
旦那様には隠し事が出来ないと改めて悟りました…。

あの方がお仕事で会を欠席された時、何となく寂しくなって…、
私から誘うようにして、一緒に裏山へ行きました・・。
ここニケ月余りの間に10人以上の方を誘いました・・・
誘っていない方は、60歳を超えた方二人だけです・・」

「彼らとは・・・、もちろん最後まで行ったのだろう…」

問いかけを受けて、高はその問いに答えようとしないで、じっと夫を見返して、否定とも肯定とも取れ
る不敵な笑みさえ浮かべているのです。


[30] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(240)  鶴岡次郎 :2014/10/31 (金) 12:12 ID:Efq25UQc No.2608
最初の男はよく出来た男で自制して挿入まで行かなかったにしても、10人を超える男を相手にしてい
れば、中には不心得な男もいるはずです。それに、男と女が全裸になり、局部まで舐めあう仲になって、
それでいて挿入がないとは考えにくいのです。次郎太は嫉妬よりも、ある期待で胸を膨らませて、高の
返事をじっと待ちました。

高は直ぐには質問に答えるつもりはなさそうです。夫を焦らせるだけ焦らすつもりのようです。束の間
の沈黙が二人の間に訪れました。焦れたのか、次郎太が突然思いついたように、別の質問をしました。

「寺男の作業小屋にあるその座敷に、私は上がったことは無いが、
そこはお前たちのような、他人目を忍ぶ男女が良く利用するのだろう…、
それにしても、お前のように行くたびに違う男を連れてくる女は少ないだろう、
その男、大丈夫なのだろうな・・・、
お前の行状を方々に言いふらす心配はないのか…?
寺男から戯事の一つくらい、声を掛けられたことはないのか…」

夫の質問を聞いて、高は苦笑を浮かべています。寺男の存在は浮気の当事者である男と女が気にするこ
とで、浮気をされた夫が心配することではないのです。それでも、その質問には答えるつもりになった
のでしょう、笑いを押さえながら口を開きました。

「私を見ると少し表情を動かしますが、勿論何も言いません。
一緒に行くお方が毎回いくばくかを握らせますので、彼は非常に従順です。
多分、口が固い男だから、皆があの小屋を利用するのだと思います。
毎回ではありませんが、私もこっそり僅かですが渡すことがあります。
口止め料のつもりです・・」

「そうか・・、彼の小遣い稼ぎになっているのだな…、
それでは、秘密がバレる心配はないな…、
彼にしてもせっかくの稼ぎ場を無駄にする気はないだろうからな…、

ところで・・、その…、何だ…、
彼が・・、お前たちの行為を覗いている心配はないのか・・
私なら、覗きたい気持ちになるが・・・、ハハ・・・・」

「嫌ですね…、そんな心配をしているのですか…、
男の方は、幾つになっても、どんな方でも、いつもそうなんですね・・・、

ご心配なく・・、
彼は、お茶道具を置くと、さっさと、お寺に戻るようです。
勿論、覗かれている気配を感じた事はありませんし・・、 
心配もしていません・・」

夫の心配事を笑い飛ばしています。

〈この人は…、のんびりしているように見えけれど・・、
どうして、どうして・・、鋭い洞察力の持ち主だ・・・
細かいことにも気が回って、勘働きもすごい…、
この人を欺くことはできない…〉

寺男の覗き行為を夫が懸念しているのを知り、彼の鋭い洞察力に高はまたもや感嘆していたのです。
そうなのです、与一が毎回息を潜めて、中の様子を覗いているのに高は気が付いているのです。

座敷はサツキ園に面した北側が障子になっていて、そこを開け放つとサツキ園が一望できるのです。部
屋の西と東側は塗り壁になっていて、どこにも窓は無いのです。南側に一間幅の板戸があって、そこか
ら玄関や厠に出ることが出来るのです。板戸は少しでも開ければ部屋の中にいる者は誰でも気が付きま
すから、そこから部屋の中を覗くことは不可能なのです。(2014_11_1、(1))


[31] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(241)  鶴岡次郎 :2014/11/01 (土) 11:43 ID:QOzNok1Y No.2609
2014_11_1、記事番号2608に一部修正を加えました。

夫に言ったように、高は寺男の覗きを全く警戒していませんでした。ところがある日、詩吟の会が終
わった後、男と示し合わせて、別々にお寺の後ろにある小屋に行った時たまたまそのことに気が付いた
のです。この頃には、女はその部屋で男と遊ぶことに慣れていて、それまでは気が付かなったわずかな
変化に気が付く余裕が出来ていたのかもしれません。

その日も、時間の制約があるので、男と女は言葉少なに衣服を脱ぎ、座布団を畳の上に置き、長襦袢姿
の高がその上に横たわります。待ちかねた男が女の上に乗しかかり、事が始まるのです。

長襦袢の前をいっぱいに開かれ、青い腰巻も腰の上に巻き上げられ、両脚をいっぱいに開いて、男の頭
を股間に迎え入れて悶えている時、高は強い視線を感じ取りました。

突き刺すような強い視線を感じ取ったのです。その視線は部屋の隅にある飾り窓から発せられていたの
です。

勿論、人影を確かめることはできませんでした。鋭い女の勘が、露わになっている局部を誰かに見つめ
られているのを察知したのです。しかし、その場ではそれ以上その視線に気を遣う余裕がありませんでし
た、悶え狂う男女はあたかも二匹の獣の様に、唸り声を上げて狭い部屋の中で転げまわったのです。衣服
を整えるころには、あれほど強かった視線はどこかに消えて、高は何も感じなくなっていたのです。

事が終わった後、高は視線が発せられたあたりを調べました。部屋の隅に茶釜を置くスペースがあって、
そのスペースの壁の一部分に窓枠に葦簀を嵌め殺した飾り窓がはめ込まれています。普通の人間であれ
ばそれはただの飾り窓だと見過ごすのですが、高は違っていました。以前、そうした飾り窓が秘密の覗
き窓になっているのを彼女は見たことがあるのです。

注意深く探るとその飾り窓を通して外気が部屋に入って来るのに気が付きます。どうやら、飾り窓の向
こうには空間が存在するようです。そうなのです、飾り窓の向こうに秘密の部屋があって、葦簀窓を通
して座敷を一望できる構造になっているのです。

視線を感じ取った日は何もできなかったのですが、後日、部屋に入った時から飾り窓を注意深く観察し
ていると、寺男が部屋を出た直後、飾り窓の奥でわずかな光が動いて、人の気配を高は感じ取ることが
出来たのです。寺男がその秘密の部屋に入り込み、その場にたたずんでじっとこちらの行為を覗き見し
ているのを高は確信したのです。

最初は気持ちが悪く、いっそのこと連れの男にそのことを教えて、寺男を罰しようと考えたのですが、
日頃の寺男の行動や、ふるまいを見ていると、そんなに悪いことが出来る男ではなく、寺男、与一がた
だ覗きを楽しんでいるだけだと思ったのです。そうであれば、向きになって、彼を罰する必要がないと
考えたのです。そして、むしろ与一の覗きを楽しむ気持ちになっていたのです。ここらあたりが普通の
妻女とかなり違うところです。

彼に覗かれていると思うだけで、さらに興奮が高まることを知って、時にはその窓に向かって、大きく
股を広げ、指でひらひらを開いたり、高々と濡れた臀部をその窓に向けたりして、与一を挑発すること
を覚えたのです。勿論、一緒にいる男たちは誰一人、覗きに気が付いていないのです。


[32] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(242)  鶴岡次郎 :2014/11/06 (木) 11:45 ID:6UY14g1o No.2610

身分違いの寺男、与一のことは、たとえそれが遊び心から出たことでもあっても、次郎太には一切知ら
してはいけないと高は自覚していました。それで夫が寺男の話題にこだわらないよう、サムライ達との
情事をことさら細かく説明して、夫の関心を男達に向ける作戦を取ることにしました。

「寺男が消えると、時間が制約されているので、直ぐに行為に入ります。
障子を閉めて、座布団を畳の上に並べて・・、
そして、殿方は着物を脱ぎ捨て全裸になります・・。

大きいモノ、小さいモノ、真っ黒なモノ、いろいろあります・・。
私にとって、全部が楽しい贈り物です・・。

跪き、長襦袢姿で、それを口に含みます。
全裸になった女より、
長襦袢姿で吸われることを殿方は好むようですね・・・。

やがて、男の方が十分になると、
座布団の上に寝かされます・・。

それから・・、一気に攻められます・・。
前を開かれ、乳房を・・、アソコを…、
指と唇で・・、弄ばれるのです…。

腰巻が毎回じっとりと濡れるほど、私は愛液を吐き出します・・。
おそらく・・、とっても大きな声を出していると思います・・
もし・・、寺男が残っていれば、外に居ても聞こえると思います・・」

夫の顔色をうかがいながら、高は情事の様子をことさら詳しく話しています。そして、その時のことを
思い出し、夫の前で浮気を告白していることを忘れたかのように、しとどに局部を濡らしているのです。

一方、次郎太は苦しそうな表情をしていますが、妻の浮気の様子を聞いてどこかでその話を楽しんでい
る様子を見せているのです。その理由は判りませんが、高は夫が不機嫌な気分になっていないことは十
分承知しているのです。それで、きわどい話を、ことさら事細かく告白しているのです。

「殿方達は、申し合せたように、挿入はしないのです…。
私がその気になっても、男の方が自制して、そこまで行きません。
旦那様を裏切っていることには変わりありませんが、
挿入だけは何とか避け続けることが出来ています…」

高の相手をした男達は挿入さえしなければ、たとえ、ことがバレても、大ごとにならないと信じ込んで
いるようです。そして、高も挿入がなければ夫を裏切る程度が低いと思っている節があります。

男の生理を良く知っている次郎太は、挿入だけは避け続けていると話す妻の言葉には半信半疑の気分な
のです。男達の内誰かが・・、いや・・、全員が既に挿入を済ませていてもおかしくないと思っている
のです。むしろ、その方が自然だと思っているのです。

それでいて、ここまですべてありのまま告白してきた妻がその部分に限って嘘を言うとは思えないとも
考えているのです。あるいは妻の言う通り、本当に挿入はなかったかもしれないと次郎太は思い直した
りしているのです・・。

いずれにしても、浮気をしていることは明らかで、その浮気行為を全面的に認めざるを得ない立場にい
る次郎太にとっても、挿入行為そのものはそれほど大きな問題ではないはずと思えるのですが、どうや
らそれは違うようで、高にとっても、次郎太にとっても、挿入の有り無しはかなり重要なことのようで
す。それ故、その存在の有無に関して、次郎太は真剣に考え込んでいるのです。


[33] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(243)  鶴岡次郎 :2014/11/07 (金) 16:16 ID:4sONdoUQ No.2611

次郎太は挿入に関する妻の言葉を内心で反復しながらのその真偽を確かめようとしていました。そして、
次の瞬間、ある考えが脳裏にひらめきました…。

「そうだ・・、その手があったか…、
確か…、お前は…、
挿入しないで、男をその気にさせる技を持っていたね・・」

「・・・・・・・」

「勿論、昔のことを、ここで穿り出すつもりではない・・、
素晴らしい技をお前が持っていたことを思い出しただけのことだ・・、
あの技があれば、挿入しなくても男達は満足するはずと思ったまでだ。
なんと言ったかな・・、あの技の名は…」

「困りましたね…、旦那様には・・、本当に…、
あの頃のことは、全て忘れてほしいのですが…。
ス・マ・タ・・・と、言います。あの技は…。
おっしゃる通り・・、
殿方が興奮して来ると、その技を使いました・・
お腹の上や、大腿部に精を吐き出して満足されるのです」

大腿部に男根を挟み込み、挿入感を与える秘技で、何故か、高はその技を巧みに使うことが出来るの
です。

「そうか・・、そうだったのか…、
その技があれば、挿入を避け続けることが出来るね・・
すごいモノだ…、まさに、究極の秘技だな・・・
身に付けた技がお前を救ったということだな・・、ハハ・・・・」

その秘技のおかげで、ともかくも、挿入だけは逃れたことを、次郎太はようやく信じることが出来たの
です。手放しで喜ぶ次郎太を見て高が浮かない表情を浮かべています。そして、何やら決心した表情を
浮かべ口を開きました。

「本当に申し訳ありません…。
一人の方と・・、一番若い方ですが・・、
いつもの様に愛撫しあって、
スマタで何度か放出していただき、
4度目が終わった時、これで終わりだと思ったのです・・。

その方に背を向けて、準備してきた新しい腰巻を着け・・・、
足袋を履き、長襦袢を着けていたら・・、
突然後ろから手が伸びてきて、後ろからアソコに指を入れられました…。

どうやら、無意識でその部分をその方に見せつけていたようなのです・・。
せっかく着けた腰巻をむしりとられ、その場に倒されて、
一気に挿入されました…。

抵抗する間もありませんでした…。
いえ・・・、多分、途中から抵抗を止めたと思います。
かろうじて、精だけは外に出していただきましたが・・・、
終わった後、あの方も、悪かったと頭を下げていました。

こうして、一度だけなのですが、最後まで行きました・・・。
本当に申し訳ありません・・・・」

深々と頭を垂れる高を見ても、もう・・、次郎太は驚きません。

「そのことでそんなに謝ることはない…。
俺の気持ちを言えば、一度の失敗はむしろ少ないと思う・・。 
むしろ、たくさんの男達の要求を抑えこんで、
そこまで頑張った高をほめたいと思う・・」

上機嫌で高を褒め称える夫を見て、高は申し訳なさそうに肩をすぼめて、視線を床に落としています。
まだ、何か、高は秘密を抱えているようです。


[34] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(244)  鶴岡次郎 :2014/11/10 (月) 16:00 ID:tQXgChbA No.2612

思いつめた様子を見せて高が口を開きました。妻の様子を見て次郎太が緊張しています。

「先ほど寺男の話が出ましたが…、
そのことで、旦那様に隠していることがあります・・」

一緒に遊んだ男達が、全く気が付いていない寺男の覗きを夫は疑り、彼と妻との関係についても疑惑を
抱いている様子だったのです。夫の鋭い洞察力に驚きながら、高は寺男の覗きは明確に否定したのです。

寺男の話題は避けたい思いが彼女に嘘を言わせたのです。しかし、これほど彼女を信頼してくれる夫を
騙し続けることはできないと覚悟を決めて、寺男のこともすべて話すことにしたのです。寺男との関係
を話せば、さすがの夫もあきれ果て、最悪の仕置きが待っている可能性が高いのです。それでも高は話
すことにしたのです。

「先ほど寺男の覗きはないと申し上げましたが、
実は・・、
かなり以前から彼の覗きに気が付いていました・・」

「そうか・・、多分そうだろうと思っていた・・、
お前や男達は気が付かないだけで、覗きはあると思っていた。
彼の立場なら、私でも覗きたい気持ちだから、
彼も同じ思いだと思っていた・・・。
それで、どうしたのだ・・」

「男の方に言いつけようかと思ったのですが、
私を脅したり、からかったりする様子がなく・・、
覗きだけで悪気がないと思いましたから・・、
誰にも告げないで自由に覗かせています・・・」

「・・・・・」

黙って笑っている夫の表情を見て、高は仕方がないと思ったのでしょう、本音を吐き出していました。

「旦那様には嘘は言えません…、
ご推察通り・・、
私・・、彼の覗きを楽しんでいるのです…。

彼に覗かれていると思うと、凄く感じるのです…
それで、彼の覗きを咎めることが出来ないのです。
それどころか、わざと脚を開いてアソコを見せつけたりしています・・・」

寺男との関係に強い罪悪感を抱きながらも、夫にはすべて話すつもりになっているようです。覚悟を決
めているせいでしょうか、告白そのものを楽しんでいる様子さえうかがえるのです。

「その寺男は独身なの…」

「与一さんは・・・、
和尚さんから彼がそう呼ばれているのを聞きました・・。
50歳近い人で、ずっと独身だと聞いています・・」

「50歳で独身か…、
まだまだ、女気が恋しい年頃だな…、
その上、独り身だとすると・・、
高の様にいい女が悶えているのを覗き見ると、
ムラムラと来るだろうな・・」

妻の表情をじっと観察しているのです。高鳴る鼓動に気が付かれないよう高は努めて平静を装っていま
した。


[35] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(245)  鶴岡次郎 :2014/11/14 (金) 13:40 ID:9//9nKMA No.2613

少しからかうような表情で高を見つめる夫の視線を避けるように、高は視線を床に落としています。与
一のことも含めて、ここまで何一つ嘘は言っていないのです。しかし、この先を話すことは迷っている
のです。できれば、与一のことには触れてほしくない気持ちが強いのです。そんな妻の様子を次郎太は
見抜いているのでしょうか、与一の話題を変えようとはしないのです。

「彼には・・・、
侍にはない野生の魅力があるだろう…
彼に抱かれたいと思ったことはないの…」

「・・・・・・」

はっきり否定したいのですが、鋭い夫にその嘘を見抜かれる可能性が高いと思って、高はあいまいに微
笑み、首をかすかに横に振っています。

「ハハ・・・・、
妻への質問ではなかったね・・、
そうですとは言えないよね…、
・・・で、どんな男だ・・・」

「髭の濃い人で、6尺近い大男です」

「6尺の大男か・・・、
・・・とすると…、
アレも大きいだろうな・・・」

「そうでもないです…」

夫のつぶやきに反射的に答えて、しまったと・・、高は唇を噛んでいました。答える必要のない会話
だったのです。大きいかと問われ、自身も大きいと感じている気持ちを隠したくなり、とっさに否定の
言葉を出したのです、それも、『そうでもないです』と、それを見たことがあるような断定的な答に
なってしまったのです。慌てた高は、とっさに、次の言葉を出しました。

「あの・・・、
見たわけでもありませんので…、
何とも言えませんが・・・・、
それほど大きくはないと思います・・」

この発言でさらに不利になったことを高は感じ取っていました。次郎太はにやにや笑って高を見てい
ます。耐えきれなくなった高は視線を床に落としています。

「お前・・・、
与一のモノを見たことがあるね・・」

高は観念しました。これ以上悪あがきをすればするほど墓穴を掘ることになると思ったのです。話せる
ところまで、とにかく話すことにしました。

「おっしゃる通りです…、
作業小屋で近所の若嫁を抱いている与一さんを偶然覗き見しました・・。
その時、彼のモノを垣間見ました…」

ほほを染めて、高が話しています。次郎太は笑みを浮かべて聞いています。


[36] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(246)  鶴岡次郎 :2014/11/17 (月) 13:56 ID:eg3FUBOY No.2614

高は覚悟を決めた様子を見せて話しています、夫がこの話を嫌がらずに聞いているのが不思議で仕方が
ないのですが、ともかくも、夫が望んでいるのであれば最後まで話すつもりになっているのです。

「この頃は、詩吟の会が開かれる日は必ずと言っていいほど、与一さんの小屋で男の方と会う約束を取
り付けるようになっています。与一さんにはその小屋を訪れる予定日を予め知らせています。それで、
私が訪れるころには、部屋の掃除を済ませ、お茶の準備をしてくれているのです。

その日、詩吟の会が予定より早く終わり、私は一人で小屋に向かいました。男の方は仲間の方と何か相
談があるとかで少し遅れると知らされていました・・」

いつものなら座敷に入りそこで男を待つのですが、少し間がありそうなので、座敷に上がらず、与一の
住まいに通じる別の入り口から小屋に入ったのです。与一と話をしながら、お茶でもいただこうと思った
のです。恥ずかしい姿をいつも覗き見られているせいか、与一にある種の親近感を持つようになってい
て、この機会を利用して彼とゆっくり話をしたいと思たのです。あるいは、高のことですから、それ以
上の企みがあったかもしれません。


入口の板戸を開けると土間があり、土間に面して囲炉裏が切られた居間があり、その奥に与一の居室が
あります。土間に一歩足を踏み入れると、与一の部屋からなまめいた女の喘ぎ声が聞こえてきました。
土間には女物の下駄が揃えてありました。

高は足音を忍ばせて板戸に近づきました。建付けの悪い板戸は完全に閉まり切らず、わずかな隙間が開
いていました。与一の居室はサツキ園に面していて、今の時期、サツキ園には来る人はいないので、そ
の境の障子戸が開け放たれていて、外の明るい日差しが反映して、居間側から見ると、部屋全体が照明
に照らし出されたように見えるのです。薄暗い居間側から覗くと部屋で絡み合う男女が良く見えました。

「すッ・・、凄い・・・・」

思わず声を出しそうになり、あわてて高は口を押えています。一、二度お寺で顔を見たことがある女で
した。お寺の台所仕事を手伝いに来ている、寺の近所に住む農家の若嫁、お静です。粗末な夜具の上に
全裸に剥かれたお静が、大きく両脚を開いて、仰向けに寝ています。女の両脚の間に大男与一の体が被
さっています。男は高にお尻を向けて盛んに尻を振っています。

高が驚いて、おもわず声を出したのは与一のモノを見たからです。お静の股間に半分ほど埋没している
のですが、とても全部が収まることはできないほどそれは巨大なのです。大物を咥えこんだ女陰は高に
もはっきり判るほどひしゃげて、白い泡を吹き出していました。

全裸の女は半狂乱になって男の体に四肢を絡めて、大声で叫んでいます。男は冷静に腰を上下にゆっく
りと動かしています。やがて、怪鳥なような悲鳴を上げて、お静が痙攣しながら逝きました。

立ち上がった男のモノから二人の愛液がしたたり落ちていました。高は腰を抜かしたようにその場に座
り込んでいます。彼女の視線は与一の股間に釘付けです。

「先ほどは、それほどのモノではないと申し上げましたが・・、
それは・・、それは・・、すごいモノでした・・・
ホト(女陰)に全部が収まらなくて・・、半分以上ははみ出ていました・・
長さは…、少なくとも、これ以上はあったと思います…、
どう・・・、すごいでしょう…、ふふ……」

その時の光景を思い出したのでしょう、うっとりと目を細めて話しています。ここまで話すと高の自制
心は吹っ飛んだ様子です。夫を刺激でもするつもりなのでしょうか、両手で男根の大きさを夫に教えて
いるのです。

「そんなに大きいモノか・・」

「ハイ・・・、
ご存じの様に、私は殿方のモノを比較的たくさん見て来ております・・・、
そんな私でも、与一さんほどのモノは今まで見たことがありません…、
怖いほど、すごいモノでした・・」

「そうか…、
それほどのモノか・・・、
それでは・・、欲しくなったろう・・・」

「正直に申し上げます…、
貫かれて悶えている女がうらやましくて、うらやましくて…、
その場に踏み込んで、私の身体を投げ出したい気持ちになっていました・・」

ここまで告白すると、もう・・、高は怖いものがないようで、目をキラキラ光らせて、興奮した様子を
隠そうとしないで話しています。

「・・・で、それからどうした・・・」

聞いている次郎太も、かなり興奮しています。話の先を催促しています。


[37] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(247)  鶴岡次郎 :2014/11/19 (水) 13:58 ID:4CZkjdzs No.2615
夫の反応を見て、高の話に並々ならぬ興味を持っているのを察知していました。しかし、夫がなぜ妻の
浮気話にそんなに興味を持つのか完全に理解できていない様子です。

「いいのですか…、
私のふしだらで、淫らな行状をお聞きになって、気分が悪くなりませんか・・、
その先が聞きたいと言われるのなら・・、
恥ずかしい話ばかりですが、私は話を続けます・・。

正直申し上げて、旦那様が私の話を大人しく聞いていただくのが不思議でたまりません。
お仕置きは勿論覚悟しております。どのような罰を受けようとも、身から出た錆と覚悟を決めています。
でも・・、罪を犯したうえ、さらにその罪深い話を旦那様に聞いていただくのは、恥の上塗りだと思って
います。話せとおっしゃるから隠さず話を続けますが、話の途中で耳をふさぎたい気分になったら、
そうおっしゃってください・・、直ぐに止めます・・」

「聞きたいのだ・・、
お高のみだらで、ふしだらな経験談を全て聞きたい…
隠さず、全てをありのまま話しくれてよい…」

「そうですか…、
それでは、話します。
ここから先は、かなり過激な内容になりますから、
覚悟して聞いてくださいね・・・・」

「・・・・・・・」

恐縮している口調とは裏腹に、こぼれるような笑みを浮かべて高は話しています。次郎太は興奮で顔を
赤らめて聞いています。その理由は判りませんが、妻が男達の玩具になっている様子を聞くのがどうや
らそれほど嫌でないらしい、むしろ妻の浮気話を聞いて興奮する人だと、高は夫次郎太の少しねじれた
嗜好に気が付いたようです。こうなると、もう・・、完全に高のペースです。

「突然与一さんの動きが止まりました・・。
私たちが来る時間が近づいたことを、与一さんが女に告げました。
そして、ゆっくりと一物を引き抜き・・、女の身体から離れました。

女は途中で終わることを嫌がっていましたが、仕方ありませんよね…
もう・・、十分に味わったのだから、我慢するべきなのです…
濡れたお股の始末を早くしなさい・・と、
私は内心でその女を叱りつけていました・・・」

女のことが腹に据えかねた様子を隠しません、よほどその女がうらやましかったのでしょう。

「それだけでは終わらなかったのです・・・・、
立ち上がった与一さんのモノはさすがに一時の勢いを失っていました。
それでも二人の愛液で濡れたそれは、頼もしい光景でした・・。

それをじっと見つめていた女が・・・、
つい・・と手を伸ばし、それをつかみました。
迷わずそれを口に含みました…。

慣れた様子で舌を絡めて、二人の汚れを舌で拭い取っているのです・・・
女の顔がドロドロに濡れていました…
本当に淫らな光景でした・・・・」

「そう・・、大変なものを見たね…、
そのお静という女…、
なかなかの浮気者だね…」

「そうなんです・・、
大人しい顔をしていながら、大変な好き者です。
口をいっぱいに開いて、おいしそうに、アレをしゃぶっているのです…。
あんなに丁寧に舐めたら、男の方はたまらないと思います…、
案の定、与一さんのモノは直ぐにぴんぴんになりました…」

その場の光景を思い出したのでしょう、悔しそうな表情を隠さないで高は話しています。

「女はもう一度欲しそうにしていましたが、与一さんが許しませんでした。
あきらめて、ようやく女が身支度を始めました」


[38] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(248)  鶴岡次郎 :2014/11/25 (火) 11:35 ID:pTT.QEXo No.2616

けだるそうなふりを見せながら、女は脱ぎ捨ててあった着物に手を伸ばそうとして、思いとどまり、手
拭いらしい白い布を拾い上げました。着物を着ける前に股間の汚れを拭い取るつもりなのです。そこを
覗き込んで、驚いた表情を浮かべ大きな声で与一に声を掛けています。

「与一さん!・・・・、見て・・・、
ここを見て・・・、こんなになっている…、
こんなに食み出している・・・、
これでは満足に歩けない・・・、
直ぐには家へ帰れない…、どうしよう・・・」

艶然と笑いを浮かべお静が甘えた声を出しています。両脚をいっぱいに開き、濡れた股間を男に見せつ
けています。大物を咥えこんだそこは、ぽっかりと口を開けていて、内容物が外にひっぱり出され、外
観が一変しています。これではお静が言う通り歩行に影響が出るはずです。

「すごいね…、恐ろしいほどスケベなホトだ・・・、
どんなマラでも、食い尽くす勢いだね…
俺はそんなホトが好きだが・・、確かにそれでは歩きづらいだろうな、
指で押し込んだらどうだろう・・・」

「指で押し込むの・・?
ああ・・、たまらない・・・、
触るとすごく感じるの…、今なら、うんとスケベになれると思う…、
どうせなら、与一さんのモノで押し込んでほしいな…」

「無理を言うなよ、
そうしたいのはやまやまだが…、
お客様がもうすぐ来られる時間なんだ…」

「ちょっとでいいから・・、
ぐっと・・、押し込むだけでいいから・・・・
お願い・・・、ねっ・・・・」

ギラギラと瞳を輝かせながら、これ以上は無理と思えるほど両脚を開き、指先でそこからあふれでた内
容物を触っているのです。男が我慢できても、腰のモノは今にも弾けるほどの勢いで女をにらみつけて
います。

「しようがないな…、
そこまで見せつけられたら・・、
俺だって…、
我慢出来なくなる・・
ちょっとだけだよ、一発だけだよ…」

男は自分自身にい聞かせるように言葉を出しながら、勢いよく女に飛びかかって行きました。

「うれしい・・・・ぃ・・・、
あう・・・・・・・ぅ・・・・・」

一気に挿入されて、女が絶叫しています。

〈まったく…、良くやるものね…、
こちらの身にもなってよ…、
こんなに濡れてしまって・・・
ああ・・、早く・・、あの人が来ないかな・・・〉

貪欲に絡み合う二人を見て、声には出しませんが、さすがに高はあきれています。それでも、長居する
と二人にばれる心配があるので、まだ絡み合っている二人を残して、ゆっくりとその場を離れました。
最後が来たことを告げる断末魔のような女の声がお高の背中を追いかけていました。


座敷に移って、高は約束した男の来訪を待ったのですが、その日、約束をしていた時間に男は現れませ
んでした。どうやら仲間との相談が長引いているようなのです。こうしたことは珍しいことでなく、そ
の時のために約束が交わされていて、どちらかに急用が出来て、小屋へ来れなくなった時、相手側に何
も連絡をする必要はないのです。一方、待つ側も、現在の時間にして30分は待つことにして、その後
は、見切りをつけ、帰ることにしているのです。その日、一時間近く待っても約束の男は現れなかった
のです。

与一とお静の絡みを覗き見て燃え始めた体はいったん収まっていたのですが、男が来ないと判ると、く
すぶり始め、煙を出し始める勢いなりました。我慢し切れなくなった高は裾から指を入れ、そこを刺激
し始めたのです。

畳の上に座り込み、両脚を投げ出し、前を開き、局部をいっぱいにさらけ出し、高は夢中でその部分を
掻きむしり始めました。愛液が滴るほど湧き出て、指を入れた部分から恥ずかしい破裂音さえ出始めて
いるのです。

与一が覗いていることにはとっくに気が付いていました。わざと覗き窓に向け両脚を開き、指を深々と
三本入れて掻き毟るところも余さず見せつけたのです。


[39] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(249)  鶴岡次郎 :2014/11/26 (水) 16:53 ID:.KLgzhjk No.2617
与一の居間に通じる板戸が開き、与一が入ってきました。高はそれでも指を動かし続けています。そし
て、空いている左手で乳房をつかみ揉み始めているのです。下半身はほとんど剥きだしで、濡れたそこ
から高い水音が出ているのです。上半身も前が乱れて、豊かな乳房の全景が見えます。女は目を閉じて、
一心に体を慰めています。

「与一を誘うつもりだったのか・・?」

高の話をじっと聞いていた次郎太がここで口をはさみました。それほど厳しい追及の口調ではありませ
ん。

「良く判りませんが・・、
そのつもりはなかったと思います・・・・・」、

自信なさげに高が答えています。高自身でもその時の行動をうまく説明できない様子です。

「約束したお方が来ないことが判り、がっかりしたことは確かです…。
そのまま帰ればよかったのですが・・・、
与一さんと女の絡みを見せつけられて、体が・・・、
お恥ずかしい話ですが・・、ソコを触らないではいられなかったのです・・」

「そんな恥ずかしい姿を見せれば、
覗き見ている男が襲ってくるとは思わなかったのか・・」

口調は穏やかですが、表情には笑みはありません。

「与一が覗いていると思っていました。
見せつけたいと思っていたかもしれません…。
その結果は…、あまり考えていませんでした・・・・」

「判った・・、話の続きを聞かせてほしい・・・、
与一が部屋に入ってきたところまで聞いたはずだ・・」

「ハイ・・・、
彼が部屋に入ってきた気配を察知していましたが・・、
気が付かないふりをして、自慰行為をつづけました・・・。
それどころか、彼が部屋に入ってきた気配を察知して興奮して、
さらに激しく指を動かし、大きな声を出し始めていたと思います・・・。

ああ・・・、そうですね…、
判りました・・・、
旦那様が考えておられることが・・・、
この時点では、確かに私の中に彼を誘惑する下心が芽生えていたのですね・・・」

「そのことはもう・・、良いから・・・、
話を続けよう・・」

次郎太が苦笑して話の続きを促しています。高が計画的に与一を誘惑したわけではないと次郎太は判断
出来た様子です。


与一が高の間近に来て立ち止まりました。男は全裸になっていて、先ほどお静を喜ばせた腰の一物は臨
戦態勢になっていました。男根が女の顔に触れるほど近づいています。女と別れた後、水浴びをしてい
ません。生々しい情事の香りが高の鼻孔を刺激していました。

「ああ・・ん・・・・、
与一さん…」

「奥様・・」

燃え上がった男と女の間に言葉は不要でした。


「お静が抱かれているのを見て・・、
私も・・・、抱かれたいと、心底、思いました・・。

彼の大きなモノを受け入れたいと・・、
ただそれだけを望んでいました…。

あこがれていた彼のモノを近くに感じ取って・・、
夢中でそれに手を出し、口を付けていました…

申し訳ありません…、本当に申し訳ありません・・・・」

高は素直な気持ちになって夫にその時の心境を語っています。次郎太はただ黙って、穏やかな表情を浮
かべて聞いています。


男根を女がしゃぶるに任せて、男は頃合いを見て、女の着ているものをはぎ取り始めました。帯を解
かれ、着物をはぎ取られ、長襦袢姿のまま、畳の上に寝かされました。その間、女は何も抵抗しません
でした。畳の上に寝かされた女は自ら長襦袢の前を開き両脚をいっぱい開いています。黒々とした陰部
がそこだけ別の生き物のように蠢き、愛液を滲み出させているのです。女の視線は男の股間に視張り付
いているのです。

にやにやと笑いながら与一が腰を折り、巨根に手を添えて、女陰に宛がいました。女の喘ぎ声が高く
なっています。そして、一気に挿入したのです。

身体を割かれるような激痛を感じて、高は絶叫しています。それでも男の体に両手を絡め、両脚は一杯
に開いているのです。


[40] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(250)  鶴岡次郎 :2014/11/27 (木) 15:12 ID:AXdZRLD2 No.2618

その日は高の夫、次郎太が定例の郡回りで留守でした。夕ご飯は下ごしらえをして、いつもの様に、後
は舅に任せてきたのです。高は何の心配もなく自由に遊べるのです。二人は暗くなるまで悶え狂いまし
た。ことが終わり、帰路を辿る高は明らかに異常でした。

とぼとぼと病人のようにゆっくり歩を進め、時々立ち止まり、激痛に耐えるようにその場に膝を折って
しばらくその姿勢を保っているのです。巨根で突き上げられた子宮が元の位置に戻る時、高の下腹部に
激痛が走るのです。

激痛に堪えながらも、高は至福の表情を浮かべているのです。内股は与一の精液と高の吐き出す愛液で
ぬるぬるになっていて、彼女の全身から強い男の香りが発散されているのです。

人通りの少ない道を選んで歩いているので、誰にも会わないのですが、もし、誰かが通りかかったら、
その人は高の異常な様子にすぐ気が付くはずです。そして、女の身体から情事の濃い香りが漂い出てい
ることにも気が付くと思います。

「それ以来…、
男の方と会った日は、毎回、与一に抱かれています。
今では、どちらが目的か、判らなくなっています・・」

「そうか…、
与一にも手を出していたのか…」

表面上は穏やかな顔をしていますが、次郎太はかなり大きな打撃を受けていました。

〈寺男にまで身体を任せていたとは…、
やはり、これは病気だ・・、
しかし、今なら、何とか修復できそうだ・・、
発見がもう少し遅れていたら大変なことになっていた…〉 

夫の留守の間に舅と関係を持っている妻を次郎太が見つけ、お高と次郎太はそのことで話し合っている
のです。お高の告白は驚くべきものでした。お高が関係を持っていたのは舅だけではなかったのです。
舅との関係を夫に気付かれた時点で、お高は既に詩吟の会に参加するほとんどの男に定期的に抱かれる
関係を結んでいて、さらに寺男である与一とも関係を深めていることが判ったのです。

高の病状は次郎太の想像をはるかに超えるところまで行っていたのです。気が付くのがもう少し遅れ、
そのことが世間の噂に上るまでになっていたら、お高は勿論、佐伯家の存続も危うくなるところだった
のです。次郎太は本気で怯えていました。体勢を立て直すことが急務だと次郎太は考えました。

「他の男はともかく、与一に手を出したのはまずい・・。
下男に手を出した武家の妻女が逮捕され、手打ちになった例もある・・。
侍の妻が身分違いの男に手を出すのは危険だ・・。
誰かに知られたら、取り返しの付かないことになる・・。

彼の大きなモノにだいぶご執心のようだが…、
辛いと思うが、彼との仲は出来るだけ早く清算してほしい・・。
別れ話が面倒なことになりそうだったら、私が話を付けても良い・・」

今までの調子とは異なり、毅然とした態度を見せて次郎太が言っています。

「ハイ・・・、申し訳ありません…、
今後、誓って、与一には近づきません…、
どちらかというと躊躇する与一を私が誘惑した仲ですから、
私が拒否すれば、彼は納得すると思います…。
万が一、別れ話がこじれるようなら、旦那様にすぐに報告します…」

この時代、身分の違う男に手を出した女が処罰を受けることはさほど珍しくないことだったのです。高
にもどうやら次郎太の懸念していることが理解できたようで、怯えた表情を隠そうとしないのです。


[41] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(251)  鶴岡次郎 :2014/11/28 (金) 15:33 ID:KXB6NvC2 No.2619

高の告白を聞きながら、次郎太は何から手を付けるべきか考えていました。最初に、手を打つべきこと
は高の行状を表ざたにしないことです。関係を持った男達の口を封じることが必要なのです。

関係した男は20人足らずで、与一を除けば、全員が詩吟の会に参加している藩の侍です。彼らとて高
との関係が露見すればただでは済みませんから、彼らがむやみと高の関係を口外するとは思えないので
す。このまま捨て置いても男達から秘密が漏れ出す可能性は少ないと次郎太は考え、当面は静観するこ
とにして、問題が起きれば、個別に男達と会い、事情によっては刀にかけても妻の秘密を守る覚悟を固
めていたのです。

問題は与一で、失うものが少ない立場ですから、事と次第では開き直って高との関係を種にゆすりをか
けてくる可能性さえ考えられるのです。

〈・・その時は、その時だ・・・〉

次郎太は与一を抹殺することも視野に入れているようです。与一から何らかの形で接触があれば、その
状況に応じて対応しようと腹を固めたのです。

こうして短時間の間に男達への対応を決めた次郎太は、迷いなく、高の病気と真正面から向かい合う気
持ちを固めていました。

一方、お高は次郎太の表情を見て、事態がかなり深刻になったことを今更のように気が付き、顔面が蒼
白になっています。彼女は悟っていました。ことは単に高が離縁されるだけでは済みそうにないのです。
次郎太の名誉を守り、佐伯家が汚名を被ることを未然に防ぐため、すべての事実を闇に葬ることが必要
なことにようやく気が付いているのです。

「ここまで高の話を聞いて、やはりお前は特別な女だと判った・・。
お前の情欲は、私一人では治めることが出来ないことがはっきり判った・・」

「・・・・・・・・」

殊勝な表情を浮かべ高は耳を傾けています。

「先に言ったように、この家の男三人が当面の間お前の相手をするが、早晩、三人では対応できなくな
るのは見えている。それで、私が選んだ男達にお願いして、お前を慰めてもらうことにするつもりだ。
多分それでお前の強い情欲は癒されると思う」

「・・・・・・」

高はただ大人しく聞いていました。

「一つ大切なことを言って置く・・・。
お前が男狂いすることは部外者に絶対知られてはいけない。
ことが露見した瞬間、お前は勿論、私も、佐伯家も、その将来がなくなるのだ。
そのためには秘密が守れる男を選ぶ必要がある。

どんなに男が欲しくなっても、
私が認めた以外の男には手を出さないようにしてほしい・・・・。
その事だけを注意してくれれば・・・、
お前がその気になった時、好きな男を自由に選んで、抱かれることを認める」

「判りました、何から何まで、本当にありがとうございます。
旦那様のおっしゃる通りにさせていただきます・・

こんな淫らで、どうしょうもない女のために、
旦那様にそこまでご配慮いただき、高は本当に幸せ者です。
この御恩と愛情に応えるため、
高は命をささげるつもりで、旦那様にお仕え申します…」

夫の顔をじっと見つめ、高は必死で涙を押さえながら、これだけの内容を言い遂げ、そして、その場
で深々と頭を下げました。そして、頭を下げた姿勢を保ちながら、高は泣いていました。


[42] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(252)  鶴岡次郎 :2014/11/29 (土) 14:45 ID:Bu3nxBoY No.2620

頭を床に付け肩を震わせている妻を次郎太は慈愛に満ちた表情で見ています。

「人並み外れた情欲を持って生まれたことで、
お高は自分ではどうすることも出来ない悩みと苦悩を抱えることになった。

ここまで本当に苦しかっただろう・・、
知らない土地へ嫁に来て、誰に相談することも出来ず、
唯一の頼りである夫は留守がち、その中でお高は悩み、苦しみ続けたのだろう・・。

もう少し早く気が付いていれば、お前の苦しみを少なくできたと思う。
これからはお互いに何でも話し合って、問題を解決してゆこう・・」

「旦那様・・・」

「ところで・・・、お前の相手をする男達だが・・・、
詩吟の会に出席している男達は全員が候補者になるね・・。
彼らは概ね、考え方もしっかりしているし、
秘密を守れる相手だから、安心して高を任せることが出来ると思う。

都合のいいことに、高は彼らの間ではすでに人気者で、ほとんど身体を任せたに等しい関係を既に作って
いるから、私が出張って面倒な交渉をしなくても、これから先の交渉は、全てお前に任せても大丈夫な
ようだね・・・」

「・・・・・・」

高が黙って頷いています。

「それでは男達への交渉は、与一のことも含めて、お高に任せることにしよう、
面倒なことになりそうだったら、いつでも私が出張るから、何でも相談してほしい」

「ハイ・・、ありがとうございます…」

「ところで、これは余計な心配かもしれないが・・・、
高がその気になって誘っても、これまで聞いた様子では、
男達はアソコを舐めたり、触るだけで終わりそうだな…、

それで良いのなら・・、何もしなくてもいいが、
それでは辛いのだろう・・・?
それとも・・、挿入しなくてもいいのか…?」

「・・・・・・・・」

少し頬を染めて、高がゆっくり首を振っています。それを見て次郎太が笑い出し、つられて高も笑って
います。

「そうだよな・・、
挿入なしでは、危険を冒して浮気する目的が半減するからな・・
しかし、主持ち侍達は世間体を重んじるから、浮気がバレた時を恐れて、
触るだけで我慢して、そこまで踏み込んで、出来るかどうか・・

後は、高の仕掛け次第だな・・、
お前の魅力で、挿入せざるを得ないよう仕向けることだな…、
それとも、私が高の浮気を認めていると男達に教えるか・・・
遠慮なく挿入してくださいと、私が頼むことにするか・・・
ハハ・・・、もちろん、これは冗談だよ・・・・・」

笑いを浮かべたまま次郎太がからかうような様子を見せて、妻を見ています。


[43] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(253)  鶴岡次郎 :2014/12/04 (木) 14:40 ID:JOavCgqE No.2621

ここまで高はただ黙って笑みを浮かべて夫の説明を聞いていましたが、ここで初めて口を開きました。

「今までは、私自身が・・、
挿入することには及び腰でしたから、
殿方も無理やり挿入まで行かなかったと思うのです・・。

こうして・・、旦那様のお許しをいただくことが出来ましたので、
私は何の気がかりもなくその気になれます…、

ですから・・・、あの・・・、
旦那様さえ許していただけるのであれば、
殿方を落とすことは、そんなに難しくないと思います…」

「そうだよな…、
お前ほどの女が、欲しいと悶えているのを見て・・、
すげなく断ることが出来る男はそう多くないよな…
私が余計な心配をする必要がないか…
ハハ・・・・・・・」

心から楽しそうに次郎太が笑っています。高も微笑みを浮かべています。

「これで、私の計画はすべて決まったことになる・・、
実際にその場になると、予想外の問題が発生すると思うが、
それはその都度、話し合って解決することにしよう・・・
とにかく、できることからやり始めよう…」

「ハイ・・、
何から何まで、本当にありがとうございます・・、
こんなことが本当に許されていいものか、今でも半信半疑です。
でも・・、今は旦那様の広い心におすがりして、
旦那様が決めていただいた殿方に抱かれることにします・・・」

深々と高が頭を下げています。その様子を慈愛に満ちた表情で次郎太が見つめています。

「もし・・、この先も今まで通り、
旦那様を裏切り続け…、
殿方との密会を続けていたら・・、

おそらく・・・、
私はその罪の重さと燃えるような情欲に責められて・・、
とんでもない罪を犯すことになっていたと思うのです・・・」

「・・・・・・」

妻の告白を次郎太は真剣な表情で聞き、時々深々と頷いています。

「私自身が、私の身体を信じることが出来ないのです。
それほど、私の情欲は獣じみているのです・・・。
旦那様のおかげで、自由に情欲を解放できることになりました。
でも・・、本当にこれで・・、良いのでしょうか・・・
こんな薄汚い女が旦那様の側に居てよいのでしょうか・・・」

「人並み外れて情欲が強いことをそんなに恥じることはない、
私はお前のその淫蕩なところに惚れているのだから・・・。
何も気にしないで、自由奔放に振る舞ってほしい・・、
それが私の希望であり、そんなお前を見るのが大好きなのだ」

「旦那様・・・」

堪えかねた高の瞳から大粒の涙が頬を伝って、膝の上に滴り落ちています。


[44] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(254)  鶴岡次郎 :2014/12/05 (金) 14:47 ID:9Gt.WO0E No.2622

高の肩に手をかけて、ポンポンと妻の肩を叩きながら、次郎太が笑みを浮かべて口を開きました。

「そうはいっても、お前が他所の男に抱かれるのは辛い・・、
そのことを考えると、気が狂うほど妬ける・・。
しかし、一方では、どこかで興奮していて、
お前が男達に抱かれて、狂っているのを直に見たいとさえ思うのだ・・・。
だから、男達と過ごした様子はその都度詳しく報告してほしい…。

おかしいだろう・・、私も変だと思う…、
夫の許しを得たとはいえ他の男に抱かれる妻と、その姿を見て喜ぶ夫、
お互い少し変わっているのだろうな・・、
少し変わった女と男・・・、
これから先も、お互いに助け合いながら暮らして行きたいと思っている」

「・・・・・・・」

高は何も言わず、ただ泣いていました。

「最後にこれだけは忘れないでほしいのだが・・、
どんなことが起きても、どんな局面になっても、
私が高を大切に思う気持ちに変わりないから、
どんな時でも、どんな難しい状態でも、
必ず私は高を守ることを約束する。

これから他の夫婦が知らない世界に入るのだから、
私には聞かせたくない問題がきっと起こるだろう・・、
どんな問題でも、どんなに恥ずかしい事情でも、隠さず話してほしい・・」

「ハイ・・・、よろしくお願い申します…」

涙をあふれさせて、高が次郎太に抱き付いています。次郎太がやさしく妻を抱きしめています。そして
二人は立ち上がり、二人の寝室へ向かいました。久しぶりの夫婦の交渉が始まるのです。間もなく、高
の喘ぎ声が、しのびやかに聞こえてきて、暗闇に吸い込まれていました。

若い隣人千春を前にして、江戸時代を舞台にした艶本「淫乱貞女」のストリーを説明をしてきた幸恵が
ここで一息ついています。コーヒー・カップを持ち上げ、美味しそうに喉を潤しています。

「なんだか出来過ぎの展開ね・・・・、
特に次郎太が出来過ぎた男だと思う・・、
非現実的だと思えるほどできた男だと思う・・。
こんな男は現在社会でもそうは見当たらない…。

そうは言っても、これ以外の解決策はないからね・・・、
多少安易な話の筋だと思うけれど、
ハッピィ・エンドということで我慢しますか・・」

千春が生意気な感想を述べています。

「おっしょるとおりだと思う・・。
父と妻の禁断の関係を目の当たりにしても騒がず、
妻から告白を受けるとあっさり浮気を公認した次郎太の行為は確かに不可解で、
不自然なところが多いと私も思う・・。

でもまだ話していないお高さんの過去を知れば、
その不自然さは多少薄まると思う・・」

「アッ・・、そうか・・・、
次郎太は高に関して何か予備知識を持っていたのね・・、
そう考えると、次郎太の不可思議な行動や思考が少し理解できる・・」

「さすがに色事の話になると千春さんは鋭いね・・。
この本の作家はちゃんとその疑問にも答えてくれているのよ・・・。

なぜ高が義理の父親に手を出すタブーを犯したのか・・、
そして、次から次と他の男にも手を出したのか・・、
夫、次郎太が妻の罪は彼女の体のせいだとあっさり認め、
むしろ、積極的に妻を男達に託することを決めたのか・・・、

そうした疑問にこの本はちゃんと答えを出しているのよ・・」

得意そうな笑みを浮かべた幸恵がまた話し始めました。女二人、艶っぽい話に少なからず興奮している
様子です。


[45] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(255)  鶴岡次郎 :2014/12/10 (水) 16:36 ID:yNfuRHto No.2623

北国の雄藩の下級藩士である佐伯次郎太は新婚妻を病で失い失意の底にいました。周囲の者は見かねて
彼に江戸詰めを薦めたのです。周囲の善意で江戸詰めを始めて三年経ちました。その頃には佐伯次郎太
は江戸の街にも慣れ、それなりの遊びも覚え、ここでの生活を大いに楽しむまでに回復していました。
もう彼の中では郷里で失った新婚妻の影はかなり遠い存在になっていたのです。

三年間の江戸勤めが終わりに近づき、帰国が決まったある日、一大決心をして、次郎太は江戸の女郎屋、
「菊の屋」の主、正衛門を訪ねました。

「そうですか・・・、
大和太夫を嫁にしたいと佐伯さんはお考えなのですか…」

正衛門は次郎太の話を一通り、黙って聞きました。次郎太は大和太夫を身請けしたいと申し出たのです。

「確かに、大和太夫は来月で年季が明けます。
十二歳でこの社会に入り、それから十年以上、良く働いてくれました。
本当に賢い子で、気立てもとってもいい子です・・・
佐伯様があの子を娶りたいとおっしゃるのを聞いても、それほど驚きません・・」

言葉とは裏腹に次郎太の申し出を聞いて正衛門は内心驚いていました。当時、女郎を妻に迎える男は珍
しいことではなかったのです。しかし、れっきとした主持ちの侍が女郎を妻に迎えるのは当時でも珍し
い事だったのです。正衛門は半信半疑の気持ちを拭い去ることが出来なかったのです。

「正直申しまして、佐伯様のお申し出は、大和太夫は勿論のこと、親代わりの私にとりましても、あり
がたいお話です。この場で無条件に承諾したい気持ちです・・・・・」

正衛門の言葉を聞いて、次郎太は喜びの表情を浮かべています。

「佐伯様・・・、
ここへはあなた様の一存で来られたのではありませんか・・・?
ご上司の方や、里のご両親とはよく相談されましたか・・・?」

「勿論・・、このことは誰にも話していない・・・。
私は一度結婚し、妻と死別しているので、私がやっと見つけた相手と再婚することは、だれも反対しな
いと思っている、それどころか大いに祝福してくれると思っている。それに・・・、ご亭主の了解が得
られれば、組頭と里の父親には報告するつもりでいる。たぶん・・・・、二人とも私の考えに同意して
くれると思っている・・」

何となく歯切れの悪い次郎太の返事です。

「佐伯様・・・、
あなた様は彼女が女郎であることを隠すつもりですね・・」

「・・・・・」

図星を突かれて、次郎太は口を閉ざして、ただ、正衛門を睨んでいます。

「悪いことは申しません・・・、
あなた様が信頼される方を選んで、今回のことを何も隠さず相談してください。
その上で、なお、佐伯様のお考えが変わらないと判れば、
私も真剣にこのお話を検討いたします…
それまでは…、今回のお話はなかったことにしたいと思います…」

正衛門がこう言い切って、凄みを帯びた瞳で次郎太を見つめています。次郎は返す言葉がありませんで
した。


[46] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(256)  鶴岡次郎 :2014/12/11 (木) 12:10 ID:pY0Ejyko No.2624

この日を迎えるまで次郎太は一年以上、なけなしの財布をはたいて大和太夫の元に通いづめ、彼女と身
請け話をする仲にまでなっていたのです。そして今日、廓の主人を訪ね、正式に身請け話を切り出した
のです。二つ返事で正衛門が承諾してくれると次郎太は考えていたのですが、意外にも彼は次郎太一人
の考えでは信用できないと彼の申し出を事実上跳ね返したのです。

来月に迫った年季が明ければ大和太夫は自由の身になるわけですから、それまで待てば廓の亭主の了解
なく二人は結婚できるのですが、次郎太はその道を選びませんでした。亭主の忠告に従い、上司である
組頭、須藤権衛門に事の次第をすべて明らかにして、相談しました。次郎太なりに廓の亭主の意図を理
解した上での行動だったのです。

次郎太の話を黙って聞いた須藤は、田舎から出た来た、世間知らずの若者が海千山千の女郎の手管に乗
せられたと受け取りました。当然の成り行きだと思います。しかし、その上司はよくできた人物で、次
郎太の話を頭ごなしに否定しませんでした。とにかく大和太夫と会いたいと言い出したのです。

直に彼女に会えば、次郎太には見えない女の本性を暴くことが出来ると須藤は考えたのです。彼女の色
々な欠点や、武家の妻としてふさわしくない条件を見つけ、それを具体的に上げ連ねて、次郎太を説得
することにしたのです。勿論、次郎太の嫁はしかるべきところから迎えるつもりで、日ごろから気にか
けていたので、この時点で既に、その候補者も複数人見つけていて、女郎のことを次郎太があきらめれ
ば、すぐに縁談を持ち掛け、帰国するまでに婚姻を済ませる腹を固めたのです。


大和大夫、本名、高は次郎太と須藤そして廓の主、正衛門を前にして、問われるままに、初めて彼女の
生い立ちを語り始めました。

高は北国小藩の下級武士のひとり娘として生まれました。貧しいながら両親の愛情をいっぱい受けて育
ちました。彼女が5歳の時、その地方を襲った流行病に罹り両親が亡くなったのです。高は幸い母親の
妹宅に引き取られました。叔母と叔父は三人の子持ちの貧しい下級武士でしたが、優しい人達で高を実
の娘同様可愛がりました。こうして12歳まで高は叔母と叔父の愛情をいっぱい受けて育ったのです。 

12歳の時、高の育ての父である叔父が肺の病に罹りました。高価な薬代を賄うため、家財をほとんど
売り尽くしましたが焼け石に水で、薬は勿論、滋養のある食事さえも十分に与えられない叔父は日に日
に衰弱して行ったのです。叔父が倒れれば、後継ぎが成人に達していない実家は絶えることになります。
何としても叔父の命をつなぐことが一家にとって必要になったのです。この一家の窮状を救うため、高
は自ら進んで苦界に身を沈めることにしたのです。高が身を売って得たお金が叔父を救ったのでしょう、
幸い二年ほどで叔父の病状は小休止状態に戻りました。

「叔父は二前に亡くなりましたが、病弱体質を理由に、弟が成人を迎えた5年前に家督を彼に譲って隠
居しておりましたので、一家は混乱することなく叔父の死を受け入れることが出来ました。その後、妹
二人は良縁を得て嫁に行き、皆が貧しいながら幸せに暮らしています。

弟は機会あるごとに手紙をよこしてくれていて、皆が私に感謝していると、今でも私のことを忘れない
でいてくれます。この店の年季が明けたら、実家へ戻るよう、母も弟は親切に言ってくれていますが、
私は戻るつもりはありません・・。

このまま、ここで一生を終わるつもりでいます・・・」

涙も見せず、高はたんたんと語りました。次郎太は勿論、廓の亭主も初めて聞く高の過去でした。高の
話は良く整理されていて、無駄がなく、須藤をはじめその場にいる者すべてが、彼女の並々でない知力
と教養を感じ取っていました。

「失礼ながら、次郎太へ出されたあなたの手紙を先日拝見しました。
文章も、文字も素晴らしい物でした・・。
また・・、この店の亭主殿から聞きましたが、和歌も茶道も師範級だとか・・、

そしてただいま聞かせていただいたお話・・、
お高さんが実家の皆様を救ったのですね・・・、
まだ子供だったお高さんのご決断に言葉が出ないほど感動いたしております・・」

須藤の言葉に高は恥ずかしそうに首を振っています。


[47] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(257)  鶴岡次郎 :2014/12/12 (金) 14:48 ID:a72mw.nw No.2625

廓の亭主によると、高は古今の書を読破していてその知識は良家の武家娘でも遠く及ばないほどなので
す。また、和歌の道、茶道の道を究め、その道でも 生活できるほどの腕前になっていたのです。女郎
をしながらそうした道を究めるには血のにじむような努力と強い意志力が必要なのです。

この縁談を壊すつもりでやってきた須藤は、落ちぶれた娼婦像を頭に描いて廓にやってきたのです、し
かし目の前にいる高は良家の妻女のような雰囲気をたたえているのです。須藤はやや足元をすくわれた
ような気分になっています。

〈予想に反して、素晴らしい女だ・・・。
清楚な美人で、廓育ちの陰はどこにも見当たらない・・・、
これなら武家の妻として、明日からでも大手を振って歩ける・・・

それに加えて、素人女では到底出せない色香がそこかしこに滲み出ている、
この色香で迫られたら、若い次郎太などひとたまりもなかったろう・・〉

目の前に座っている高は質素な普段着で、お化粧もほとんどしていません。それでいて匂うような色香
が、白い首筋、濡れた瞳、ふくよかな胸と臀部のラインから湧き上がり、須藤の男心を揺さぶるのです。

〈・・いやいや・・・、
見かけに騙されてはダメだ・・・、
所詮、廓の女だ・・・、
若い侍を色仕掛けで落とし、その妻の座を狙っているのは確かだ・・・、
美しい仮面の下に黒い本性が隠されているはずだ・・・

とはいっても・・、
未婚の女が妻の座を目指すのは当然のことだ・・、
我妻だって、初めて出会った時それとなく乳房をチラ見させたのだから・・
廓の女が、幸せを求めて、多少の仕掛けをしたとしても、
誰もその女を責めることはできないはず・・・〉

高の美貌と上品な雰囲気におされて、ともすればくじけそうになる気持ちを須藤は奮い立たせ、未熟な
次郎太が高の色香に溺れ、女の罠にうまうまと嵌ってしまったと思い込もうとしているのです。その一
方で、目の前にいる清楚な女を見て、また思い直したりしているのです。

「須藤様からそんなにお褒めの言葉をいただいて、
我が身を省みて、恥ずかしい気持ちでいっぱいです・・。

和歌や、茶道が少し出来ても、他のことは何一つ満足にできません。
12歳でこの世界に入りましたので、女として必要なお台所のことも・・、
お裁縫も・・、何もできません・・・。

こんな女が佐伯様の嫁として、勤まるとは思えません。
それで、佐伯様には何度もそう申し上げてお断りしたのですが・・・、
それでも良いからと、強く言われますので・・、

お慕い申し上げる佐伯様とご一緒に暮らせるなら、
どんな苦労にも堪えられると思って…、
厚かましいことですが、佐伯様の愛情に縋らせていただくことにしたのです・・。

須藤様がこの縁談は難しいとお考えなら・・・、
遠慮なくそう言ってください、
悲しいことですが・・、決して恨みに思いません・・・。
どんなに考えても、私が佐伯様に嫁ぐことなど、夢物語なのですから…。

幸い、菊の屋の旦那様から、
何時までもこの店に居て良いと言っていただいております。
他の世界で暮らす術を持ち合わせておりませんので、
生涯、この廓で暮らす覚悟は出来ています・・」

静かに、それでもはっきりと高は自身の心の内を須藤に話しました。


[48] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(258)  鶴岡次郎 :2014/12/14 (日) 17:14 ID:.E3.VxF6 No.2626

思っている言葉をすべて吐き出した高はじっと須藤を見つめています。須藤を見つめる高の濡れた瞳が
幾分強い光を放っています。

〈どうやら・・・、
私がここへ顔を出した時点で、全てを悟り、
お高さんは次郎太のことを既にあきらめているようだ・・・。

妻の座を狙って、次郎太を色仕掛けで落とした性悪女と思っていたが、
それはとんだ誤解だった・・、
お高さんは最初から彼の嫁になれるとは思っていなかったようだ、
次郎太が、先のことも考えないで惚れこんでしまって、
お高さんの心を乱しているのだ・・・。

ここで私がこの縁談に首を振っても・・、
次郎太が騒ぎ立てる可能性はあるが、お高さんは黙って引き下がるだろう・・。
多分・・、その解決策が一番常識的な判断だろう・・・。

しかし・・・、
無理筋と判っている女に惚れた次郎太の気持ちも大切にしてやりたい・・、
また、これほどの女を捨てるのはいかにも惜しい・・・
さて・・・、どうしたものか・・・・〉

お高に惹かれながらも、須藤は迷い続けていました。須藤は目を閉じて何事かじっと考え始めました。
その場にいる、廓の主人、高、そして次郎太がじっと須藤の顔を見つめ、彼の言葉を待っています。須
藤がいかなる結論を出しても、この場にいる者は彼の出した結論に従うつもりでいるのです。覚悟を固
めている高の表情は穏やかです。次郎太一人が落ち着きのない表情でみんなの顔をちらちらと盗み見て
いるのです。

「この話を次郎太から聞いた時、お女郎さんを嫁にするなどとんでもないことだと思いました。
それでも、頭ごなしにそれを言うと、恋に狂った若い者は何を仕出かすか判りませんから、
彼を説得し、この縁談を壊すことが出来る決定的材料を探す目的でここへ一緒に来たわけです・・」

高が微笑みを浮かべて何度か頷いています。彼女が予想した通りの須藤の言葉だったのです。次郎太が
目を剥いて須藤を睨んで何か言い出しそうなそぶりを見せています。右手を振って次郎太の言葉を抑え
込んで、須藤はゆっくりと口を開きました。

「お高さんに会い、親しくお話し合いをして、良く判りました…。
次郎太がお高さんに惚れた理由が良く判りました。
今は・・・、良く惚れたと褒めてやりたい気分です。
私からもお願いします。次郎太の嫁になってやってください・・」

びっくりした表情で須藤を見つめる高、信じられない言葉を聞いたお高はとっさに言葉が出せない様子
です。

突然・・・、大粒の涙がきれいな瞳から溢れ出ています・・。

〈・・・なんと美しい表情だ・・・、
こんな女が自分のモノになるのだったら…、
私は・・、今の身分も、家庭も、全部・・・、捨てても良い・・・

おっと・・・、危ない・・、危ない・・・、
女は怖い・・、その気がなくても男を狂わせる魔物だ・・・・〉

高に見つめられ、彼女が出す大粒の涙を見た須藤は慌てています。年甲斐もなく胸をときめかせている
のです。次郎太もじっと高の表情を見つめています。彼もまた、必死で涙を押さえているのです。

「ご亭主殿・・、お高さん・・、
次郎太の申し出を受けていただけますね…」

「ハイ・・・、
ありがたくお受けいたします…」

廓の亭主と、高が深々と頭を下げて快諾の言葉を出しています。

「・・となると・・・、
これで御両家の縁談がまとまったことになります。
次郎太、お高さん、おめでとう・・・」

須藤が二人に祝福の言葉を言い、二人が深々と頭を下げています。


[49] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(259)  鶴岡次郎 :2014/12/15 (月) 11:35 ID:9tNHIVtY No.2627

須藤は上機嫌で若い二人を交互に見ています。見れば見るほど似合いの二人なのです。それでも須藤は
手放しでは喜べない複雑な思いを噛み締めていました。

女郎と主持ちの侍、普通でない婚姻を決断した二人には、この先、たくさんの苦難が待ち受けているは
ずです。二人のために出来限りのことをする気持ちを須藤は密かに固めていました。そして先ほどから
考えていることを実行に移すべく、口を開きました。

「それで・・・、これからの段取りですが・・、
お高さんと、ご主人さえ異論がなければ、
お高さんを須藤家の養女に迎え入れ、
須藤家から嫁に出してはいかがかと思っているのですが・・、
いかがなものでしょうか・・・?」

「そうしていただければ、これ以上のことはありません…、
何から何までご配慮いただき感謝の言葉もございません・・」

廓の亭主が頭を何度も下げて感謝していました。高は感激で言葉も出せない様子です。次郎太は須藤に
深々と頭を下げて感謝しております。須藤家の養女になれば、お高のことを誰も女郎出身の女だとは思
いません。全てがリセットされ、高は晴れて武家の娘として柏木家に嫁入りするのです。

須藤が上機嫌で廓を出た後、菊の屋の主人、正衛門が次郎太を一人別室へ連れて行き、次郎太が席に着く
や、真剣な表情を浮かべ語りかけました。

「あの娘(こ)は、12歳から10年以上、数知れない男に抱かれてきました。
男に抱かれることがあの娘(こ)の生活のすべてだったのです。
それで、普通の女に比べて、かなり異質な貞操観念を持つようになっています。
このことはよく承知おきください・・」

「勿論、女郎を嫁にするのだから、昔の男関係をとやかく言うつもりはない・・」

「柏木様…、そうではないのです・・!
過去の男性経験を責めないようにしていただくのは勿論ですが、
私が申し上げたいのは、過去のことではないのです・・、
婚姻後に起きるであろう問題についてです・・・」

廓の亭主のやや強い調子の言葉に次郎太がすこし驚いています。

「こうした稼業をしておりますので、私はたくさんの遊女を一般家庭へ主婦として送り出してきました。
そして、必ずと言っていいほど、彼女たちが遭遇する問題を、たくさん見て来ました・・・」

ここで廓の主人は言葉を止めて、じっと次郎太の顔を見つめました。何を聞かされるのか皆目わからな
い表情を浮かべ次郎太は主人の顔をぼんやりと見ていました。


[50] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(260)  鶴岡次郎 :2014/12/16 (火) 15:00 ID:2zAc321Q No.2628
次郎太の顔をじっと見つめて、おもむろに亭主は口を開きました。

「ここでは男に抱かれることが女たちの生活の全てです。
男達によって刻み込まれた記憶が・・、
彼女たちの心と体にずっしりと残るのです。

それはどんなことをしても拭いきれないのです。
年季が明けて普通の生活に戻った時、
その傷跡が突然鮮明に女たちの中で疼きはじめ・・、
やがてその疼きは嵐のように彼女たちの体の中で暴れまわるのです」

「男たちに抱かれた記憶がいつまでも残っていて、
その記憶が家庭に入ってからも女の血を騒がせる・・・、
そういうことですか?・・・」

「ハイ・・・、どんなに足掻いても、
心と体に残された男達の記憶から彼女たちは逃げられないのです。

言い換えれば、嫁ぎ先でご主人に十分抱かれていても、
それだけでは、彼女たちは満足できない身体を持っているのです。
勿論、個人差はありますが、間違いなく、
一般の女たちとは比較にならないほど、彼女たちの情欲は強いのです」

「その話なら聞いたことがある。以前、遊び人の先輩から聞かされたことがある。客商売を長くしてい
た女と付き合うと、男を喜ばせる術をたくさん知っていて貴重だが、少しでもかまわないで放っておく
と、浮気に走り、とんでもなく男狂いするものだと教えられたことがある。だから、そうした女を妻に
することは勿論のこと、深い付き合いもしない方が良いと言われたことがある。

確かに・・、お高さんもそうした女の一人だと言える・・・。
その時は、私は・・、身を呈して彼女をかわいがるつもりだ、
これでも体力では人に負けない自信があるからね・・、ハハ・・・・・・」

酒の席での艶話を次郎太は思い出しているのです。高にも同じような問題が起きるだろうと次郎太は廓
の主人の言葉をその程度に理解したのです。しかし、この時点でも次郎太は問題の本質が判っていな
かったのです。廓の主人はそんな次郎太を哀れっぽい目で見つめ、さらに衝撃的な内容を告げたのです。

「柏木さん・・・、そんな生易しいモノではありません。
情欲が襲ってくると、ある者は自暴自棄になり、
手当たり次第に男を漁り始めます。

また、ある者は欲望と自制心の板挟みになり、
絶望して自分の肉体を始末することになるのです・・・。

この二つの道以外の生き方を彼女たちは選べないのです・・・・」

「えっ・・、何と言った…
手当たり次第に男漁りをするか・・、自害をするか・・、
お高さんには二つに一つの道しか存在しないと言うのか・・
私がどんなに頑張っても、それでは焼け石に水だと言うことなのか・・」

「ハイ・・・、
廓を出て嫁いだたくさんの女達を見て来た私は・・、
そう理解しております・・・・」

「・・・・・・・」

次郎太が両膝を握りしめ、絶句しています。何かに必死に耐えている様子です。


[51] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(261)  鶴岡次郎 :2014/12/17 (水) 14:25 ID:mqphDUQs No.2629

思ってもいなかった話を聞き、うな垂れている次郎太を覗き込むようにして廓の亭主がやさしく声を掛
けました。

「佐伯様・・・、大丈夫ですか…、
もし・・、私の話を聞いて気が変わり、婚約を解消されるのなら、
それはそれで残念ですが、今なら太夫も受け入れると思います・・」

廓の店主がやさしい口調で、それでも本気で訊ねています。

「ご親切なお言葉に感謝する・・・。
少しびっくりしただけです・・。
お恥ずかしいところを見せました…」

うな垂れていた姿勢を正し、次郎太が店主の目をまっすぐに見ています。この店にやってきた時のよ
うに、これから大事を成すと決めた決意が漲った表情を取り戻しています。

「正直申しまして・・、
ご亭主の今の話は予想もしておりませんでした・・。

話を聞いた今でも…、
結婚後、起きるであろう事実を・・、
現実問題として受け入れることはできないのです。

しかし、ご心配は無用です・・・。、
お高さんを娶る決意は変わりません…、
話を続けてください・・、
全てを聞きたいのです・・・」

廓の主が大きく頷いて、ゆっくりと語り始めました。

「燃え上がる情欲と強い貞操観念の板挟みになって、死を選んだ女の話はあまりにも哀れで、これ以上
詳しく話す気にはなりません。ただ、一つだけ申し上げておきたいことがあります。もし、彼女たちの
夫がもう少し思慮深く、愛情が深ければ、何人かの女は死ななくて済んだと思います。

佐伯様には私の言わんとすることがお分かりいただけると思いますが・・、
もし・・・、お高さんが追いつめられるようなことがあれば、
死を選ぶ前に彼女を自由にしてやってほしいのです・・・」

次郎太が黙って頷いています。

「多くの女は死を選ぶほど腹が出来ていません・・・、
いえ・・と言うより、多分・・・、
浮気をすることが、それほどの罪にならないと思っているのです。

身体の要求するまま、男漁りをすることが、当然とまでは思わないものの、
その行為を一般の女性が考えるほどの大罪だとは思わないのです・・・」

次郎太の表情を見ながら、彼の反応を確かめながら亭主は話しています。次郎太の表情は変わりません、
亭主の話に驚いている様子でもなく、かといって、彼の話を頭から信用しない様子でもないのです。耳
を傾けて真剣に聞いているのです。

「男漁りの道を選んだ女たちは抑えきれない情欲に誘われるまま、手近に居る男に手を出します。
それが、舅であったり、義理の兄弟であったり、とにかく男なら誰でも良いのです。

普通の女であれば、その罪を犯せば死を覚悟せざるを得ないような相手でさえ、欲望を優先してその男
に手を出すのです・・・。

こうした行為に走る女たちが何を考え、どんな言い訳を自分に言い聞かせ、近親相関という忌まわしい
禁断の行為に走るのか、正直言って、いまだに私は理解できていません・・・。

ただ、たくさんの事例を見てきた私が、彼女たちの行為を知り、その時いつも驚かされる事実がありま
す。それは、彼女たちの罪悪感が薄いことです。忌み嫌われる近親相関の大罪さえ犯しておきながら、
彼女たちはそれほどその行為を悪いと思っていないのです」

廓の亭主は次郎太の表情を見ながら、言葉を選び話しています。次郎太が亭主の話を少しでも信用して
いない様子を見せれば、その場で話を終わるつもりでいるようです。しかし、次郎太は異論を唱えず、
素直の態度で亭主の話を聞いています。


[52] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(262)  鶴岡次郎 :2014/12/18 (木) 15:28 ID:0KIewlNA No.2630

亭主は次郎太の態度を良しと考えたのでしょう、この男なら亭主のいかがわしい話を正しく受け止める
ことが出来ると感じたのでしょう、彼が持っている情報を時間の許す限り伝えるつもりになっています。

「物心ついた時から、男に抱かれることが生活の全てであった彼女たちは、たくさんの男に抱かれるこ
とにそれほど罪悪感を持たないのです。罪悪感どころか、性交することで彼女たちは安らぎを受け、悩
みを克服する勇気がそこから沸き上がるのだと思います。

言い換えれば、彼女たちにとって、男に抱かれることは生きるための一番大切な手段であり、活力源な
のです。性行為が彼女たちの生活の原点なのです・・・。

ですから・・・」

「ご主人・・、あなたの言われることは大体判りました・・、
お高の体に染みついた、淫蕩な性癖はある程度まで理解できました・・」

廓の亭主の言葉を遮り、次郎太が声を出しました。

「それで・・、私は何をすればいいのですか・・・。
はっきりと、具体的に指図してください・・。
出来るかどうか判りませんが・・、
お高さんのため、私は全力を尽くしたいと考えています・・・」

長い廓生活でお高の体に淫蕩な習性が染みついているところまでは大体理解した次郎太が、なかな核心
に入らない亭主の話に少し焦れています。遠慮してはっきりとした要求を中々口に出来ない亭主に注文
を付けているのです。

「さすが、佐伯様です。私がこの方ならと見込んだお方です。
そのご質問を実は待っていました…」

話の展開を模索していた亭主は次郎太の質問を得て喜んでいます。

「大和太夫が・・、
いえ・・、お高さんが他の男に手を出すようなことが起きれば、
その時は、私が今まで話したことを良く思い出してください・・・。

男に手を出したのは、勿論、その男に惚れたわけではないのです。
あなた様を裏切るつもりなど、端からお高さんにはないのです。
言ってみれば、それはお高さんの持病なのです」

「病気だと・・・・・・・・?」

「はい・・・、その通りです。病気に罹っているのです…。
病気であれば、治療する必要があります。彼女の体が男を欲しているのですから、
無理に抑え込むと病気は悪化します。適当に男を与えることが必要です。

勿論、妻が他の男に抱かれることは耐えがたいことです。
堪えがたい思いは、お高さんにとっても同じことです、
病気とはいえ、他の男に抱かれるのは、大切な旦那を裏切ることになり、辛いことだと思います。

お高さんを愛し、生涯、妻として彼女を大切にしていただく覚悟がおありなら、
お高さんの望むまま男を与えてください。
そしてここが大切なことですが、その秘密をあなた様が守り抜くのです。
決して、そのことで、お高さんが周りの者から後ろ指をさされることがあってはならないのです」

「・・・・・・・」

大変な話なのですが、次郎太は驚きもせずじっと耳を傾けています。

「よろしいですか、くどいようですがもう一度繰り返して申し上げます。
関係した男達と共謀して、あなた様がお高さんの秘密を守り切る限り、
あなた様ご一家の安泰は保証されると思います。

あなた様の寛大な愛情に応えるため、お高さんはあなたに全力を尽くして奉仕すると思います。
十数年、廓で磨き上げた女の技を惜しみなくあなた様に注ぐのです。
あなた様は男としてこの世で望みうる最上の悦楽をお高さんより与えられることになります。

私の話を理不尽なありえないお伽話だと思わないで、信用してください。
頑張れば、きっと素晴らしい未来が広がると思います・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

あまりの話に次郎太は絶句していました。しかし、次郎太は決して絶望していませんでした。むしろ、
女郎を娶った以上、このようなことは起こりうることだと比較的冷静に受け止めているのです。


[53] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(263)  鶴岡次郎 :2014/12/22 (月) 16:50 ID:.46Wq8vU No.2631
一年近く廓に通い詰めるあいだに、最初は次郎太が惚れこみ、ついで彼の熱意と誠実な人柄に高が陥落
し、二人は将来を約束するまでになったのです。
女郎に惚れたということは、最愛の女が他人に抱かれることを黙って受け入れることが絶対条件なので
す。こうした関係を一年足らず続けた結果、自分の知らないところで最愛の女が他の男に抱かれ、悶え狂
っていることを事実として受け入れる習慣を次郎太は、知らず知らずの間に身に着けていたのです。

最愛の女が他の男に抱かれるのを受け入れることに慣れると、次郎太の感情は次の段階に発展していまし
た。一時間前、明らかに他の男に抱かれたお高を抱いて、見知らぬ男が残した愛欲の残骸をお高の中に見
つけて、次郎太はどうしたことか、すごく興奮するようになっていたのです。こうした下地があったから
こそ、次郎太は廓の亭主の話を黙って受け入れることが出来たのです。

「ご亭主殿、ご親切なご助言痛み入ります。お話の内容はよく理解できました。決して歓迎することでは
ありませんが、そのことでお高さんを嫌いになったりしません。お高さんの様子をよく見て、彼女が一番
安楽に暮らせる道を探します。彼女とはどんなことがあっても生涯離れないことを約束します・・・」

廓の亭主は感動で涙を流して、次郎太の両手を握って、何度も、何度も頷いていました。


「そんな事情があったのね…、
お高さんが男を欲しがるのは病気だと解釈したのね…
その考えはある意味で当たっているかもしれない…。
欲望が襲ってくるとどうしょうもなくなるのだから…、

それにしても、病気だと割り切ってお高さんを自由に泳がせながら、
その一方で、妻を深く愛し続ける次郎太はりっぱだね・・・

あっ・・・、もしかすると家の旦那も・・・・・
あっ・・・、そうか、そうなのね…、
幸恵さん…、家の旦那も同じだと判って、私にお高さんの話を聞かせたのね・・

幸恵が黙って頷き、千春がにっこり微笑んでいます。


独身時代、千春もまた裏の仕事で売春稼業をしていたのです。千春は彼女の表の仕事場である高級靴店で
浦上三郎と出会い、互いに一目ぼれをして結婚しました。長女を出産し、その子が幼稚園に通い始めたご
ろまでは絵にかいたような平和な生活が続きました。ところが、その頃から千春は耐えがたい情欲に襲わ
れるようになったのです。

尋常でない情欲の嵐を受けた千春はこの事態を夫に隠し通すことはできないと悟りました。離婚を覚悟し
て、千春はデルドーを使って強い欲望を散らしている痴態を夫に見せつけました。夫に痴態を見せること
で自身の体に起きた異常を知らせることにしたのです。

千春の夫、浦上三郎は驚きながらも、慌てふためくことはありませんでした。佐王子から、いずれ千春は
男狂いを始めると予告を受けていたのです。その予告うけて5年後に、その予告通りの現象が発生したの
です。三郎はためらわず佐王子にそのことを告げ、協力を依頼しました。

浦上から千春の事情を聞いた佐王子はとりあえず昔の愛人関係を復活することにして、千春の情欲を散ら
すべく、夫公認で定期的に千春を抱くことにしたのです。

浦上三郎がつらい決断をして佐王子に千春を預けた経緯がお高さんと同じであることを、千春に教えた
かったのだと、千春ははっきりと悟っていました。そして、いまさらのように夫、浦上三郎の大きな愛
情を千春は実感していたのです。(1)


[54] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(264)  鶴岡次郎 :2014/12/24 (水) 17:00 ID:7FiYXeNc No.2632
記事番号2631に修正を加えました((1)1950_12_24)


「それでね、お話はまだまだ続くのよ・・・。

お舅さん、義弟の三郎太にはご主人が事情を話して、お高さんを抱くことを要請した。事情が呑み込め
なくて最初は尻込みしていた二人だったけれど、事情が分かってくると、決して嫌なことではなく、む
しろ歓迎すべきことなので、男二人は喜んでお高さんを抱くことにした。

こうして、お高さんは同じ家に住む三人の男に交替で抱かれることになった。月の障りがある日以外、
お高さんはいつも誰かを受け入れ、女の喜びを満喫することになった。

一方、男三人は互いに嫉妬しながらも、一人で彼女を独占することは難しいことを良く知っているし、
お高さんが三人の男に分け隔てなく優しく接したから、表面上、三人は争うことをしないで、女の気を
引くことで競い合った。

こうして、一人の女を巡って、あの手この手を使って、三人の男が女の気を惹こうと努力するのだから、
女にとって、ある意味理想郷が出来上がったことになる・・・」

「凄いね…、
家の中では男三人が夜の相手をしてくれて・・・、
外へ出ると十数人の詩吟の会のメンバーから選り取り、見取りでしょう…、
作り話だと思っても、うらやましい・・・。

でも・・・、
詩吟の会のメンバーは夫である次郎太さんを何と思うだろう・・
きっと、『寝取られ旦那』と、蔑んでいるのかもしれない・・」

「それがね…、
次郎太さんの評判は悪くないのよ・・・、
それどころか、お高さんを嫁にしてから、彼はトントン拍子で出世することになるの、
お高さんは彼にとって、飛び切りの「上げまん」だったの・・・」

千春の顔を見てにんまり微笑んで幸恵はこの物語の続きを話し始めました。


通常、人妻と情を通じた男は、その人妻を落としたことを密かに誇りに思い、人妻の夫を腹の内であざ
けったりするのですが、それは男の力が女の力を上回っている時に限るのです。

お高と情を通じた侍達は、圧倒的なお高の女子力を体感すると、自分達がお高を弄んでいるのではなく、
男達がお高の遊び相手にされていることを直ぐに悟るのです。男に抱かれるお高の様子には悪びれたと
ころがなく、ただひたすら喜びを追い求めているのです。そして、やがて・・・、男たちはお高の夫で
ある柏木次郎太の狙いに気付くのです。

〈これほどの女だ、夫一人で満足できるはずがない・・。
彼女の夫はそのことを悟り、妻を自由に泳がせているのだ。
深い愛情がなくては出来ないことだ。
まさに男の鑑だ・・
とても私にはできないことだ・・・・〉

男達はお高の夫、次郎太の立場を理解し、彼を蔑むどころか、逆に、最愛の妻に大きな愛情を注ぐ次郎
太に尊敬に近い感情を抱くようになっていたのです。

「あら、あら、すごいね・・
圧倒的な女子力が男達の思考にも影響を与えたのね・・・」

「旦那様の次郎太は勿論立派な人だけれど、お高さんだって偉いのよ・・。

彼女はどんな男から声を掛けられても、事情が許す限り『嫌』と言わないのよ、言い寄ってくるのは恰
好のいい、若い男達ばかりとは限らないからね、中には禿で、脂ぎったおっさんもいたはずだけれど、
お高さんは愛想よくそうした男達と付き合ったのよ。

一方、こんな乱れた男漁りをしながら、お高さんは陰日向なく働いた、
頭が良くて、人付き合いも良かったから、
周りの女たちの評判も上々の貞女だった・・・」

「そうなの…、見習わなくてはいけないわね・・・

ところで・・、幸恵さん・・・・、

お高さんの話を聞いていて・・・、
私・・・、心配していることがある…
それは私自身の心配とつながるのだけれど・・・・」

それまでのにやけた表情を引き締めて、少し真面目な表情に戻り、千春が不安を口にしています。


[55] フォレストサイドハウスの住人たち(その9)(265)  鶴岡次郎 :2014/12/27 (土) 10:22 ID:m7g1CiKY No.2633

「その淫乱貞女の老後は酷いモノでしょうね・・

歳をとって魅力がなくなれば・・、
男達から振り向かれることも無くなり、
旦那にも嫌われ、子供から蔑まされ・・・、

結局一人で暮らすことになり、やがて寂しく死を迎える・・・
好き勝手をやってきた女だから、仕方がないことだけれど・・、
それでも、やっぱり寂しいね・・・」

我が身の将来と照らし合わせて、千春が沈んだ声で質問しています。

「そうでもないのよ・・、
結論から先に言うと、80歳を超える天寿をお高さんは全うするのよ・・・。
子供を8人生み落し、その子供たちを全員立派に育てあげるの・・・。
勿論、全部の子供が彼女と旦那様の実子として育てられた・・・」

「・・・・・・」

千春は目をいっぱいに見開いて幸恵を見つめています。彼女自身の将来に一筋の光明を見つけ出したの
かもしれません。

「下級武士だったお高さんの旦那は、お高さんとの結婚を機に、仕事の上でいろいろな幸運に恵まれて、
次第に頭角を現して、藩の重役まで上り詰めることになる。もともと才能があり、人徳の高い人だった
のは確かだけれど、お高さんが藩の重役の何人かと関係を持ち、明らかにその男達の種だと判る子供を
産んだりもしていたから、次郎太は人事面でかなり厚遇を受けることになったのも確かね・・・。

こうして経済的にも恵まれた環境を手に入れたお高さんはその淫乱性にますます磨きをかけ、数多くの
男を受け入れることになった。生理が上がった後も、彼女の男漁りは衰えなかった。死の床に就いた一ケ
月以外、彼女は男を迎え入れることを止めなかったと言われている。

彼女の葬儀には、子供たちをはじめ、関係した男達がたくさん参列し、盛大なお葬式になった。そして、
彼らは心から感謝の気持ちをささげたと言われている。彼女の死を見届けた夫、次郎太は、『彼女は地
上に降りた天女でした・・』と語った・・・・と、その本は最後に語っていた・・・」 

「いいお話ね・・・」

「ところで、この話には女にとってたくさんの教訓が含まれているけれど、
千春さん…、
この中で一番大切な教えは何だと思う・・・・?」

「・・・・・・・・?」

「判らない…?」

「・・・・・・」

「私は思うの・・、このおとぎ話の中で一番大切な教訓は・・・・、
それはね…、
お高さんが、どんな境遇でも、どんな時でも、
全ての男に感謝の気持ちを持ち続け・・、
すべての男を愛し、中でも旦那様を心から愛したことだと思うの・・、

私はそう・・、考えている…、
そして、私自身もそうありたいと願っている・・・
頭では判っていても、なかなか出来ないことだけれどね・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

幸恵が言いたいことを千春は敏感に察知していました。旦那と佐王子、そして千春の上を通り過ぎるす
べての男たちの大きな愛情に感謝の気持ちを忘れないようにせよと、幸恵が千春に言っているのです。

「あなたから聞いた佐王子さんとの関係・・・、
私には十分理解できないことだけれど・・、
私はどんな時でもあなたの応援団になると決めている、

私に出来ることなら何でも言って・・、
出来る限り、あなたを応援するから・・・」

「よろしくお願いします・・」

この日以来、千春と幸恵の関係はさらに強いものになりました。実の親子の関係でも彼女たちの関係に
かなわないと思えるほどの仲になったのです。


[56] 新しいスレへ移ります  鶴岡次郎 :2014/12/27 (土) 10:36 ID:m7g1CiKY No.2634
新しい章を立てます。ここまでで今年の投稿を終わります。今年一年、ご支援いただき感謝申し上げます。
来年もよろしくご支援ください。末尾ながら、来るべき2015年が皆様にとっていい年になりますことを心
から祈念いたしております。 ジロー



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