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フォレストサイドハウスの住人達(その16)

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2016/11/16 (水) 14:42 ID:Wv5LU8Do No.2926
FSマンション、1614号室の住人である浦上千春は、同じマンションに住む坂上咲江のことが心
配でたまらないのです。咲江と千春は同じ幼稚園に通う子供を持つママ友で、万事に派手な千春と、
全てに控えめな行動を好む咲江と、外見同様、性格も正反対に思えるのですが、どうしたわけか、奇
妙に気が合って、夫に話せないことでも互いに話せる親しい関係を持つようになっています。

咲江の悩みはズバリ浮気なのです。ある日、短大の同窓会に出て、華やかに活躍する現役OLの同窓
生を見て、咲江はかなり大きな失意を抱いて帰宅する途中でした・・・。暗闇の街角で村上総一郎と
正面衝突して膝に傷を負ったのです。現場の近くにある村上の事務所で手厚い手当てを受けた咲江の
心に村上の親切は染み込みました。

咲江と村上はそれから数日後、女の方から積極的に動いて体の関係を持ちました。村上は50歳前
後、飲食店、特に夜の商売専門店を相手に店内装飾、備品類を扱う専門店を経営していて、従業員数
人を抱え、堅実な商売をやっているのです。小さいながらも、会社の社長ですが、どうやら経歴を辿
ればズブの素人と思えないところもある不思議な人物です。

今まで夫しか知らなかった咲江は、村上に抱かれてその魅力の虜になりました。別れよう、忘れよう
とするのですが、一度体で覚えた快楽はどんなに抵抗しても、咲江の足を村上のアパートに向けるの
です。こうして、ずるずると・・、一年余りが過ぎました。

夫を職場に送り出し、小2の長男が登校して、長女を幼稚園バスに乗り込ませると、咲江は一人にな
ります。そんな時、襲い来る村上への思慕、体の疼き、その感情に比例して高まる自己嫌悪感と罪悪
感、その狭間で咲江はほとんど気が狂うほど悩むのです。

そんな咲江の相談相手になったのが浦上千春です。咲江は千春に全てを告白していました。も
し・・、千春に告白出来ていなかったら…、咲江は自ら命を絶つ道をとっくに選んでいたと思えるの
です。

親友、千春の存在があっても咲江の苦悩は日々募りました。村上と別れることが出来ればすべて丸く
収まるのですが、その簡単な決断が咲江にはどうしても、できないのです。咲江の苦悩を見るにつ
け、千春は、いっそのこと夫、坂上夏樹と別れて村上と一緒になればいいとさえ考えるようになり、
最後にはそのアドバイスをしようと思い始めていて、そのタイミングがもうすぐ来ると思っていたの
です。

咲江の悩みを、鶴岡由美子と美津崎愛に千春は話しました。千春から一通り話を聞いた由美子と愛
は、咲江の事件は、一種の熱病にかかったようなもので、今の咲江では正常な判断が出来ない、離婚
などとんでもないという意見を出しました。
離婚は最後の手段だと千春も考えていて、由美子と愛のアドバイスどおり、一時的でもいい、一度咲
江を熱病から解放することが先決だと考えるようになったのです。

こうして、三人の女が力を合わせて、村上のセックスにどっぷりつかり込んで自分の進路を見誤って
いる咲江の目を覚まさせることを決めたのです。さて・・、いかなる作戦を三人の女は展開するので
しょうか・・

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
ていただければ幸いです。


[2] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(523)  鶴岡次郎 :2016/11/21 (月) 13:04 ID:Jpe7ZLxQ No.2928

女 心

今日は日曜日です。普通の主婦であれば張り切って家事を終え、子供たちを連れ遊園地へ出かける計
画などを立てるものですが、咲江は今日も憂鬱な朝を迎えました。抱えている悩みの重さに耐えきれ
なくて、以前のようにさわやかな気分で朝が迎えられないのです。思い悩む一日が始まると考えるだ
けで落ち込むのです。その意味で咲江は夜が好きです、ベッドに入り眠りに落ちれば何も考えなくて
済むのです、このまま眠り続け、朝が来ても目覚めることがなければ、どんなに楽かと考えることも
あるのです。

夫、坂上夏樹の顔を見るたび、いっそすべてを打ち明けて彼の裁断に従おうと思うのですが、長年続
けてきた研究の節目を迎え、世紀の発見を目の前にして張り切っている夫のことを思うと、些細な自
分のことで夫を迷わせることが許されない、せめて研究成果の形が見えるようになるまでは堪えよう
と思いなおすのです。

体が無性にうずくのは毎日のことです、恥ずかしい道具で慰めることも覚えたのですが、それは一時
的なもので、抑えた情欲が倍になって戻ってくる感じで、反動が怖くて頻繁には使えないのです。

もう・・愛人と呼べる存在になっている村上に連絡を入れればすべて解決するのですが、彼の自宅を
訪ねるたび、関係を続けるたび、ずるずると深みに落ちる彼女自身の哀れな姿を冷静なもう一人の咲
江が憐みの眼で見ているのをひしひしと感じるのです。

〈こんなことを続けていれば・・、いずれ破局を迎える・・・、
今止めれば・・、元に戻ることができる…〉

そう思うのですが、うずく女体を持て余し、知らず知らずのうちに村上の自宅へ向かっているので
す。

その気になって見渡せば、家の中は整理整頓が行き届いていないのが目立つようになっています。食
事の内容も明らかに手抜きが見られるようになり、小2の長男と、幼稚園に通う長女は敏感に母親の
変化に気が付き、遠巻きに様子をうかがっている感じなのです。幸いなことに、研究に没頭している
夫、坂上夏樹はもともと研究以外のことには無頓着ですから、微妙な咲江の変化には全く気が付いて
いないのです。


部屋の掃除を終えると8時を回っていました。夫や子供が起きてくる時間です。休みになると寝だめ
と称して、夫坂上は朝8時過ぎまで寝ているのです。子供たちもそれに付き合って、前夜は珍しくパ
パと夜更かしでテレビゲームに興じていたのです。

いつもと違って遅い朝食が始まりました。幼い子供のいる一家の食事は賑やかで、ほほえましいもの
です。それだけ両親の手間は大変です。ようやくにぎやかな食事が終わりました。パパと一緒に
ゆっくり食事ができたのは久しぶりのことですから、子供たちもいつものと違って大はしゃぎでし
た。

「食事が終わったら、前の公園で遊ぼうか・・」

「うれしい…」

子供たちが喜んでいます。久しぶりにパパと遊べるのです。実は午後になると日曜出勤して研究を続
けるつもりで、ここで家族サービスするつもりになっている坂上です。


手軽に休日を楽しむ家族連れで公園は賑わっていました。ほとんどが近隣の人たちです。目ざとく咲
江が浦上一家を見つけました。浦上三郎、千春、そして幼稚園に通う長男です。咲江の長女は千春の
長男と幼稚園の同クラスです。両家は主婦同士が親友で、夫同士の付き合いはないのです、それでも
同じマンションに住んでいますので、千春の夫、浦上三郎と咲江の夫、坂上夏樹は顔を見れば相手が
判る程度の付き合いはあるのです。二人の男は互いに軽くあいさつを交わしています。


[3] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(524)  鶴岡次郎 :2016/11/22 (火) 16:06 ID:WPhV//IE No.2929
両家であいさつを交換した後、千春がリードして咲江を誘い、子供三人を連れて、滑り台やブランコ
のある遊戯広場に向かいました。坂上夏樹と浦上三郎が取り残される形です。二人ともほぼ同年代で
す。

「私は全くの門外漢ですが、大変な研究のようですね・・、
いよいよ山場に差し掛かっていると妻から聞かされています・・」

「そうですか・・そんな話までしているのですか…、
奥様には親しくお付き合いいただいているようで、感謝しております・・。
何分・・、世間知らずの私と話し合っても面白くないようで、
奥様とのお付き合いで息抜きができているようです・・・」

「微生物の研究でしたね・・・」

「ハイ・・、
学生の頃からその道しか知りませんから・・、
口を開けば、そのことに触れることになり、
妻は勿論・・、皆さんから煙たがれている次第です…」

「ハハ・・・・、それは仕方ないですね…
誰も先生の話をまともには理解できませんよ・・・、
できればここで、先生の世界的な研究内容を聞きたいところですが・・、
私などでは、奥様以上に理解できないでしょうね…」

「それほど難しい話ではないのです…
ただ・・、私が面白く話せないだけだと思います・・」

「先生の場合は高遠な内容で、奥様から敬遠されているのかもしれませんが、
ゲスな営業マンの私などは日ごろから下品な話しかできませんから、
坂上さんとは違った意味で、妻から嫌われています…
いずれにしても男の話はご婦人方には煙たがれますよね・・、ハハ・・・・」

さすがに一流商社の一流営業マンである浦上三郎は、研究畑一筋を歩いてきた坂上夏樹を相手にして
も、楽しく会話を弾ませているのです。

「遠くから拝見して、きれいな方だと思っていたのですが・・、
近くで見るとその美しさが際立ちますね…・、
可愛くて、可憐で・・、女子大生そのものですね・・」

浦上が咲江のことをべた褒めしています。

「ありがとうございます・・、
それほど褒めていただくほどでは・・・、
子供っぽさが抜けないだけだと思いますが・・」

「いや・・、いや・・・
奥様の魅力はそんな単純なものではありません・・」

「浦上さんの奥様こそ魅力的ですよ・・、
大人の雰囲気がいっぱいで…、
私など・・、奥様の前に出ると圧倒されて…、
言葉を出すことさえできませんでした・・
本当に素晴らしい奥様です…・・」

先ほど両家の紹介をした時、坂上は千春をじっと見つめて一口も、口を開かなかったのです。坂上の
棲んでいる世界では、千春のように大人のお色気をむんむんさせた女性は少ないのかもしれません。

「まあ・・・、色気だけは人並みにあるようですが・・・、
あれで・・、結構大変なのですよ・・・、
彼女の相手をするのが・・ハハ・・・」

「そうですか・・・、
そんなにお盛んなのですか・・・、
何となく判る気がします…。
そんな奥様を持たれた浦上さんがうらやましい・・・」

冗談気味に言った浦上の戯言を坂上は真剣に受け止めています。大人の魅力を発散する、色っぽい千
春がすっかり気に入ったことを坂上は彼女の夫の前でも隠そうとしていないのです。妻である千春に
惚れこんだ様子を見せる坂上を好ましそうに浦上は見ていました。どうやら浦上には何か魂胆がある
様子です。


[4] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(525)  鶴岡次郎 :2016/11/23 (水) 10:46 ID:fowkW/v2 No.2930
「奥様のように魅力的な女性は私の周りには居ませんでした・・、
これまでもそうでしたが、これから先も無縁の女性だと思います・・」

よほど千春が気に入ったのでしょうか、千春の話から坂上が離れません。坂上が千春に関心を持つの
は浦上にとっても願ってもないことです。にこやかに微笑みながら、内心ではしてやったりと
ガッツ・ポーズをとっていたのです。

「奥様はどのような経歴を辿ってこられたのでしょうね・・、
家の家内のように女子高から女子大を経て、
真っすぐに結婚にゴールしたのではあの魅力は絶対出てこないでしょう…」

坂上は彼なりに、千春の魅力の根源を探っているようです。珍しい現象に遭遇するとその原因を探り
たくなる研究者の本能がこんなところでも表に出ているのです。

「おっしゃる通り・・、
彼女が歩いてきた道は平たんではありません。
彼女だけでなく私も同様なのですが・・、
人様には言えない恥ずかしいことをたくさんやってきました・・」

浦上が遠い目をして語っています。シュー・フィッターとして活躍していた頃、数え切れない男たち
と関係を持ち、果ては売春まで手を伸ばした千春です。その経歴を改めて浦上は思い出しているので
す。

「結婚を決めた時点で、二人ともお互いの秘密を全て相手に伝え、
何も隠さないで一緒になりました・・・。
結婚後も・・、いろいろありました・・・
それでも、お互い似た者同士、時には派手なケンカをしながらも、
仲良く暮らしております…」

「やはり・・・、そうですか・・・、
何事にも、成功を勝ち取るためには・・、
人には判らない努力とたくさんの失敗経験・・、
そして、失敗を通して得られた蓄積が必要なのですね・・・、
持って生まれた才能だけでは、限界がありますからね…、
あの魅力を作り出すには、それなりの経験が必要なのですね…・」

盛んに頷きながら、科学分野の優れた実績を評価するのと同じ口調で、真面目に、感心した面持ちで
千春の色気を評価している坂上です。

坂上の論理に従えば、奔放に男漁りをしないと、女は成長しない、魅力的な女はそれなりに遊んでい
るということになります。女性の魅力を語るうえで、案外ある一面の真理を突いている気はします
が、どうなのでしょう・・・。

坂上がしきりに感心するのを見て、浦上は笑いを堪えるのに苦労しているようです、少なくとも、女
を磨くため、千春が身を削るような努力をしたとは、浦上は思っていない様子です。そんなに感心さ
れることではない、単純にスケベーな女だけなのだと・・、思っているようです。

「失礼を承知でお訊ねしますが・・・、
もしかしたら・・、坂上さんご夫妻は・・・、
お互いに、初めての異性だったのではありませんか…?」

ストレートに聞いています。そこまで立ち入っても、坂上なら許してくれそうな気がして、浦上三郎
は思い切って質問したのです。期待した通り、坂上は笑いながら答えてくれました。

「判りますか・・、判りますよね…・。
おっしゃる通りです・・。
妻のことは、私がそう思っているだけですが・・・、
少なくとも、私にとってはまぎれもなく妻が最初の女でした。
ついでに言うと・・、妻以外の女性を知りません…。
少し・・、おかしいですね・・、いい歳をして・・・、ハハ・・・」

屈託なく坂上が笑っています。なぜか・・、浦上の瞳が潤んでいるのです。言いしれない感動で、涙
腺が緩んだのでしょう。

「素晴らしいことです・・、
おかしいなんて、思いません・・・」

口に出すと、さらにその感動が強くなり、涙を隠すのに苦労している浦上です。


[5] フォレストサイドハウスの住人達(その16)  鶴岡次郎 :2016/11/24 (木) 11:30 ID:81tvono2 No.2931

(記事番号 2930に一部手を加えました。2016・11・24)

今まで坂上のような人物と付き合った経験が浦上にはありません。彼の経歴と現在の仕事内容から、
どちらかと言えば苦手の部類に入る人物だと考えていたのです。しかし、短時間とはいえ、親しく話
をすると、その思い込みが間違っていたことを痛いほど感じているのです。

茫洋としていながら、何事も見抜く鋭い眼力を持っていて、その鋭さを一切相手に気取らせない稀有
の人物だと浦上は感じ取っていました。坂上の魅力にすっかり虜になっていました。

「ところで・・、坂上さん・・・、
千春の過去話が出たところで・・、
またしても、ゲスな質問で恐縮ですが・・・
先生は・・、ソープなどご存知でしょうか…」

「ソープ・・?
石鹸ですか・・?
そうではないですね・・・、
ああ・・、女性の特殊な職業ですね・・」

「そうです・・、
お勤めの研究所ではそんな悪い仲間はおそらく居ないと思いますが・・、
学生の頃なら、一度くらいは悪友に誘われたことがありませんか・・・」

「イイエ・・・、残念ながら・・・
そんな女性が居るとうわさは聞いたことがありますが・・。
私の周りにはそこへ通う友人はいませんでしたから…」

「さすが・・、T大ですね・・・、
それに比べて、私の通った私大では悪友ばかりでした。
もっとも当の本人が悪い学生でしたから、
類が類を呼んだ結果だったのですがね・・、ハハ・・・」

浦上が笑い、坂上も笑っています。坂上がソープの話題を嫌がっていないと抜け目なく浦上は坂上の
様子から感じ取っていました。

「学業を忘れて・・、
悪所へ通うため、夜遅くまでバイトに励みました…
その頃、坂上さんは研究室に居たのですね…
この差は大きいですね・・。

片や、しがない商社マン・・、
一方は・・、日本を代表する研究者・・・、
こうなると判っていれば・・、
もっと勉強したのですがね・・、
今更悔やんでも、もう・・、遅いですね…
私は私で・・、今の道を進むより他の道はないですね…」

浦上の話に、坂上が面白そうに笑っています。


千春と咲江が遠くから二人の男が楽しく会話を弾ませている様子を見ています。

「心配したけれど、案外楽しそうに話しているね・・
成功だね・・・・」

「うん・・、千春の旦那さんが話を合わせてくれているのよ」

「そうかもしれないけれど・・・、
咲江の旦那様、茫洋としていて、
それでいて優しく、とっても深いところを心に秘めているから…
家の旦那はきっと好きになると思う・・・、
彼の周りには夏樹さんのような人は少ないから…」

夫同士が顔なじみになれば、千春と咲江にとっても何かと便利だと千春が提案して、夫同士を合わせ
る機会を作ることにしていたのです。そして、今日その計画を実行に移したのです。男たちの様子を
見る限り、どうやら妻たちの計画はうまく進んでいる様子です。実を言えば、坂上と浦上を仲良くさ
せねばならない切実な理由が千春には別にあるのですが、その訳は咲江にも話していないのです。


[6] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(527)  鶴岡次郎 :2016/11/25 (金) 10:19 ID:AlHWEHmw No.2932
その頃、浦上三郎は最後の仕上げに取り掛かっていました。

「・・冒険したいお気持ちがあるのなら、一度行ってみませんか・・」

「興味はありますが・・、
なんだか怖いですね…、
正直言えば、病気が心配です…
感染の危険を冒してまで、やることではないと思いますが…」

「ハハ・・・、
正直におっしゃる・・・、
先生にはかないません・・・」

少しあきれながら、少し敬意をこめて、陽気に浦上が答えています。こんなに素直にソープで病をも
らうことへの不安を語る男を今まで見たことがないのです。このことだけを取り上げても坂上はかな
りユニークな人物だと、坂上への興味はさらに増していました。実を言えば千春に頼まれて、気が進
まないまま、坂上に接触したのですが、今となっては、そのことをすっかり忘れて、自分の意志で坂
上を取り込もうとしているのです。

「先生の話を聞くと・・、
あそこには病原菌がうようよいるような気がしますね・・・、
そうなると、そこへ大金を払って通う男は先生にはバカに見えるでしょうね…、
私など、そのバカの中でも、筋金入りの大バカ者になりますか・・
ハハ・・…」

浦上が面白そうに笑い、ここへきて、坂上が少し恥ずかしそうなそぶりを見せています。浦上が笑う
のを見て、自身の発言が場違いなものだったと坂上なりに懸念し始めている様子なのです。そして
突然・・、不注意な過ちを犯したことに気が付いたのです。少し慌てた様子で、坂上が発言しまし
た。その言葉がまた浦上を驚かせているのです。

「スミマセン…、とんでもない誤解をしていたようです・・・、
その上・・、何の実証データもないのに不用意な発言をしました・・・・。
今の発言は、この場だけのことにして、忘れてください…、
業界の方が聞かれたら、いわれのない誹謗中傷だと叱られます…」

ソープへ行くと病気に感染すると・・、詳しく事情を知らないのに不注意な発言をしてしまい、
ソープ関係者を傷つけたことを、坂上は本気で謝っているのです。どんな時でも、何事にも、真摯に
向き合う人なんだと、浦上は坂上がもっと好きになっていました。

「いえ、いえ・・、
先生のご心配はもっともです・・、
真剣に心配されているのに・・・、
私こそ笑い出したりして申し訳ありません・・、

過去にはかなりそのことが問題になったことは確かです・・。
しかし・・、今は衛生思想が行き渡っていますから・・、
しっかりした店を選べば問題ありません・・」

「そうですか・・、病気の心配はなくなったのですか・・・、
その心配がないとなれば、かなり気楽に行くことが出来ますね・・、
それならお店は以前に増して繁盛しているでしょう…、
何しろ、男の欲望は尽きないですから、市場は安定していますよ…・」

先ほど心無い発言で風俗業界を誹謗したことへの気配りなのでしょう、坂上は業界の繁栄を喜んでい
るような口ぶりです。浦上はさらに坂上が好きになっています。

「入ってみると判りますが・・、
予想外に、清潔で、明るい雰囲気です・・、
想像されているような暗い娼婦宿の雰囲気は全くありません・・」

坂上夏樹の抱く不安をやんわりと消している浦上です。

「一見さんはお断りの店が多くて・・、
先輩に連れられて、何度かそこへ通って、馴染みの女を作り、
いろいろ遊び方を覚えて、女を楽しませことが出来るようになり、
ようやく自分自身が楽しめるようになると・・、
なんかの本で読んだことがありますが…・」

小説などで知った昭和の遊郭でのしきたりを坂上は思い出して不安を口にしているのです。古風な坂
上の知識に驚きながらも、浦上はそんな坂上がかわいくてしょうがない表情を浮かべています。

「そんなことはありません・・、
遊郭の時代と違って、ビジネスライクですから、
一切のわずらわしさはありません・・・。
また、そこに居る女たちは、良く指導を受けていますから、
初めての男性でも決しておろそかにしないで丁寧に付き合ってくれます。
返って、初心者の方が歓迎されるのですよ…。
全然問題ありませんよ・・・」

「しかし…」

「男と生まれた以上・・、
奥様以外の女を一度は、経験されるべきです・・、
研究に直接役立つとは思いませんが・・、
気分転換になり、その効果がお仕事の結果にも表れると思いますよ…」

「・・・・・・・・・」

一流セールスマンが精魂込めて売り込むのです、研究畑しか知らない坂上はあっさり落とされ、
ソープへ行くことを約束しました。本当に嫌なら断り通したと思いますが、坂上もまた、女性への興
味を断つことが出来ない健康な男性だったというべきかもしれません。


[7] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(528)  鶴岡次郎 :2016/11/29 (火) 10:11 ID:0KCLGE2g No.2933
当日、坂上夏樹は朝から緊張していました。妻には研究所に出入りしている取引会社へ直行すると
言って、いつもよりは朝遅く家を出たのです。研究所には親戚の不幸があり午後4時ごろ出勤すると
伝えています。午前11時から、午後2時ごろまでの4時間が坂上夏樹の冒険のために許された時間
なのです。

著名な国際学会で勝負をかけた論文を発表する時でもこんな状態にならないと思えるほど坂上はカチ
カチに緊張しています。先日の公園では、浦上三郎が同行してくれる約束で、ソープへ行くことを了
解したのですが、当日になって商用で仙台への出張が決まり、同行できなくなったと浦上から連絡が
入ったのです。

先方のソープ店の店長は浦上が懇意にしている人物で、坂上夏樹が初めてソープ店へ入ることを伝え
ていて、すべて手取り足をとって教えてやってほしいと頼んでいる。だから大船に乗ったつもりで、
店に入って名前を言うだけで、あとは店長や係の人の言うとおり動けばいいと浦上は坂上夏樹に伝え
たのです。

その場で断ろうと思ったのですが、本音を言えばソープへの断ちがたい興味があって、最後には浦上
のうまい言い訳に丸め込まれた形をとり、状況を受け入れることにしたのです。

もちろんそのあたりの呼吸は浦上三郎も承知で、ソープ店側は準備万端整えて待っているし、女の子
も予約をキャンセルされると生活に響くことになると、根拠のないことをあげつらい、人情家の坂上
の退路を断ってごり押ししたのです。こうして坂上夏樹は一人で、生まれて初めてソープへ出かける
ことになったのです。この時点でも浦上三郎の計略にはまったとは坂上は気づいていませんでした。


教えられた道を辿るとその店の看板がすぐに見つかりました。繁華街と住宅街の境目に立つ古いビル
で、その店の看板はそのつもりで探さないと分からないほど質素で、目立たない小さなものでした。

狭い階段を上がり、二階に上がると映画館の切符売り場に似た受付があり、白いワイシャツ、蝶ネク
タイの若い男の店員がにこやかに迎えてくれました。

名前を名乗ると店員がにっこり笑い、すべてうかがっていますと言い、前払いの金額を言いました。
坂上夏樹にはその金額が高いのか安いのか、よく判りませんでした。他に比較するデータを持ち合わ
せていない坂上は映画館の入場料より高いと思ったのです。

案内された部屋でガウンに着替え、別室へ案内されました。そこでしばらく待つように言われたので
す。坂上の心臓は早鐘を打つにように鳴り響いていました。学生の頃、初めて国際学会で論文発表し
た時でも、こんなに緊張していなかったと坂上は思っていました。

ゆっくりと室内を見渡します。最初に目に飛び込んで来たのは灰色のエアー・マットです。坂上がい
くら世間知らずでもそのマットの使い道は理解できます。慌ててマットから視線をずらせています。
ピンク色の浴槽、何に使うのかわからない小さな椅子、そした何となく隠微な香りを放つ室内の空
気、全てが坂上にとって珍しいのです。気が付くと研究者の眼で周りを見渡しているのです。その行
為で坂上はかなり落ち着きを取り戻しました。

「いらっしゃいませ・・・」

突然ドアーが開き裸に近い恰好をした女性が入ってきました。

女性はその場で片膝をついて、優雅に頭を下げています。女性からこんな丁寧な挨拶をされたのは坂
上の記憶にありません。ほとんど裸体に近い女性を見て、不覚にも坂上のその部分が緊張を開始して
います、親の心を知らないドラ息子が首を持ちあがているのです、もう・・、ガウンを持ちあがる状
態になっています。

女性が頭を上げ、坂上を見てにっこり微笑みました。その笑顔に坂上は覚えがありました。

「アッ…、奥さん・…」

坂上夏樹が絶句しています。

薄い透き通るようなガウンを羽織り、下着とは思えない布地の少ないショーツをつけているのです。
豊かな胸も、股間の暗い繁みもよく見えるのです。部屋に入ってきたときはめまいに似た興奮を感じ
て、女の表情を良く確かめることができなかったのです。その場の雰囲気に少し慣れ、女の表情を見
た時、この女を知っていると思いました。そして、鮮明に女の名前を思い出していたのです。

そう・・、ここは浦上千春の店だったのです。


[8] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(529)  鶴岡次郎 :2016/12/01 (木) 15:06 ID:B4e6MANo No.2934

「ここでも・・、千春の名前で出ております…
本日は、ご利用いただきありがとうございます…、
不束者ですが、よろしくお願い申します・・・」

床のマットに正座して、千春が深々と頭を下げています。

「ああ・・・、こちらこそ・・・、
よろしく・・・、お願い申します…」

慌てた様子で、坂上が膝を折り、その場に座って頭を下げています。

「フフ…、びっくりしたでしょう…、
主人と相談して、坂上さんをこの店にお誘いしたのです…」

「エッ…、ご主人もご存じなのですか・・」

「ハイ・・、彼の許しを得てこの商売をやっています…
週に二度か、三度、昼間だけ出勤しております…・」

「まさか・・、ご主人が許しているなんて・・・・・・」

妻のソープ勤めを浦上三郎が認めていると聞かされても、坂上はすぐには信用できない様子です。そ
れでも浦上がこの店を紹介した時、彼はこの店をよく知っていて、店長とも親しい仲だと言っていま
した。彼の言ったことは千春の言葉と符合するのです。坂上は混乱した気持ちをそのまま表に出して
千春を見つめているのです。

「信用していただけないのが普通です・・、
主人だって、私がこの商売をするのを喜んでいるわけではありません・・。
男なしでは生きて行けない私の淫乱な体を考えると・・、
手あたり次第に男漁りをされるよりは・・、
決まったところでお金もらって抱かれる方が、害が少ないと判断して・・、
この方法しか道はないと・・、追い詰められて…、
彼なりに覚悟を固めて、私のソープ勤めを許してくれているです・・」

「・・・・・・・」

真剣な表情で語る千春の一言一句を聞き逃さない姿勢を坂上が見せています。

「そんなに深刻な顔をしないでください・・、
軽蔑されるかもしれませんが・・、
こんなでも、私も・・、たぶん主人も・・、
この状況を楽しんでいて、決して惨めだとは思っていませんから・・」

「いえ、いえ・・、
惨めだなんて・・、これぽっちも思いません…、
むしろ・・、うらやましい仲だと思えるほどです…」

「嘘でも・・、そう言っていただけると嬉しい・・、
坂上さんご夫妻の生き方とはかなり異なりますが、
そんな夫婦もいると認識していただけるだけでいいのです。
ですから・・、そんな難しい顔をしないでください…。

でも・・、
私がここで働いているのを、主人が認めていることは・・
この店の誰にも言っていませんから・・、その事実は内緒ですよ…」

内緒ですよと、微笑みを浮かべた千春が言うと、あわてて何度も頷いているのです。大好きな千春の
体から立ち上がる妙なる女臭、目に入る豊かな裸体、それを感じ取って、坂上の股間ははち切れそう
になっています。


公園で浦上一家と出会い、浦上三郎と言葉を交わした時、ソープへ行くことを唐突に、かなり強引
に、浦上が勧めたこと・・、紹介された店が浦上の妻、千春の勤める店であること・・・、目の前に
ソープ嬢として千春が居ること・・、そして千春のソープ勤めを浦上三郎が認めていること・・、
これらの事実を考え合わせると、坂上がこの場にいるのは、決して偶然でなく、仕組まれた結果だと
坂上はようやく悟っています。


[9] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(530)  鶴岡次郎 :2016/12/02 (金) 14:27 ID:i3sUIoxs No.2935
騙されたと・・、気が付いても決して不愉快な気分になっていませんでした。ただ、坂上夫妻の意図
が浦上には今一つ読み切れないのです。

〈どうして・・・、こんなことを・・・、
咲江に頼まれた可能性が高いが・・、
それにしても大胆な計画だ・・、
この先どうするつもりだ…〉

今回の計画を実行した浦上夫妻に悪意はなく、好意から出たものだと坂上は直ぐに理解していまし
た。そして、ここがソープで、目の前にほぼ裸体の千春が居ることを考えると、この先の展開がある
程度まで読めるのです。千春を抱ける…、その期待で、坂上は息詰まるような気分になっていまし
た。

「ご主人に勧められて、私はこの店へやってきました・・・、
そして、あなたが現れた…、
これって、決して偶然ではないでしょうね…。
もしかすると・・、
妻があなたに、何かを頼み込んだのではありませんか・・」

坂上が千春にやさしく問いかけています。詰問をしている様子ではありません。

「先生は何でもお見通しなんですね・・・、
先生のおっしゃる通りです・・、
主人に頼んで、先生をこの店にお誘いしました・・・」

少し考えれば誰でも推測できる経緯なのに、少し大げさに坂上の推理を千春がほめています。

「でも・・、間違っているところもあります…
咲江は・・、ああ・・スミマセン・・、
いつも咲江、千春と呼びあっている仲ですから・・、
咲江は今日のことは何も知りません・・・、
すべて私一存で事を進めました・・・」

「・・・・・」

咲江の依頼を受けて千春が計画を実行したという、坂上の推測は外れたのですが、当たらずとも遠か
らずの感触を坂上は得ています。そして、何事か考えている表情で、坂上は頷きながら、話を続ける
よう、千春を促す表情を作っています。

「咲江とは何事も隠さず話し合う仲です・・、
今からお話しすることをお聞きになれば、
女たちはそんなことも友達と話し合うのかと・・・、
驚き、軽蔑されるかもしれませんが・・・、
それほど・・、私たちは心を許しあっている仲だとご理解ください・・」

「・・・・・・・・」

坂上が笑みを浮かべて頷いています。

「先週末、三ヶ月ぶりにご夫婦の営みがあったことを彼女から聞きました。
彼女・・・、すごくうれしそうに私に話していました・・・
三ヶ月も触ってもらえなくて辛かった・・と、言っていました・・・・」

「・・・・・・・」

夫婦の夜の関係さえ二人は話し合っているのだと、坂上は憮然とした表情を浮かべています。研究が
追い込みにかかっていて、心ならずも、週一のお勤めを先送りしていて、先週末、咲江をようやく抱
くことができたのです。今考えると、あの夜、咲江の悶え方は異常だったと、今更のように思い出し
ているのです。

「夜の関係までしゃべったと咲江を責めないでください・・。
申し上げたように、私たち・・、何でも話し合う仲なのです・・。
勿論、私の秘密・・、この店に勤めていることも、
私の愛人・・、・・と言っても冴えない50男ですが・・・、
そんな男と付き合っていることも彼女は全部知っています・・・。
驚かれたでしょう・・」

「・・・・・・・・」

坂上が黙って頷いています。平静な表情を保っていますが、内心ではすごく驚いているのです。普通
の主婦だと思っていた千春が50男の愛人を持ち、ソープ勤めまでしているのです。女性は判らない
と、今更のように坂上は驚いているのです。そして・・・、奔放な千春の話を聞かされた咲江の気持
ちに、坂上は思いをはせていたのです。


[10] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(531)  鶴岡次郎 :2016/12/05 (月) 10:50 ID:KLbh0PK2 No.2936
サラリーマンの夫を持ち、子供とマンションに暮らす、同じような生活環境に居ながら、一方は50
男の愛人がいて、ソープ勤めまでしていて、さらにその行為を夫が認めている、そんな千春と、三ヶ
月に一度程度の夫婦関係しか持てていない咲江自身と比較して、彼女は何を感じ、どのような気持ち
になったのか・・、坂上はそのことを考えるのが怖い気持ちになっているのです。

二人の間でどのような会話が交わされ、どのような悩みを咲江が吐き出し、千春がどのように慰めた
のか、坂上にはその光景が手に取るように見えるのです。どうやら、今日、坂上がソープへ招かれた
のは、千春の一存だと彼女は言い張っているものの・・、そこには千春が咲江からくみ取った、咲江
自身の願いが込められていると坂上は感じ取っていました。

坂上の中で複雑な思いが駆け巡っていることなど、千春はもちろん気が付いていません、冷静に構え
る坂上の様子を確かめて、これなら話を進めていいと判断したのでしょう、千春は話を続けるようで
す。

「何でも話し合う咲江との仲ですが・・、
先ほど言いましたように
今日ここへ夏樹さんをお誘いする計画は一切話していません・・、
これから先も、この件を咲江に話すつもりはありません…、
夏樹さんもそのつもりでいてくださいね…・」

坂上は黙って頷いています。

「夏樹さんをここへお招きした訳ですが・・・、
申し訳ありませんが、はっきりした目的はありません…、
しいて言えば・・、
愛人を持ち・・、ソープ勤めしている好色な女・・、
そんな女が奥様の友達に居ることを知っていただき・・、
そんな私の・・、生の姿を直にお見せしたいと思ったからです・・」

「・・・・・・」

黙って頷いていますが、何となく歯切れが悪いと坂上は感じ取っていました。そして、歯切れが悪い
のは、今回の計画は千春が一人で考えたわけでなく、別の軍師が居るのかもしれないと坂上は疑い始
めていました。

千春が誰かに相談し、その人が千春に知恵を与えた。日ごろからその人を尊敬している千春は疑いも
しないで計画を実行している。そう考えたのです。そうであれば、はっきりした目的意識が千春に乏
しいのは頷けるのです。見えない敵とも戦う羽目になったと坂上は覚悟を固めていたのです。

「ただ・・、ひたすら・・、
私を辱めていただければいいのです・・。
そして・・、私の恥ずかしい姿を・・、
余さず見ていただければ、それでいいのです・・。
生の女を感じとっていただければ、それでいいのです・・。

もちろん・・、
こんなことをするのは咲江を思ってのことです…」

「・・・・・・」

案外冷静に、坂上は自身の置かれた状況を理解している様子です。ひたすら千春を辱め、その様子を
観察して、そこから何かを感じっとってほしい…などと、理解に苦しむ千春の説明を聞いても、ただ
黙っているのです。

相手の目的、仕掛けの全貌がはっきり見えるまで、じっくり構えて、仕掛けられた罠を楽しむつもり
になっているのでしょうか・・、あるいは、ここで千春を追求しても、彼女自身でさえ、自身の行動
目的をはっきり理解出来ていないと疑っているのかもしれません、戦うべき相手は、千春の後ろに隠
れている軍師だと分かっているのかもしれません…、いずれにしても・・、坂上はどこか余裕さえ見
せているのです。

「さすがですね・・・、
私の中途半端な説明を聞けば・・、
次々と質問が出てもおかしくないのですが・・・・、
夏樹さんは悠然と構えていますね…・。
なんだか、全部こちらの手の内を読まれているような気がします・・・」

千春が笑みを浮かべて感心した面持ちです。


[11] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(532)  鶴岡次郎 :2016/12/07 (水) 15:37 ID:EcTyKy02 No.2937
「そんなことはありません・・、
正直言って、びっくりしています…。
これからどうなるのか心配でもあります…。
千春さんが何を企んでいるか、その全貌が見えません・・・・
とっても不安です・・・・」

心配だ、不安だと言いながらも、にこにこ笑いながら話しているのです。

「しかし・・、
そんな心配も、不安も・・・、
今の私には・・、どうでもいいことなのです…、

正直言います…、
とっても楽しいのです・・、
こうして千春さんと一緒にいることが・・、

千春さんの体温を感じるこの空間に居ることがうれしいのです・・。
この時間が永遠に続くのを願っています・・

これから先のことは・・・、
たとえそれが、大切な妻に関することであっても…、
今はそのことを忘れようと思っています…。
この部屋を出てから、ゆっくりと考えます…」

ベテランの色事師のようなセリフですが、坂上の本心です。咲江のことさえ忘れて、今、目の前にい
る千春のことだけを考えたいと言っているのです。

「うれしい・・・、
そんなに思っていただいているなんて…
女冥利に尽きます…」

〈ああ見えて・・、坂上さんはかなり女好きだよ・・・、
お前のことがすっかり気に入ったようだ…
お前の色香は、丹精込めて作り出された一級品だと褒めていたよ…
あの様子だと・・、お前が誘えば、イチコロだよ…・
お前の要求なら、何でもすると思うよ…〉

浦上三郎から事前に聞かされてはいたのですが、坂上の口からじかに熱い言葉を聞かされると千春の
女心は本気で揺れ動いているのです。

「私をここで抱いてください・・・、
ただのソープ嬢と思って抱いていただいてかまいません・・、
勿論、愛しい女だと思って抱いていただくと、もっと嬉しいです…」

「・・・・・・・」

予想できた言葉ですが、千春の口からその言葉が、こんなに自然と出るとは思っていなかったので
す、坂上は言葉を失い、一気に舞い上がっています。

「私を抱いてください・・・。
それで私は満足です・・・。
私では・・・、お嫌ですか…・・」

男の目をまっすぐに見つめ、千春は微笑みを浮かべて甘えた声を出しています。

「嫌だなんて…、そんなことは絶対ありません・・、
夢を見ているようです・・
本当にいいのですか・・・
千春さんを抱いて・・・・・」

ポツリポツリと話す男の言葉が終わるのを待たないで、千春は立ち上がり、坂上に近づき、彼のガウ
ンを優しく脱がせています。坂上はほとんど抵抗しません。男の体に触り、マットの上に上向きに横
たえました。そして、股間に張り付いていた自身のショーツを器用に剥ぎとっています。その露出し
た股間を男の体に押し付けながら、男根に顔を寄せているのです。


[12] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(533)  鶴岡次郎 :2016/12/08 (木) 14:29 ID:zBoLnCrM No.2938
「ああ・・・、凄い・・・、
咲江から聞いていた通り・・・、
立派な持ち物…、
香りも良い…・」

坂上の男根を見て、本音でびっくりした表情を浮かべています。そして、うっとりした表情を浮か
べ、男根に指を絡め、顔を寄せているのです。

20センチをはるかに超える巨砲です。形も申し分ありません。先端部は十分に張っており、幹には
太い血管が浮き出ているのです。先端から芳香を放ちながら透明な液が流れ出ています。

「本来ですと・・、お店の決まったコースがあるのですが・・、
本日は、商売を離れて、夏樹さんをおもてなし致します・・。
もし・・、夏樹さんのご希望があったら、なんでもそういってください・・、
大体のことはご要求に従えると思います・・
それで・・、よろしいでしょうか…」

「・・・・・・・」

天井を向いたまま、股間を千春に預けて、坂上が頷いています。

「それでは・・、先ずこちらから・・、
チ○ポをいただきます…・」

ためらいなく千春は男根の先端を口にいれました。そして女は体をずらせて、両脚を開き、女芯を男
の顔面に近づけています。

「女は・・、そこを…、
オマ○コを舐めていただくのが大好きです・・」

坂上がそこを見つめて何もしないのを感じ取って、千春が説明を始めています。咲江から聞いてい
て、クンニや、尺八行為は坂上家には存在しないこと、そして、夫婦の部屋では明かりを落としてい
て、互いの性器をよく観察する習慣はなく、巷で秘かにささやかれている性器の俗称を使うこともな
いと、咲江から報告を聞いているのです。おそらく、坂上は女性の性器をまともに観察したことはな
いと思えるのです。

坂上家の習慣をすべて変えるつもりになっている千春です。

「汚いと思いなら・・、結構ですが・・・、
できることなら、舌を使って、外も中も・・、
まんべんなく舐めてほしいのです…」

じっと女陰を見ていた男がゆっくりと口を近づけ、舌を入れています。最初は恐る恐る、その香りと
味に慣れてくるとかなり強烈に吸い始めました。面白いように愛液があふれ出るのです。

「そう・・、ソコ、ソコ・・、
舐めて・・、もっと・・・、
オマ○コを舐めて…
そう・・、奥まで舌を入れるのよ・・・、ああ・・・・、
ああ・・・、お上手・・・、もっと、もっと…」

かなり過剰に、演技を加えて、千春は反応しています。男の顔面が愛液でずぶぬれになっています。
それでも男は止めません。そこをしゃぶることがかなり好きになった様子です。愛液もごくごくと飲
んでいます。

「オマ○コをしゃぶられると・・、
どんな女でも、いい気持になります・・、ああ・・・
いっぱい、お汁が流れ出ているでしょう・・
ああ・・・、本当にお上手・・・・」

男に舐めさせながら、千春は解説しています。


[13] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(534)  鶴岡次郎 :2016/12/09 (金) 14:27 ID:U5q2y8Fg No.2939

「では・・、次の段階に移ります…、
ベッドでは、ただ挿入行為を行うだけでは十分といえません。
挿入は大切な行為ですが、その行為に移る前の準備段階も大切なのです・・。
挿入前に奥様を十分愛撫して、高めていますか…?」

「・・・・・・」

坂上が黙って首を横に振っています。

「ご心配なく・・、夏樹さんだけではありません・・。
この店に来る大部分の殿方はそのようです・・。
でも・・、奥様とのセックスを十分楽しみたいと思ったら、
まず事前に奥様を十分に高めることが大切なのです・・。
最初に私が夏樹さんの体で、その準備行為を実演します…
よく覚えて、次は夏樹さんが私にやってください…」

唇から、あご、目、そして首、わきの下、お腹と・・と、千春は唇と両手、股間の繁み、両脚
を・・、巧みに使い分けて、男の体に愛撫を与えました。男は妙なる愛撫を受けて陶然としていま
す。

「こうして愛撫されると気持ちいいでしょう…、
男性より、女性はより敏感ですから、
男性から愛撫を受けると、それだけで、本当に狂いだすのです・・・、
さあ・・、やってみましょう・・」

マットの上に仰向けになり千春が四肢を投げ出しています。男が恐る恐る舌と指で体の愛撫を始めま
した。最初は恐る恐るでしたが、千春の反応を見ながら、強く弱く愛撫をしています。感度のいいポ
イントもわかったようで、わきの下へ執拗に唇を這わせ、声を出させる術も新たに発見しています。

女のツボから愛液を救い取り全身にまぶして、滑りのいい状態にして愛撫する方法もマスターしてい
ます。とにかく習得が早いのです。男根で全身を摩擦する行為が気に入った様子で、大きな男根で千
春の体をこすり始めています。異常な刺激を受けて、千春が呻き、絶叫しています。

「ああ・・・、もういいわ・・、
がまんできなくなっちゃった・・、
次は挿入ね・・・」

千春の方がギブアップしています。マットの上で両足を開き、両方の指で陰唇をいっぱいに開き、男
を迎える姿勢をとっているのです。男は千春の体をまたいで、仁王立ちになり、偉大なモノを女に見
せびらかしています。先ほどよりさらに硬度を増し、恐ろしいほどの姿を見せつけているのです。

「ああ・・・、凄い・・・、
こんなにすごいチ○ポを見たのは・・、
私・・、初めて・・・・
こんなものを、いつも食べているなんて・・、
咲江がうらやましい…」

本音で千春が言っています。

「挿入する前に、女の道具を説明します・・、
ここがクリ・・、ここが尿道・・、ここが膣穴・・、
ああ・・、何だか・・・、感じる…・・」

息がそこにかかるほど夏樹は顔を寄せて説明を聞いているのです。

「人によって違うけれど、私は入り口を少し入ったところ・・、
そう・・、ここへ指を入れてみて・・、そう、そう・・、
その上の部分に爪を立ててみて・・・、ああ・・…」

男が腰を下ろし、女の指示に従い、指を挿入してその部分をこすり始めています。千春は身をうねら
せて悶えています。そして、我慢できなくなったのでしょう、男根に指を絡め、自ら身を寄せて、巧
みに体をねじって、亀頭を女陰の中へ飲み込んでいます。

それからは、すさまじい絡みが展開されました。店内に千春の悲鳴が響いていました。千春の部屋に
続きになったところに客待ちの女の子たちの控室があります。そこまで千春の嬌声は響いているので
す。女たちが、顔を見合わせて含み笑いを交わしています。


[14] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(535)  鶴岡次郎 :2016/12/13 (火) 16:52 ID:uK1uuuC2 No.2940
「お約束の時間が来ました・・、
名残惜しいのですが・・、
今日はこれで終わりになります…」

マット上で四肢をいっぱいに広げ、男の体を上に乗せたまま、千春が坂上にささやきました。坂上が
ゆっくり体を起こし、マット上に胡坐の姿勢で座りました。女は横になったままで、愛液でぬれた体
を恥ずかしげもなくさらして、男を見上げています。

「いかがでしたか・・・、
ご満足いただけたでしょうか…・」

けだるそうですが、それでも丁寧な言葉を発しています。

「ハイ…、それはもう…・、
すべてが初めての経験でしたが・・、
信じられないほど興奮しました・・」

「それは・・、それは・・・、
喜んでいただけて、何よりでした…」

そういって、女はゆっくりと体を起こしました。そのまま横になっていたいはずですが、さすがに寝
たままではお客に失礼だと思ったのでしょう。

「私…・、変だったでしょう…、
商売気を忘れて、のたうち回りました・・・、
お恥ずかしいことです…」

本当に恥ずかしそうなそぶりを千春が見せています。

「正直に申し上げます・・。
悲鳴を上げ、のたうち回る千春さんを見て・・・、
最初は・・、これは演技なのではと疑いました・・・」

「・・・・・・・・・・」

千春をじっと見つめて坂上は語っています。まだセックスの興奮が冷めない様子で、千春はしどけな
く足を投げ出し、片手を床について、坂上をぼんやりと見つめています。演技だという坂上に反論す
る気力も失っているようで、首を傾け、愛想笑いなのでしょう・・、笑みを浮かべているのです。

「しかし・・、途中から・・、
これは演技でなく、本気で千春さんは乱れているのだと思いました。
そう感じると・・、私の中に気力がむくむくとわいてきました・・・」

「・・・・・・・」

坂上の言葉の意味が分かっているのでしょうか、千春の表情は変わりません。童女のようにあどけな
い笑みを浮かべているのです。

「夢中で千春さんを攻めました・・、
その攻めに応えて千春さんは大いに乱れてくれました・・。
正直に申し上げます・・。
セックスでこんなに感じたのは今回が初めでした…」

「そう・・、そんなに良かったの…、
そう言っていただけると、ここへお招きした甲斐がある・・」

千春がうれしそうに言っています。

「私・・、
普段はそれほど感じないように注意しているのよ、
だって・・、あまり逝き過ぎると・・・、
翌日まで疲れが残るのよ・・・」

微笑みを浮かべて千春はゆっくりとしゃべっています。

「でも今日はダメだった…、
逝かないよう・・、我慢していたんだけれど…、
夏樹さんのすごいチ○ポで突かれると・・・、
もう・・・、どうでいい気になってしまっていた・・
夏樹さんは本当に女殺しね・・・
あのペースで突っ込まれると…・、
私のアソコが……、ふふ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

笑みを浮かべて千春が際どい言葉を発しています。さらに淫蕩な感想を言おうとした女がその言葉を
飲み込んでいます。女の予想に反して男の態度が変なのです。


[15] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(536)  鶴岡次郎 :2016/12/14 (水) 10:42 ID:5opMU/oE No.2941

故意に猥雑な言葉を使って男を鼓舞しようとする女の計画、ソープ嬢の常とう手段なのですが・・、
これにはほとんど反応を見せないで、逆に男は姿勢を改めて、その場で正座をしました。表情も引き
締まっています。びっくりした表情を浮かべ、女が男の顔を見ています。

「無知と経験不足だっとはいえ・・、
私は・・、
たくさんの過ちを犯してきました・・。
そのことにやっと気が付いたのです・・・」

マットの上に正座して、膝に両手をついて、頭を下げて、坂上は言葉を絞り出しています。

「千春さんがおおらかに乱れる様子を目の当たりにして、
咲江には・・、
女の喜びを何一つ与えてこなかったことに気が付きました。
私がいたらなかったせいで、長い間・・・、
咲江に不満な思いをさせたことにようやく気が付きました・・」

「・・・・・・」

男として絶対口にしたくない言葉を絞り出している坂上をやさしい瞳で見つめています。その千春の
頬に涙が流れています。何度も頷きながら、泣いているのです。

「仕事も大切ですが・・・、
もっと大切な存在を忘れていました…。
今まで、咲江には十分なことができていませんでした…」

「・・・・・・・・」

「私たちのことを思って・・、
こんなにまでしていただいて・・・、
浦上さんご夫妻にはお礼の言葉もありません…」

さすがに坂上です。浦上夫妻が計略をめぐらして坂上をソープに誘い出し、千春が持てる技を駆使し
て、セックスの楽しさを教え込んだその目的を、千春の意図を、坂上は完ぺきに理解しているので
す。

「家に帰り、ここで教えていただいたことを、
咲江と一緒に復習してみます…
きっと、咲江も喜んでくれると思います…・」

「それがいいわ・・・、
夏樹さんが本気を出せば・・、
咲江はきっと気絶するかも…、
でも・・、心配しないで・・、
女は気絶するほど逝かせて欲しいと思う動物だから・・」

「判りました…、
それで・・、一つ聞きたいのですが・・」

「何でしょう・・?」

笑いこらえながら千春が答えています。新しいことを学ぶと、さらにその先が知りたくなる・・・、
どうやら、こと夫婦のセックスに関しても坂上の研究者魂はいかんなく発揮されるようです。


[16] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(537)  鶴岡次郎 :2016/12/15 (木) 13:18 ID:0TAYY6D. No.2942

「あなたには旦那様が居て、愛人まで持っている・・・、
それだけでは足りなくて…、
この店に勤務して、
たくさんの男の相手をしている…。
咲江もそうしたことを望んでいるのでしょうか…?」

かなりストレートに聞いています。裸身を投げ出したまま、千春は少し考えるふりをして、笑みを浮
かべて、やおら口を開きました。

「もし・・・、
咲江が・・・、
私と同じように他の男に抱かれたい・・・、
そう思っているとしたら・・、
夏樹さんはどうしますか…?」

「・・・・・・」

「汚いと言って・・、
切り捨てますか…・?
それとも…、
ある程度の理解を示しますか…?」

「・・・・・・・」

息の詰まるような沈黙が支配しています。どこからか人の声が響いてきます。新しい客が来たよう
で、その客とソープ嬢の絡みの声がこの部屋にも聞こえているのです。

半身を起こし、床にからだ投げ出し、両脚をだらしなく広げ、濡れた女陰をさらしたまま・・・、
その姿はこの上なく猥雑なのですが・・・、少し首を傾け、男の表情をしっかり見つめる表情は真剣
勝負の場にいる女性剣士そのものです。

マットの上に腰を下ろし、胡坐の姿勢で座り、衰えても十分な存在感を見せつけている男根を千春に
向けて、坂上は千春の顔を見つめています。こちらも、静かで穏やかな、良い表情をしています。千
春の強い視線をしっかり受け止めているのです。

「千春さんの喜ぶ姿を見て、
失礼ながら、女の人のすさまじい性感をようやく理解できました。
咲江にも同じ性感が備わっていると思います・・・・」

考え、考え、坂上は言葉を拾うようにして話しています。

「これほどの性感を持っていながら、
平然と日常生活を送っている全女性を尊敬します。
もし、男性があの性感を持っていれば、
なにも仕事をしないで、一日中、セックスに耽るでしょう…」

「・・・・・・・・」

ここで言葉を切り、坂上は何かを考えている様子を見せています。息をつめて千春は次の言葉を待ち
ました。

「そんな豊かな性感を持っている咲江の事情を理解しないで・・、
おざなりなセックスをしてきた私の罪は許されるものではないと思います・・」

夏樹の言葉で、千春の瞳に涙が浮かびあがっています。

「もし・・、
私のような男を夫に持ったことで、欲求不満が募り・・・・、
咲江が他の男に溺れることがあったとしたら…」

そこで言葉を切り、一瞬、坂上は苦しそうな表情を見せました。辛い言葉を吐き出そうとしているの
です。千春はじっと男の表情を見ています。


[17] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(538)  鶴岡次郎 :2016/12/19 (月) 14:40 ID:YRp4WoTQ No.2943

「咲江は・・・、
もう・・、
私の手の届かないところへ行ってしまったのですね…」

「・・・・・・・・」

千春は黙って坂上を見つめていました。この質問を予想できていたのでしょうか、千春に慌てた様子
は見えません。その表情を見る限り、坂上の言葉を肯定しているのか、否定をしているのか、誰にも
判らないと思えるのです。

千春の言葉を待たないで坂上は口を開きました。浮気の真否はともかく、坂上自身の覚悟をともかく
は吐露したい心境なのでしょう・・。

「咲江が他の男を受け入れているのは・・・、
すべて私の責任です・・・・。
そのことで、責められるべきは・・・、
咲江でなく…・、私なのです…・」

「・・・・・・・」

咲江の浮気を既成事実と決めつけて、浮気をしている咲江を責めないで、むしろ坂上は彼自身を責め
ているのです。おそらく、燃えるような嫉妬に堪えながら、苦しい心中を抑え、努めて理性的に坂上
はこの問題に向き合おうとしているのです。

千春が体を起こし、崩していた両脚を閉じ、マット上に正座しています。それでも、全裸で、全身が
汗と愛液と男の唾液で濡れていて、閉じた両脚の間に見える股間の茂みは嵐の後のよう濡れて肌に張
り付いているのです。

女が姿勢を改めるのを見て、男は表情を引き締めています。彼女の口から決定的な事実が告げられる
のを予想して、気を引き締めているのです。

「ご安心ください…、
私の知る限りでは・・・、
咲江は一度も浮気をしたことがありません…」

「ああ・・・・」

坂上の表情が明るく弾けて、思わず感嘆の声を上げています。坂上にしても確信があったわけではな
いのです。それどころか、千春に否定してほしいと思う気持ちは強かったのです。

「ご存知のように、私は特別です・・・、
淫乱の性が強いのです。
咲江は理性と節度をしっかり維持できる女性です。
しばらく旦那様に抱かれていないことを理由に、
私のように奔放に欲望を開放する女性ではないのです・・・」

千春の言葉に静かに頷いている坂上です。

「それでも、咲江なりに、苦しんでいるのは事実です。
あなたの研究の邪魔をしないように、じっと我慢しているのです…」

「・・・・・・」

苦しそうな表情を浮かべ坂上が頷いています。

「私たちの年代は、女の性が一番活発になる時期です・・。
おとなしい彼女でも、時として・・・、
こみ上げる欲望を抑えきれなくて、思い切って・・、
自分を解放しようと思うかも知れません・・・」

またもよ、坂上は頷いているのです。何度も、何度も…。

「今はこの願望を抑えていますが・・、
そのまま打ち捨てておくと・・・、
誰もが望まない結果を招くことになるのです…」

「・・・・・・」

今にも泣きだしそうな表情を浮かべ、頷いています。

「もし・・・・、
咲江が一歩足を踏み出したら…、
禁断の味を覚えたら・…、
私と違って、免疫がないですから・・、
物凄いスピードで堕ちるところまでおちてしまいます…」

「・・・・・・」

坂上が神妙な表情で頷いています。ここまで千春の話を聞くと、彼自身何をなすべきか十分わかって
いる様子です。


[18] 年末年始の休みに入ります  鶴岡次郎 :2016/12/21 (水) 14:47 ID:OLsekG82 No.2944
少し早めですが、休みに入ります。本年のご支援に感謝申し上げます。来年は10日頃より始動する
つもりです。よろしくお願い申します。ジロー


[19] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(539)  鶴岡次郎 :2017/01/10 (火) 10:34 ID:5tU8d6dk No.2946

これ以上坂上を責める必要はないと千春は判断しました。するべきことをしっかりやり遂げ、言うべ
きこともはっきりと坂上に伝えたのです。事前に計画した以上、期待した以上の成果を出したので
す。千春はすっかりいい気分になっていました。明るく弾んだ声で坂上に声をかけました。

「…で、どうされますか・・、
前払いいただいた料金での時間は切れましたが・・、
延長することも可能です…」

壁の時計は午後3時を指しています。4時には出勤すると研究所に伝えているので、今店を出れば十
分間に合います。

「できれば・・、延長したいのですが・・、
まだまだ、知りたいことがいっぱいで、もっと勉強したいのですが・・」

「いいでしょう・・、
幸い、私も予約が入っていないと聞いていますから、延長は可能です。
それで・・、一時間にしますか・・、それとも二時間ですか・・?」

「二時間でお願いします・・」

「それでは、後程、先ほどと同じ料金をお支払いください・・
スタッフに連絡を入れますので・・・、少々お待ちください・・」

電話機を取り上げ事務的に千春は連絡を入れています。延長は認められた様子です。


「千春さん・・、
お尻を使う人がいると聞いたのですが・・・、
ここで練習することはできますか…」

「エッ・・、アナルですか・・・・」

あまりにストレートな質問に千春は絶句しています。どこで仕入れた知識なのかわかりませんが、坂
上は涼しい顔で質問しているのです。

「経験がないわけではないので・・・、
ご希望に添いたいのですが・・、
夏樹さんのサイズでは・・・、ちょっと・・・・」

笑みを浮かべたまま千春が困惑して答えています。

「大きすぎてダメだということですね・・・」

「はい・・・・、申し訳ありませんが…、
夏樹さんをお尻で受け入れることができる女性は少ないと思います・・。
咲江とはしないでとは言えませんが、
現物を咲江に見せて、二人でよく相談してください・・
無理にすると、酷いケガをすることもありますから…・」

「そんなものですか・・・、
よく判りました。あきらめます…」

「・・・・・・・」

アナルをあきらめると言った坂上の返事を聞いて千春はホッとしています。

「一つ・・、お願いがあるのですが・・・」

「ハイ・・・、何でしょう…」

次は何を言い出すのかと、薄笑いを浮かべながら、千春が返事しています。


[20] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(540)  鶴岡次郎 :2017/01/18 (水) 14:37 ID:2CE7vSYE No.2947
「おしっこをかけてほしいのです…」

「エッ・・、おしっこを…、
そんな…、
どこでそんなことを学んだのですか・・・、
ウフフ・・・・・・・」

またもや、唐突な要求です。堪えかねて、千春は笑いだしています。坂上の表情はいたって平常で
す。

「ハイ・・、先ほど千春さんの股間を舐めている時・・・、
おしっこのようなモノがあそこから吹き出てきました。
最初はびっくりしましたが、しばらく我慢すると・・・、
しびれるような快感が全身を走りました…。
もう一度・・、あの喜びを味わいたいのです…・」

「ああ・・、あれね…・・、
私にもよく判らないけれど、
おしっこではないと言う人もいるけれど・・、
おしっこに似た液体であることは確かです…」

笑いをかみ殺して千春が言っています。高名な研究者にあるまじき好みですが、世間には良くあるこ
とで、千春の客の中にも、千春のおしっこを飲む目的で通ってくる者もいるほどです。少し驚いてい
ますが、この発言で坂上をさらに好きになっている千春です。

「そう・・、夏樹さんも…、
おしっこをかけられると、興奮するタイプなのね…
隅に置けない方ですね・・・」

「ハイ・・、どうやら・・・
今までそんな好みがあるとは、夢にも思っていなかったのですが…、
実際、経験してみると…、これがいいのです…・」

恥じらいもなく、淡々と坂上が答えています。どこか並みの男と違う感性を持っているようです。

「いいわ・・、
そこに横になって…・」

「ハイ・・・、ありがとうございます・・」

嬉々として体をマットの上に横たえている坂上です。

「顔から、足先まで…・
全身におしっこを掛けますけれど…、
大丈夫ですね…
口に入ることも避けられませんよ…・」

「ハイ…、遠慮なく・・
たっぷりとお願いします・・」

嬉々として答える坂上の上に大股を開いて跨った千春が笑みを浮かべて、股間を彼の顔面近くに降ろ
しています。男の視線5センチ先に濡れた女陰が下りてきております。

もう・・、滴る液が、一滴・・、二滴・・、男の顔面を直撃しています。男は嬉々として口を開けそ
の滴りを受け入れているのです。突然・・・、黄金色の液体が噴出してきました・・・。男の顔面に
当たり、あたり一面に飛び散っています。

生暖かい液体を浴び、歓声と悲鳴を上げています。

口を開け、ごくごくと黄金色の液体を飲んでいるのです。男根がこれ以上は無理と思えるほどいきり
立って、天に向かって吠えているのです。

「ああ・・・・ん・・・・、ダメ…・」

突然坂上が千春の女陰にかぶり付きました。そう・・、まさにかぶり付いたのです。千春は坂上の顔
面に腰を、ドスンと、下ろしてしまいました。

濡れた女陰が男の顔を覆っています。男は苦しそうにあがきながら、それでも必死で女陰をむさ
ぼっています。女は悲鳴を上げ、男の上で体をくねらせています。おしっことは違う液体が女陰から
湧き出て、男の顔面を濡らしています。


[21] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(541)  鶴岡次郎 :2017/01/19 (木) 12:55 ID:6iCUD7eg No.2948
「エッ・・・、
おしっこを掛けてほしいと、夏樹さんが言ったの…」

「そうよ…」

「それで・・、千春さんは、彼の顔面に・・・」

「そうよ・・・、
愛さんには少し刺激的な話かもしれないね・・、
でも、お店ではそれほど珍しいことではない…、
5人に一人はそんな趣味を持ったお客が来る…」

「そうなの…、
私…、知らなかった…・
由美子さんはどうなの…、
普通にやっているの…?」

「エッ…、私…
まあ・・・、そんなに頻繁ではないけれど…、
経験はあるわ…・」

「凄い・・、やっぱり・・・、お二人はすごい・・・」

愛が大声をあげています。由美子と千春がそんな愛を見て笑っています。ここは愛の売店です。坂
上が千春のソープ店を訪ねた数日後のことです。由美子と千春が集まっているのです。

今日のガールズトークのテーマはもちろん坂上夏樹の初ソープ体験の結果報告です。千春が説明役で
す。一通り説明を聞いた愛がたまらなくなり、話が終わるのを待たないで割り込んできたのです。そ
れほどおしっこの話題は愛にとって刺激的だったのです。


公園のトラックの運転席で浮気をしている千春を由美子が目撃したことで始まった奇妙な縁で千春
と、由美子は連絡を取り合って愛の店に集まり、そこで、とりとめのないガールズトークを楽しむ仲
になっているのです。

千春の友人である坂上咲江が街で行きずりに出会った遊び人、村上総一郎と男と女の関係を持ち、彼
の凄いテクに弄ばれ、セックスに溺れ、離婚さえも覚悟するほどのめり込んでいたのです。その一方
で咲江は妻として、母として、耐え難い罪悪感に苛まれ、親友の千春から見てもこの先どこまで咲江
がこの責め苦に耐えきれるか、思い余って身を捨てることだってあり得ると心配していたのです。千
春は由美子と愛に事細かに報告し、今後の対応策を二人に相談したのです。これが一ヶ月前のこと
です。

千春の話を聞いた由美子はすぐに坂上夫妻の問題点を見つけ出していました。坂上夫妻の性生活が充
実していない・・・、と言うよりは、二人のセックスが幼稚すぎること、それが村上の罠に落ち、彼
のテクに溺れた要因の一つだと由美子は判断したのです。そこで由美子は二つの提案をしました。

第一の提案は村上夫妻の性生活を充実させるため、先ず坂上夏樹を鍛えることです。おそらくは他の
女を抱いたことがない坂上夏樹に女を与えて、女の体の仕組みから教え込み、女の欲望の強さ、女の
性感帯を教え込み、それなりのセックスができる男に仕上げることを提案したです。

この提案には愛も千春も即、賛成しました。千春はもちろん、愛でさえ、夏樹にセックスを教える先
生役をやりたいそぶりを見せていたのです。

由美子の第二の提案は、村上に溺れきっている咲江の気持ちを正常に戻すことです。おそらく夫以外
の男を知らない咲江は、村上に抱かれてその凄さに驚愕し、背徳感に苛まれながらも、からだ中を駆
け巡るセックスの喜びと快感のとりこになり、身も心も村上から離れられなくなっていると由美子は
読み取っていたのです。

「坂上さんに女の体とその仕組みを教えることは案外簡単だけれど、
咲江さんを村上の罠から救い出すのはかなり難しいと思う・・、
村上を超えるセックス力を持ったスーパーマンを咲江さんに与えることよ・・、
その方法以外・・・、咲江さんを村上から救う手段はない…」

背徳感に苛まれながらも一年近く咲江の浮気は続いているのです。なまじの手段でこの浮気を封じる
ことはできなくて、咲江の体に巣くっている村上への感情はもう・・、理性を超えた生命の欲望に支
配されている。この欲望を抑え込むには、やはり生身の体に直接働きかける荒療治しか、他に手段は
ない。この由美子の説明に愛も、千春も納得していました。

誰をスーパンマンに選ぶか・・・、それが問題でした。


[22] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(542)  鶴岡次郎 :2017/01/23 (月) 15:48 ID:elqQK3oU No.2949

千春が知っている男たちはそのほとんどがソープのお客かスタッフです、頼めば咲江を抱くことなど
簡単に引き受ける男はたくさん居るのですが、咲江を託すにはそれなりの条件が必要で、適当な候補
者を千春は上げることができませんでした。愛は夫以外の男性を知りませんから、候補者を上げるこ
とはもちろんできません。

「Uさんが最適だと思うけれど・・、
ダメかしら…」

愛がポツリと提案しました。由美子の愛人で、的屋の親分である宇田川裕、通称Uと会ったことはな
いのですが、由美子からのろけ話を良く聞かされていて、愛の中ではことセックスに関しては、Uは
ヒーローになっているのです。50歳近い男ですが、その性能力は業界でも一目置かれる存在で、由
美子もその力に屈服しているのです。どちらかといえば怖い感じの男性ですが、なぜか若い女性にも
好かれるのです。

「そうね・・・、
ことセックスに関しては、スーパーマンであることは間違いないけれどね・・
若い・・、咲江さんの好みに合うかどうかね・・」

Uが候補者の一人であることを由美子も認めています。口では咲江の好みでないかも・・と言ってい
ますが、Uと面会すれば咲江も抱かれる気になるはずと由美子は思っていました。Uの持つ男の色香
にはどんな女も抵抗できないと、由美子は確信しているのです。そして、男気の強いUですから由美
子から頼み込めば、咲江を抱くことを嫌々ながらも、引き受けるはずだとも思っていました。これほ
ど条件がそろっているのに、由美子はUを差し出す決心がつきませんでした。

以前のことですが、二人きりの夕食の席で、夫、鶴岡とUのどちらを選ぶかと、たわむれに夫から質
問を受けたことがありました。

その質問を受けて、しばらく考え込んだ末・・、
『・・二人から離れたところで暮らす…』と由美子は答えたのです。

どちらかの男を選ぶのは辛すぎ、それならば一人静かに暮らす道を選ぶと由美子は答えたのです。

戯れの質問にもかかわらず、由美子が真剣に考え、かなり迷った末に答えを出したのを見て、それ以
来、たとえ戯れにでも、そんな質問を夫はしなくなったのですが・・、由美子にとって、Uはそれほ
ど、その身も心も、引き込まれている男なのです。

それだけにUを他の女に与えるのは由美子の女心がなかなか納得しないのです。由美子はその場では
決断を先延ばしにして家に持ち帰り、このことを夫鶴岡次郎に相談したのです。

他の問題であれば、夫の意見を最優先する由美子ですが、こと色ごとに関しては夫の意見を参考にし
たことは一度もないのです。今回もダメだと判っていながら、相談する相手が見つからなくて、一人
で考えるよりはと思って、愚痴を聞いてもらうつもりで夫に相談したのです。

「僕が立候補してもいいのだが・・、ダメだよね…」

当然のことながら、由美子は笑って相手にしないのです。

「なら…、その・・、何と言ったかな…
そう・・、坂上夏樹先生・・、
その人を鍛え上げることだよ・・、
案外、大化けするかもしれないよ・・・、
若いし・・、聞けばいいモノを持っているようだし…
期待できるのと違うかな・・・」

夫の言葉で由美子は目が覚めたような気分になりました。


[23] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(543)  鶴岡次郎 :2017/01/30 (月) 16:27 ID:jFVnL1ko No.2950

愛の売店で話し合った時、誰からも夏樹をスーパーマンにする案は出なかったのです。最初からダメ
男だと決めつけていたのです。よく考えれば、経験不足なだけで、鶴岡が指摘するように大化けの可
能性は残されているのです。

「その先生、これまで・・、
取り上げて、これというほど女を経験していないだろう・・・、
訓練すれば、今よりは格段に良くなる可能性は残っている・・、
それに・・・、
受け入れ側の奥さんも、経験が浅いはずだから・・
スーパーマンでなくても、旦那が少し成長すれば、
奥さんはそれで、十分満足する可能性が高い・・・。
そうなれば、夫婦間のいろいろな問題は一気に解決することになる…・
一石三鳥にも四鳥にもなるよ・・・」

色事の問題では夫、鶴岡は全く頼りにならないと思いながらも、ダメ元だと思って相談したのです。
それが、意外に傾聴すべき意見が出てきたのです。夫の言葉を真剣に聞いている由美子です。

「Uさんが最適候補であるのは私も認める…、
ただ・・、彼を採用するとなると・・、
いろいろな難問をクリヤーする必要がある・・」

「まずはお前自身の気持ちの整理だ・・、
本音を言えば…
親友の窮地を救うためだとはいえ・・・、
Uさんを提供したくないのだろう・・
他の女に彼を抱かせたくないのだろう…・」

「・・・・・・」

「お前に限らず千春さんだって・・、
彼女の愛人・・、何とか言ったな…、
そう・・、その佐王子何とかという男だって・・、
千春さんは提供するつもりにはならないだろう・・
女は自分の男を他人に抱かせるほど寛容には成れないからね…・」

痛いところを突かれて、由美子は苦笑いしています。

もちろん、千春、愛と相談している時、佐王子の名前も出たのです。いつもマンションに出入りして
いて、千春の愛人であることを考えると、さすがに彼を指名することはできないとの意見で一致した
のです。

「それに…、Uさんを出したら・・、
もっと厄介な問題が発生するよ…
それは、お前が一番判るだろう・・」

「・・・・・・・」

けげんな表情で夫の顔を見つめています。

「判らないかな…、
彼を一度でも食べると・・・、
女は、一生彼を忘れられなくなるのだろう…、
そういう男だろ・・、Uさんは・・・
ハハ・・・・・」

「・・・・・・」

「その咲江さんというご婦人…、
彼に抱かれ、彼の味を知ったら・・・
Uさんと別れるのが嫌だとか・・、
それなら死ぬとか…、言いだして・・
また大騒ぎだよ・・・、ハハ・・・・」

やはりこの人には相談しなければよかったと思いながら、面白そうに笑っている夫の顔を恨めしそう
に由美子は睨みつけていたのです。それでも、由美子は夫の意見を採用して、坂上夏樹をスーパーマ
ン候補として鍛える腹を固めていたのです。そして、その案を改めて招集した翌日のミーテイングで
披露したのです。


[24] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(544)  鶴岡次郎 :2017/01/31 (火) 15:10 ID:jnGuvsqk No.2951

「それはないでしょう・・、
由美子さんが言い出したのよ・・
夏樹さんがダメだから・・、
咲江が浮気に走ったのだと・・、
その夏樹さんをスーパーマンに育て上げることができるかしら…」

当然のことですが、千春が由美子に激しく抗議しています。

「今はね・・・、
確かに・・、
夏樹さんはダメ夫だよね・・、
でも・・、私は彼に賭けたい…」

由美子も簡単には引きません。

「夏樹さんはすごく立派なモノをもっているのでしょう・・、
それに・・、立派な体格だし・・、若い・・・、
何よりも、過去に女性経験が少ないのがいいのよ・・、
伸び代が無限にあると思うの…」

「だけど…、
今はダメなんでしょう・・
ダメな男は一生ダメだと、誰かが言っていた・・・
私も・・、そう思う…・・、
医学的根拠はないけれど、何となく…・」

性的にダメな男は生涯立ち直れないと、元看護師長の愛が決定的なことを言っています。

「そんなことはない・・、
私の経験から言っても、
40過ぎてから男の味は出てくるものよ・・・・、
何事も経験と、鍛錬よ・・・
女だって・・、経験を積めば成長するでしょう…・」

由美子が頑張っています。彼女にしても不安があるのですが、ここで説を曲げれば、Uを供出するこ
とになるのです。それだけは絶対避けたいと思っているのです。

「スーパーマンになり切れなくても・・・、
現状より格段に良くなればいいのよ・・」

「でも…、やはり・・・
誰か候補者を別に立てるべきだと思うけれどね…
一度おいしい思いを知ってしまうと・・・、
粗末なものでは満足しないからね・・、
女は…」

「そうね・・・、
私もそう思う…
一年以上続いた浮気だから・・・、
咲江さんはどっぷり村上の色に染まっているはず・・、
なまじな男をぶっつけても、かえって逆効果になるかも・・」

由美子の説明に愛も、千春も半信半疑で、別の候補者を立てることに固執しています。二人の女は自
身の身に照らして考えているのです。一度知った村上の味を咲江がやすやすと捨てるとは思えないの
です。村上を忘れるほど凄い男に抱かれて初めて、女はその気になるものだと愛も、千春も思ってい
るのです。当然由美子も二人の女の思いはよく理解できるのです。

「じゃ・・、こうしよう・・・、
とりあえず、今は、夏樹さんをスーパーマン候補として育成することにして、
もし・・・、ダメだと判れば・・・・
その時は、その時で、別の人を選びなおそう・・・」、

「そうね・・・、
一年近く続いている浮気を封じるわけだから・・・、
長期戦を覚悟すべきね・・
先ずは夏樹さんに女を経験させて、その結果を見てからでもいいね・・・
夏樹さんが大化けすることを祈りましょう…」

適当な候補者が居ない以上由美子の主張に従うほかはないのです。愛と千春が折れました。こうし
て、スーパーマン一次候補として坂上夏樹が浮上したのです。当然ながら、この作戦が成功すれば、
万事好都合となります。


[25] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(545)  鶴岡次郎 :2017/02/01 (水) 17:12 ID:ecLIagok No.2952
「さて・・、これで作戦は決まった…、
夏樹さんをどのように鍛えるかだね・・・、
当然・・、手取り、足取り、アソコも握って・・、
たっぷりとセックスを教えることが必要だね…」

何かを期待してのことだと思いますが、目を輝かせて千春が発言しています。

「千春さん・・、
凄く張り切っているわね…」

「まあ・・、親友のためですから…
この体でできることなら、何でもやりますよ・・」

愛が千春をからかい、千春がまじめな表情で答えています。

「それで・・、どちらが夏樹さんとやるの・・、
それとも、二人で交代で鍛えることになるの・・」

愛がストレートに聞いています。

「いえ、いえ・・、
私など・・、とても由美子さんには対抗できません・・
由美子さんがメインで、私はほんのお手伝いで結構です・・」

千春が謙虚に答えています。

「千春さん・・・、
あなたに全部お任せするわ…、
私には別の出番がありそうな気がしているの・・、
そのことに備えて、体を空けておきたいのよ・・、
だから、夏樹さんのお相手はあなたにお願いします・・」

「えっ・・、本当ですか…」

目を輝かせて千春が喜んでいます。

「そうと決まれば、私・・、頑張る…」

「あら、あら…、
そんなに張り切っちゃって…
夏樹さんを食べるのが目的ではないのよ・・・、
咲江さんのため、彼に女を教えることなのよ・・」

笑いながら愛が千春に忠告しています。

「判っています…、
うんと鍛えてあげる…
先ずは、夏樹さんに女の何たるかを教えることから始めるわ・・・、
体の仕組みや・・・、そう・・、性感ポイントも・・、詳しく教える必要があるわね・・、
体の隅々まで、奥の奥まで、くまなく観察させて、しっかり教えます…
私・・、そういうこと得意なんです…」

すっかりその気になった千春が、興奮してしゃべりだしました。由美子と愛が笑いながら、千春を見
ています。

「絡みを教える方法が難しい…
別の男と絡み合っているところを見せるのが一番なのだけど・・、
そういうわけには行かないし…」

夏樹との熱い絡みを想像して千春はもう・・、うっとりした表情です。

その時です・・・、何かに気が付いたのでしょう・・、千春の表情が変わりました。


[26] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(546)  鶴岡次郎 :2017/02/07 (火) 16:24 ID:cOL.oQ1o No.2953
「あっ…、大変なことに気が付いた…
彼と私・・、W不倫の関係だ・・・!」

主婦である千春と、妻子ある坂上夏樹が、普段の生活の中で接触することはW不倫になり、自由に抱
き合うことができないことにようやく千春は気が付いたのです。

「そのことは私も考えた…、
お店で抱かれる方法しかないよ・・、
夏樹さんがお客になって、お店に行くことになる・・」

さすがに由美子です、すでに千春の心配事の答えは見つけ出していたのです。

「そうだね・・、それしかないね…」

愛も同意しています。

「お店だと、商売気が先走って、楽しみが半減するけれど…、
まあ・・、仕方ないね・・、我慢するしかないか…」

この方法しかないと千春もあきらめたようです。

こうして、ソープランドを坂上夏樹の訓練道場にすることが決まりました。この方法であれば、さほ
ど苦労なく坂上は仕事の合間を縫って、千春を抱く機会を作ることができますし、千春も商売の延長
線上で、坂上に抱かれることができるので、長期戦になっても二人の秘密を保つことはそんなに難し
くないのです。

ただ・・、この計画を実行するに際し、一番初めに出くわす難問は、坂上をソープに向かわせること
です。おそらくソープ店はおろか、風俗街へ足を踏み入れた経験のない堅物の研究者なのです。坂上
夏樹を口説き落として、自らの意志でソープ店に向かわせることは難問です。

「千春さんの旦那様にお願いできないかしら…、
坂上さんを誘って、ソープへ一緒に行ってほしいの…
そこで、偶然、千春さんと遭遇することにすればいい…
その後は・・、千春さんの腕次第ね…・」

坂上をソープに誘い込む役割を千春の夫、浦上三郎に演じてほしいと由美子は提案しているのです。
浦上三郎の最愛の妻、千春が勤めているソープ店へ、坂上を誘って、そこで妻を抱かせる手配の一切
を、千春の夫である浦上三郎にやらせる提案なのです。普通ではありえない人選です。それでも由美
子は迷わず浦上三郎を指名したのです。

「由美子さん・・・、
何てこと言うの…」

愛が口を大きく開けて、驚いた表情で由美子を見て、そして千春を見ています。

「家の旦那にその役割を与えるのは名案だと思う…、
商社の営業マンでいろんなものを売り込んでいるから・・、
坂上さんをソープへ誘い込むことなど簡単だと思う…」

「千晴さんまで・・・、
そんなこと言って…
どうしてそうなの・・、
お二人とも、どうして・・・・、
ことセックスの問題になるとそうルーズなの…、
そこではないでしょう…、
問題は・・、
旦那の営業力の問題ではないでしょう・・」

たまりかねた愛が口をはさんでいます。

「人妻が他人に抱かれるのよ・・・・
絶対、夫には秘密にすべきことでしょう…、
それが・・、その夫に二人の出会いを作らせようとしているのよ
いわば、妻の浮気をその夫に手伝わせようとしていることなのよ・・
ありえないことでしょう…・」

愛の怒りは本物のようです。それでも由美子は笑みを浮かべて聞いています。千春は愛の怒りが収ま
るのをじっと待つ風情です。

「由美子さん、少しおかしいよ・・、
千春さんも千春さんよ・・、
いくら由美子さんの提案でも・・、
それはダメだと言っていいのよ・・」

愛が猛反対しています。愛と由美子が笑っています。

「愛さん・・、いいのよ・・・、
私たち・・、ちょっと変な夫婦なのよ・・、
彼を説得して、やらせる…、
彼以外に、この役をこなせる人はいないと思う…・」

千春もまた、夫、三郎が坂上の説得役に指名されたことに異論を唱えないのです。それどころか、彼
以外にその役はこなせないと広言しているのです。千春の言葉を聞いて由美子は微笑みを浮かべ、何
度も頷いていました。

千春の言葉で愛はなんとなく千春夫妻の奇妙な関係が理解できたようです。憮然としていますが、
千春がその気ならばと、あえて反論しないつもりのようです。


[27] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(547)  鶴岡次郎 :2017/02/08 (水) 16:22 ID:iWOXxzf6 No.2954

その日の夜、千春は夫、三郎に咲江のことを話しました。ひょんなことで男に巡り合い、抱かれ、そ
の男に完全におぼれこんでしまっていること、一方では、罪悪感に苛まれ、自身の命を消し去ること
さえ考えるほど、追い込まれている事情を夫に話したのです。そして女三人の計画を説明し、浦上三
郎に協力を求めたのです。

浮気をした人妻を助ける義理もないし、そんな趣味もないと三郎はあっさり拒否したのです。三郎に
すれば、同じ男として坂上夏樹に同情をしても、浮気妻、咲江を救うため、手助けすることなどでき
ないと思うのは当然の流れなのです。それでも、千春に惚れこんでいる三郎は最後まで断りとおすこ
とはできませんでした。

惚れた女房の頼みとはいえ、自分の妻を抱かせる引き込み役を夫である三郎が担うことになったので
す。浦上三郎もかなり変わった嗜好の持ち主です。結果、浦上三郎は完ぺきに役割をこなし、千春と
由美子の期待に応えたのです。もちろん、千春も頑張りました。

千春を抱いて坂上は女性の性感の奥深さを思い知らされました。そして、これまでいかに彼がセック
スに怠慢であったかを千春は身をもって教えてくれたのです。この状態であれば、妻である咲江が浮
気に走っても仕方がないと彼は苦い思いで、これまでの怠惰な夫婦生活を反省したのです。心を入れ
替えて夫婦生活の充実に努力すると坂上は千春に約束したのです。千春の仕掛けは完ぺきに成功した
のです。


坂上夏樹の初ソープに関する千春の長い成果報告が終わりました。愛も、由美子も大成功に終わった
結果を聞いて満足そうです。

「ところで・・・坂上さんのアレ・・って・・・、
そんなに大きいの…?」

愛が声を潜めて質問しています。

「ハイ・・、私が知る限りでは、ナンバー・ワンです・・」

「そうなんだ…、凄いね・・・」

物ほしそうな表情で愛が呟いています。

「モノが凄いだけでないのです…、
何事にも興味を抱き、深く追求する方でしょう…、
直ぐに女のツボを覚えてしまって・・・、
延長時間が終わるころには、どちらが先生か判らない程・・、
彼・・、テクニシャンに変貌しました・・・。
勿論・・、私…、何度も、気絶するほどいかされました…」

好色そうな笑みを浮かべて千春が語っています。

「由美子さんの見立てた通りだね…、
夏樹さんはすごい才能の持ち主だったんだね・・
由美子さん・・、最初からそのことを見抜いていたの…?」

愛が感心し、由美子があいまいに微笑んでいます。

男の体を近くで観察するだけで、その男の性能力を服の上から見抜く奇妙な才能を由美子は持ってい
るのですが、今回のケースでは坂上本人とは直接会っていませんから、いかに由美子でも坂上の超人
的な性能力を見抜くことはできなかったのです。坂上を抜擢した手柄は、由美子でなく、むしろ彼女
の夫、鶴岡次郎のものなのですが、もちろんそんなことを由美子は口にしません。

「見抜いていたわけではないけれど・・、
伸び代が大きいと読んだのは確かよ・・、
それが、意外にも・・、
さすがの千春さんをも驚かせるほどの成長を遂げた・・、
うれしい誤算だね…
これで、スーパーマン候補は夏樹さんで決まりだね…・」

「ハイ…、
申し分ないと思います…」

千春が答えています。

「千春さんがそういうなら大丈夫ね…。
これから先は、スーパーマンを目指して、彼が独学で精進すればいい・・、
これ以上、千春さんが彼を鍛える必要はなさそうだね…
本当にご苦労様でした…。
村上と切れることを祈りながら、しばらく様子を見ましょう・・」

由美子が楽しそうな表情で語っています。自身が立てた計画が成功したことを心から喜んでいるので
す。

それにしても、千春の表情には笑顔がありません。あいまいな表情で由美子の言葉を聞いているので
す。千春の努力で坂上夏樹がセックスに目覚めたのです。坂上夫妻を襲っていたセックス不安はどう
やら解決のめどが立ったのです。もう少しうれしそうな表情が出てもいいのですが、千春の表情がさ
えません。あるいは夏樹と切れることに千春は少し未練を残しているのかもしれません。もちろん、
千春の微妙な表情に由美子も愛も気が付いていません。


[28] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(548)  鶴岡次郎 :2017/02/10 (金) 10:44 ID:5tU8d6dk No.2955

「千春さんを満足させるまでに、夏樹さんを変身させることができた…、
これは千春さん、そしてソープへ夏樹さんを誘った旦那様のお手柄だね・・・
坂上さんをソープへ誘うと決まった時、私は千春さん夫妻にとっては酷な計画だと反対したのだけれ
ど、見事にやり遂げたね・・・、本当にご苦労様でした…・・」

冴えない表情を浮かべている千春に気を使ってのことでしょうか、愛が最大限の賛辞を並べていま
す。

「あとは、咲江さんがその結果に満足するかどうかだね・・
旦那に抱かれて、村上を忘れることができればいいのだけれど…、
そのことでは、その後、咲江さんの様子に変化はないの…・
相変わらず、村上に恋い焦がれているの…・」

愛が千春に聞いています。

「咲江とは毎日のように会っていますが・・、
彼女の口からはそのことに関してはまだ何も出ません・・。
変わったことといえば・・・・・、
以前はよく話題にした村上の名前が出ません…」

「村上の名前を出さなくなったことは大きな変化だね・・」

「ハイ…、私もそう思います…、
一定の効果はあったと思います…」

慎重に千春が語っています。いや・・、慎重というより、咲江のことにこれ以上は触れたくないそぶ
りさえ見せているのです。難しい作戦をやり遂げた、凱旋報告なのですから、もう少し得意そうに、
楽しそうに話してもいいと思えるのですが、千春の様子が少し変なのです。

「思い切って咲江さんに聞いてみたらどう・・・、
毎日抱かれているのかとか…、
旦那様のテクが凄く良くなったのとか…、
毎夜のセックスに大満足しているとか・・・、
お二人の仲だったら・・、
そんな会話は普通でしょう…?」

「はい・・、以前は何でも話し合うことができました。
今は・・・、何となく・・・、
私自身に遠慮ができて・・・、
セックスのことを素直に話題に出せない気分なのです・・・」

「千春さん・・、あなた・・、もしかして・・・、
咲江さんの旦那様に抱かれたことを気にしているの…・、
咲江さんを裏切ったと思っているのでは…?」

この時点で、ようやく由美子が千春の変化に気が付き疑問を口にしています。

「そうよね・・・、目的はどうあれ・・、
親友の旦那と寝たわけだから・・、気になって当然だね…、
アッ…、失礼、言い過ぎました・・」

思わず不注意な言葉を漏らし、愛が謝っています。

「いえ・・、いいんです…、
咲江の旦那と寝たことは事実ですから・・・
彼と寝て・・、彼の味を忘れられなくなった…、
私って‥‥、最低ですよね……」

以前の千春だったら、冗談交じりの反撃をして、愛の失言を笑い飛ばすはずですが、今の千春には、
愛のきつい失言を笑い飛ばす余裕さえない様子なのです。それどころが、愛の言葉を真正面で受け止
めて、自己嫌悪の言葉さえ発しているのです。その場の雰囲気が一気に冷え込みました。失言を発し
た愛はすっかりしょげかえっています。


[29] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(549)  鶴岡次郎 :2017/02/13 (月) 11:03 ID:RK3vD6B. No.2956

「時々思うんです・・、
本当にあれでよかったのかと…
彼と寝なかったら・・・、
こんなに苦しまなくてよかったのです…」

咲江夫妻の不仲を改善するには、坂上夏樹を鍛え上げ、夫妻の性生活を改善することがまず必要だと
の結論になり、夏樹に女を与え、女体の機微を教え込み、一人前の男に鍛え上げることにしたので
す、この計画に千春は両手を挙げて賛成したのです。女を選ぶ段になっても、由美子と競うように積
極的に名乗りをあげ、由美子を押しのけて、夏樹の指導係に名乗りを上げたのです。

あの時は、親友の夫を寝取ることに何も抵抗感を見せていなかったのです、それどころか彼に抱かれ
る期待感で浮き浮きした様子さえ見せていたのです。それが現実に夏樹に抱かれると、親友の旦那と
寝たことが、意外に重く千春の心に覆いかぶさっているのでしょうか・・、あるいは・・、千春の中
で別の何かが起きたのでしょうか…。

千春の表情をじっと見つめながら、由美子は考えました。

〈夏樹さんにセックスを教える目的で接した千春さんは、
彼が予想外に素晴らしいことを全身で感じた・・・、
感じれば感じるほど、遊び心を忘れることになり、
親友の旦那を寝取った裏切り行為を全身でしっかり確かめることになった、

夏樹さんの腕の中で悶えながら・・、
千春さんは、友の旦那を寝取った罪の重さを改めて実感したに違いない・・・

女って…、
いけない関係で感じれば感じるほど、
心の中に芽生える罪悪感は高まるものだから・・・〉

由美子なりに千春の苦悩をそのように解釈したのです。

性的に未熟な親友の旦那と寝ると決めた時、千春は軽い遊びの気持ちだったはずです、それだけに友
を裏切る意識は弱かったのです。ところが・・、その快感が予想をはるかに超えるものだったので
す。こんなにいい思いをしている・・、咲江に悪いことをしている・、快感が罪悪感を拡大させたの
です。

〈毎日のように咲江さんと会ったいるはず・・・。
何も知らない咲江さんと会うたびに、
千春さんは・・、酷い罪悪感に苛まれているに違いない・・、

この事態が来ることを予見すべきだった…、
あの時、積極的に夏樹さんに抱かれたい様子を見せていたから・・・、
夏樹さんの訓練担当を千春さんに譲ったけれど…、
判断を誤ってしまった…・、
取り返しのつかない失敗をした…〉

千春が落ち込んでいるのを見て、由美子は由美子で、判断を誤ったことを悔いていたのです。

〈人妻に不倫の関係を強要した私の罪は重い・・・、
千春さんを押しのけてでも、私の体を提供するべきだった…〉

由美子自身も罪の意識を強く感じていたのです。

「千春さん一人が悪いのではない・・、
一番悪いのは私…、
親友の夫との不倫を千春さんに強要したのだから・・・、
許してください…」

「由美子さん‥‥」

由美子が深々と頭を下げています。視線の定まらない表情で千春が由美子を見ています。愛は硬い表
情です。


[30] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(550)  鶴岡次郎 :2017/02/14 (火) 10:51 ID:25sxZDhs No.2957

「今更後悔しても始まらないけれど…、
私たちは…・、
いくら弁解しても取り返しのつかない過ちを犯してしまった・・・・、
千春さんに大罪を犯させてしまった…・、

でも・・、これだけは言いたい…、
悪意からその罪を犯したわけではない・・・、
咲江さんを救うには、この方法に一番効果があると思ったのが発端だった・・。

あの時、千春さんが親友を思う気持ちは本物だった・・・、
あなたのその気持ちに動かされて、私たちも協力を申し出た・・。
でも・・、もっと・・、よく考えるべきだった…、

お願いだから・・、親友の旦那を寝取ったなどと・・、
自分自身を責めることはしないでほしい・・・、
それでは、私たちは・・、あまりに哀れで、悲しい・・・」

切々と由美子が訴えています。千春を慰めるというより、由美子自身の心の内を語っている様子で
す。

「今、私たちにできることは・・・、
このことを出来るだけ早く忘れることよ・・、

咲江さんがこのことに気づいていないのなら・・、
お墓の中までこの秘密を持っていきましょう・・、

そして・・・、
難しいことだけれど・・・、
千春さん・・・、

忘れよう・・、
夏樹さんに抱かれたことは忘れよう…・・」

千春の苦しみが判るのでしょう、由美子が必死で言葉を尽くしています。

由美子の言葉を聞いても千春の表情はさえません。千春の表情を見て、予想以上に深刻な状態だと由
美子は思いました。もし、由美子が千春の立場に立てば、親友の旦那と寝ても、これほど悩まないで
前を向くはずだと思っているのですが、若い千春にそこまでの割り切りを求めるのは無理だったと、
またしても由美子は自身の見通しの甘さを責めていたのです。そして、さらに言葉を出そうとしたの
です。その由美子を抑え込むように千春が口を開きました。

「由美子さん・・・、
そうじゃないのです…、
由美子さんはすこし誤解をしています…。
私…、夏樹さんと寝たことを後悔などしていません…
彼と寝たことを恥ずべき行為だとは思っていません・・」

「エッ・・・・」

「親友の旦那に抱かれたこと、そのこと自体を・・、
私は特に悪いことをしたとは思っていません…、
そうすることが・・・、
親友を窮地から救いだす唯一の手段だと言った由美子さんの言葉を・・、
今でも、信じていますから・・」

「・・・・・・・・」

雲行きが怪しくなり、由美子と愛がびっくりした表情で千春を見ています。


[31] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(551)  鶴岡次郎 :2017/02/15 (水) 11:19 ID:CvY8G5Qc No.2958

「あまりに情けないことだから・・、
これだけは・・・、言いたくなかったのですが…、
それでは、お二人のご心配、誤解が解けないので、思い切って言います…」

ためらいながらも、千春が何事か告白するつもりのようです。何を言い出すのか見当がつかないので
しょう、不安そうな表情を浮かべ由美子と愛が千春の顔を見つめています。

「私…、夏樹さんが好きになってしまったのです…・
夏樹さんを鍛えるつもりが、
逆に、男の素晴らしさを彼から教えられた…、

彼に惚れこんでしまったのです…・・、
彼の体が忘れられないのです…・。
こうしていても、彼のことを思うとジーンときます…・」

「・・・・・・」

千春の一言で愛も、由美子もすべてを了解していました。女なら当然そうしたことになるのは予想で
きたはずですが、千春に限って・・・、ソープ店に勤める、いわばその道のプロの千春に限っ
て・・・、そんなことにはならないとの思いが愛にも、由美子にもあったのです。千春も普通の女で
あったと由美子と愛は納得していました。

「親友の旦那様を本気で欲しがるなんて…・、
女の風上にも置けませんよね……」

「・・・・・・・・・」

愛も由美子も何も言えなくて、千春の表情を見守っています。

「でも…、この気持ちはどうにもならないのです…、
夏樹さんに抱かれたいのです…、
あの強くて、太い・・・、彼がほしいの…・」

「・・・・・・・・」

親友の夫を寝たことによる罪の意識は千春の中にほとんど存在しないのです。夏樹の肉体への強いあ
こがれと燃え上がる欲望を千春は抑えきれないのです。夏樹に恋している気持ちはもちろんあるので
すが、その気持ちはるかに超える強い体の要求が千春を悩ませているのです。

心の悩みよりも、燃え上がる女の欲望を抑え切れないのです。由美子には勿論、愛にも、千春のつら
さ、苦しみが手に取るように判るのです。二人の女は当惑しながらも、優しい瞳で千春を見つめてい
るのです。

「咲江はすっかり変わりました…、
何も言いませんが・・、私にはよく判るのです・・。

昼間、私と会話していても、心ここにあらずといった…、
どこか気がぬけた様子を見せるのです・・。

夜の疲れと、全身に漂う快楽の余韻で、
夢うつつの状態になっているのだと思います…」

親身に咲江の身の上を心配していた以前と比較して、千春の様子が少し変です。言葉の端々に少しと
げがあるのです。

「彼女の表情、腰の動きを見ていると判るのです…。
毎日、いっぱい抱かれているに違いないのです・・、
太いモノで、毎日、奥の奥まで突き抜かれているのです…

歩く時だって…、脚が閉まらない様子なのです…、
私もその経験があるので分かりますが…、
太いモノをたっぷりいただくと、
股にモノが挟まった感触が残り、うまく歩けないのです・・」

親しい女同士の会話ですから、かなり露骨に、言っています。それにしても、千春の言葉には咲江へ
の憎しみさえこもっているようです。

「もし・・、
まだ・・、村上と切れないと言うのなら・・、
私が許しません…
夏樹さんほどの男に毎日抱かれていて・・・、
不平を言うなんて…、許せません・・・」

千春が語気を強めて言い切っています。その語気の強さに愛と由美子が驚き、そして、思わず笑い出
しています。

「千春さん・・・、
夏樹さんに少し入れ込み過ぎていない…」

愛の言葉に千春が顔面を少し赤く染めています。


[32] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(552)  鶴岡次郎 :2017/02/16 (木) 16:06 ID:1qUjlNAw No.2959

「だって・・・、
こんなに大きいのよ・・、
こんなよ・・・」

両掌を広げて、夏樹の男根の長さを表しています。20センチ近いサイズを示しているのです。愛は
目を丸くして、彼女自身も両手を広げて、そのサイズを再現し、その凄さを体感しているのです。

「太さも凄いのでしょう・・・?
どうなの、受け入れた感じは・・・」

素直な口調で愛が質問しています。

「油断していると張り裂けるほどなの…・、
無理やり入れないように指導したし・・、
咲江からも、常々そう言われているらしく、
慎重に挿入する習慣は身につけているけれど・・
それでも、慣れないと壊されるわね…・」

「そうなんだ…、
実感がわかないけれど、そんな凄いチ○ポもあるのね・・・
で・・、やはり違うものなの・・、
巨根は普通のモノとは相当違うものなの…、」

「そうね・・・、少し違うのかな…
彼に限らず太いモノを受け入れると・・、
一瞬、息が止まる感じがする…、
快感とは違う、どちらかといえば、恐怖感が先行するのね・・・」

「私…、
そんな経験をしたことがない…
由美子さんはもちろん、いっぱい経験があるでしょう…」

愛の言葉に由美子はただ笑っているだけです。

「ぐりぐり、やられると・・、
得体のしれない快感が深いところから湧き上がってきて、
苦痛が、やがて、快感に変わってくる…、
こうなればもう・・、しめたものよ…・」

千春の説明を聞きながら、言葉なく愛は腰をわずかに揺らしています。

「アソコから湧き出た快感が全身を駆け巡るようになると・・・・・、
もう…、何も考えられない…、
自分がどんな言葉を発し、どんな姿で抱かれているのか判らない…、
そして・・・、突然…・、
奈落に突き落とされるような気分になり・・・、
スー・・っと、気が遠くなる…・」

「逝ったのね…・」

「太くて、長いモノは・・、
やはり、みんなが騒ぐだけのことはあると思います…・
味が違うことは確かです…・
確実に女を天国へ運んでくれるのが巨根のいいところです・・・」

「それだね・・、
だからこそ、千春さんほどの女でも…、
夏樹さんの巨根に惹かれるのね…・」

「巨根には勿論、惹かれますが、
夏樹さんの良いところは、それだけではありません…、
ただ長くて、太いだけなら…、
お店のお客にもそんな方はたくさんいます…・
私だって、その道で生きている女です…、、
それだけなら、これほどまでに夏樹さんに惹かれません…・」

努めて冷静に、千春は説明しています。


[33] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(553)  鶴岡次郎 :2017/02/17 (金) 14:40 ID:Y4lpNYSE No.2960

「彼が凄いのは・・、
夫や、同年代の男たちと比較して、
とても強いことなの・・・、
二十代の男と同じよ・・・、
何時間も、休みなくできるの・・」

視線を宙に泳がして、千春が語っています。

「でも・・、
私が夏樹さんにこれほど惹かれるのは・・・、
巨根のせいでも、彼の強さでもない…、
勿論・・、それらが無いとだめだけれど・・、

私が一番惹かれるのは彼の優しさなの・・・・、
彼に抱かれていると・・・
彼の男心を強く感じることができるの・・・・」

「男心…・?」

「夏樹さんが他の男と一番違うところはね・・・、
女性への強い興味を持っていることなの・・・、
思春期の少年のように、女性への憧れを未だに持っているのよ・・・、

だから・・、とても大切に女を扱ってくれる・・・、
そんな男は、夏樹さん以外、私の周りには見当たらないわね…・
ああ・・、咲江がうらやましい…・」

愛があきれた表情で千春を見ています。由美子はただ微笑みを浮かべているだけです。

夏樹にセックスを教え込むのが目的だったのですが、そのことを忘れるほど夏樹は素晴らしかったの
です。彼の体に惚れこみ、溺れこんで、彼を独占できる親友咲江を本音でうらやましいと千春は
思っているのです。

それでも、口に出して、咲江の立場をうらやましがる程度ですから、千春の夏樹へのあこがれは、そ
う底が深くないと愛と由美子は読み取った様子です。女ならこの程度のことは有りがちなこ
と・・・、心配する必要はなく、千春が暴走することはないだろう・・と、二人の女は思っているの
です。

「優しくて・・、持続力があって・・、
それに・・、子供のように素直なの…、
女が10人居たら、その10人が全員・・・、
彼のこと、好きになります……
彼に抱かれたら・・、すべての女が狂いだします…」

一度言葉に出してしまうと、堰を切ったように夏樹への憧れが迸り出るのです。由美子と愛が笑みを
浮かべて聞いています。千春の気のすむまで吐き出させるつもりのようです。

「そんなに凄い男に変貌したんだ…、
夏樹さんは…、咲江さんは幸せだね…・。

それもこれも、全部・・・、
千春さんのおかげだよ・・・、
良かった、良かった…
もう・・、咲江さんのことは心配ないね・・・」

由美子が口を挟んでいます。

「そんなことはないと思うけれど、
彼のこと・・、思い込みすぎて・・・、
馬鹿な真似はしないでね・・」

愛が心配そうに問いただしています。

「ハイ…、先ほどは恥ずかしいところをお見せしました。
もう・・、私は大丈夫です…。
由美子さんたちに思いを全て吐き出したのですっきりしました。

家の主人も可愛がってくれますし・・・、
お店に行けば、それこそ、太いの、長いの…
男なんて、より取り見取りですから・・・、
馬鹿な真似をする余裕がありません…」

「そう・・・、そうよね・・・・、
それで安心した…」

愛が何度も頷いています。

「毎日・・、咲江さんとは会うのでしょう…、
彼女の口から良い報告が出たら、また聞かせてください…」

「ハイ…」

由美子の言葉で今日の会合は終わりました。

これで咲江の問題は全て解決したと、三人の女は確信したのです。店を出て自宅へ向かう由美子の歩
調が軽やかでした。


[34] 新しい章に移ります  鶴岡次郎 :2017/02/21 (火) 16:02 ID:jVjgatjw No.2961
新スレを立てます。ジロー


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