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フォレストサイドハウスの住人達(その15) 

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2016/09/19 (月) 14:32 ID:J9vM0XIA No.2895

泉の森の取り持つ縁で、由美子と愛はSFハウスに住む千春と知り合いました。最初から波長が
合ったのでしょうか、あるいは千春のとんでもない浮気現場を由美子が偶然目撃したせいで、出
会った最初から三人の女は何も隠さず、自身の恥ずかしい過去をさらけ出すことになりました。そ
のせいでしょうか、三人はすっかり親しくなりました。

由美子は殆ど毎週のように愛の売店に出向き、そこで二、三時間たわいのない会話を弾ませるのが
習慣ですが、その二人の仲に千春も仲間入りする様子です。それぞれ個性的な女性ですし、由美子
と千春は夫公認の愛人を持つ多情な女ですから、三人集まれば、この先も面白い事件が起きそうな
予感がします。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
ます。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
ていただければ幸いです。


[20] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(514)   鶴岡次郎 :2016/10/27 (木) 14:33 ID:bFrLtGJ6 No.2915

しばらくの沈黙を破ってゆっくりと千春が口を開きました。先ほどまでとは異なり、どこか晴れやか
な表情です。

「なぜあの咲江が、旦那さんや子供のことを忘れ、
50男の村上に走ったのか・・、
どう考えても、その理由が判らなくて・・、
彼女も私と同じ浮気性なのだと疑ったこともあったけれど・・・、
由美子さんの解説を聞いて、なんだかすっきりした…。
免疫のない咲江がとんでもない男に偶然出会ってしまったのね・・、
男のテクニックを咲江は男の真心だと思い込んでいるのね・・
何も知らない、初心な咲江が色地獄に迷い込んだのね…」

「そうよ・・、
子供のように純粋な気持ちを持った咲江さんだからこそ、
村上の餌食になり、抜き差しできないところまで行ってしまったのよ…
村上も・・、彼は彼なりに・・、真剣に・・、
咲江さんの思いに応えようとしているのよ…」

由美子が冷静に答えています。

「村上のような男に遭遇すると・・、
女なら・・・、
誰でも・・、確実に落ちると思う・・、
彼の罠に落ちない女が居たとしたら…、
そんな女は・・、おそらく・・」

言い過ぎたと思ったのでしょう、そこで由美子は言葉を飲み込みました。

「それで・・、
村上は咲江さんをどうするつもりかしら・・・?
ずっと情婦にしておくつもりはないでしょう…、
どこかで働かせて金を掴むつもりかしら…」

愛が質問しています。

「いえ・・、そんなことは考えていないと思う・・・、
村上はそれなりに誠実な男だと思う・・、
それはその後の彼の付き合い方を見ればわかる…、
咲江さんを落として、金にしようと思っているのなら、
もっと早い段階で、汚い手を使ったと思う・・」

「確かにそうね・・・」

「彼は・・、本気で咲江さんに惚れていると思う・・
・・と言っても、一般の男が女に惚れるのとは少し違うけれどね・・・、
少なくとも、咲江さんと一緒にいる間は・・
彼女を心から愛していると思う・・・」

由美子の説明に愛も、千春も頷いています。

「心を通い合わせた二人が、ずるずると付き合い続けて、
一年経った・・
二人とも、この先どうするのか決めていないと思う…
多分・・、自分たちでは決められないのだと思う…・」

「なるほど・・・
愛の形は人それぞれと言うことね…・、
でも・・終着点のない愛って・・、どこか危険な気がする…」

愛が心配そうに言っています。

「そうなのよ・・、
二人に・・、どこへ行くつもりなの・・と、
無理に結果を求めると・・、
とんでもない処へ行ってしまう危険がある・・」

大きな吐息を吐き出し、由美子が答えています。

「・・・・・」

言葉なく千春が大きなため息を吐き出しています。

「二人の内どちらかでも遊び心が多ければ、
なんとか手の打ちようはあるのだけれどね…、
咲江さんは勿論だけれど、
遊び人である村上までかなり真剣だから困るのよ…」

由美子が嘆いています。


[21] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(515)   鶴岡次郎 :2016/10/28 (金) 14:18 ID:y9sL7xsI No.2916

突然・・、千春がその場に両手をついて愛と由美子に向かって深々と頭を下げました。

「難しいのは良く判っています・・。
それでも、今私が頼れるのは由美子さんと愛さんだけなのです。

人一倍責任感が強く・・、今まで浮気どころか、
他の男に気を許したこともない咲江を村上から救い出したい・・。
できれば彼女の家庭を壊さないで、すんなりと別れさせたい…、

同時に、彼女の心に巣食っている大きな罪悪感も少しは取り除きたい・・、
別れた後も・・、罪の意識を引きずるようでは、
咲江があまりに可愛そうだと思いますから…。

これが私の願いです…、勝手なことばかり並べましたが・・、
力を貸してください・・、この通りです、お願いします…・」

千春が由美子と愛に訴えています。

「千春さんの気持ちは良く判っている・・、
私たちで出来るだけのことはやりましょう…。
これから先は、どんなことがあっても・・・、
私と由美子さんは咲江さんと千春さんの見方だよ・・」

愛が千春を見て宣言しています。涙ぐみながら千春が頭を下げています。由美子が何度も頷いていま
す。

「一年以上続いた二人の仲を割る方法・・、
この問題の解決策はそんなにたくさん無い・・、
一つの考えは、ご主人にすべてを打ち明けること・・・、
これで、全て問題は解決する…・」

由美子があっさり言っています。

「でも・・、そんなことをすれば・・・、
最悪・・、離婚となり、家庭が崩壊することになる・・」

愛が心配そうに答えています。

「そうね・・・、離婚の可能性は高いね・・・」、

由美子が冷たく言い放っています。

「私なら・・、夫に告白する道は選ばない・・
割り切って、一生その秘密を隠し続ける…」

千春が言葉を挟んでいます。

「私も千春さんの考えに一票入れる・・・」

愛がすかさず千春の意見に賛成しています。

「女って・・、誰もが・・、
秘密の一つや二つ隠し持って生きているし・・・、
それに、秘密を隠し続ける才能も備わっていると思う・・・、
咲江さんも秘密を抱えて生き抜くことができるはず…、
いえ・・、やり抜くべきよ…、
私たちがサポートすれば、何とかなると思う・・・」

愛が珍しく口調を強めて主張しています。

「決まりね・・・、旦那様に告白する選択肢はないと考えよう・・、
その前提で、これから先、彼女の身の振り方を考えよう・・・」

どうやら最初から告白する選択肢を由美子は考えていなかった様子です。愛と千春の意向を確かめる
ために、あえて由美子は告白の手段を話題に挙げたのです。二人が告白案に反対だと判ると、あっさ
りと告白案を捨てています。愛と千春が嬉しそうに大きく頷いています。


[22] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(516)   鶴岡次郎 :2016/10/29 (土) 15:01 ID:tcgxfZmg No.2917

「旦那様に告白しないとなると・・・、
さらに、問題解決は難しくなる…・、
咲枝さん自身が自発的に村上と切れるのが一番いいのだけれど、
これがまた難しい・・・、
むしろ・・、現状維持で秘密をひた隠し続ける道の方が簡単に思える・・」

愛が難しい表情で言っています。

「愛さんのおっしゃる通りです…、
愛欲の関係を清算するには、二人はあまりに長く付き合い過ぎた・・。
私の経験から言っても、咲江さんが村上との関係を清算するのは難しい・・、
彼女の体が別れることを許さないと思う…

それに・・、仮に・・・、別れることが出来ても・・・、
その先に待っているのは地獄・・・・
そう考えると・・、別れることが、本当に最善の策なのかしらとさえ思う……」

千春が呟いています。由美子が千春のつぶやきを聞いて少し気にしています。

「千春さん・・、
何か言いたいことがあるのなら、聞かせて…
村上と別れることが出来ても…
その先は地獄・・・と、言ったわね…
私・・・、そのことが少し気になっているのよ・・、
もしかして・・、別れる必要がないと思っているの…?」

「ハイ・・、確かに迷っています・・、
とんでもない発想で、お二人には叱られる覚悟で言います…」

何事か決心をした表情を浮かべ千春が由美子と愛を見詰めています。

「もし・・、村上と切れることが出来ても・・・、
自分の犯した罪の意識から咲江は永久に逃げられないと思うのです。
昔の朗らかで、明るい咲江は永久に戻ってこないと思うのです・・
そう・・・、考えると・・・、私…・・」

ポツリ、ポツリと千春が話しています。堪えて涙を抑えていますが、今にも泣きだしそうです。

「無理に村上と別れないで、家族を捨てる道もあるのではと思うのです・・。
幸い彼は独身ですから・・・、
彼と所帯を持てば、旦那様や、子供の顔を見ないで暮らせることになります、
家族を捨てた罪の意識は残りますが・・・、
逃げ場のない不倫の罪からは解放されると思うのです・・・。
ゴメンナサイ・・、そんなバカなことさえ考えてしまうのです…」

「・・・・・・・・」

愛がびっくりして何かを言い出そうとして、慌てて口を押さえています。軽はずみなことは言えない
と愛はとっさに考えたのです。由美子は黙って千春を見つめています。

「本当は・・、私にも・・、どうしていいか判らないのです・・。
村上と別れるべきだと思いながらも・・・、
一生、罪の意識を背負って行くよりは・・・、
たとえ、人の道から外れても・・・、
村上と面白おかしく暮らした方が咲江は幸せかなとも思うのです…
本当にバカな話だと思うでしょう…、でも可能性はあると思っています・・・」

千春が首を垂れ、そっと涙を拭いています。

「一生・・、犯した罪の意識に怯えるより・・、
思い切って、村上と一緒になる道もあると言いたいのね・・
むしろ、そちらの道が人間らしいと千春さんは思っているのね・・
バカな話だなんて・・、そうは思わない…、
咲江さんの幸せを本当に願っている千春さんだからこそ・・、
そんな発想が出たと思う…・」

微笑みを浮かべて愛が言っています。千春はただ頷くだけです。

先ほどまで、村上と戦い、咲江を取り戻す勇ましい話が展開されていたのですが、一転して、その場
に少し沈んだ雰囲気が流れています。村上と関係を続けるのも一策かな・・、といったムードが流れ
ているのです。


[23] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(517)   鶴岡次郎 :2016/10/30 (日) 11:21 ID:4kIL9I7M No.2918

沈滞したムードを由美子の声が吹き飛ばしました。

「何を言っているの・・・、
その考えは間違っているよ・・・、

浮気女の罪悪感なんかに振り回されては・・、ダメ・・・、
浮気女の罪悪感なんてものは・・、底の浅いものだよ・・・、
一見、深刻そうに見えて、その実、一過性のモノよ・・・、
時間が経てば跡形もなく消えるものだよ…
特に女の罪悪感なんて・・、長続きしないのが相場なの…」

由美子が断定的に発言しています。愛は勿論、千春もその意見を聞いてうれしそうな表情を浮かべて
います。実のところは、由美子のような歯切れの良いレスポンスで不安を一掃してほしいと千春は期
待していた様子なのです。

「浮気女の心に巣食っている罪悪感は・・・、
浮気相手とすんなりと別れることが出来れば・・、
殆どあとかたなく消えるものよ・・・、
だから、咲江さんの場合も、それほど気にする必要はない…
散々、他の男と遊んでいるこの私が言うのだから信用してほしい…」

由美子が断定的に言っています。それでも、二人の女は半信半疑の様子です。

「まだ信用できない様子だけれど、嘘じゃないのだから・・・、
私の経験から言って・・、
浮気女が罪悪感に悩むのは、浮気相手に惚れ込んでいる間だけのことなの、
単なる浮気だのに、体の関係を続けると、
互いの深い愛がその中に存在すると思い込んでしまうのね…・。
そうなると、夫や家族への罪悪感にさいなまれることになる。

浮気相手のことを単なる性欲処理用の男か、
通りすがりのセックス相手と考えることが出来れば、
それほど罪悪感に悩まされることはないのだけれどね・・」

自身の経験を語る口ぶりで由美子が話しています。

「一年余り、村上の手管にどっぷりつかりこんだ咲江さんは、
もう・・、彼なしでは生きて行けないと思い込んでいるに違いない・・。
頭では彼から離れたい、別れるべきだと思っても、
体が意志に反して彼を求めるのよ・・

セックスと愛情を切り離すことが出来ないのが女の本性で、
夫とは違うやり方で抱かれればその男に魅力を感じ、
夫が授けてくれない深い喜びを与えてくれる男こそ、
真の伴侶だと考えるようになる・・。
咲江さんは村上を運命の人だと考えるようになっているかも・・

彼に抱かれた生々しい情感を、
彼への愛情だと咲江さんは考えているはず・・、
そうなると・・、彼女の罪悪感は最高に燃え盛ることになる…

千春さんが今、咲江さんの中に見ているのは、
今を盛りに燃えている最悪状態の罪悪感なの…、
咲江さんが苦しむのを見て、こんなに苦しむのなら・・、
今の生活を捨てた方が良いと、傍で見ている者は思うのよ・・・、

もう少し待ってご覧・・、
そんなことがあったかしら・・と、
彼女が言いだすようになるから・・
同情をして損をしたと・・、きっと思うから…」

「・・・・・・・・」

由美子の情熱的な話はまだ続くようです。愛も、千春も驚きの表情を浮かべ、黙って聞いています。


[24] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(518)   鶴岡次郎 :2016/10/31 (月) 15:02 ID:X2q3KLoQ No.2919

浮気女の罪悪感の底が浅いことを由美子がこれほど情熱的に力説するには訳があるのです。浮気女が
罪悪感で悩むのは、身から出た錆で、致し方がないことだとしても、周りにいる者までも巻き込ん
で、彼女の罪悪感の犠牲者にしてはいけないと由美子は常々思っているのです。それが・・、浮気女
が気を配るべき最低限の礼儀だと由美子は考えているのです。

罪を悔いて悩むのであれば一人静かに反省すればいいことで、自身の中で燃え盛る罪悪感を制御でき
なくて、沈み込んだ姿を家族に見せたり、最悪自身の命を絶ったりして、残された夫や家族に迷惑を
かけるのは、二重の罪を犯すことになると由美子は考えているのです。

由美子にしても、最初からこの割り切った考えを持っていたわけではありません、散々に悩んだ末に
この考えに到達したのです。そして、出来ることならこの考えを全ての浮気女に教えたいと由美子は
思っているのです。

浮気をする以上、秘密を隠しきる覚悟と、バレた時の潔い身の処置方を常に準備するのは当然です
が、そのことに加えて、自身の罪の意識を表に出さないことが大切だと由美子は考えているのです。
むしろ、罪を犯したことなど一度もないとふてぶてしく構えるべきだと彼女は考えているのです。

夫から許しを得ているとはいえ、由美子自身、他の男に身をゆだねた直後、少なからぬ罪悪感にさい
なまれることが多いのです。男に抱かれている瞬間、その男が行きずりの男であっても、由美子はそ
の男に以前から惚れ込んでいるように、身も心も投げ出す厄介な癖があるのです。

一度燃え出すと、その男に身も心もすべて投げ出してしまうのです。それだからこそ、由美子に一度
でも接した男たちは誰も、「この女に好かれている・・、少なくても嫌われてはいないと・・」と、
思い込むのです。そして、由美子のことを永久に忘れないで、再会を求めるのです。

男と別れて一人になった時、どうしてあんなに燃えたのだろう・・、あの瞬間、夫のことを忘れ、男
の体に四肢を絡めて、身も世もなく絶叫した彼女自身のことを思い出して、悔いることが毎回なので
す。そして、最悪なのは、その罪悪感が家に着くころには跡形もなく消えていることなのです。そん
な由美子を彼女自身は嫌いでしかたないのです。

〈女の・・、いえ・・、浮気女の罪悪感なんて…、
こんなに儚いモノなのかしら・・、
それにしても・・、
自分ながら、あきれるほどあっさりしている・・・。
これで良いのかしら…〉

そして、何度も浮気の経験を積むと徐々にその感情にも慣れてくるのです。

〈良いも悪いも・・、これが私なのね…
くよくよ悩まないことにしよう…、

これは・・、もって生まれた感性・・、
神が私に授けてくれた・・、贈り物・・

夫や、家族を裏切ったことは事実だから・・、
その罪滅ぼしに・・、精一杯彼らに尽くそう・・・〉

かなり手前勝手な考えですが、ある時から由美子はそう割り切って、あまり彼女自身を責めないよう
にする習慣を身に着けているのです。


[25] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(519)   鶴岡次郎 :2016/11/02 (水) 15:14 ID:ywL4lJGE No.2920

千晴と愛がまだ納得していない様子を見て、由美子は思いました。

〈ああ・・、この人たちも皆と同じように・・、
罪悪感に打ちひしがれる浮気女を良しとする感性を持っているのね・・・、
普通はそう思うのが当然だけれどね・・、

口を拭って、毅然としている浮気女こそ立派だと私は思うけれど…、
なかなか私の気持ちは判ってもらえない・・、
ダメ元で、もう少し説明して見よう・・、
千春さんなら・・、あるいは・・、少しは判ってくれるかも…〉

千春と愛がやや当惑しているのは承知しているのですが、由美子はさらに自説を語ることにしたので
す。

「ある日突然、何かが起きて…・
彼を愛しいと思う気持ちが萎え・・、
彼への情欲が消えると・・・、
不思議なことに・・、
あれほど強かった罪悪感も衰えることになる・・・・、

浮気女の罪悪感って、そういうものなのよ…・
悲しい女の性だけれど、情欲と罪悪感は背中合わせなのよ・・
情欲が消えれば、罪悪感も消滅する…」

「・・・・・・・」

愛と千春はただ黙って聞いています。由美子の説明について行けないところがあるのです。

「浮気をして、相手の男に惚れてしまうと・・、
夫や、家族のことを思い・・、
女は酷い罪悪感を抱くことになるけれど…、

男への興味が消え、浮気が止まると・・・、
女は何事もなかったように口を拭うことができるのよ・・・、
要するに・・・、
浮気女の罪悪感はあきれるほど底が浅いと言える…・」

由美子が語るとその言葉に重みが加わります。それでも、愛も千春も心から納得した様子ではありま
せん。これではどこまで行っても平行線だと、由美子はある決心をして口を開きました。彼女にして
は珍しいことです。

「散々に浮気をして、夫を裏切っていながら・・、
罪悪感を過度に持たない方が良い・・、
それが・・、女が幸せに生きて行く知恵だと・・・。

浮気女その者である私が・・、何を勝手なことを言うと、
千春さんも、愛さんも思うでしょう・・、
その通りだと思う…。

でも…、判ってほしい・・・、
悪いことだと判っていても、
体の要求に理性が負けることってあるでしょう、

私にとって・・、男が欲しいと思う感情はまさにそれなの…、
どうしてもたまらくなって浮気をしてしまうのね・・・、
それを責められたら・・、ただ頭を下げることしかできない・・、
反省はするけれど、それ以上は何もできない…、

こんな時・・、私は何をすればいいと思う・・・、
私は・・・、
開き直って、与えられた人生を懸命に生きることしかできない…」

普段は絶対口にしない心の底を由美子が切々と語っています。

「良く判りました…、
由美子さんの説明を聞いていて、私には違和感がありません・・。
私も・・、由美子さんと同じ悩みを抱えています…。
これからは、由美子さんのおっしゃるとおり、
浮気をしても・・、毅然と自分に立ち向かい、
一生懸命、私の人生を生き抜きます・・」

千春が明るい表情で言っています。由美子は満足そうな顔をしています。


[26] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(520)   鶴岡次郎 :2016/11/03 (木) 15:02 ID:dxjp7rlE No.2921
「でも・・、咲江は違う気がして・・・、
純粋で、穢れを知らない咲江のことだから・・、
村上と別れた後もずっと罪悪感を抱きつづけ、
永久にその罪を忘れることが出来ないで、
肩身の狭い思いで一生を過ごすのではないかと心配しているのです・・
そうであれば・・、思い切って、家庭を捨て、自由に生きた方が…・」

それ以上は語ろうとしないで千春が視線を落としています。自説に自信が持てないのです。それで
も、親友だけに・・、普段の明るく、素直な咲江を知っているだけに・・、犯した罪の重さに咲江
が一生苦しみ通すのではないかと千春の心配は尽きないのです。

「友を思う千春さんの気持ちは立派だと思う・・。
でも、咲江さんはお人形じゃないのよ・・、
血の通った・・、情欲も人並みにある大人の女なのよ・・・、
聖処女のように親友を枠にはめて思うのはちょっとね…・、
千春さんの気持ちを知ったら、彼女もきっと重荷に思うよ・・」

「・・・・・・」

はっとして千春が由美子の表情を見ています。ようやく何かに千春は気が付いた様子です。

「ああ・・・、そうなんですね・・・、
私・・・、知らず知らずの内に・・・
咲江の中に自分の理想像をはめ込んでいたのですね…・」

「・・・・・・・・」

笑みを浮かべて由美子が頷いています。

「気ままに他の男に抱かれ、さらには、ソープ勤めさえやっているのですが、当然のことながら、
決してこれが正しい生き方だと思ったことは一度もありません。それどころか、いつも言いしれな
い劣等感を持っているのです。

浮気の罪の重さに慄く初心な咲江をみて・・・、
こんな女こそ、理想の女だと・・、
こんな女になりたいと・・、私・・思い込んでいるのです…。

咲江が罪悪感に苦しむ様子を見て、
そんなに悩むなら、家庭を捨て、好きな相手との生活を選ぶべきと考え・・、
咲江に私の考えを押し付けようとしているのですね…」

何かが吹っ切れたのでしょう、嬉しそうな表情で咲江が語っています。

千春の気持ちは由美子には良く判るのです。かって、由美子も千春と同じように、好色な自身を卑下
し、出来ることなら何も知らなかった、普通の主婦に戻りたいと何度も思ったことがあるのです。し
かし、その願いは空しい結果しか生みませんでした。

そんな時・・・、夫の言葉が由美子を救ったのです。

〈由美子はそのままが良い・・、
浮気をして、ケロンとしている由美子が好きだ…、
浮気をして悩んでいる由美子なんて、何の魅力もないよ…
これからも・・、好きなように生きてくれたらいいよ…
ただし・・、私を捨てないことが条件だよ…、フフ…・〉

それを契機に由美子は、自身の犯した罪に毅然と立ち向かう気持ちを固めたのです。

「ようやく、判ってくれたようね・・。
千春さんには千春さんの人生があるように・・、
咲江さんには咲江さんの人生がある・・・。

男遊びを繰り返しても、平然として生き抜く女を演じる千春さん・・、
初めての浮気の罪深さに慄きながら、それでも浮気を続ける咲江さん・・、
それぞれに人生があるのよ、

何が正しいかなんて・・、
誰にもわからないし、そのことを追求する意味さえない…」

「はい・・、
私・・、知らず知らずに・・、
自分の頑なな考えを咲江に押し付ける処でした…。
罪を犯した、咲江自身が身の振り方を決めればいいのですね・・、
私がとやかく口を出す必要はないのですね…」

「そうよ・・、
私たちは寄り添うけれど、咲江さんを支配してはいけない・・。

私たちがお膳立てをして・・、
苦しみ抜いている咲江さんを少しでも楽にしてあげよう・・、
その先は・・、咲江さんの自由意思に任せましょう…

村上と別れるにしても・・、このまま進むにしても・・、
それは彼女の自由意思・・・

私たちは・・、私たちの考えで、
できる限りのサポートをしましょう…
そのサポートを咲江さんが拒むなら、潔く引き下がりましょう…」

「はい・・・」

千春の表情に明るさが戻っています。


[27] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(521)   鶴岡次郎 :2016/11/04 (金) 14:29 ID:/F13JabY No.2923

「さて・・・、次の課題は・・、
これが一番難しい問題だけれど・・、
咲江さんの中で燃えている村上へのひたむきな情欲を・・、
その感情を、咲江さんは村上への愛情と考えていると思うけれど・・、
この気持ちを、どのようにして散らし、抑え込むかだね…」

「はい…」

愛と千春が緊張した面持ちで答えています。

「村上が与えてくれる肉の喜びは、
彼の専売特許品でないことを咲江さんに教えたい・・・。
他の男からでもその喜びを十分得ることが出来ると教えたい・・・。
要するに喜びを与えてくれる男は村上一人でないことを教えるのよ・・・、
それには、村上以上の快楽を与えてくれる男を探し出し、
咲江さんに与えるのが一番簡単な方法だと思う・・」

「そんな男って・・、都合よく居るかしら…
仮に、居たとしても・・、
その男の味があまりに良くて…、
咲江さんがまた惚れ込んだら、大変ね・・・」

笑みを浮かべた愛が冗談ぽく言って、由美子に睨まれ、首をすくめています。

「愛さんじゃあるまいし・・・、
咲江さんはそんな女ではありません…。
・・・と言いたいところだけれど・・・、
愛さんの心配は当然ね・・・」

由美子が笑いながら愛の言葉に応えています。

「女は凄腕の男にかかると一コロだからね…・
咲江さんが次の男に夢中になる可能性は高い・・、
そう考えると・・、女って…、本当に厄介な動物だね…・。
そんなことになれば、また一苦労だね…・
愛さんもそうした女心が判るようになったのね・・、フフ…・」

愛をからかうように、笑いながら由美子が言っています。

「由美子さんたら・・・、
そこじゃないの・・、問題は・・、
由美子さんならそんな心配があるけれど、
咲江さんに限って、次の男にまで惚れ込むことはあり得ない・・、

私が問題にしたいのは・・
そんな都合のいい男が見つかるかと、言うこと…」

愛が慌てて訂正しています。

「フフ…、判っている・・、
心配しないで・・、
男のことなら・・、私には目論見がある…、
村上に匹敵する男って・・、
案外簡単に見つかる気がしている・・、
それは・・、後で話すは…、楽しみにしていて…」

「えっ…、本当ですか、簡単に見つかるのですか…?
楽しみ・・、
そんな男なら、咲江さんの後でもいい、
ちょっとだけでもいい・・、味見したい…、フフ・・」

美味しい男の話題になると、早速千春が口を挟んでいきます。

「そうだ…、何なら・・、
本当に美味しい男かどうか判定するお毒見係になってもいい・・」

淫蕩な笑みを浮かべ千春が言っています。

「ふふ・・・、スケベな本領を発揮してきたわね・・・、
その言葉を、実は・・、待っていたの…、
千春さんにもその男を食べていただくことになるかもよ…、
咲江さんを救うため、千春さんには一肌脱いでほしいと思っているから・・」

「エッ・・、本当ですか・・・、
私、美味しい男を味見できるのなら・・、
いえ、いえ・・・、咲江のためなら・・・、
一肌どころか・・、全裸になってもかまわない…
男の一人や、二人・・、
いつでも、しっかりいただきますから…・、声をかけてください・・」

「頼もしい…」

スケベーな笑みを浮かべ千春が本気を見せています。この調子なら、咲江のためなら、千春は数人の
男を相手にすることも簡単にやってのけるでしょう。そんな千春を見て、由美子が淫蕩な笑みを浮か
べて何度も頷いています。


[28] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(522)   鶴岡次郎 :2016/11/13 (日) 15:32 ID:t3qBpBxU No.2924
「村上に匹敵するたくましい男を見つけ出し・・、
その男を咲江さんに与える…、
これで咲江さんの情欲はかなり癒されるはず…・」

「咲江がうらやましい…」

好色そうな笑みを浮かべ千春が言っています。

「残された課題は咲江さんの中にある村上への思いね…
咲江さんはその思いを愛情と勘違いしているはずだけれど・・、
彼への思いを決定的に消すことが次の課題・・。
それには咲江さんの心に直接働きかける手段が必要になる・・・」

「心に直接働きかける手段ね・・・、
体の欲望を治めるのと違い、
恋しい男を忘れるのは、女にとって難しい…・」

愛が困った表情でつぶやき、千春も頷いています。

「こんなのどうかしら・・・
有ること、無いこと・・、村上の女癖の悪い噂話を作り出して、
例えば、近所の人妻を抱いているとか・・、
そんな作り話を咲江さんに吹き込むのはどうかしら…、
でも・・、ダメね・・、
人の噂くらいでは咲江さんの心は動じないはず・・」

アイデアを出していながら、その場でその案を否定している愛です。

「咲江さんの中にしっかり築かれている村上のイメージを壊したい・・、
荒療治でもいい・・、どんな汚い策を弄しても良い、
村上を陥れ・・、咲江さんの目の前で大きな失敗を犯させる・・、
それによって、村上への熱い思いに、水をかけるのよ・・・」

そう言いながらも、由美子自身、いいアイデアが思い浮かばないのです。

「『こんなだらしがない男なのだ…』と、
咲江さんが悟れば成功よ・・・、
そうなれば、村上へ傾斜した心を、
咲江さんは彼女自身で立て直せると思う・・・。
何か・・、いいアイデアがないかしら…?
村上を陥れる工夫が・・・」

困り果てた様子で由美子が千春と愛に質問をなげかけているのです。そうはいっても、生身の男、
それもかなりのやり手の男を陥れる案など、愛と千春に簡単に見つけ出せるはずがありません、し
ばらく静寂が続きました、由美子が大きな吐息を吐き出し、口を開きました。

「やはり・・・、これしかないわね・・・
ちょっと汚い手を使うことになるけれど…・
仕方ないわね・・・、
今の私にはこのアイデアしか浮かばない・・・」

愛と千春の表情に笑みが戻っています。由美子が導き出す答えを二人はずっと待っていたのです。

「私が考えた作戦を聞いてほしい…、
私たち三人の力だけでは難しい作戦だけれど、
千春さんの旦那様、そしてUさんの力を借りれば何とかなると思う・・・」

由美子はかなりの時間を割いて、愛と千春に作戦を披露しました。

「素晴らしい・・、さすが、由美子さん・・、
作戦を聞いて、何とかなりそうな気がしてきた…、
そうはいっても、由美子さんの役割は本当にきつそうだけれど・・、
勿論、私も、主人も頑張ります…」

由美子の説明を聞き終わった千春の表情が明るくなっています。

「千春さんご夫妻には、大いに働いてもらうことになりそうね・・、
今回の作戦では、ある意味、お二人が主役になると思う・・・。
お互い頑張りましょう…」

三人の女が両手を差し出し互いに固く握り合いました。咲江と彼女の一家の幸せのため、三人の女は
力を合わせ、セックス作戦を展開することになったのです。


[29] 新しいスレに移ります  鶴岡次郎 :2016/11/14 (月) 09:39 ID:MAWbGSP2 No.2925
新しいスレに章を立てます。 ジロー


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