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フォレストサイドハウスの住人達(その14)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2016/05/10 (火) 15:31 ID:T6I9F1Dg No.2851
浦上千春はその日、夫、浦上三郎と長男の三人で泉の公園内を散歩していました。偶然、トラックの
荷下しをしている山口と遭遇しました。山口とは何度か5Pなど乱れた遊びをした仲なのです。夫に
事情を説明し千春は山口と二人きりになりました。自然の流れで公園内に停めた山口のトラックの中
で、千春は山口と昼下がりの情事を展開することになりました。その光景を通りがかった由美子に見
られたのです。

恥ずかしい光景を見られて、千春と山口は大いに慌てましたが、由美子の反応は若い二人の予想を超
えてかなり好意的なものでした。二人の情事が秘められた浮気行為だと気づいていながら、若い二人
の熱い情事を由美子はむしろ祝福する姿勢を見せていたのです。そんな由美子を見て、千春は由美子
の中に彼女自身の中にも存在する女の業に似たものを嗅ぎ取っていたのです。

あの日恥ずかしい光景を見られた婦人のことが千春の頭から離れなくなっていました。由美子に会い
たい・・、その気持ちが千春の中で日に日に強くなっていました。山口と情事に耽った公園で待ち伏
せを続けること一週間、ついに千春は由美子と再会できたのです。由美子に案内されるまま千春は彼
女の親友、三津崎愛の経営する公園側にある売店へ行きました。その売店の中で女三人、大いにガー
ルズトークを楽しむことになったのです。

話を進めるうちに、目下、千春の情人であり、その上人生の大恩人である佐王子保と由美子の間に深
い関係が存在することに千春は気が付くのです。尊敬する人生の先輩由美子と、これまた大恩人であ
り恋人である佐王子の色恋模様に千春は無関心を装うことはできません。タブーだと知りながら、二
人の馴れ初めからその後のことが聞きたいと千春は由美子に懇請するのです。果たしてどんな話が由
美子の口から出るのでしょうか・・。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
  します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
 ていただければ幸いです。


[32] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(487)  鶴岡次郎 :2016/07/27 (水) 16:07 ID:bFrLtGJ6 No.2885

「佐原さんから教えられたのでもなく・・、
マンション内をキョロキョロ覗きまわったわけでもない・・、
今の今まで、佐原さんと千春さんを結び付ける証拠は何も掴んでいなかった、

それが・・・、千春さんと佐王子さんの関係を聞いて・・、
突然・・、閃いた・・・。
一つの謎が解けると、後は簡単だった・・・。
どう・・、名探偵由美子の話をもっと聞きたい…?」

由美子が二人の女の表情を見ながら少し威張って見せています。二人の女が笑いながら頭を下げてい
ます。判ったから早く話せと背ついているのです。

「それでは謎解きをするわね・・・」

由美子がゆっくり語り始めました。


佐原と由美子、愛が知り合いになって、二、三ヶ月経った頃でした。その頃には、佐原も喜んで歓迎
しますし、彼との会話が楽しいので、休日になると二人の女は気軽にマンションを訪れるように
なっていたのです。

その日、由美子と千春はいつものように連れだって佐原の自宅へ向かいました。マンションの入り口
で案内を請い、佐原が部屋の中でキー操作して玄関ゲイトを開けます。住人がゲイトを開けない限り
何人もそのマンションには入れない仕組みになっているのです。

45階建てのビルで、3階以上が住宅に使用されているかなり大きなマンションで、各階に50室が
あります。佐原の居る十六階までエレベータを使います。エレベータを出るとエレベータホールで
す、そこから各部屋を結ぶ廊下が伸びていています。廊下は原則ビルの中心部に作られていて、各部
屋はすべてビルの外面に接しているので、どの部屋からも、街の景観を楽しめるようになっていま
す。特にビルの南側が公園ですから、公園に面した部屋は人気があるのです。

二人がエレベータを出ると、佐原が玄関ホールで待っています。佐原を先頭に、愛、そして最後尾に
由美子が、少し薄暗い廊下を歩きます。めざす1613号に近づいた時、佐原家の隣の家、1614
号室前を最後尾の由美子が通りすぎた直後、扉が内側から開けられて・・、誰かが部屋から出てきま
した。

「振り返るのも行儀が悪いし、ただ気配だけを感じ取っていた。
その男性が・・、そう・・、明らかに男性の気配だった…」

「その時私も一緒だったはずだけど・・・、
私は何も感じ取れなかった…」

「その方はすさまじい男の精気を発散していた・・。
恥ずかしいけれど、女の芯がくらくらと来て、濡れだすほど感じていた・・・、
振り返ってその男の顔を見たい欲望を必死で抑えていた・・・・」

「・・・・・・」

千春と愛があきれた表情を浮かべ由美子の話を聞いています。勿論、男の精気を感じ取ることが出来
る由美子の特殊能力を愛は良く知っています、しかし千春は知らないはずです。

背中で男の精気を感じ取り、濡れ始めたと言う由美子の表現はまともではありません、それでも千春
は黙って耳を傾けているのです。ここで下手な質問を発すると、由美子から失笑されると警戒してい
るのでしょうか・・、あるいは由美子の特殊能力にそれほど驚いていないのでしょうか・・。

「この男はただ者でないと思った…、
でも・・、彼のことを佐原さんに聞くわけにはゆかないし、
気にはなるけれど、彼のことは忘れるともなく、今日まで忘れていた…」

ここでコップを取り上げ、中の冷たい水を一気に飲み干しています。妖しくうごめく白い喉を愛と千
春がじっと見つめています。早く話の先が知りたいのです。


[33] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(488)  鶴岡次郎 :2016/08/01 (月) 16:04 ID:AsyGzxic No.2886

「千春さんの話を聞いた時・・・、
はっと、ひらめきが走った…・、
すさまじい精気を発散させていたあの男の正体は・・・。
もしかしたら、佐王子さんでは・・と思った・・
彼が佐王子さんであれば・・・・、
彼が出てきた家は千春さんのお宅である可能性が高いと思った…」

「・・・・・」

愛がびっくりして千春の顔を見ています。千春は冷静な表情です、由美子の話の先が読めているの
でしょう。

「そんな偶然あり得ないと思ったけれど・・・、
冷静に考えれば・・・、
彼ほどの精気を持った男は世の中にそんなに多くないからね・・
あの男が佐王子さんであってもおかしくないと思いなおした・・・
それで、失礼だとは思ったけれど・・、
千春さんに思い切ってかまをかけた質問をした・・」

「由美子さんには何も隠せませんね・・・、
ご推察の通り、その男は佐王子さんです…。
そして、佐原さんの隣家が私の家です・・・・」

「誰からも教えられていない千春さんのお家を由美子さんが見事言い当てた時には驚いたけれど、
こうして種明かしを聞けば意外と簡単なことだったのね・・・、スケベーな由美子さんが佐王子さ
んの精気を感じ取ったのが始まりだった・・」

愛が感心した表情でつぶやいています。そして、何事か気が付いた様子で、声を高めて言いました。

「それにしても・・、不公平だとは思わない…?
由美子さんは男の精気感じ取って濡れ始めていたと言うのに、
一緒に居た私は何も感じ取れなかった・・・、
同じ女に生まれてこんな不公平なことがあってはいけない・・・
神様に文句を言いたい・・・・」

愛が憤慨し、由美子が艶然と笑っています。愛の憤慨ぶりを見て千春も笑っています。

「笑っているけれど・・、千春さんは腹が立たないの…?
エッ・・・、まさか・・、千春さんもなの・・・、
同じ能力を持っているの…?
男のアレが勃起しているのを感じ取れるの・・・・」

「ハイ・・・、私も・・、時々・・、
これがそうかな・・と、漠然と感じることがあります…。
特に・・、スケベーな気分になった時は・・、
敏感に男の精気を感じることが出来ます・・」

「へぇ…・、そうなの・・・
お二人ともすごいね・・・」

愛が感嘆の声を出しています。

「お二人には男根の様子が手に取るように見えるのね・・・、
それじゃ・・、普通の女は到底、かなわないよ・・」

男性の精気を離れた場所に居ても感じ取ることが出来る上、興奮した男性の勃起状態を、その姿を透
視しているように正確に由美子は察知できるのです。千春はどうなのでしょう。もう少し、修行を積
めば由美子の域に到達するのかもしれません。

「この能力は女なら誰でも持っていると思っていました…。
そんなに珍しいものなんですか・・・」

真面目な表情で千春が愛に聞いています。

「そうだよ・・、とっても珍しい能力だよ・・・、
あなた方は特殊能力の持ち主だよ、
女の誰もがそんな力を持っていたら・・、
スケベー女が手当たり次第勃起した男を襲うようになって、
きっと、世の中は乱れると思う・・・」

「あら、あら・・、そんなことになったら大変・・・」

三人の女がまた大笑いしています。


[34] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(489)  鶴岡次郎 :2016/08/03 (水) 14:55 ID:dxjp7rlE No.2887

「それにしても驚きました・・・・、
愛さんも、由美子さんも、お隣の佐原さんとお知り合いなんて・・・、
本当に奇遇ですね…」

千春が本当に驚いた表情で無邪気に笑っています。

千春が佐原家の隣人だという由美子の懸念は的中したのです。表面上は笑みを浮かべていますが、
由美子は少し迷いを抱えていました。そして、迷った末に結論を出していました。千春とはこれか
ら先も親しく付き合うつもりですが、この事件については軽々しく話題にすべきでないと由美子は
決めたのです。隣人ですから、あるいは幸恵失踪事件について千春は何らかの情報を持っているか
もしれませんが、千春から先に話題を出さない限り、由美子からこのことを話題にしないと決めて
いたのです。

一方・・、千春は千春で、由美子と愛が佐原家と付き合っていたことを知ってびっくりしながらも、
どこまで佐原家の事情を知っているのか・・、知らないのなら、どこまで事実を二人に話していいも
のか・・、千春なりに悩んでいたのです。

幸恵の失踪を手助けし、佐王子の店を紹介したのは千春です。そして千春も少し遅れて幸恵と同じ店
のソープ嬢となり、幸恵の借りているアパートで一緒に男遊びをする仲になっているのです。

千春自身のことは二人には何も隠すつもりはないのですが、こと幸恵に関しては事実を話すことはで
きないのです。佐原家とはただの近所付き合いの仲だと二人には話そうと、千春は腹を固めているの
です。女三人、こと佐原家に関しては互いの腹の内を探り合う対決になっているのです。

「佐原さんの奥様はよくご存じなのですか…」

由美子がそれとなく探りを入れています。

「ハイ・・、
実の娘のように可愛がっていただいております・・。
家の子なんか・・、私より幸恵さん・・、奥さんの名前ですが・・、
幸恵さんの方が良いというのですよ・・・、
今日だって、私の勤めがある日ですから・・、
幼稚園から帰ったらまっすぐ幸恵さん家に行っているはずです・・」

「千春さんがお勤めの時は幸恵さんがお子さんを預かることになっているのですね、
まるで実家の母親のようですね・・、うらやましい・・」

「由美子さんのご実家は…?」

「母は私が結婚した年に亡くなりました…」

「それは失礼しました…、お寂しいですね・・」

どこまで行っても、由美子と千春の会話は核心に迫りません。傍で聞いている愛は事情がある程度
読めるだけにイライラしています。愛が覚悟を決めました。

「幸恵さんと、千春さんは同じ店にお勤めなんでしょう・・?」

「・・・・・」

「・・・・・・・」

愛の爆弾発言に由美子も、千春も目を見開き、あぜんとしています。そして、突然二人は笑い出した
のです。かなり大声で笑い続けています。一人、愛だけが苦虫をかみしめたような膨れ面をしていま
す。


[35] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(490)  鶴岡次郎 :2016/08/12 (金) 15:27 ID:A7svNszk No.2888

「なあ・・んだ・・、そこまでご存じなのですか・・・、
なら・・・、何も隠すことはありません・・。
幸恵さんの失踪を手伝い、ソープ勤めを勧めたのは私と佐王子さんです・・。
そして・・、幸恵さんの後を追うようにして私もお店勤めを始めました・・」

笑いをこらえながら千春が告白しています。

「実は・・・、私・・・、
幸恵さんの事件を調査した探偵社の臨時職員なのです。
私の勧めで、佐原さんが幸恵さん失踪の調査を私の事務所に依頼され、
私もその調査に参加することになりました。
それで・・、佐原家の事情はかなりよく知っています。
幸恵さんのアパートで、彼女と面談したこともあります・・・」

「エッ・・、あのアパートへも行ったことがあるのですか・・・、
そうですか。あのアパートも知っているのですか・・・」

5Pなど派手な男遊びをそのアパートでやった経験があるだけに、幸恵のアパートを由美子が知って
いると聞いて、千春は少し気の引ける感じになっています。

「千春さん・・・、
一つ聞いてもいいですか・・・・」

「ハイ・・・、どういうことでしょうか・・・、
由美子さんと愛さんになら何でも答えられそうです・・・」

「ありがとうございます…、
それでは・・・、単刀直入にお尋ねします…」

千春の好意的な発言に由美子がにっこり微笑んでいます。

「千春さんと、佐王子さんはなぜ幸恵さんにソープ嬢の道を勧めたのですか・・、
幸恵さんにソープ嬢の道を勧める際、迷いはなかったのですか…」

「ソープ嬢は幸恵さんご自身が選ばれました。
私と佐王子さんはそのお手伝いをしたのです」

「・・・・・・」

「事実はこの通りですが・・・、
これでは由美子さんの疑問に答えたことにはなりませんね…」

「・・・・・・・」

由美子が無言でこっくり頷いています。

「幸恵さんをなぜ止めなかったのかと・・・、
不審に思っているのですね・・・」

「はい・・・」

素直に由美子が頷ています。幸恵が望んだにしろ、その世界のことをよく知っているはずの佐王子
が、なに不自由なく暮らしている、ずぶの素人である幸恵のソープ嬢転身を本気で進めたことが由美
子には不可解なのです。店の利益を考えて幸恵をソープ嬢に堕とすような佐王子ではないと由美子は
考えているのです。

「由美子さんは佐原さん夫妻のこと、どの程度までご存じなのですか・・・、、
佐原さんから、ご夫婦の事情を聞かれているのですか・・・・?」

千春が由美子に質問しています。かなり深刻な佐原夫妻の問題だけにうかつに話すことが出来ないと
千春は思っている様子です。

「佐原さんからはかなり突っ込んだ話を伺っています・・。
おふたりの間には、何年も夫婦の交渉がない状態であったこと、
そんな状況下で、佐原さんがSMクラブに通い詰めるようになり、
そこでやや変則的な性交を楽しむようになっていたことなどを、
佐原さんは私と愛さんに話してくれました・・」

「ああ・・そこまでご存じなら、隠すことは何もありません…」

由美子の返事を聞いて、千春が安どしています。


[36] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(491)  鶴岡次郎 :2016/08/23 (火) 15:27 ID:B/.bqhCM No.2889

「当時、幸恵さんはパソコン教室に通い始めた頃で、まだ彼女専用のパソコンを持っていなかった
時、夫の留守中、彼のパソコンに単純に興味を持ち、教室で教えられた通り操作して、パソコンの中
にあるファイルを偶然開くことに成功したのです。まさか妻がパソコンを操作できると佐原さんは
思っていませんからパスワードさえ設定していなかったのです・・・」

千春の説明に由美子と愛が軽く頷いています。どうやらここまでの経緯を二人は承知している様子で
す。

「やはりそうでしたか・・、
パソコンの中にある動画とか写真を見て、
幸恵さんは夫の秘密を知ったのですね…・
佐原さんもその疑いが一番濃いと言っていましたが・・・・、

話を聞いた私たちも、その可能性が高いと思ったのですが、
幸恵さんはパソコンを操作できないと聞いていましたから、
どのようにしてその秘密を知ったのか、不明だったのです…・・」

由美子が納得の表情で口を開いています。

「最初、幸恵さんの失踪原因には全く心当たりがないと佐原さんは言い張っていたのですが、私たち
とのおつきあいが深まるにつれ、心許すようになり、自身のSM趣味を告白してくれたのです。そし
て、もし・・、幸恵さんが何らかの手段で、または偶然の機会を得て、夫の秘密・・、変態的なSM
趣味・・、の存在を知れば彼女が怒りと失望から失踪しても不思議はないと明かしてくれたので
す・・」

由美子の説明に千春が頷いています。

「確かに・・、パソコンの秘密ファイルを覗いたことが、幸恵さんが失踪を決意したトリガーに
なったことは間違いないのですが・・・・、失踪を決意したのは、佐原さんに対して怒りや失望を抱
いたからではありません・・」

「エッ・・・・、
怒りや失望から、夫が嫌になり、失踪したのではなかったの…?」

愛がびっくりして大きな声を出しています。

「夫の悪趣味を知って幸恵さんが怒りや失望から失踪したのかとの質問であれば・・、
それは間違っていると言えます・・・」

「そうなの…、
何年も尽くしてきた夫に裏切られ、
悪趣味な夫の行為に嫌気がさして・・・
何もかも、どうでもいいと思うようになり・・、
それで・・・、自棄になって、ソープ嬢に落ちたのかと思っていた…・」

意外な事実を知り、愛が驚いています。一方、愛ほど驚いた様子を見せないで、由美子は何か物思い
に耽る様子です。

「では一体・・・、何が幸恵さんを失踪させたの…、
素人の幸恵さんを突き動かし、
ソープ嬢に身を落とす決意をさせたのは何なの・・・・?」

愛がほとんど叫ぶように問いかけています。

「パソコンの中でSM遊戯に溺れこんでいる佐原さんを見て、
彼を軽蔑したり、彼のやっていることを幸恵さんは非難したりしなかった…。
それどころか・・・、
彼がそんなに溺れている遊戯であれば、それをもっと詳しく知りたい・・、
できることなら・・・・
彼女自身もその遊戯に加わり、彼を喜ばせ、彼と一緒に楽しみたい・・、
そう思ったのです・・・・」

「・・・・・・・・」

千春の言葉に愛が絶句しています。それほど大きな衝撃を受けたのです。

「う・・・・ん・・・・、
素晴らしい・・・、素晴らしい発想ね・・・、
私・・・、そんな発想が出来る幸恵さんが好きになってきた…・」

愛が手放しで幸恵を褒め、由美子も笑みを浮かべて頷いています。

「男たちが思うほど、女はSM遊戯に興味を持たないものだけれど・・・、
愛する夫のためなら、幸恵さんは自分を犠牲にすることなど、気にもかけないで、
夫の趣味に付き合うと決めたのね・・・」

愛が興奮して話しています。

「その通りよ・・・、
旦那様と一緒に遊ぶため・・、夫を喜ばせるため・・、
SMクラブの女と同じテクを身につけたいと幸恵さんは思ったの・・」

「そこまでやるの…!
それで・・、ソープに勤めることにしたのか…!」

愛は凄く驚いた表情で、ほとんど叫ぶように声を出しています。


[37] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(492)  鶴岡次郎 :2016/08/25 (木) 12:09 ID:Xitas282 No.2890
一方、由美子は冷静で、微笑みを浮かべて千春の説明を受け入れているのです。そんな由美子を不審
そうに千春が見ています。

「由美子さん・・、あなたにとっては・・・、
幸恵さんの発想と行動は意外なものではないようですね・・、
もしかして・・、この経緯を知っていたのですか…・・」

「いえ・・、初めて知りました…、
でも・・、幸恵さんの発想と行動に私は共感できるのです。
千春さんの説明を聞きながら・・・、
もし・・・、私が幸恵さんの立場に立てば・・・、
私も同じように考え、同じ行動をしただろうと・・・、考えているのです・・」

「ああ・・・、そういうことですか・・・、
素晴らしいことですね・・・
由美子さんは幸恵さんと同じ発想が出来るのですね・・・・、
私は違いました…・、
初めて幸恵さんの話を聞いた時、
私は怒りで我を忘れ・・、
直ぐ、旦那様と別れなさい・・!・・・と、言いました・・・・」

「私も・・、
きっと千春さんと同じ反応をすると思う・・・」

愛が千春の言葉に同意を示しています。

「もし・・・、
幸恵さんが・・、私や、愛さんと同じ反応を見せていたら・・、
幸恵さん夫婦の仲はどうなっていただろう・・・」

千春が呟いています。

「たぶん・・・、夫婦仲は完全に崩壊し、
佐原さんも、幸恵さんも、今頃は、一人寂しく暮らしていると思う・・」

愛が千春のつぶやきに返事をしています。

「だとしたら・・・、
幸恵さんや、由美子さんの判断が正しいことになる…」

千春が答えています。

「必ずしもそうだとは言えない…、
夫の裏切り、秘密を知った時、幸恵さんは当然、絶望し、怒りでいっぱいになったと思う。
でも・・、旦那様を愛する気持ちが彼女を立ち直らせたのだと思う・・」

由美子が解説しています。

「・・と言うことは・・・、
私たちの夫への愛情が少ないということかしら・・・、
ふふ・・・・・」

愛がすかさず由美子の言葉に絡みついています。からかっている様子で笑みを浮かべているのです。

「そう取るのは勝手だけど…、
夫への愛情が強すぎて、裏切った夫をどうしても許さない女だっているはず、
むしろ、その方が女として自然で、私や幸恵さんのように冷静に対応する女を、
男性は敬遠するかもしれない・・・」

笑いながら由美子が答えています。

「人それぞれ、その時の状況に応じて・・
いろんな反応をするものなのね…・・
何が正しくて、何が間違っているか・・・、
人それぞれ、その立場と、置かれた状況で、判断が分かれるのね…」

千春が呟くように言い、そこで口を閉じています。その場に静かな沈黙が広がっています。女三人、
それぞれの思いで自身の胸の内を確かめている様子を見せています。


[38] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(493)  鶴岡次郎 :2016/09/05 (月) 14:44 ID:mhK4LO7o No.2891

しばらく静寂が続きました。女たちはそれぞれ自身の心の中を覗き込み、いろいろ考えている様子を
見せています。やがて・・、由美子がゆっくりと口を開きました。

「夫婦の仲は、何が正解で、何が間違っているか、
人それぞれと言うことかしら…、
私のようにみだらな女でも妻として夫は認めてくれている…。

ありがたいと感謝はするけれど・・・、
私が間違っていると人から言われると反論したくなる…。

私たちの夫婦仲を考えるのは後にして・・・、
話を佐原さん夫妻の事件に戻してもいい・・・」

由美子の言葉に、にっこり微笑み、千春がこっくり頷いています。

「私の想像だけど…、旦那様の秘密を偶然パソコンの中に見つけた幸恵さんは、そんなに悩まない
で、直ぐに旦那様好みの女に変身する決意を固めたと思う・・。
しかし、奥様育ちの幸恵さんにはSM遊戯を学ぶ方法など判るはずがない…。
そこで千春さんを思い出したのだと思う・・・」

千春が軽く頷いています。由美子の想像が当たっているのです。

「自分よりかなり若いけれど、その道で苦労している千春さんなら、
きっといいアイデアを出してくれると思ったのね・・」

愛が口を挟んでいます。

「その通りです・・、
突然訪ねてきて、大切な相談があると言った・・・。
秘密のビデオを見せてくれて…、
ソープ嬢になりたいと告白した・・・」

千春が答えています。

「・・・で、
ハイ・・、判りました、協力しましよう・・と、答えたの…?」

愛が真剣な表情で質問しています。

「冗談言わないで・・、
愛する旦那様を思ってのこととはいえ・・、
一歩間違えば、夫婦仲が破滅する危険な行動です・・・、
そんな危険な行為に同意するわけがありません…。
私はその場で断り、思い直すように幸恵さんの説得にかかりました」

「・・・・・・・・」

由美子も愛も黙って聞いています。

「しかし…、幸恵さんの決意は固かったのです・・。
私には迷惑をかけないから、お店を紹介してくれの一点張りです・・、
それで、保さん・・、ああ・・、佐王子さんに相談すると約束しました。
幸恵さんは随分と喜んでいました・・・、

私に頼ったのは、佐王子さんを紹介してほしかったからだと思います。
私は私で・・、佐王子さんの口から、その道の恐ろしさを語ってもらい、
幸恵さんの決意を変えさせるつもりで、幸恵さんの思いを彼に伝えることを約束したのです・」

「・・・・・・・・」

何か質問したそうな様子を愛が見せたのですが、由美子が口を開かないのを見て、ここは黙って聞く
気になった様子で、神妙な姿勢を見せています。


[39] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(494)  鶴岡次郎 :2016/09/08 (木) 16:27 ID:s6ryXkKA No.2892
「結論から言えば、佐王子さんは何の役にも立ちませんでした。
事前に事情を詳しく説明し、その業界の恐ろしさを誇張して教え、
なんとか幸恵さんの決心を変えさせてほしいとお願いしていたのですよ…。
それだのに・・・・」

恨めしそうな表情で千春が語っています。この話題になると今でもすっきりしない気分になるようで
す。

「一通り幸恵さんの話を聞き、幸恵さんが持ってきたパソコンのファイルを見て、
佐王子さんはあっさりと幸恵さんの申し出を引き受けたのです。
今日からでも彼の店で働いて良いと告げ、3ヶ月も働けば、パソコンの中に居る商売女以上の技量を
身につけることが出来ると保証したのです・・」

千春の説明は続きます。かなり前の事件なのですが、千春は鮮明に覚えている様子です。それだけ記
憶に残る事件だったのだと思います。

「あろうことか・・、幸恵さんなら売れっ子になるとまで言ったのよ…・。
何も知らない、幸恵さんは嬉しそうでした…・・。
私・・、あの時の幸恵さんの無垢な笑みを思い出すと・・、
今でも、罪の意識にさいなまれる…・・」

千春が沈んだ表情で説明しています。

「そうですか・・、
佐王子さんが賛成したのですか・・・・、
失踪の形をとったのも・・、
佐王子さんのアイデアですね・・・」

由美子が質問しています。

「ハイ・・・、
幸恵さんが黙って家を出れば、幸恵さんからお仕置きを受けたと受け取り、
ご主人が悩むだろうと・・、少し佐原さんを困らせるのもいい薬になると、
佐王子さんが提案して、幸恵さんもそのアイデアに乗ったのです・・」

「迷うことなく、幸恵さんを失踪させ、
その日の内にソープ嬢に仕立て上げたのでしょう・・・、
そうすることが、佐原夫妻が幸せを掴む道だと・・、
佐王子さんは確信していたのかしら・・・?」

由美子が質問しています。

「さあ…、私には良く判りません・・・
私自身は当時も迷いましたし、今でも、あれでよかったのかと釈然としません・・。
ただ・・、幸恵さんも佐原さんも幸せそうなのが、今となっては救いです…」

千春が自信無さげに返答しています。ここへきて、由美子も愛も、同じ気持ちらしく首をかしげてい
るのです。男と女の考え方の差と言ってしまえばそれまでなのですが、佐王子の思い切った対応は到
底女達には理解できない様子です。


[40] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(495)  鶴岡次郎 :2016/09/09 (金) 13:57 ID:YI8FfAAc No.2893
「私・・・、思うんだけど…、
さすがの佐王子さんでも、その時は確信まで持てなかったと思う・・・
迷いながら、幸恵さんの気持ちを優先させたのだと思う…・
けなげな幸恵さんの気持ちを大切にしたいと彼は思ったのよ…」

愛が突然口を挟んできました。

「うん…、私もそう思う…、
幸恵さんの気持ちは本当に純粋で、誰でも応援したくなるから・・・、
佐王子さんもその気持ちを大切にしたいと思ったに違いない・・・」

千春が頷きながら愛に同意を示しています。

「でも・・、
もし、佐原さんが幸恵さんの気持ちを正しく理解しなかったら…、
仮に・・、理解できたとしても・・、
汚れてしまった妻を許せる度量を佐原さんが持っているのか・・・、
そんな心配を佐王子さんは抱かなかったのかしら…・」

由美子がひとりごとのように呟いています。彼女自身へ問いかけているようにも聞こえます。

「幸恵さんの佐原さんを思う強い気持ちに打たれ、一方では、高い社会的地位にある佐原さんの人物
を評価して、この夫妻であれば、少しくらい危ない賭けをしても、どん底まで転落しないと佐王子さ
んは読んだのだと思う。

万が一、賭けに失敗して、佐原さんご夫婦の仲がこじれても、お二人なら時間をかけて修復できるは
ずだと、佐王子さんは読み切っていたのだと思う…・」

由美子の問いかけに愛が返事をしています。

「なるほど、愛さんの説には一理ある…、
もし・・、私が当時の幸恵さんの立場に立っていたとしたら・・・、
佐王子さんは、ソープ嬢への道を私には与えないと思う・・・、
何故なら、スケベーな私は直ぐに娼婦の道に溺れ、どん底に落ちることになるから・・・、
むしろ・・、尼さんに成れというかもしれない・・、ハハ・・・」

千春がおどけて愛の説明に同意を示しています。由美子もつられて笑っています。

「それにしても…、
不思議な縁と言えば、それまでのことだけれど・・、
ほんの数時間前までは、互いに名前さえ知らなかった私たちが、
10数年来の親友のように互いの秘密さえ共有するようになっている・・・」

「そうね・・、そういわれれば、不思議なことね・・・、
でも・・、ちっとも違和感はない・・、
こうして三人で、私の店の中に座っているのが普通に思える・・」

愛の言葉に千春と由美子が大きく頷いています。

「たまたまあの日、公園を通りがかった私が、普段は利用しないトイレへ入り、そこで一生忘れられ
ないトラック事件にかかわりを持った。そして、一方では、千春さんを知る以前に、千春さんのお友
達である幸恵さんの旦那様と偶然、公園で知り合い、私も愛さんもどっぷりと幸恵さん失踪事件にか
かわりを持つことになっていた・・・」

「そのままで終わっていれば、千春さんのトラック事件と幸恵さんの失踪事件は、由美子さんと私の
中では決して重なることはなかった…。
二つの独立した事件として、いつまでも私たちの記憶に残っているだけだった…」

「私が余計なあがきをして、由美子さんを探し出し、
二つの事件を重ね合わせることになった・・
なんだか・・、悪いことをしたような気がする・・・・」

「ううん・・、これも運命なのよ・・・、
神様か・・、何かわからない力が働いて千春さんを動かした。
公園で幸恵さんの旦那様を見かけ、この売店にお連れした時から、
今日の結果と成り行きは、決まっていたと私は思っている…。
私たち三人はいずれ、こうして友達になる運命だったと思う…」

「そうね・・、運命だね・・、
二つの事件とも泉の森公園が事件の発端場所であり、
私の売店で事件はさらに成長した・・・。
そう考えると、この狭くて、汚いこの売店もまんざら捨てたものではないのね・・。
これからも、この売店でいろいろな事件が起きるような気がする…。
さあ・・、おしゃべりを一休みして・・、お茶にしましょう…。
いつものように、お一人様150円いただきます・・・・」

売り物の缶コーヒーと駄菓子が三人の前に出されました。三人の女の会話はとどまることがありませ
ん。これから先、いくつかの事件がこの場所で語られ、三人の女はそれぞれにその事件にかかわりを
持つことになります。いずれ、面白い事件が起きたなら、また立ち寄ることになると思います。


[41] 新しい章へ移ります  鶴岡次郎 :2016/09/19 (月) 14:29 ID:J9vM0XIA No.2894
新しいスレを立てます。 ジロー


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