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鶴岡次郎が描く情念の世界


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「鶴岡次郎が描く情念の世界」 へようこそ!

お元気ですか、鶴岡次郎です。
今回縁があって、このコーナ担当することになりました。
女と男の揺れ動く情念の世界を描き出し、皆さんのご意見をいただきたいと思っています。
拙文の読後感想、登場人物へのご批判は勿論、皆さんの日常の生活の中で、女と男に関する、
喜び、悩み、告白などご意見をお寄せください。
一緒に考えて、私なりの意見を返信申し上げたいと思っております。
鶴岡次郎
「鶴岡次郎の官能小説作品集」

女教師、真理
妻、由美子の冒険
由美子の冒険〔U〕
由美子の冒険〔V〕
由美子の冒険〔W〕
由美子の冒険、オーストラリア編
三丁目裏通りの社員寮
寺崎探偵事務所物語T
真理子の事件・寺崎探偵事務所物語
寺崎探偵事務所物語(V)、敦子の事件

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フォレストサイドハウスの住人達(その18)  - 現在のレスは21個、人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2017/05/23 (火) 11:45 ID:elqQK3oU No.3004
ノーベル賞級の研究開発に没頭している坂上夏樹は、研究活動が佳境に入ると妻咲江との性生活が自
然と疎遠になり、そのことを気に掛ける罪悪感のせいもあり、いつしか勃起不全に陥っていたので
す。そのことが、咲江が不倫に走る背中を押したのです。

咲江夫妻の危機をすくため、由美子、愛の協力を得て、千春は立ち上がったのです。そして、千春の
捨て身の奉仕が効果を発揮して、坂上夏樹はよみがえりました。いや、以前とは比較にならないほど
すごい男に変身したのです。

親友の窮状を救うためにに抱かれた千春ですが、肉体の魅力はもちろんですが、世間の穢れを知らな
い坂上の純粋な心映えにも少なからず惹かれているのです。由美子や、愛が心配するほど、千春は夏
樹に惹かれているのです。

一方、坂上も最初から千春に惚れこんでいて、妻咲江にさえその気持ちを隠そうとしない様子なので
す。敏感に夫夏樹の気持ちを察知した咲江は千春に、これ以上は夫に触れないでほしいと懇願したの
です。さすがに、千春はプロの女です。咲江の言葉を聞き、快く咲江の願いを受け入れ、夏樹とは男
と女の縁を切ると約束したのです。

さて、残る問題は、咲江が不倫相手の村上総一郎と別れることです。性生活の不満が解消されたので
すから、この問題もあっさり片が付くはずと誰もが期待しているのです。この章では咲江のこの問題
を中心に追って見ます。相変わらず、これと言って特徴のない市民たちが織り成す風景を描きます。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
ていただければ幸いです。


[12] フォレストサイドハウスの住人達(その18)(598)   鶴岡次郎 :2017/06/19 (月) 17:00 ID:pTam3cNY No.3016

「おま〇こを出したのは・・、
あの場で、突然思いついた行為だったの…?」

「ううん・・・、
自宅を出る時から・・、その覚悟だった・・、
今日こそ・・、総一郎さんのモノを立たせると決めていた…」

「そうか・・・・、
やはり‥、そうだったか・・・・
女にそんな心配をかけるなんて…、
だらしがない男だね…・」

「そんなこと言わないで…、
私は・・、総一郎さんの女よ‥‥、
何でもするわ‥」

以前の咲江は、男から要求されても、みだらなことは決して出来なかったのです。フェラ、放尿、露
出、そしてあの時みだらな言葉を発する行為など、ほとんどの女がやっていることを、どんなに興奮
してもできなかったのです。ある時から、素人の奥さんとはそうしたものだと・・、それも可愛いい
と・・・、村上はあきらめていたのです。

ところが・・、村上のモノが自立できなくなった頃から、変わりました。男が要求もしていないの
に、積極的に恥ずかしい行為をやるようになったのです。男を救いたい・・、男を立たせるのが傍に
いる女の役目だ・・、それが出来ない女は存在価値さえない・・、と咲江は思い始めた様子なので
す。

男を救うため、最初は悲壮な覚悟で始めたのですが、やってみるとそのことが意外と楽しいことだと
判りました、今では咲江は恥ずかしい行為を楽しみ始めているのです。

そして、今日、ミニのフレアースカートを選び、ショーツをレストランで取り去り、股間を外で露出
するタイミングを探していたのです。

ビルの陰でやることも考えたのですが、さすがに人通りが多く、その機会がなかったのです。アパー
トにつき、階段を上がり始めた時、ここならいい、万が一、住人が通りかかっても構わない、見られ
ていいと覚悟を決めて、おま〇こを見せる作戦を実行したのです。

腰を下ろし、両脚をM字に開いて、あの部分を村上に見せつけるところまで見事やり遂げました。そ
の時、男がその気になれば、階段で男のモノを受け入れてもいいとまで・・、悲壮な・・、覚悟を固
めていたのです。

「いきなり、スカートをまくり上げ、
濡れたおま〇こを見せるなんて・・、
それも・・、いつ人が来るかわからない階段でだよ・・・、
思いもしなかった・・、うれしかった…、
本当は、ち〇ぽが使えればよかったのだが…・
指で我慢してもらった…・」

「ああ・・、言わないで…、
恥ずかしい…」

「呻きながら・・、何度も、何度も・・、
潮を吹き、俺の指で逝ってくれたのがうれしかった…、
きれいだった…。
指が締め付けられ・・、
ああ・・、奥さんのおま〇こは凄いと思った…、
その時・・、突然・・、俺のち〇ぽが反応した・・・・」

「嫌・・、それ以上・・、
言わないで…・
口を利けないようにしてあげる…・・」

「……」

男の指摘があまりに生々しく、顔から火が出るほど恥ずかしくなり、その口を封じるために女は男の
唇にむしゃぶりついています。


[13] フォレストサイドハウスの住人達(その18)(599)   鶴岡次郎 :2017/06/20 (火) 13:34 ID:i3KtCdtg No.3017

女の攻撃に応えて、男は女の体を強く抱きしめ、激しく唇を吸っています。激しい吸引音が部屋の中
に響いています。二人の接点から、唾液が糸を引いて床に落ちています。女の手が男の股間に伸びて
います。その指がわずかな変化を察知している様子です。ゆっくりと股間を揉んでいます。

「数日前は、奥さんのおま〇こを舐めても…、
ち〇ぽをしゃぶってもらっても…、
ピクリともしなかったのだが・・、
今日は違った…。
すこし・・、感じたんだ…
もう・・、少し追い込めば・・、何とかなる気がする…」

男が女の耳にささやいています。男の言葉に励まされた女が男の唇に吸い付き、舌を絡ませ、激しく
唇を吸いながら、手を伸ばし、男の股間に触れた指をかなり激しく動かせています。

「頼みがある…・
嫌なら…、断ってくれてもいい…・」

耳の中に舌を入れ、そこを十分嘗め尽くして、女がもだえるのを見ながら、男が女の耳にささやいて
います。

「ああ…、何でも言って…、
毛を剃るのだって・・、
入れ墨だって・・、総一郎さんが望むなら…、
何でも・・・、やるわよ‥‥」

「エッ・・・、それは不味いだろう…」

男がびっくりして女の顔を見ています。

これまで何度か、戯言交じりで剃毛や、入れ墨を軽く要求したことがあったのです。もちろん、本気
ではなかったのです。しかし、咲江はその都度、酷く敏感に反応し、こっぴどく断っていたのです。

村上は左肩から腕にかけて、立派な桜の花を散らしているのです。最初の頃、咲江は彼の入れ墨を怖
がっていたのですが、すぐに慣れて、その文様にいつも口づけするようになっているのです。

「そんなことをすれば・・、
旦那に・・、バレるよ…」

「いいの…、バレても…、
総一郎さんが元気になってくれるのだったら…、
私…、何だってやるつもり…」

決意を込めた真剣なまなざしを男に向けて、女が言い放っています。離婚さえも恐れない決意を見せ
ているのです。

「いや、いや…、
俺ごときのために、そこまで言ってくれるのはありがたいが・・、
今のことは聞かなかったことにするよ‥‥」

男の心境は複雑でした。女の気持ちはありがたいのですが、素人女をそこまで追い込んでしまった、
だらしがない自分自身を村上は軽蔑しているのです。


[14] フォレストサイドハウスの住人達(その18)(600)   鶴岡次郎 :2017/06/28 (水) 10:56 ID:5vEdctLs No.3018
「私がそうしたいのだから・・・、
やらせてほしい・・、
総一郎さんのお役に立てるなら・・・・、
何だってやるつもりだから…・
言って…・・」

「大変な意気込みだね・・、
そんなに大それたことをしてほしいのではない・・、
ほんの遊びだよ…、
嫌なら・・、断ってくれてもいいんだよ…・・」

「ああ‥ン・・・、
顔が笑っている・・、
いやらしいことを、やらせるつもりでしょう…、
いいわよ、私…、
今日は何でもやるつもりだから…」

「ストローを使ってもいいか…・」

「ああ…、ストロー…、
そんな…、
ああ・・・、
私・・、そんなことされたら…・
ダメになっちゃう…・・」

男の言葉を聞いて、女の体が欲望ではち切れそうになっています。最近でこそ、その遊びをすること
は絶えているのですが、これまで何度かストローを使った男の攻めを受け、体がその味を覚えている
のです。この遊びは咲江が最高に興奮する遊戯の一つで、あまりに逝きすぎて歩けなくなったことが
一度や二度ではないのです。

もう・・、股間から絶え間なく湿った破裂音が響いています。ショーツをつけていないソコから、透
明な液体があふれ出て、大腿部を伝わり、足首を経て、床に落ちています。高まる欲望に堪えきれな
い様子で、男の腕の中で、咲江は体をぶるぶると震わせています。もう・・、正常な咲江ではありま
せん。

「嫌なら…、止めてもいいんだよ‥‥」

「ああ・・、意地悪…・・ゥ・・・」

抱かれている男の腕を無理やり押し開いて、女は後ずさりして、よろけるように、ソファーに腰を落
としました。まるで、男から逃げるような様子です。しかし、そうではないのです、欲情した怪しい
視線を男に当て、両脚を男に向けて突き出し、いっぱいに広げました。

女芯の全貌があらわになっています。そこは激しい運動をした後のように、全身が汗みどろになって
いて、形をとどめないほど激しくうごめいているのです。

「吸ってーーー
ここを・・・、吸って…・
全部・・・、吸い出して…ェ・・・・」

指で陰唇を開いて、サーモンピンクの中身を見せているのです。女の表情はもうすでに・・・、
逝っています。

男は冷静です、手早く数枚のバスタオルを女の臀部、そして床に敷いています。これで、多量の液体
が流れ出ても床をひどく汚すことは防げるのです。そして、いつでもこの遊戯が出来るように、
テーブルには数本のストローがコップに入れて準備されていて、そのうえ、数本の飲料水ボトルまで
が置いてあるのです。


[15] フォレストサイドハウスの住人達(その18)(601)   鶴岡次郎 :2017/06/30 (金) 11:21 ID:wGGDHFIY No.3019
大きく開いた脚の間に体を入れ、男はその場にうずくまりました。男の目の前、30センチのところ
に、激しく息づく、濡れた女陰があります。ボトルのキャップを取り去り、ストローを右手で取り上
げました。

「さあ…、準備完了だ…」

「ああ・・・・」

女陰にほとんど顔をつけるほど近づいて、男が女に話しかけています。

「もっと股を開いて・・、
そうだもっと・・、開いて・・・」

「ああ・・・・」

「おま〇こが、ぴくぴく動いているよ・・、
きれいだ…・
奥さん…、とってもきれいだよ…・」

男はストローを咥えました。そして、口にくわえたまま、その先を女陰に慎重に差し込んでいます。
男の鼻息が女陰に直接当たっています。ピックと・・、女の体が反応しています。女は我慢して、開
脚姿勢を崩しません。

「さあ…、ストローを咥え込んだよ…・、
お尻をきつく・・、きつく締めて・・、
そうだ、その通りだ・・」

「ああ・・・」

「おま〇こがよく締まっている・・、
ストローが引っ張られているよ…・・」

「ああ・・・
早く・・・、早く・・・、入れて…
もう・・・、がまんできない・・・・!」

大陰唇で細いストローの存在を感じ取るほど、その部分の筋肉を限界まで使っているのです、女の神
経はその部分に集中されているのです。女はあえぎながら、次を男に求めています。男の動作は遅い
のです。焦れた女が両脚を震わせて抗議しています。

「じゃあ・・・、入れるよ・・、
まず・・、水を一杯・・、口に含んで…・」

ボトルを咥え込み、ゆっりと水を口中に流し込んでいます。500ミリ・リットルのボトル、その三
分の一程度の水が男の口中に飲み込まれました。

女陰に差し込まれたままのストローが細かく震えています。男はそのストローの先端に口をつけまし
た。

ゆっくり・・、本当にゆっくり・・、水を逆流させ始めました。

「ああ…、感じる…、感じる…
冷たい水が…、流れ込んでくる…・」

女の表情が、苦悶から、恍惚に変わり、抑えきれないうめき声をあげています。男の口中に蓄えられ
ていた水がすべて、女の膣内に移動しました。


[16] フォレストサイドハウスの住人達(その18)(602)   鶴岡次郎 :2017/07/05 (水) 12:33 ID:2vBye/0I No.3021

「見事だ…、一滴も漏れていない…、
最高のおま〇こだ・・・」

男がゆっくりとストローを亀裂から抜き出しました。女は必死で堪えています。膣壁がうごめき、
胎内の水は激しく渦巻いているはずですが、一滴も水は漏れ出していないのです。

余談ですが、水漏れさせないで堪えるのは、女性にとって、これで結構難しい技だそうです。思い付
きで簡単にできる遊びでなく、女性が本気でその部分を鍛えて初めてできる技だそうです。念のた
め・・。

「さあ…、飲ませていただくよ・・・、
う‥ん、もう・・、いい香りが漂ってくる…」

男が亀裂に、直接唇をつけ、舌を差し込み、中の水をすすり始めました。

ごく、ごくと飲んでいます。当然ながら、かなりの水が床に流れ落ちています。女の尻を濡らし、床
に敷いたタオルをべっとりと濡らしています。

膣内の水を飲み干すと、男はまたストローを咥え、水を注ぎ始めました。今度はかなり勢いよく水を
吹き込んでいます。水鉄砲のように、ストローから噴出された水が、膣壁を満遍なく襲っています。
女が体をひねり、腰を振り、その快感に堪えています。もう・・、女には大陰唇で水を堰き止める力
が残っていません、膣内に貯めきれない水があふれ出て、タオルを濡らしています。男も女も、全身
濡れ放題です。

女のうめきが悲鳴に変わりました。女の両脚がピーンと突き出され、けいれんしています。

「ああ…、しびれる・・、しびれる‥…」

絶叫を上げて女が高く上げていた両脚を床に落としました。同時に、亀裂から激しい水音とともに、
液体が吹き出ました。飛沫が男の顔を襲っています。あたり一面、妙なる香りが広がっています。

準備されていた、ボトル三本が空になりました。その大部分は床に置かれたバスタオルの上に流れ出
しているはずです。女は何度も何度も頂点に達し、声が枯れ、出るべき体液さえ枯れ果てるのではと
思えるほど、激しくいきました。男はかなり冷静に・・、・・というより、自身の男根の状態を監視
しながら遊戯を続けているのです。どうやら、それなりの手ごたえを男は感じ取っている様子です。


三本目のボトルが空になった時、男が立ち上がりました。ゆっくりと衣服を脱ぎ捨て、下着を取り、
裸になりました。贅肉のない腹部に、股間のモノが・・、久しぶりに・・、くっつきそうになるまで
に成長しています。

かなり早い段階で、女は着ているワンピースをはぎ取り、全裸になっています。男根がそそり立って
いるのを確認した女がソファーから立ち上がりました。全裸の体で、床に敷いたバスタオルの上に背
をつけて倒れ込みました。両脚を開き、両手の指で女唇を開いています。サーモンピンクの内壁がぴ
くぴくと、うごめいています。

「来て・・・!
おま〇こに・・、ち〇ぽ入れて・・・・・!
ち〇ぽ、ち〇ぽ、ち〇ぽ・・ゥ・、
欲しい…・・ィ・・・・」

それまでどんなに強要されても、決して口にしなかった言葉を女が何度も発しています。

「ぎゃ…!」

男が腰を落とし、狙いすませて、一気に腰を前に突き出しました。湿った破裂音と同時に、女の悲鳴
が上がりました。そしてそのまま、気を失ってしまったのです。全身を緊張させ、四肢が男の体に絡
みついています。パクパクと口が開閉しています。男は女の上に重なったまま、じっとしています。


それから、二時間余り、男と女は久しぶりに、本当に久しぶりに、セックスを堪能しました。すべて
が終わった後、男と女は濡れた裸体を床に投げ出し、心地よい余韻を楽しんでいました。女の頬に
も、男の顔にも、涙が流れていました。絶えることのない川の流れのように、涙はあふれ出て、床を
濡らしていました。


[17] フォレストサイドハウスの住人達(その18)(603)   鶴岡次郎 :2017/07/07 (金) 11:03 ID:fUP3rFMI No.3022

「良かったよ‥‥、
人生最高のセックスだった…」

裸体を大の字に開いて、首だけ女の方に向けて男が声を出しました。

「私も…、
こんなに感じたことがない…」

女もまた、男に顔だけを向けて、微笑みを浮かべています。起き上がりたいのですが、体がしびれて
自由にならない様子です。男と同様、四肢をだらしがなく広げています。股間から、白い液体が流れ
出しています。その部分は激しい摩擦を受けたせいでしょう、ピンク色に変色して、痛々しそうに見
えます。

「正直言えば…、
昨日までは・・、
ここで・・・、
俺の・・、男の人生は終わりになると・・・、
そう思って・・、あきらめていた…」

「・・・・・・」

「散々好き勝手なことをやって来たから・・、
その付けが回ってきた…、
そう思って、あきらめることにした…・」

「・・・・・・・・」

天井を向いて、男がつぶやいています。女に話しかけているというより、彼自身に語り掛けているよ
うに見えます。

「奥さんが…、
いや・・、この瞬間だけは・・・
咲江と言わせてほしい…・」

「ハイ・・・・・・」

咲江が嬉しそうに頷いています。

一年以上男女の関係を続けているのに、村上は咲江と呼ぶことがないのです。人妻を愛人にしている
以上、決して破ってはいけない掟が村上の中には幾つか存在していて、そのいくつかの掟の中に、女
を奥さんと呼び続ける決まりがあるのです。

「咲江が・・・、
慣れない、恥ずかしい真似をして…、
俺を…、励ましてくれているのは判っていた…、
咲江には・・、随分と辛いことだっただろう…・」

「・・・・・・」

「正直に言えば、その咲江の気持ちさえ、重荷になっていた…」

「・・・・・・・」

実は・・、そのことを咲江自身も心配していたのです。傍にいる女が急かせれば、急かせるほど、男
は立たなくなるのでは…、心配していたのです。心配したとおり、咲江が見せるみだらな姿や、優し
い励ましの仕草が、村上にとって、心の負担になっていたのです。


[18] フォレストサイドハウスの住人達(その18)(604)   鶴岡次郎 :2017/07/12 (水) 14:21 ID:YnO4dfAA No.3023

「事業に失敗して、勃起しないなど…、
男としてだらしがない話で…、
若いころの俺だったら、そんな男をバカにしていただろう…、
自分がまさかそうなるとは思ってもいなかった…」

「・・・・・・・」

村上は何も隠さず、すべてを告白するつもりのようです。目を広げ、涙を一杯貯めて、声も出せず、
咲江は男を見つめていました。

〈ああ…、
この人は…・、
男として一番恥ずかしい事実を告白するつもりだ…〉

何もかも捨て去り、裸の姿を男は見せようとしているのです。愛すればこそ、信頼すればこそ、その
女に男は素顔を見せるものです。その篤い男心を感じ取り、咲江は大きな感動の渦の中にいました。


「今日・・、
咲江のおま〇こを見て・・、
久しぶりに催した…」

「お仕事の整理が上手く運んだことで・・・、
気分が軽くなったことが、よかったのですね…」

「うん…、確かにそれもある…、
しかし・・、俺が蘇ったのは、すべて咲江のおかげだ…」

「・・・・・」

男が持ち上げてくれるのはうれしいのですが、咲江自身には彼女の力がそんなに影響したとは思えな
い様子なのです。彼女の女子力が、村上を蘇らせるほどの力を秘めているとは、到底、信ずることが
出来ないでいるのです。


「ストロー・プレイでも、本気になって、悶えてくれた・・、
初めて見たよ・・、あんなにスケベーな咲江を…、
あんなに激しくうごめくおま〇こは・・・、
初めて見たよ…・、
最高にスケベーな女だと感じた…。
こんなにいい女だったかと・・・、見直した…」

天井を向いて、話している村上の頬に涙の筋が新たにできています。

「うれしい…
本当に・・、うれしい…・」

男の言葉に真実をかぎ取り、天井に向かって咲江が泣きながら答えています。


[19] フォレストサイドハウスの住人達(その18) (605)  鶴岡次郎 :2017/07/16 (日) 15:30 ID:UYwUKrWc No.3024

「実は…、今だから言えることだが…、
俺から・・、咲江が離れていくのが・・、
本当は一番怖かった…・」

「・・・・・・・」

「事業に失敗し、一文無しになり・・、
その上・・、ち〇ぽが立たない・・・、
女が逃げ出す条件はそろい過ぎているからね…」

「・・・・・・・」

天井に向けた男のつぶやきが女の胸を打っています。

「しかし…・、
咲江は逃げなかった…、
それどころか・・、
ダメな俺を励まし続けてくれた…」

男の声が涙声になっています。

「総一郎さん‥…」

男の様子を心配して、女が体を起こしました。脚をしどけなく投げ出し、横座りになって、床に寝て
いる男を見下ろす形になっています。股間のぬめりはいく分乾いて、陰毛が肌に張り付き、隠微な雰
囲気を醸し出しています。女が起き上がったことに男は気づきながらも、女の方を見ません。

「仕事場から打ちひしがれて帰ってきた俺を・・、
優しく笑顔で迎えてくれた・・、
ち〇ぽが役に立たないことを知りながらも…、
咲江は嫌な顔一つ見せないで、優しく体を開いてくれた…、
咲江のおま〇こに口をつけ、汁を吸い、その香りを楽しむことが…、
俺の生きがいになっていた…・、
明日を生きるエネルギーをそこから得ていた…」

「・・・・・・・・」

「債権者との厳しい交渉も、
威張り散らす銀行筋へ卑屈に頭を下げた悔しい思いも…、
咲江を抱きしめ、甘い香りに包まれることで・・、
すべてを・・、忘れることが出来た…」

「・・・・・」

「咲江が居たから・・・、
俺は・・・、
今日まで・・、
命を繋げることが出来た…」

「・・・・・・」

「もし・・・、咲江がいなかったら…・、
俺は・・・、何もかも投げ出して…、
とっくに・・、どこかへ逃げて出していただろう…、
そうすれば・・、俺の人生はそこで終わっていた・・・・・」

天井を見つめて、そこまで語り続けて来た男がゆっくりと首をひねり、男を見つめている女と、初め
て視線を合わせました。男も、女も泣いています。声を出さず、微笑みながら、涙を流しているので
す。


[20] フォレストサイドハウスの住人達(その18)(606)   鶴岡次郎 :2017/07/18 (火) 14:35 ID:fN5vjp2w No.3025

たくさんの女を操り、思うまま女を手なずけてきた村上が、落ち目になって初めて、女の・・・、
真の・・、情けを知った様子です。すべてを失う危機に直面して、今までちやほやしてくれた人々が
顔を背け始めた中で、咲江一人が変わらぬ愛を・・・、変わらぬ情けを・・、注いでくれたのです。
村上ならずとも、男であれば、誰でも、もう一度、その女、咲江に惚れなおすことになります。

咲江と村上の関係がここまで進化したことを、千春は知らないはずです。もし知ったら…、何と言う
でしょうか…。多分・・、これは大変なことになった・・、二人を別れさせることはますます難しく
なったと判断することでしょう、二人を見る限りでは男と女の気持ちが全く一つになっているのです
から・・・。


女が膝を動かし、男の傍にじり寄りました。女の膝が男の腹部に触れています。女がゆっくり腰を折
りました。女の唇が男の唇に接しています。男が下から女を抱きしめ、舌を突き出し激しく、吸い始
めました。体を男の上に乗せ、女は噛みつくようにして男の唇を吸っています。

女の手が男根を握りしめ、優しくほぐしています。ほぼ完ぺきに直立しています。以前に増して、強
い男が村上の中によみがえった様子です。

「ああ‥‥、凄い…・、
私…、変になりそう…・
ああ・・・、ち〇ぽ・・、ち〇ぽ…・」

男根に添えた手を激しく動かしながら、女がうめき声を出しています。女の股間も大変なことに
なっています。噴出音を出しながら愛液が床に流れ出しているのです。

寝たままの男が女の体を軽々と持ち上げ、180度回転しました。女が悲鳴を上げています。男は女
の両脚を開き、洪水の跡のように乱れた股間にちゅうちょなく嚙みついています。悲鳴を上げなが
ら、女も負けずに男根に嚙り付いています。

咲江が解放されたのは、それから一時間後、自宅の最寄り駅に向かう終電にようやく間に合う時間で
した。

自宅へ向かう咲江の足取りは少しよろめいています。それでも、顔には張りが出て、隠微な光を発
し、シャワーを使用していない全身から妙なる香りが発散されているのです、見る人が見れば、激し
い性交の跡だとはっきり感じ取ることが出来るはずです。一段と美貌が増した気がします。


[21] 新スレに移動します  鶴岡次郎 :2017/07/18 (火) 14:39 ID:fN5vjp2w No.3026
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フォレストサイドハウスの住人達(その17) - 現在のレスは37個、スゴイ人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2017/02/21 (火) 16:08 ID:jVjgatjw No.2962
 国立の研究所に勤める坂上夏樹と咲江の夫婦は、結婚10年目を迎え、ある危機に来ていました。
ひょんな縁で咲江が遊び人である村上総一郎、55歳と男女の仲になったのです。村上は銀座で小規
模ながらも家具、備品などの卸会社を経営している人物で、なかなかの遊び人なのです。夫しか男を
知らなかった咲江は村上のテクと魅力にすっかり溺れこんでしまいました。二人の仲は一年余り続い
ているのです。

当然のことながら、咲江は悩みました、それでも村上から離れることができないのです。坂上と別
れ、独身である村上と暮らす道さえ考えるほどになっているのです。かろうじて咲江が坂上家に留
まっているのは、幼い二人の子供ことと、今まさに正念場に来ている夫、夏樹の研究活動を阻害した
くない気持ちがあるからなのです。

咲江の親友である、浦上千春は親しくしている由美子と愛に咲江の問題を相談したのです。坂上夏樹
にセックスの技を教え込み、彼の力で咲江を村上の色地獄から救い出す作戦を女三人は計画し、実行
に移しました。

坂上夏樹に色事を教え込む担当に千春がなりました。夏樹は素晴らしい才能と驚くほどの男根に恵ま
れていました。わずか二時間余りの訓練で夏樹はその素晴らしい能力を生かし、その道ではベテラン
である千春を十分に参らせるほどに成長したのです。

この夏樹の姿を見て、由美子たち三人の女たちは、計画の成功を予感していました。残された課題は
咲江が村上と切れることです。凄い男に変貌した夏樹に毎日抱かれていれば、早い段階で、咲江は村
上と切れるはずだと、時間の問題だと、誰もが確信できたのです。

この章では、村上の色地獄からなかなか這い出ることができない咲江と、由美子達女三人の活躍を描
きます。相変わらず、これと言って特徴のない市民たちが織り成す風景を描きます。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
ていただければ幸いです。


[28] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(579)  鶴岡次郎 :2017/04/21 (金) 15:53 ID:jVjgatjw No.2993

「もしかすると・・、
あの最中に・・
おしっこを掛けてほしいと彼が言ったの…?」

「うん…、
これも、千春が教えたことでしょう…、
悪いんだから…・」

「・・・で、咲江はどうしたの…?」

「やったわよ・・・、
いっぱいかけてやった…、
奴はすごく喜んで・・、
驚いたことに、ごくごく飲んでいた…・」

「咲江はどう思ったの…、
気持ちよかったでしょう・・」

「最初は嫌だった…、
でも・・、彼の喜ぶ姿を見たくて・・・、
要求されれば、二回目以降も断らなかった…」

「さすが咲江ね・・、偉い・・・、
何度かやっているうちに、
慣れて・・、楽しくなったでしょう…」

「うん…、
今では、普通に楽しめるようになった…
それでも・・、異常なことをしているという気持ちが抜けない・・
おおげさに言えば、ちょっとした背徳感を感じている・・・」

「そうかな・・、決して珍しいことではないよ・・・、
私の知っている普通のご夫妻…、
上品な奥様と会社重役の旦那様だけれどね…
その旦那様はおしっこを被るの大好きらしい…
私のお客様の中にも、おしっこを好む人はかなりいる…・」

「そうなんだ…、
ああ・・・、良かった…、
普通の行為なんだ…」

恥ずべき背徳行為でないと判り、咲江がうれしそうな表情を浮かべています。

「思い切って千春に質問してよかった…、
私たち夫婦は変態趣味なんだと、ずっと後ろめたい気分だった…」

この時まで、その変態的な行為に溺れながらも、こんなことはしてはいけないことだと、咲江は心を
痛めていた様子なのです。


[29] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(580)  鶴岡次郎 :2017/04/24 (月) 16:19 ID:0xQ/4Vt6 No.2994

「この際だから・・、
いろいろ、千春に聞こうかな……」

「いいわよ・・・、
その道のことなら、ちょっとは自慢できる知恵があるから・・」

笑いながら千春が答えています。

「実はね‥‥、主人たら・・・・
すごく恥ずかしい下着を着せたがるの…・、
肝心のところが全部穴が開いた下着なのよ…」

「そんなの・・、普通だよ・・・、
男ならだれでもそうだよ・・」


「そうなの…、知らなかった…、
私・・、そんな下着の存在さえ知らなかった…」

「男の人の間では・・、
ゴルフ大会の景品にそんな下着を準備したりするそうよ・・」

「そうなの…」

千春の言葉で咲江はかなり安心した様子ですが、まだ引っかかることがありそうな雰囲気です。

「実はね…
家で着せるだけでないの・・、
夜・・、公園で・・・、
その下着姿で歩かせるのよ‥‥
変でしょう…・?」

「少しも変じゃないよ‥‥」

「変だよ…」

「咲江は・・、どうなの…、
嫌々・・、下着姿を曝したの…」

「ううん・・」

恥ずかしそうに首を振っています。

「そうでしょう・・、
咲江も興奮したのでしょう…、
だったら、いいのよ・・、
夫婦で楽しんでいるのだから・・・、
少しも変じゃない…」

「そうなんだ…
千春が言うんだから・・・、
そうなんだね…」

その道に詳しい千春にはっきりと言われて、咲江はようやく納得した様子です。

それから後が大変でした。体位のこと、性感帯のこと、剃毛のこと、男根への唇の使い方・・、など
など、咲江の興味は尽きません。立て続けに質問してくるのです。その一つ一つに丁寧に千春は答え
ました。


[30] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(581)  鶴岡次郎 :2017/04/25 (火) 14:17 ID:ftmZjoO. No.2995

最初は咲江との会話を楽しんでいたのですが、次第に重苦しいものが千春の胸の中に広がり始めまし
た。会話自体はなまめかしい、楽しいはずのものなのですが、千春は次第に口数が少なくなりまし
た。段々に咲江と会話をすることが苦痛になって来たのです。その訳を千春自身でさえはっきり理解
できていないのです。

一方咲江は、千春となまめいた話をするのが楽しいようで、おしゃべりはとどまる気配がありませ
ん。淫蕩な表情を浮かべ咲江の質問が続きます。

「主人の持ちモノは相当大きいと思うけれど…、
実際は、どうなの…?
私は村上さんしか知らないけれど・・
千春なら、かなり客観的に評価できるでしょう・・・」

「大きいよ、太さも、長さも、超一流だよ・・」

「千春が保証するのなら、本物だね・・、
うれしい・・」

咲江は嬉しそうです。努めて笑みを浮かべていますが、千春の表情は硬いのです。しかし、興奮して
いる咲江は千春の変化に気が付いていません。

「サイズが超一流で・・・
千春直伝のテクを覚え込んだ男…、
夫はすごい男に変貌したと思えるけれど・・、
どうなの…?
旦那様と比較してどう…?
愛人の・・、ああ・・佐王子さんと比べたらどうなの…」

楽しそうに咲江が質問しています。夏樹の体を知っているのは自分と千春だけで、千春にも夏樹の話
題は興味があるはずだと咲江は思いこんでいる様子です。千春の心の内を言えば、咲江とは夏樹の話
題をこれ以上続けたくない気持ちになっているです。堪えきれなくなった千春はついにそのことに触
れました。

「ああ・・、咲江・・、勘弁して・・、
咲江の前でご主人を話題にするのは・・、
これでも結構つらいのよ・・・」

「エッ・・、
どうして…・・?」

「だって・・、そうでしょう・・・、
どんな理由があるにせよ、
咲江の旦那様を寝取った事実が私にのしかかるのよ・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

意外なことを聞くという表情で咲江が黙って千春を見つめています。


[31] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(582)  鶴岡次郎 :2017/04/26 (水) 15:57 ID:lHbH97.M No.2996

「無邪気に夏樹さんのことを語る咲江を見ていると・・・、
こんないい友達を裏切った自分自身が、段々にひどい女に思えてくる…。
咲江の優しい言葉、一つ一つが私の心に突き刺さる気がする‥。
むしろ・・、酷い言葉でののしられた方がいいとさえ思える…。
勝手なことを言っていると判っているけれど…、本当に、辛い・・」

思い切って胸の内を吐き出しました。驚いた表情で咲江が千春を見ています。

「あら・・ら・・、そうだったの…、
少しも気が付かなかった…
ゴメンナサイ・・・
主人のことでは千春に感謝こそすれ・・、
非難する気持ちは少しもないのよ・・」

「判っている・・・・・・
咲江の気持ちは判っている・・、
でも、私は自分自身が許せないの…」

「そうなんだ…、
家の人と寝たことで、千春は自分自身を責めているのね…・・。
判った・・、千春の気持ちは分かった…、
もう・・、この話はしない・・」

「ありがとう・・、
そう言っていただけると嬉しい・・
この埋め合わせはきっとするから…・」

うっかりと千春が口を滑らせています。

「埋め合わせをするって…、
どんな埋め合わせをしてくれるの…?」

楽しそうに咲江が質問しています。

「どんなって…、
咲江がしてほしいことよ・・、
私が出来ることなら、何でもするわ・・・」

「何でもいいの…?
実はね・・・、本当のこと言うとね・・・、
千春の濡れたアソコに、夫のアレが入ったと思うと・・、
千春が憎いと思う気持ちを捨てきれないの…・」

「・・・・・・・・」

力なく千春が頷いています。やはりそうなんだと、納得しているのです。

「同時に・・、
千春と夫を共有できて良かったと思う気持ちもあるの…、
私自身も驚いている奇妙な感情だけれど、本当のことだよ…
それに・・、主人の才能を花咲かせてくれた・・…」

「・・・・・・・・・・・」

優しい咲江の言葉に千春は泣きそうになっています。

「だから・・・、今度のことで・・、
千春に埋め合わせしていただかなくてもいいのだけれど…、
どうしてもというのなら・・、お言葉に甘えてもいいかな…・」

「どうぞ‥」

からかうような表情を浮かべた咲江をにらみつけて、千春が言葉を吐き出しています。


[32] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(583)  鶴岡次郎 :2017/05/08 (月) 15:56 ID:iWOXxzf6 No.2998
「なら・・、旦那様を貸してほしい・・」

「エッ・・、家の旦那を…」

「そうだよ・・、千春の旦那様を貸してほしい。
あなたのように、二回でなくてもいい、一回で良い・・」

「家の旦那に抱かれたいの…・?」

「そう・・、文字通り、私のアソコに埋め合わせするの…、
ああ・・、下品なこと言ったわね・・・」

「仕方がないわね・・・、
元はといえば、私が悪いのだから・・・
主人でいいのなら・・、いつでもいいよ・・
でも・・、一回きりだよ…・」

苦しそうの表情を浮かべ千春が答えています。そんな千春を咲江が見て笑っています。

「ああ・・、冗談よ、冗談…、
本気にしないで…・、
そんなことするはずがないでしょう・・、
千春は私たち夫婦のために身を捨ててくれたのだから、
感謝こそすれ、埋め合わせを要求することなど絶対できない・・。
ゴメンナサイね・・、つい調子に乗って・・」

真剣な表情で咲江が謝り、深々と頭を下げています。

「千春…、
私・・、本当に幸せなの…
千春をからかう気分になれたのも久しぶりよ・・、
あなたのおかげよ・・、感謝している…。

夫婦間のHが充実することで・・、
こんなに生活が変わるとは思いもしなかった・・・」

瞳を濡らして咲江が話しています。千春の旦那を貸してほしいと言って困らせるいたずらも、気楽な
気分だからできることで、以前のような追い詰められた状態では、冗談の一つも口にできなかったの
です。

「私・・、今はとっても幸せよ・・・、
この気持ちをぜひ千春に伝えたいと思って、
今日・・、声をかけたの…・、

いろいろ・・、言ったけれど…、
千晴には感謝の言葉以外、思いつかない…」

「そう言っていただけると、
私も苦労した甲斐がある…」

「抱かれる度に…、気が狂うほどいかされて…、
声さえ枯れて、全身愛液で濡れたまま・・・、
気を失ってそのまま寝入り・・、
朝、セックスの香りに包まれて目覚めた時・・・、
その幸せ感…、
全身に残るけだるさでさえ快適なの…、
坂上の妻に選ばれ・・、
私は・・、恵まれているとしみじみ感じるの・・
幸せだわ…・」

つい二ヶ月前までは、淡白な旦那のセックスに絶望して、他の男とのセックスに溺れていたことを忘
れたように、うっとりした表情でのろけている咲江です。


[33] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(584)  鶴岡次郎 :2017/05/10 (水) 15:37 ID:5tU8d6dk No.2999
ここで突然・・、笑みを浮かべた表情を消し、少し改まった表情に戻しました。咲江の表情の変化に
気づいた千春が、少し不安そうにして咲江を見ています。その場に緊張した雰囲気が広がっていま
す。

「このことは言わないでおこうと思っていたのだけれど・・・、
やはり・・、言おうと思う…、
もやもやした気持ちを抱いているのがつらいの・・・」

千春は少し構える様子を見せています。

「私の嫉妬心から出た言葉だと思うかもしれないけれど、
決してその感情だけに支配されたわけではない…、
この先も、千春とはいつまでも、今のままの親友でいたいから・・・、
今感じていることを千春に知ってもらいたいと思ている…」

ここまで聞いても、咲江が何を言い出すのか千春には見当がつかない様子です。いえ・・、もっと正
確に言えば、千春にはある程度まで咲江の心の内が見えて始めているのです、しかし、そのことを認
めるのがつらくて、千春は自分の心に芽生えた不安を無理やり消し去っているのです。それでも、姿
勢を正して、聞く体制を作っています。

「異常なほど潔癖症である夫が、とにかくソープへ武者修行に出る決心をした。これは画期的なこと
で、よく我慢して、決断してくれたと私は感謝している・・・」

千春が軽く頷いています。やはりそのことに触れてきたと・・・・、千春の中に黒雲のように不安定
な気持ちが広がっています。

「でも・・、私には判るの…、
彼の頑張りはここまでが精いっぱいだったと思う…。
お店に行き、女のいる部屋の扉を開けるまでが、彼の限界だったと思う・・・」

確信をもって咲江が言いきっています。

夫婦の危機を回避するため、自らを鍛えるため坂上夏樹はソープを訪ねる決意を固め、ソープへ出向
き、ソープ嬢の部屋の扉を開けるところまで行ったのです。夏樹をよく知る、妻、咲江は夏樹の行動
はここまでだと言い切っているのです。

「当然のことだけれど、私は一度もソープへ行ったことがない・・、
でも・・、ある程度までは想像がつく…、

いかにもそれらしい、スケベーな調度品・・、
あたりに充満するセックスと、女のすえた匂い・・、
何人もの男がその部屋で精を吐き散らしたに違いないのです・・。

正直言って・・、
その部屋で女に触れるなど、彼には到底無理だったと思う…
部屋に入ったものの、そこかしこに生息する細菌のことを思って、
そこから直ぐに逃げ出したくなったと思う…・・」

「・・・・・・・」

静かに話す咲江の言葉を千春は冷静に受け止めていました。ソープのことをそんな風に言う咲江のこ
とが少し気に障るのですが、当たらずとも遠からずの内容ですから、反論はもちろん、言い訳も言わ
ないで、黙って、咲江の言葉を受け入れているのです。

「では・・、何故…、
彼はその部屋に留まったか…・、
その訳は…・・、
それは・・、その部屋の主があなただったからよ・・・、
千春がそこに居たからだと思う・・・」

「・・・・・・・・」

笑みを失った二人の女はじっと見つめ合っています。この展開を千春は予想できていたようで、静か
に聞いています。もちろん、咲江も冷静です。二人の女は顔をそらさず視線を静かに合わせていま
す。


[34] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(585)  鶴岡次郎 :2017/05/11 (木) 10:27 ID:KDMvOYwk No.3000

「公園で二家族が出会ったことがあったでしょう…、
あの時以来、主人は千春のことを時々話題にするのよ・・・、
あの人が・・、それまで他の女を話題にすることは・・、
結婚以来・・、一度もなかった…」

「・・・・・・・・」

咲江は静かに語っています。千春は視線を宙に漂わせています。

「思春期の少年のように澄んだ心を持っている人だから・・・、
あなたへの思いを私にさえ、隠すことができないのよ…
それは・・、いじらしいと思えるほど一途に思い込んでいるのよ…」

「・・・・・・・・」

ここで笑みを再び浮かべて咲江が千春の表情を見ています。咲江の微笑みが本物だと千春には直ぐに
判りました。

咲江に何と答えるべきか、千春は迷っていました。それでも、千春はうろたえることなく、静かな表
情を必死で作っていました。勿論、夏樹が千春に熱い思いを寄せていることを千春は最初から察知し
ていました。公園で初めて出会った時から、夏樹の千春を見る視線の強さは異常だったのです。

千春への恋心に咲江が気付いてくれないことを祈っていたのですが、咲江はそんなに甘くなかったの
です。

一方では、彼に抱かれて、彼のすごさを肌身で感じ、少年のような一途な思いを知るにつけ、千春の
気持ちも夏樹に大きく傾いているのです。この気持ちは咲江に未だ悟られていないはずなのです。夏
樹への熱い思いを咲江には悟られたくない、それだけを千春は考えているのです。

「部屋にあなたが居るのを知った彼は驚きながらも、
天に上る気持ちになったと思う・・・・。
だって…、あんなに憧れていた女が目の前に居て・・・、
おそらく・・、ほとんど裸に近い姿なのでしょう・・、
彼ならずとも、男なら誰だって・・、
その場を去ることが出来ない‥‥」

「・・・・・・・」

「豊かな乳房、淫らな股間、そのすべてが彼を有頂天にさせたと思う。
知らない女を汚い物と考える潔癖症など一気に吹き飛ばされたと思う。
あなたに言われるままに、あなたを抱き、あなたのアソコに口をつけ、
果ては、あなたのおしっこを浴び、喜びの声を上げるようになったのだと思う…。
男なんて・・、所詮そんなものだと思う…・」.

「咲江…、私は・・・、何と言われても仕方ないけれど…、
そんな言い方をしては、旦那様が可哀いそうだよ・・」

「ゴメン・・、言い過ぎました…、
少し・・、妬いているのかな…」

素直に咲江が頭を下げています。


[35] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(586)  鶴岡次郎 :2017/05/16 (火) 11:37 ID:1qUjlNAw No.3001

「あまりにストイックな研究生活を続けた結果、
セックスに興味を持てない体になっていたの…・、主人は…」

「・・・・・・・」

坂上夏樹は性的不能に近い状態だったと・・、夫婦だからこそ知りうる情報を咲江は千春に告げてい
るのです。あまりに衝撃的な咲江の発言に千春はただ驚いて咲江の顔を見ています。

「長い間・・・、私を抱くことが出来ないでいた…・、
多分…、
千春以外の女がいくら頑張っても・・、
主人を立ち直らせることはできなかったと思う…、
これは間違いのないことだと思う…」

「・・・・・・・・」

「もし・・、あの部屋に千春以外の女が居れば・・・、
彼女が若くて、飛びっきり、きれいな娘(こ)でも・・・、
扉を閉めて、すごすごと、その場を立ち去ったと思う…。
知らない女を抱くことなど・・、
彼にはあまりにハードルが高すぎるから・・・」

「・・・・・・・」

千春はただ黙って聞いているだけです。咲江の発言は続きます。

「そうなれば、さらに大きな失意を・・・、
多分決定的なダメージを・・、彼は受けることになり・・・・、
私たち夫婦は崩壊へ向けて、転がり堕ちたと思う…」

「・・・・・・・」

咲江を見つめる千春の瞳に涙があふれ出ています。そこまで咲江が追い込まれていたことに千春は気
が付かないでいたのです。

「悔しいけれど・・、
私にはできないことを千春はやり遂げてくれた…」

「・・・・・・・」

千春は何も答えることができません。ただ、じっと咲江の顔を見ていました。咲江も静かな表情で千
春を見ています。

「あなたを抱いて・・・、
主人は男を取り戻したのよ・・、
完全に・・、凄いほどの男に変身した…・」

「・・・・・・」

こっくりと千春が頷いています。

「主人が女アサリを続けていることは知っている…、
でも・・、私を大切にしてくれるから、黙っている…、
ただ・・・、一つ・・・、心配なことがある…」

「・・・・・・・」

咲江が何を言い出すのか千春は気が付いていました。


[36] フォレストサイドハウスの住人達(その17)(587)  鶴岡次郎 :2017/05/19 (金) 14:38 ID:6iCUD7eg No.3002
「主人は・・・、
千春を忘れることが出来ないでいると思う…・
悔しいけれど、主人にとって、千春は特別な人なのよ…」

「そんなことはない‥
商売女とお客の関係よ・・・、
ご主人には・・、私はただの娼婦よ・・・」

思い切り彼女自身をさげすんだ言葉を出している千春です。その分、坂上春樹への思いが強いのです
が、それには気が付いていないのです。

「ううん・・、
私には判るの…、
彼自身も・・、いけないことだと判っていても…、
千春への気持ちを、私の前でも隠すことが出来ないのよ…」

「・・・・・・・・・・・・・・」

一瞬、寂しそうな表情を咲江が見せています。不注意な言葉は出せないと千春はじっと口を閉じてい
ます。それでもこのままではまずい方向へ展開すると思ったのでしょう、重い口を開きました。

「二度目にお店に来た時・・・」

最初の言葉を口に出し、次の言葉を考え、千春は慎重に話し始めました。

「ご主人は・・、お別れの挨拶に来たと言った…。
そして・・・、二度とこの店には来ないと断言した・・・、
修行のつもりでやっていた女遊びもきっぱり止めると言った…」

「そうなの…、
そんなことをあなたに宣言したの…」

「うん・・・、
正直言うとね・・・、
そこまで割り切らなくてもいいのに・・と、私は思った」

咲江の表情に明るさが戻ってきたことを確かめ、千春は喜んでいました。

「彼はきっぱり宣言した…。
これから先は、ここで起こったことはすべて忘れてほしい・・・、
顔見知りのご近所同士として付き合ってほしいと・・、彼は言った…。
勿論・・、私も異論はないと答えた…」

言葉を選びながら千春は説明しました。

「そう…、
そんなことを言ったの…
彼なりに、ケジメをつけたのね…・」

「そうだと思う…、
女遊びより、研究が大切だとも言っていた…。
私は大切な顧客を失って残念だけれど…、
他にもたくさん御客はいるからね・・、
一人や、二人、お客が逃げても構わない・・、ふふ…」

「よく言うわね…、
でも・・、もし・・、もしもよ・・・、
あなたのことが忘れきれなくて、主人がお店に来たら・・・、
相手するのでしょう…?」

「・・・・・」

そう言ってじっと咲江が千春を見つめているのです。千春は言葉を出せないでいました。親友が真剣
に問いかけているのです。心にかなわない返事はできないと千春はじっと彼女自身の心の内を覗き込
んでいるのです。そして、ゆっくりと口を開きました。

「彼が来たら・・・、
もし・・・、彼がお店に来たら‥‥、
追い返す‥・・、スタッフに頼んで玄関払いする…・、ふふ…」

「・・・・・・・」

咲江の瞳にみるみる涙があふれ出ていました。千春が手を差し出し、咲江がその手をしっかり握って
います。見つめ合い、二人の女はそのままの姿勢でじっと手を握り合わせていました。

〈彼を立ち直らせてくれたことには感謝している・・・・。
でも・・、これから先は、主人には手を出さないでほしい…
千春には遊びでも・・・、
あなたを抱けば主人は深みに嵌って行くと思う・・
悔しいけれど…、千春にはそれだけの魅力があふれている‥‥、
お願い…、主人には手を出さないで…・・〉

〈約束する…、
ご主人には絶対手を出さない…〉

〈ありがとう・・〉

咲江がもう一度強く千春の手を握りしめました。千春も咲江の手を強く握りなおしています。千春の
心の言葉を聞いて、咲江の頬に一筋の涙の跡が出来ています。千春の手が温かいと咲江は感じ取って
いました。


[37] 新しいスレを立てます  鶴岡次郎 :2017/05/19 (金) 14:44 ID:6iCUD7eg No.3003
新しい章へ移ります。ジロー


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フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2) - 現在のレスは33個、スゴイ人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2013/03/27 (水) 17:27 ID:bwYNTT/A No.2335
突然自宅から失踪した幸恵、その夫佐原靖男と由美子は公園で偶然出合って以来、親しく付き合う
ようになりました。最愛の妻に逃げられすっかり気落ちしているイケ面佐原を何とか慰めたいと
思って、由美子は親友の愛を誘って、幸恵のいない佐原家をたびたび訪問するようになっている
のです。

由美子は佐原がその気になれば拒否しない覚悟です。そんな女の気持ちは十分に佐原に通じてい
るはずですが、佐原は何も仕掛けないのです。由美子ほどの女が誘いかけているのに、佐原が手
を出さないです。こんな男の態度を見て由美子は『・・私が嫌いなわけではない・・、何かある
と・・』と考えるようになっています。

この先、由美子と佐原の関係はどのように発展するのでしょうか、そして失踪した幸恵のその後
はどうなるのでしょうか。相変わらず、街の噂話と艶話を集めたような話が続きます。ご支援く
ださい。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その
11)』の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきま
す。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字
余脱字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるよう
にします。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した記事を読み直していただけると幸
いです。

  ・ 文末に修正記号がなければ、無修正です。
  ・ 文末に(2)とあれば、その記事に二回手を加えたことを示します。
  ・ 『記事番号1779に修正を加えました(2)』、文頭にこの記事があれば、記事番号1779に
    二回修正を加えたことを示します。ご面倒でも読み直していただければ幸いです。                                      
                                      ジロー


[24] フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)(41)  鶴岡次郎 :2013/05/08 (水) 14:18 ID:sDsRc2UY No.2361
二人だけの秘密だと信じ込み、背徳感と、罪悪感に苛まれながら、それでも静香への思いを断ち
切ることが出来ないで、遂には二人で地獄に落ちようと覚悟を決めて禁断の木の実を食べ続けた
栄二だったのです。その覚悟はある意味で栄二の命をかけたものだったのです。

一方、静香は、二人きりの時、その行動は大胆で、経験の浅い栄二は常にリードされていました。
栄二はそんな静香の様子を見て、「開き直った女は凄いと・・」といつも感心していたのです。
それが、静香は夫から許可を得て、栄二との浮気を続けていたと判ったのです。

「金治さんが聞けばきっと怒り出すと思いますが、許されることはないと思いながら、私はいつ
しか静香さんを愛するようになっていました。もし、金治さんに知られるようなことになれば、
その時は潔く裁きを受け、金治さんが望むなら、私の命を差し出してもかまわないと思うように
なっていました・・・」

思いつめた様子で栄二が一気に話し始めました。笑みを浮かべて聞いていた金治の表情がだんだ
んに引き締まり、表情から笑みが消えていました。

「お叱りを受けるのを覚悟して言います・・。
私は本気で静香さんと結婚したいと考えておりました。
勿論、静香さんが金さんと離婚してくれることが条件ですが、多分最後になれば、静香さんは金
さんより僕を選ぶだろうと自惚れていました・・。

それが、静香さんにとって僕は・・・、
夫の許可を得て遊ぶ若い男でしかなかったことが判りました・・・。
当然といえば、当然ですよね・・・、
静香さんとの結婚生活を夢を見た私が愚かだったんだと思います・・・。

静香さんに愛されていると思った私が愚かでした・・・・」

金治夫妻に弄ばれていたことがようやく判ったようで、二人への怒りを通り越して、栄二は少し
自棄になっていました。それでも、悪びれた様子はなく、どこかさばさばした表情で栄二は語って
います。そんな栄二を見て、少し慌てながら金治が口を開きました。

「いや・・、そうでもない・・・、
静香は栄ちゃんを本気で愛していたし、
今でも彼女にとって一番の男は、栄ちゃんだと、俺は思っている・・」

ここまで余裕のあった金治ですが、栄二の切々とした告白を聞かされて、かなり慌てています。
それを言ってしまっては、あまりにも自分が哀れになると思って言わないつもりでいた静香の本
心をここで栄二に説明する気になったのです。

「静香は中学校を出ると直ぐに花柳界に入り、夢多い思春期をその中で過ごしたのだ。そして、
多分、普通の女性なら経験するはずの恋愛経験もないままプロの世界に入ったと思う。

私と結婚した時、彼女は売れっ子の芸者で、勿論、男女の仲のことには良く通じていて、それな
りの大人の女性だった。栄ちゃんに静香が出会ったのはそんな時だった。10年前のことだから、
確か・・、栄ちゃんが大学4年、静香が25歳の時だった。

多分、栄ちゃんは静香の知らない種類の男だったはずだ、彼女自身でもどうすることが出来ない
感情に捕らわれて、彼女から誘って栄ちゃんに抱かれたのだ・・。
多分、それが彼女にとって、初めての恋だったと思う・・」

若い栄二に言い聞かせるように金治は話していました。一時の興奮状態から冷めたようで、栄二
はようやく持ち直し、静かに金治の話を聞いています。


[25] フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)(42)  鶴岡次郎 :2013/05/10 (金) 11:43 ID:hz2swN3Q No.2363
「静香は栄ちゃんが好きでたまらなくなり、気がついたら自分から誘いかけ抱かれたと泣いてい
た。黙っていれば判らない浮気を、俺に告白したのも、一度きりと決めていた栄ちゃんとの関係
をいい思い出として残したいと思ったからだった。勿論、離婚も覚悟していたようだ。

告白を聞いた俺は、静香との離婚だけは絶対避けたいと思った。静香が栄ちゃんに惹かれている
のが良く判った。そして、今は盛りと咲き誇っている静香と接して、栄ちゃんがどんな気持ちに
なっているか、俺には良く判った。男同士だからな・・・」

栄二はまともに金治の顔を見ることが出来ないで、下を向き、ただひたすらに恐縮していました。
金治の言う通りなのです。生まれて初めて接した女性、静香の香り、夢の中にいるような優しい
肌、そして、初めて経験した膣、全てが栄二を狂わせたのです。静香のためなら、この場で命を
絶たれても悔いはないと思ったのです。

そんな栄二の様子を見て、金治の表情に笑みが戻っていました。先ほど、栄二の純粋な気持ちを
まともに受け止め、金治は少し当惑し、どう事態を収集するか慌てていたのです。栄二が落ち着
き、彼自身の罪を自覚して恥じ入っている様子を見せ始めたことを知り、これなら、何とか収集
できそうだと安堵していたのです。

「たった一度の過ちを犯した後、若い二人が罪悪感に震えながら、互いに、惹かれあい、悶え、
悩んでいるのが俺には容易に想像出来た。しかし、静香は絶対に誰にも譲れないと思った。例え
わが子のように可愛い栄チャンであっても譲れないと思った。しかし、冷静になって考えると、
残念だけれど、20代でイケ面の大学生に対して、風采の上がらない40男の俺に勝ち目はない
と思った。

それで、俺は栄ちゃんとの仲を認めることにした。いわば、静香を引き止めるため、栄ちゃんを
利用したのだ。悪いのは俺で、静香には何の罪も無い。今でも静香は栄ちゃんを心から愛してい
ると思う・・、俺がこんなことを言うのは妙な話だが、栄ちゃんを愛する静香の気持だけは信じ
て欲しい・・・・」

ここで言葉を切り、金治は栄二の反応を探っていました。金治の説明を都合のいい戯言だと受け
取られるのを恐れていたのです。静香の純愛だけは正確に栄二に伝えたいと金治は思い始めてい
たのです。

栄二は静かな表情で金治の話を聞き、その内容を正確に理解している様子でした。栄二の様子を
見る限り、先ほど見せていた、激しい怒りの感情や、救いようのない絶望感の影は消えています。
この様子なら、大丈夫だと金治は考えたようです。

「最愛の静香を俺の所に引き止めるためとはいえ、栄ちゃんと静香の仲を知っていながら、何も
しないで捨て置いたのは、今考えると、俺のミスだったと後悔している。分別盛りの俺が、若い
二人が道ならぬ道、救いようのない結末しか存在しない道を、ただひた走るのを黙って捨て置い
たのは、確かに俺が悪かった・・。

このとおりだ、許して欲しい・・・」

目の前で頭を下げる金治を見て、栄二ははっきりと我に帰り、自身の罪深い立場を再自覚していま
した。金治は何も悪いことをしたわけでなく、罪深い行為をしたのは自分であることに改めて気が
ついたのです。

50歳になり働き盛りを迎えている脂ぎった金治の顔を真っ直ぐ見つめながら、若い栄二は今にも
泣き出しそうな表情を浮かべていました。


[26] フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)(43)  鶴岡次郎 :2013/05/16 (木) 10:02 ID:VSxUdQN6 No.2367
ここまで一気に話した栄二は、さすがに喉が乾いたようで、テーブルの上からコップを取り上げ、
半分ほど残っていた琥珀色の液体を一気に飲み干しました。部屋の奥では、八百屋の健介と金物屋
の篤が悠里の体に絡みついています。健介の男根が深々と悠里の股間に沈み、篤が悠里の乳房に噛
り付いています。悠里は両手両脚を激しく動かしてわけの判らない呻き声を発しながら、悶え苦し
んでいます。その側で、ソファーに深々と身体を埋め、金治が穏やかな表情を見せて午睡を楽しん
でいます。

栄二と加奈はそんな騒ぎとは別次元の世界に居るような様子で、栄二の話す恋物語の世界に入り込
んでいるのです。

「加奈さん・・、
あの時の僕はなんてバカだったんだろうと・・、
今でもその時のことを思い出すと、居ても立ってもいられない気持ちになる・・。

本来なら、その場で罵倒され、殴り倒されて当然なのに、金さんは僕の気持ちを労わるように、
言い聞かせるように、優しく、丁寧に説明してくれた。僕はたまらなくなって・・。
恥ずかしいけれど、泣いていた・・・」

加奈を見つめて話している栄二の瞳が濡れていました。加奈の瞳もまた潤んでいました。

「静香さんを愛していると言いながら、僕は自分のことしか考えていなかった。
それに比べて、金さんは・・・・、
金さんは本当に静香さんを愛していた・・。
その気持ちを抑えて、静香さんを僕に託してくれた。

静香さんの幸せのためなら、金さんは自身の気持ちを殺すことだって出来たのだ。
僕にはとてもそこまで出来ないと思った・・。

金さんの大きな愛情に僕は打ちのめされていた。
静香さんを愛することでも、とても金さんにはかなわないと思った・・・。
これ以上、静香さんの問題で金さんを悩ませることは出来ないと思った。
本当に辛いのは金さんだと思った・・。

それで金さんにそのことを伝えた。金さんはすごく喜んでくれた・・・」

栄二は加奈の瞳の奥を見つめながら語っています。栄二の瞳にも、加奈の瞳に涙が溢れていまし
た。

「これが最後だと前置きして、金さんは真面目な表情を作って、
僕に話しかけてきた・・・」

栄二を喫茶店へ呼び出した本題をいよいよ金治が切り出すつもりだと、緊張した表情を浮かべ栄二
は金治を見つめました。僅かに残っていたコーヒーを啜りこむように飲み干して、金治は笑みを栄
二に投げかけてゆっくり話し始めました。

「ここへ来る前、長い時間をかけて静香と話し合ってきた・・・。
最後に、栄ちゃんのことは忘れる努力をすると静香は約束してくれた。
それでも、きれいな思い出として心の奥に残して置くことだけは許して欲しいと・・・、
静香は泣きながら言った・・・。

勿論、俺も全てを忘れて・・、何も無かったことにして、
これからもこれまでどおり、栄ちゃんと付き合うつもりだ。

栄ちゃん・・、明日迎える奥さんを悲しませないよう、
これからは奥さんだけを愛して欲しい・・・、
これは俺と静香からのお願いだ・・・」

そう言って、金治は栄二の手を両手で握り締め、二、三度振りました。栄二は頭を下げ、金治の手
に額を押し付けていました。栄二の涙が金治の両手を濡らしていました。やがて、握り締めていた
栄二の手をゆっくりと解き、金治は立ち上がり、右手で栄二の頭を撫ぜ、背を向けて、店を出て行
きました。栄二はその場に立ち上がり、金治の後ろ姿に深々と頭を下げていました。


「それ以来、金さんとも、勿論、静香さんとも普通の付き合いだよ・・」

「いいお話ね・・・
金さんて・・、勿論、栄二さんもすばらしい人・・・
ヤバイ・・・、私・・、二人の虜になりそう・・・」

泣き笑いの表情を浮かべる加奈の瞳から涙が溢れ、頬を伝って、彼女の白い顎から水滴が滴り落
ち、白くて豊かな大腿部に落ちていました。


[27] フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)(44)  鶴岡次郎 :2013/05/16 (木) 11:23 ID:VSxUdQN6 No.2368
何を思いついたのか加奈が少し悪戯っぽい表情を浮かべ栄二を見つめ口を開きました。

「ネェ・・、
静香さんのこと・・、本当に忘れることが出来たの・・」

「・・・・・・・・」

栄二が困った表情を浮かべています。最初の女性で、すばらしい美人で、花柳界で鍛え上げたお
色気も、性技も凄いはずです。10年近くその体に取り込まれていた栄二が忘れることが出来な
いはずだと確信しているような加奈の口ぶりです。

「静香さんに出会ったことで、僕の人生は変わりました。
女性のすばらしさを教えられ、男にとって、どんな時でも女性は掛け替えのない人生のパートナー
であることを教えられました。

静香さんのことを忘れたと言えば、嘘になります。しかし、もう決して、静香さんとは男と女の
関係を持つことはないと言い切れます。
僕にとって、静香さんは女神そのものなんです・・・」

栄二は宙に視線を移し、恍惚とした表情を浮かべていました。そんな栄二を加奈がじっと見つめ
ていました。

突然、加奈が栄二に抱きつきました。そして、激しく唇を吸っています。バスタオルが落ちて加
奈の全裸があらわになっています。

〈私が・・・、静香さんを忘れさせてあげる・・・
静香さんにはかなわないかもしれないけれど・・、
私だって・・、私だって・・〉

言葉には出せない叫びを上げながら、加奈は栄二に抱きついたのです。加奈の中に静香への嫉妬
心・・、いや・・、対抗心が一気に芽生えているのです。女子力の強さでは誰と比較してもそん
なに遅れはとらないと自負している加奈です。静香を女神だとまで言い切って、まるで魂を抜か
れたようにしている栄二を見ると、メラメラと対抗心が燃え始めたのです。静香の身体で快楽を
教え込まれ、大きく育てられた栄二の男根を、加奈は自分色に染めるつもりのようです。

女の攻撃に押されていた栄二の右手が加奈の股間に延びています。加奈が両脚を一杯に開いて、
それを迎え入れています。そして、加奈の右手が、トランクスの中に伸び、男根をしっかり握り
締めています。もう・・、それはしっかり臨戦態勢を整えているのです。

加奈が自ら動いて床に横たわりました、栄二がトランクスを脱ぎ捨て、加奈の股間に身体を入れ、
一気に挿入しています。加奈の身体が弓なりに反っています。快感に耐え切れない加奈が悲鳴を
上げています。

ここからが勝負です、静香が仕込んだ閨の技が加奈をだんだんに高みに上げていきました。加奈
は獣のような声を出して、身体を海老のように曲げて痙攣を始めました。栄二には余裕が残って
います。女が乱れるのを見下ろしながら余裕で腰を動かしているのです。女を抱く時、それが妻
であっても、栄二は目の前の女の中に、いつも静香を描き出しているのです。それが習慣にまで
なっている栄二なのです。

加奈が臀部を絞って栄二の男根を強く締めました。加奈が得意にしている技です。この攻撃を受
けると加奈の夫は即発します。過去に加奈に接した男達もこの攻撃を受けると30秒と耐えるこ
とが出来ませんでした。この攻撃で栄二の夢が破れました。静香の面影が消え、苦痛の表情を浮
かべ、湧き上がる快感と必死で戦っている艶やかな加奈の顔が現われました。

優に180センチを越える栄二の体に対抗出来る豊かで大きな加奈の肢体にようやく栄二は気が
ついています。静香も、彼の妻も160センチに満たない女性なのです。170センチを超える
女性を抱いたのは加奈が初めてなのです。長い加奈の脚、妖しく男の身体を探る加奈の長い手、
全身を柔らかい女性の肌で包まれる喜びを栄二を感じ取っていました。全ての感触が静香とも、
妻とも異なるのです。それまでに感じなかった部分を刺激され、栄二はまったく新たな快感を加
奈から与えられていたのです。

栄二は加奈の体に没頭し始めました。その変化に加奈も気がついたようで、股間に男根を受け入
れたまま栄二の唇に噛り付きました。男根を膣に咥えられたまま、唇を奪われる経験を初めて栄
二は味わっています。その新鮮な感覚が一気に栄二を持ち上げました。頭が真っ白になり、痙攣
しながら、栄二は加奈の中で果てました。加奈も栄二に噛り付いたまま、悶絶しました。

部屋の一方の角では、悠里が篤と八百屋の健介に両方のホールを攻められて、大きな声を出し、
激しくうごめいていました。金治はと見ると、こんな淫靡な雰囲気の中で、あい変わらず一人午
睡を楽しんでいるのです。その様子を見る限り、今も語り継がれている「6人切りの大マラ男、
金治」の面影はありません。人の良い老いた魚屋の親父そのものです。


[28] フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)(45)  鶴岡次郎 :2013/05/17 (金) 12:59 ID:kNqTpeNs No.2369
栄二との一戦を終えた加奈は彼の精液を膣に入れたまま、のろのろと立ち上がりました。そして
部屋の隅へ向かって歩み始めました。それまで騒いでいた悠里と二人の男、健介と篤はさすがに
疲れたのでしょう、三人とも重なるように横になっています。床に横たわっている三人の男女の
間を加奈は注意しながら歩いています。はだしの足に三人が床に撒き散らした愛液がこびり付い
ていますが、加奈は気にも止めていません。そして凄い性臭があたりに立ち込めているのですが、
それも加奈には気にならない様子です。そして、金治の側へ行き彼の足元に跪きました。

金治はぐっすり眠っています。加奈は彼の男根に手を伸ばしました。当然のことながらそれは主
同様のんびりと休んでいます。それでも並の男が勃起した状態に近いボリュームがあるのです。
少し湿り気の多いそれを大事そうに持ち上げ、加奈は迷いなく口に含みました。金治への尊敬の
念と、それに連動した愛情を込めて加奈は男根を丁寧にしゃぶり続けました。やがて、それは
徐々に目覚め、加奈の口では咥えきれないほどになりました。金治もようやく眠りから覚めた様
子です。

「ああ・・・、加奈さん・・・
これは、これは・・・とんだことを・・・、
女に・・、いや・・、
女性にこんなことをさせて・・、失礼しました・・」

「フフ・・・、
良く寝ていらしたようだけれど・・、
金さんが欲しくなって・・・・
立派なコレが欲しくなったの・・・・、
フフ・・・・・・・・・」

男根を咥えたまま上目遣いで金治を見つめて加奈が微笑を浮かべています。寝ている間に男根を
弄られたことを金治は酷く恥じている様子を見せています。本来であれば、自慢の肉棒を振るって
果敢に女を攻め落とし、並み居る女を全て気絶させるのが金治のやり方なのです。それが、あろう
ことか、性交に疲れて眠りに落ち、男根を弄られても気がつかない醜態をさらけ出していたので
す。

「なんだか夢を見ていたようで・・・、
久しぶりに、前の女房が夢に出てきました。
もう・・、20年以上も前のことです・・・・」

素直な恥じらいを浮かべて金治が加奈に言い訳を言っています。

「前の奥様を思い出し、その夢をみていたのですか・・・」

「うん・・・、
彼女に優しくチ○ポをしゃぶられている夢を見ていました・・・
そして、気がついたら・・、加奈さんにやってもらっていた・・・
いい気持ちです・・・、未だ夢の中にいるようです・・・」

加奈のフェラに感じているのでしょう、金治は恍惚とした表情を浮かべているのです。金治の妻、
静香に対抗心を燃やして栄二を落とした加奈に男根をしゃぶられながら、金治は前妻にやってもら
っている夢を見ていたのです。加奈に前妻を重ね合わせていたのです。加奈からフェラを受けなが
ら、金治は夢の中で前妻と戯れていたのです。加奈はその話を偶然とは思いませんでした。

人が本能に忠実に行動すると、目に見えない糸が奇妙に絡まり合うことがあると、どこかで聞いた
ことがあり、加奈はそれが今、現実となって目の前に現われたのだと漠然と感じていました。前妻
の魂が久しぶりに加奈の中に蘇ったと加奈は思ったのです。そう思うと、より一層、金治が愛しく
思えてきたのです。金治もまた久しく忘れていた前妻を思い出し、目の前にいる加奈の中にはっき
りと前妻の面影を描き出していました。その思いは、「6人切りの金治」と呼ばれた金治自身を蘇
らせる効果もあったようです。加奈の口中にある男根が一段と大きくなり、女をひきつけて止まな
い、咽るような性臭を加奈に浴びせかけていました。加奈は一気に高まりました。


[29] フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)(46)  鶴岡次郎 :2013/05/21 (火) 10:37 ID:tTqIMMjQ No.2370
女の口から男根を抜き出し、金治が立ち上がりました。粘液が女の唇と男根の間に糸を引いてい
ます。久しぶりに、実に久しぶりに全身に漲る精気を金治は感じ取っていました。それはいきり
立ち、垂直に立ち、少し出っ張っている金治の腹にその先端部が張り付いていました。
うっとりした表情を浮かべ女が金治の表情とその分身に交互に視線を走らせています。強烈な性
臭を浴びせられ、味の濃い精液の走りを味わい、女も床に愛液を垂れ流すほどになっています。

金治は腰を屈め、跪いている加奈の顎に手を添え、彼女の唇に吸い付きました。そして、加奈の
口中に舌を押し込んだまま、ゆっくりと床に寝かせました。長い脚を開き、身体を入れ込み、一
気に男根を押し込みました。大きな男根が淫靡な湿った破裂音を発しながら、加奈の陰唇を掻き
分け進入しています。加奈の悲鳴が部屋中に響き、部屋にいる全員が何事かと二人の絡みを見て
います。

全盛期の金治をほうふつとさせる攻めでした。貫かれ、四肢を男の体に絡め、女はただ絶叫し続
け、最後には声がかれて、呻き声だけを発していました。最高に膨張した男根は加奈の陰部を破
壊し尽くしました。そして、最後に金治が声を絞り、全身を震わせて精を吐き出すと、女は怪鳥
のような悲鳴を一声発し、痙攣しながら絶命しました。まさに絶命したかと思わせる様子です。

金治が加奈の身体から離れ、ゆっくり立ち上がりました。股間の業物がダラリと垂れ、先端から
糸を引いて愛液が垂れ、加奈の股間と繋がっています。長い四肢を投げ出し、加奈は完全に気絶
しています。これ以上は開かないと思えるほど大きく開かれた両脚の間に、男根が抜け出た股間
はポッカリと口を開き、そこだけが別の生き物の様に収縮を繰り返し、粘液を吐き出しているの
です。

部屋の中から期せずして拍手が湧きあがりました。伝説の男、金治の勇姿が蘇った瞬間をそこに
いる全員が見届けていたのです。

首をうな垂れ、軽く手を上げて拍手に応えた金治は、よろよろと歩きソファーにたどり着き、く
ずれるように身を投げ出しました。そして、眼を閉じ、動かなくなりました。全力を出して戦い
抜いた戦士は肩で大きく息をしながら座っています。もう・・、何をする気力も体力も残ってい
ない様子です。

加奈が四肢を開いたまま、汗にまみれた豊かな身体を床に投げ出しています。時々、四肢を痙攣
させ、快感の余韻なのでしょうか、男根で突き上げられた子宮が元の位置に戻る痛みになので
しょうか、時々低い呻き声を出しています。それでも加奈の股間は男根を招き寄せるようにうご
めいていますし、四肢は男の身体を捜すように揺れ動いているのです。彼女の様子を見る限り、
もう一人や二人を相手に戦うことが出来そうに思えます。


夕暮れが近づいた頃、二人の女と四人の男はカラオケ店の前に立っていました。六人とも気だる
い、それでいて壮快な気分に浸っていました。先ほどまでの激しい性交の疼きが、あの感触が、
各人の性器にまざまざと残っているのです。別れを惜しむ6人はなかなかその場を離れようとし
ません。笑みを浮かべて立ち話を続けているのです。二人の女はこの店の近くに在るFSハウス
の住人であることを白状しました。彼らなら住所を知られても問題ないと判断したのです。

「それなら直ぐ近くだね・・・、
俺達の商店街へもぜひ来てください、サービスしますよ・・」

「ハイ・・、必ず行きます・・」

「アッ・・、その時、今日のことは女房には内緒に・・、
お願いします。これでも上さんが恐いのですよ・・・」

「さあ・・・、どうしょうかな・・・、言っちゃうかも・・、
皆さんのアレがとっても、すばらしかったと奥さんに言うかもしれないよ」

「それだけは勘弁してください・・、このとおりです・・」

男達が慌てて、かなり本気になって頭を下げています。

「嘘よ・・、嘘・・、
大丈夫だから、あなた方も、私達のことは忘れてちょうだいね・・、
街で会えば、お店のお客と店主の関係だからね・・」

「それはもう・・・、
加奈さんのヒラヒラの陰に小さな黒子があるとか・・、
悠里さんのアソコの毛が綺麗に刈り揃えてあったことなど・・、
決して、言いませんから・・、アハハ・・・・」

「嫌だ・・、スケベ!・・
では・・、もうここで会うことないと思います。
さようなら・・・、本当に楽しかった・・・」

男達と女達は名残を惜しみながら、夕暮れが迫ってきた街へ、それぞれに消えて行きました。


[30] 新しいスレへ移ります  鶴岡次郎 :2013/05/21 (火) 10:44 ID:tTqIMMjQ No.2371
新たに章を立て、新スレを立ち上げます。  ジロー

[31] Re: フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)  たけし :2017/04/13 (木) 03:52 ID:1tgNE5RM No.2986
男女の素晴らしさが浮かんでいます。

[32] Re: フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)  にせ医者 :2017/04/14 (金) 16:34 ID:jz1kypKQ No.2987
この話は以前読んでいて面白かったです。
続くのですね。
楽しみです。


[33] Re: フォレスト・サイド・ハウスの住人たち(その2)  たけし :2017/05/03 (水) 13:08 ID:sWB1eP72 No.2997
全てに、さすがです


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フォレストサイドハウスの住人達(その16) - 現在のレスは34個、スゴイ人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2016/11/16 (水) 14:42 ID:Wv5LU8Do No.2926
FSマンション、1614号室の住人である浦上千春は、同じマンションに住む坂上咲江のことが心
配でたまらないのです。咲江と千春は同じ幼稚園に通う子供を持つママ友で、万事に派手な千春と、
全てに控えめな行動を好む咲江と、外見同様、性格も正反対に思えるのですが、どうしたわけか、奇
妙に気が合って、夫に話せないことでも互いに話せる親しい関係を持つようになっています。

咲江の悩みはズバリ浮気なのです。ある日、短大の同窓会に出て、華やかに活躍する現役OLの同窓
生を見て、咲江はかなり大きな失意を抱いて帰宅する途中でした・・・。暗闇の街角で村上総一郎と
正面衝突して膝に傷を負ったのです。現場の近くにある村上の事務所で手厚い手当てを受けた咲江の
心に村上の親切は染み込みました。

咲江と村上はそれから数日後、女の方から積極的に動いて体の関係を持ちました。村上は50歳前
後、飲食店、特に夜の商売専門店を相手に店内装飾、備品類を扱う専門店を経営していて、従業員数
人を抱え、堅実な商売をやっているのです。小さいながらも、会社の社長ですが、どうやら経歴を辿
ればズブの素人と思えないところもある不思議な人物です。

今まで夫しか知らなかった咲江は、村上に抱かれてその魅力の虜になりました。別れよう、忘れよう
とするのですが、一度体で覚えた快楽はどんなに抵抗しても、咲江の足を村上のアパートに向けるの
です。こうして、ずるずると・・、一年余りが過ぎました。

夫を職場に送り出し、小2の長男が登校して、長女を幼稚園バスに乗り込ませると、咲江は一人にな
ります。そんな時、襲い来る村上への思慕、体の疼き、その感情に比例して高まる自己嫌悪感と罪悪
感、その狭間で咲江はほとんど気が狂うほど悩むのです。

そんな咲江の相談相手になったのが浦上千春です。咲江は千春に全てを告白していました。も
し・・、千春に告白出来ていなかったら…、咲江は自ら命を絶つ道をとっくに選んでいたと思えるの
です。

親友、千春の存在があっても咲江の苦悩は日々募りました。村上と別れることが出来ればすべて丸く
収まるのですが、その簡単な決断が咲江にはどうしても、できないのです。咲江の苦悩を見るにつ
け、千春は、いっそのこと夫、坂上夏樹と別れて村上と一緒になればいいとさえ考えるようになり、
最後にはそのアドバイスをしようと思い始めていて、そのタイミングがもうすぐ来ると思っていたの
です。

咲江の悩みを、鶴岡由美子と美津崎愛に千春は話しました。千春から一通り話を聞いた由美子と愛
は、咲江の事件は、一種の熱病にかかったようなもので、今の咲江では正常な判断が出来ない、離婚
などとんでもないという意見を出しました。
離婚は最後の手段だと千春も考えていて、由美子と愛のアドバイスどおり、一時的でもいい、一度咲
江を熱病から解放することが先決だと考えるようになったのです。

こうして、三人の女が力を合わせて、村上のセックスにどっぷりつかり込んで自分の進路を見誤って
いる咲江の目を覚まさせることを決めたのです。さて・・、いかなる作戦を三人の女は展開するので
しょうか・・

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
ていただければ幸いです。


[25] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(545)  鶴岡次郎 :2017/02/01 (水) 17:12 ID:ecLIagok No.2952
「さて・・、これで作戦は決まった…、
夏樹さんをどのように鍛えるかだね・・・、
当然・・、手取り、足取り、アソコも握って・・、
たっぷりとセックスを教えることが必要だね…」

何かを期待してのことだと思いますが、目を輝かせて千春が発言しています。

「千春さん・・、
凄く張り切っているわね…」

「まあ・・、親友のためですから…
この体でできることなら、何でもやりますよ・・」

愛が千春をからかい、千春がまじめな表情で答えています。

「それで・・、どちらが夏樹さんとやるの・・、
それとも、二人で交代で鍛えることになるの・・」

愛がストレートに聞いています。

「いえ、いえ・・、
私など・・、とても由美子さんには対抗できません・・
由美子さんがメインで、私はほんのお手伝いで結構です・・」

千春が謙虚に答えています。

「千春さん・・・、
あなたに全部お任せするわ…、
私には別の出番がありそうな気がしているの・・、
そのことに備えて、体を空けておきたいのよ・・、
だから、夏樹さんのお相手はあなたにお願いします・・」

「えっ・・、本当ですか…」

目を輝かせて千春が喜んでいます。

「そうと決まれば、私・・、頑張る…」

「あら、あら…、
そんなに張り切っちゃって…
夏樹さんを食べるのが目的ではないのよ・・・、
咲江さんのため、彼に女を教えることなのよ・・」

笑いながら愛が千春に忠告しています。

「判っています…、
うんと鍛えてあげる…
先ずは、夏樹さんに女の何たるかを教えることから始めるわ・・・、
体の仕組みや・・・、そう・・、性感ポイントも・・、詳しく教える必要があるわね・・、
体の隅々まで、奥の奥まで、くまなく観察させて、しっかり教えます…
私・・、そういうこと得意なんです…」

すっかりその気になった千春が、興奮してしゃべりだしました。由美子と愛が笑いながら、千春を見
ています。

「絡みを教える方法が難しい…
別の男と絡み合っているところを見せるのが一番なのだけど・・、
そういうわけには行かないし…」

夏樹との熱い絡みを想像して千春はもう・・、うっとりした表情です。

その時です・・・、何かに気が付いたのでしょう・・、千春の表情が変わりました。


[26] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(546)  鶴岡次郎 :2017/02/07 (火) 16:24 ID:cOL.oQ1o No.2953
「あっ…、大変なことに気が付いた…
彼と私・・、W不倫の関係だ・・・!」

主婦である千春と、妻子ある坂上夏樹が、普段の生活の中で接触することはW不倫になり、自由に抱
き合うことができないことにようやく千春は気が付いたのです。

「そのことは私も考えた…、
お店で抱かれる方法しかないよ・・、
夏樹さんがお客になって、お店に行くことになる・・」

さすがに由美子です、すでに千春の心配事の答えは見つけ出していたのです。

「そうだね・・、それしかないね…」

愛も同意しています。

「お店だと、商売気が先走って、楽しみが半減するけれど…、
まあ・・、仕方ないね・・、我慢するしかないか…」

この方法しかないと千春もあきらめたようです。

こうして、ソープランドを坂上夏樹の訓練道場にすることが決まりました。この方法であれば、さほ
ど苦労なく坂上は仕事の合間を縫って、千春を抱く機会を作ることができますし、千春も商売の延長
線上で、坂上に抱かれることができるので、長期戦になっても二人の秘密を保つことはそんなに難し
くないのです。

ただ・・、この計画を実行するに際し、一番初めに出くわす難問は、坂上をソープに向かわせること
です。おそらくソープ店はおろか、風俗街へ足を踏み入れた経験のない堅物の研究者なのです。坂上
夏樹を口説き落として、自らの意志でソープ店に向かわせることは難問です。

「千春さんの旦那様にお願いできないかしら…、
坂上さんを誘って、ソープへ一緒に行ってほしいの…
そこで、偶然、千春さんと遭遇することにすればいい…
その後は・・、千春さんの腕次第ね…・」

坂上をソープに誘い込む役割を千春の夫、浦上三郎に演じてほしいと由美子は提案しているのです。
浦上三郎の最愛の妻、千春が勤めているソープ店へ、坂上を誘って、そこで妻を抱かせる手配の一切
を、千春の夫である浦上三郎にやらせる提案なのです。普通ではありえない人選です。それでも由美
子は迷わず浦上三郎を指名したのです。

「由美子さん・・・、
何てこと言うの…」

愛が口を大きく開けて、驚いた表情で由美子を見て、そして千春を見ています。

「家の旦那にその役割を与えるのは名案だと思う…、
商社の営業マンでいろんなものを売り込んでいるから・・、
坂上さんをソープへ誘い込むことなど簡単だと思う…」

「千晴さんまで・・・、
そんなこと言って…
どうしてそうなの・・、
お二人とも、どうして・・・・、
ことセックスの問題になるとそうルーズなの…、
そこではないでしょう…、
問題は・・、
旦那の営業力の問題ではないでしょう・・」

たまりかねた愛が口をはさんでいます。

「人妻が他人に抱かれるのよ・・・・
絶対、夫には秘密にすべきことでしょう…、
それが・・、その夫に二人の出会いを作らせようとしているのよ
いわば、妻の浮気をその夫に手伝わせようとしていることなのよ・・
ありえないことでしょう…・」

愛の怒りは本物のようです。それでも由美子は笑みを浮かべて聞いています。千春は愛の怒りが収ま
るのをじっと待つ風情です。

「由美子さん、少しおかしいよ・・、
千春さんも千春さんよ・・、
いくら由美子さんの提案でも・・、
それはダメだと言っていいのよ・・」

愛が猛反対しています。愛と由美子が笑っています。

「愛さん・・、いいのよ・・・、
私たち・・、ちょっと変な夫婦なのよ・・、
彼を説得して、やらせる…、
彼以外に、この役をこなせる人はいないと思う…・」

千春もまた、夫、三郎が坂上の説得役に指名されたことに異論を唱えないのです。それどころか、彼
以外にその役はこなせないと広言しているのです。千春の言葉を聞いて由美子は微笑みを浮かべ、何
度も頷いていました。

千春の言葉で愛はなんとなく千春夫妻の奇妙な関係が理解できたようです。憮然としていますが、
千春がその気ならばと、あえて反論しないつもりのようです。


[27] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(547)  鶴岡次郎 :2017/02/08 (水) 16:22 ID:iWOXxzf6 No.2954

その日の夜、千春は夫、三郎に咲江のことを話しました。ひょんなことで男に巡り合い、抱かれ、そ
の男に完全におぼれこんでしまっていること、一方では、罪悪感に苛まれ、自身の命を消し去ること
さえ考えるほど、追い込まれている事情を夫に話したのです。そして女三人の計画を説明し、浦上三
郎に協力を求めたのです。

浮気をした人妻を助ける義理もないし、そんな趣味もないと三郎はあっさり拒否したのです。三郎に
すれば、同じ男として坂上夏樹に同情をしても、浮気妻、咲江を救うため、手助けすることなどでき
ないと思うのは当然の流れなのです。それでも、千春に惚れこんでいる三郎は最後まで断りとおすこ
とはできませんでした。

惚れた女房の頼みとはいえ、自分の妻を抱かせる引き込み役を夫である三郎が担うことになったので
す。浦上三郎もかなり変わった嗜好の持ち主です。結果、浦上三郎は完ぺきに役割をこなし、千春と
由美子の期待に応えたのです。もちろん、千春も頑張りました。

千春を抱いて坂上は女性の性感の奥深さを思い知らされました。そして、これまでいかに彼がセック
スに怠慢であったかを千春は身をもって教えてくれたのです。この状態であれば、妻である咲江が浮
気に走っても仕方がないと彼は苦い思いで、これまでの怠惰な夫婦生活を反省したのです。心を入れ
替えて夫婦生活の充実に努力すると坂上は千春に約束したのです。千春の仕掛けは完ぺきに成功した
のです。


坂上夏樹の初ソープに関する千春の長い成果報告が終わりました。愛も、由美子も大成功に終わった
結果を聞いて満足そうです。

「ところで・・・坂上さんのアレ・・って・・・、
そんなに大きいの…?」

愛が声を潜めて質問しています。

「ハイ・・、私が知る限りでは、ナンバー・ワンです・・」

「そうなんだ…、凄いね・・・」

物ほしそうな表情で愛が呟いています。

「モノが凄いだけでないのです…、
何事にも興味を抱き、深く追求する方でしょう…、
直ぐに女のツボを覚えてしまって・・・、
延長時間が終わるころには、どちらが先生か判らない程・・、
彼・・、テクニシャンに変貌しました・・・。
勿論・・、私…、何度も、気絶するほどいかされました…」

好色そうな笑みを浮かべて千春が語っています。

「由美子さんの見立てた通りだね…、
夏樹さんはすごい才能の持ち主だったんだね・・
由美子さん・・、最初からそのことを見抜いていたの…?」

愛が感心し、由美子があいまいに微笑んでいます。

男の体を近くで観察するだけで、その男の性能力を服の上から見抜く奇妙な才能を由美子は持ってい
るのですが、今回のケースでは坂上本人とは直接会っていませんから、いかに由美子でも坂上の超人
的な性能力を見抜くことはできなかったのです。坂上を抜擢した手柄は、由美子でなく、むしろ彼女
の夫、鶴岡次郎のものなのですが、もちろんそんなことを由美子は口にしません。

「見抜いていたわけではないけれど・・、
伸び代が大きいと読んだのは確かよ・・、
それが、意外にも・・、
さすがの千春さんをも驚かせるほどの成長を遂げた・・、
うれしい誤算だね…
これで、スーパーマン候補は夏樹さんで決まりだね…・」

「ハイ…、
申し分ないと思います…」

千春が答えています。

「千春さんがそういうなら大丈夫ね…。
これから先は、スーパーマンを目指して、彼が独学で精進すればいい・・、
これ以上、千春さんが彼を鍛える必要はなさそうだね…
本当にご苦労様でした…。
村上と切れることを祈りながら、しばらく様子を見ましょう・・」

由美子が楽しそうな表情で語っています。自身が立てた計画が成功したことを心から喜んでいるので
す。

それにしても、千春の表情には笑顔がありません。あいまいな表情で由美子の言葉を聞いているので
す。千春の努力で坂上夏樹がセックスに目覚めたのです。坂上夫妻を襲っていたセックス不安はどう
やら解決のめどが立ったのです。もう少しうれしそうな表情が出てもいいのですが、千春の表情がさ
えません。あるいは夏樹と切れることに千春は少し未練を残しているのかもしれません。もちろん、
千春の微妙な表情に由美子も愛も気が付いていません。


[28] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(548)  鶴岡次郎 :2017/02/10 (金) 10:44 ID:5tU8d6dk No.2955

「千春さんを満足させるまでに、夏樹さんを変身させることができた…、
これは千春さん、そしてソープへ夏樹さんを誘った旦那様のお手柄だね・・・
坂上さんをソープへ誘うと決まった時、私は千春さん夫妻にとっては酷な計画だと反対したのだけれ
ど、見事にやり遂げたね・・・、本当にご苦労様でした…・・」

冴えない表情を浮かべている千春に気を使ってのことでしょうか、愛が最大限の賛辞を並べていま
す。

「あとは、咲江さんがその結果に満足するかどうかだね・・
旦那に抱かれて、村上を忘れることができればいいのだけれど…、
そのことでは、その後、咲江さんの様子に変化はないの…・
相変わらず、村上に恋い焦がれているの…・」

愛が千春に聞いています。

「咲江とは毎日のように会っていますが・・、
彼女の口からはそのことに関してはまだ何も出ません・・。
変わったことといえば・・・・・、
以前はよく話題にした村上の名前が出ません…」

「村上の名前を出さなくなったことは大きな変化だね・・」

「ハイ…、私もそう思います…、
一定の効果はあったと思います…」

慎重に千春が語っています。いや・・、慎重というより、咲江のことにこれ以上は触れたくないそぶ
りさえ見せているのです。難しい作戦をやり遂げた、凱旋報告なのですから、もう少し得意そうに、
楽しそうに話してもいいと思えるのですが、千春の様子が少し変なのです。

「思い切って咲江さんに聞いてみたらどう・・・、
毎日抱かれているのかとか…、
旦那様のテクが凄く良くなったのとか…、
毎夜のセックスに大満足しているとか・・・、
お二人の仲だったら・・、
そんな会話は普通でしょう…?」

「はい・・、以前は何でも話し合うことができました。
今は・・・、何となく・・・、
私自身に遠慮ができて・・・、
セックスのことを素直に話題に出せない気分なのです・・・」

「千春さん・・、あなた・・、もしかして・・・、
咲江さんの旦那様に抱かれたことを気にしているの…・、
咲江さんを裏切ったと思っているのでは…?」

この時点で、ようやく由美子が千春の変化に気が付き疑問を口にしています。

「そうよね・・・、目的はどうあれ・・、
親友の旦那と寝たわけだから・・、気になって当然だね…、
アッ…、失礼、言い過ぎました・・」

思わず不注意な言葉を漏らし、愛が謝っています。

「いえ・・、いいんです…、
咲江の旦那と寝たことは事実ですから・・・
彼と寝て・・、彼の味を忘れられなくなった…、
私って‥‥、最低ですよね……」

以前の千春だったら、冗談交じりの反撃をして、愛の失言を笑い飛ばすはずですが、今の千春には、
愛のきつい失言を笑い飛ばす余裕さえない様子なのです。それどころが、愛の言葉を真正面で受け止
めて、自己嫌悪の言葉さえ発しているのです。その場の雰囲気が一気に冷え込みました。失言を発し
た愛はすっかりしょげかえっています。


[29] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(549)  鶴岡次郎 :2017/02/13 (月) 11:03 ID:RK3vD6B. No.2956

「時々思うんです・・、
本当にあれでよかったのかと…
彼と寝なかったら・・・、
こんなに苦しまなくてよかったのです…」

咲江夫妻の不仲を改善するには、坂上夏樹を鍛え上げ、夫妻の性生活を改善することがまず必要だと
の結論になり、夏樹に女を与え、女体の機微を教え込み、一人前の男に鍛え上げることにしたので
す、この計画に千春は両手を挙げて賛成したのです。女を選ぶ段になっても、由美子と競うように積
極的に名乗りをあげ、由美子を押しのけて、夏樹の指導係に名乗りを上げたのです。

あの時は、親友の夫を寝取ることに何も抵抗感を見せていなかったのです、それどころか彼に抱かれ
る期待感で浮き浮きした様子さえ見せていたのです。それが現実に夏樹に抱かれると、親友の旦那と
寝たことが、意外に重く千春の心に覆いかぶさっているのでしょうか・・、あるいは・・、千春の中
で別の何かが起きたのでしょうか…。

千春の表情をじっと見つめながら、由美子は考えました。

〈夏樹さんにセックスを教える目的で接した千春さんは、
彼が予想外に素晴らしいことを全身で感じた・・・、
感じれば感じるほど、遊び心を忘れることになり、
親友の旦那を寝取った裏切り行為を全身でしっかり確かめることになった、

夏樹さんの腕の中で悶えながら・・、
千春さんは、友の旦那を寝取った罪の重さを改めて実感したに違いない・・・

女って…、
いけない関係で感じれば感じるほど、
心の中に芽生える罪悪感は高まるものだから・・・〉

由美子なりに千春の苦悩をそのように解釈したのです。

性的に未熟な親友の旦那と寝ると決めた時、千春は軽い遊びの気持ちだったはずです、それだけに友
を裏切る意識は弱かったのです。ところが・・、その快感が予想をはるかに超えるものだったので
す。こんなにいい思いをしている・・、咲江に悪いことをしている・、快感が罪悪感を拡大させたの
です。

〈毎日のように咲江さんと会ったいるはず・・・。
何も知らない咲江さんと会うたびに、
千春さんは・・、酷い罪悪感に苛まれているに違いない・・、

この事態が来ることを予見すべきだった…、
あの時、積極的に夏樹さんに抱かれたい様子を見せていたから・・・、
夏樹さんの訓練担当を千春さんに譲ったけれど…、
判断を誤ってしまった…・、
取り返しのつかない失敗をした…〉

千春が落ち込んでいるのを見て、由美子は由美子で、判断を誤ったことを悔いていたのです。

〈人妻に不倫の関係を強要した私の罪は重い・・・、
千春さんを押しのけてでも、私の体を提供するべきだった…〉

由美子自身も罪の意識を強く感じていたのです。

「千春さん一人が悪いのではない・・、
一番悪いのは私…、
親友の夫との不倫を千春さんに強要したのだから・・・、
許してください…」

「由美子さん‥‥」

由美子が深々と頭を下げています。視線の定まらない表情で千春が由美子を見ています。愛は硬い表
情です。


[30] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(550)  鶴岡次郎 :2017/02/14 (火) 10:51 ID:25sxZDhs No.2957

「今更後悔しても始まらないけれど…、
私たちは…・、
いくら弁解しても取り返しのつかない過ちを犯してしまった・・・・、
千春さんに大罪を犯させてしまった…・、

でも・・、これだけは言いたい…、
悪意からその罪を犯したわけではない・・・、
咲江さんを救うには、この方法に一番効果があると思ったのが発端だった・・。

あの時、千春さんが親友を思う気持ちは本物だった・・・、
あなたのその気持ちに動かされて、私たちも協力を申し出た・・。
でも・・、もっと・・、よく考えるべきだった…、

お願いだから・・、親友の旦那を寝取ったなどと・・、
自分自身を責めることはしないでほしい・・・、
それでは、私たちは・・、あまりに哀れで、悲しい・・・」

切々と由美子が訴えています。千春を慰めるというより、由美子自身の心の内を語っている様子で
す。

「今、私たちにできることは・・・、
このことを出来るだけ早く忘れることよ・・、

咲江さんがこのことに気づいていないのなら・・、
お墓の中までこの秘密を持っていきましょう・・、

そして・・・、
難しいことだけれど・・・、
千春さん・・・、

忘れよう・・、
夏樹さんに抱かれたことは忘れよう…・・」

千春の苦しみが判るのでしょう、由美子が必死で言葉を尽くしています。

由美子の言葉を聞いても千春の表情はさえません。千春の表情を見て、予想以上に深刻な状態だと由
美子は思いました。もし、由美子が千春の立場に立てば、親友の旦那と寝ても、これほど悩まないで
前を向くはずだと思っているのですが、若い千春にそこまでの割り切りを求めるのは無理だったと、
またしても由美子は自身の見通しの甘さを責めていたのです。そして、さらに言葉を出そうとしたの
です。その由美子を抑え込むように千春が口を開きました。

「由美子さん・・・、
そうじゃないのです…、
由美子さんはすこし誤解をしています…。
私…、夏樹さんと寝たことを後悔などしていません…
彼と寝たことを恥ずべき行為だとは思っていません・・」

「エッ・・・・」

「親友の旦那に抱かれたこと、そのこと自体を・・、
私は特に悪いことをしたとは思っていません…、
そうすることが・・・、
親友を窮地から救いだす唯一の手段だと言った由美子さんの言葉を・・、
今でも、信じていますから・・」

「・・・・・・・・」

雲行きが怪しくなり、由美子と愛がびっくりした表情で千春を見ています。


[31] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(551)  鶴岡次郎 :2017/02/15 (水) 11:19 ID:CvY8G5Qc No.2958

「あまりに情けないことだから・・、
これだけは・・・、言いたくなかったのですが…、
それでは、お二人のご心配、誤解が解けないので、思い切って言います…」

ためらいながらも、千春が何事か告白するつもりのようです。何を言い出すのか見当がつかないので
しょう、不安そうな表情を浮かべ由美子と愛が千春の顔を見つめています。

「私…、夏樹さんが好きになってしまったのです…・
夏樹さんを鍛えるつもりが、
逆に、男の素晴らしさを彼から教えられた…、

彼に惚れこんでしまったのです…・・、
彼の体が忘れられないのです…・。
こうしていても、彼のことを思うとジーンときます…・」

「・・・・・・」

千春の一言で愛も、由美子もすべてを了解していました。女なら当然そうしたことになるのは予想で
きたはずですが、千春に限って・・・、ソープ店に勤める、いわばその道のプロの千春に限っ
て・・・、そんなことにはならないとの思いが愛にも、由美子にもあったのです。千春も普通の女で
あったと由美子と愛は納得していました。

「親友の旦那様を本気で欲しがるなんて…・、
女の風上にも置けませんよね……」

「・・・・・・・・・」

愛も由美子も何も言えなくて、千春の表情を見守っています。

「でも…、この気持ちはどうにもならないのです…、
夏樹さんに抱かれたいのです…、
あの強くて、太い・・・、彼がほしいの…・」

「・・・・・・・・」

親友の夫を寝たことによる罪の意識は千春の中にほとんど存在しないのです。夏樹の肉体への強いあ
こがれと燃え上がる欲望を千春は抑えきれないのです。夏樹に恋している気持ちはもちろんあるので
すが、その気持ちはるかに超える強い体の要求が千春を悩ませているのです。

心の悩みよりも、燃え上がる女の欲望を抑え切れないのです。由美子には勿論、愛にも、千春のつら
さ、苦しみが手に取るように判るのです。二人の女は当惑しながらも、優しい瞳で千春を見つめてい
るのです。

「咲江はすっかり変わりました…、
何も言いませんが・・、私にはよく判るのです・・。

昼間、私と会話していても、心ここにあらずといった…、
どこか気がぬけた様子を見せるのです・・。

夜の疲れと、全身に漂う快楽の余韻で、
夢うつつの状態になっているのだと思います…」

親身に咲江の身の上を心配していた以前と比較して、千春の様子が少し変です。言葉の端々に少しと
げがあるのです。

「彼女の表情、腰の動きを見ていると判るのです…。
毎日、いっぱい抱かれているに違いないのです・・、
太いモノで、毎日、奥の奥まで突き抜かれているのです…

歩く時だって…、脚が閉まらない様子なのです…、
私もその経験があるので分かりますが…、
太いモノをたっぷりいただくと、
股にモノが挟まった感触が残り、うまく歩けないのです・・」

親しい女同士の会話ですから、かなり露骨に、言っています。それにしても、千春の言葉には咲江へ
の憎しみさえこもっているようです。

「もし・・、
まだ・・、村上と切れないと言うのなら・・、
私が許しません…
夏樹さんほどの男に毎日抱かれていて・・・、
不平を言うなんて…、許せません・・・」

千春が語気を強めて言い切っています。その語気の強さに愛と由美子が驚き、そして、思わず笑い出
しています。

「千春さん・・・、
夏樹さんに少し入れ込み過ぎていない…」

愛の言葉に千春が顔面を少し赤く染めています。


[32] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(552)  鶴岡次郎 :2017/02/16 (木) 16:06 ID:1qUjlNAw No.2959

「だって・・・、
こんなに大きいのよ・・、
こんなよ・・・」

両掌を広げて、夏樹の男根の長さを表しています。20センチ近いサイズを示しているのです。愛は
目を丸くして、彼女自身も両手を広げて、そのサイズを再現し、その凄さを体感しているのです。

「太さも凄いのでしょう・・・?
どうなの、受け入れた感じは・・・」

素直な口調で愛が質問しています。

「油断していると張り裂けるほどなの…・、
無理やり入れないように指導したし・・、
咲江からも、常々そう言われているらしく、
慎重に挿入する習慣は身につけているけれど・・
それでも、慣れないと壊されるわね…・」

「そうなんだ…、
実感がわかないけれど、そんな凄いチ○ポもあるのね・・・
で・・、やはり違うものなの・・、
巨根は普通のモノとは相当違うものなの…、」

「そうね・・・、少し違うのかな…
彼に限らず太いモノを受け入れると・・、
一瞬、息が止まる感じがする…、
快感とは違う、どちらかといえば、恐怖感が先行するのね・・・」

「私…、
そんな経験をしたことがない…
由美子さんはもちろん、いっぱい経験があるでしょう…」

愛の言葉に由美子はただ笑っているだけです。

「ぐりぐり、やられると・・、
得体のしれない快感が深いところから湧き上がってきて、
苦痛が、やがて、快感に変わってくる…、
こうなればもう・・、しめたものよ…・」

千春の説明を聞きながら、言葉なく愛は腰をわずかに揺らしています。

「アソコから湧き出た快感が全身を駆け巡るようになると・・・・・、
もう…、何も考えられない…、
自分がどんな言葉を発し、どんな姿で抱かれているのか判らない…、
そして・・・、突然…・、
奈落に突き落とされるような気分になり・・・、
スー・・っと、気が遠くなる…・」

「逝ったのね…・」

「太くて、長いモノは・・、
やはり、みんなが騒ぐだけのことはあると思います…・
味が違うことは確かです…・
確実に女を天国へ運んでくれるのが巨根のいいところです・・・」

「それだね・・、
だからこそ、千春さんほどの女でも…、
夏樹さんの巨根に惹かれるのね…・」

「巨根には勿論、惹かれますが、
夏樹さんの良いところは、それだけではありません…、
ただ長くて、太いだけなら…、
お店のお客にもそんな方はたくさんいます…・
私だって、その道で生きている女です…、、
それだけなら、これほどまでに夏樹さんに惹かれません…・」

努めて冷静に、千春は説明しています。


[33] フォレストサイドハウスの住人達(その16)(553)  鶴岡次郎 :2017/02/17 (金) 14:40 ID:Y4lpNYSE No.2960

「彼が凄いのは・・、
夫や、同年代の男たちと比較して、
とても強いことなの・・・、
二十代の男と同じよ・・・、
何時間も、休みなくできるの・・」

視線を宙に泳がして、千春が語っています。

「でも・・、
私が夏樹さんにこれほど惹かれるのは・・・、
巨根のせいでも、彼の強さでもない…、
勿論・・、それらが無いとだめだけれど・・、

私が一番惹かれるのは彼の優しさなの・・・・、
彼に抱かれていると・・・
彼の男心を強く感じることができるの・・・・」

「男心…・?」

「夏樹さんが他の男と一番違うところはね・・・、
女性への強い興味を持っていることなの・・・、
思春期の少年のように、女性への憧れを未だに持っているのよ・・・、

だから・・、とても大切に女を扱ってくれる・・・、
そんな男は、夏樹さん以外、私の周りには見当たらないわね…・
ああ・・、咲江がうらやましい…・」

愛があきれた表情で千春を見ています。由美子はただ微笑みを浮かべているだけです。

夏樹にセックスを教え込むのが目的だったのですが、そのことを忘れるほど夏樹は素晴らしかったの
です。彼の体に惚れこみ、溺れこんで、彼を独占できる親友咲江を本音でうらやましいと千春は
思っているのです。

それでも、口に出して、咲江の立場をうらやましがる程度ですから、千春の夏樹へのあこがれは、そ
う底が深くないと愛と由美子は読み取った様子です。女ならこの程度のことは有りがちなこ
と・・・、心配する必要はなく、千春が暴走することはないだろう・・と、二人の女は思っているの
です。

「優しくて・・、持続力があって・・、
それに・・、子供のように素直なの…、
女が10人居たら、その10人が全員・・・、
彼のこと、好きになります……
彼に抱かれたら・・、すべての女が狂いだします…」

一度言葉に出してしまうと、堰を切ったように夏樹への憧れが迸り出るのです。由美子と愛が笑みを
浮かべて聞いています。千春の気のすむまで吐き出させるつもりのようです。

「そんなに凄い男に変貌したんだ…、
夏樹さんは…、咲江さんは幸せだね…・。

それもこれも、全部・・・、
千春さんのおかげだよ・・・、
良かった、良かった…
もう・・、咲江さんのことは心配ないね・・・」

由美子が口を挟んでいます。

「そんなことはないと思うけれど、
彼のこと・・、思い込みすぎて・・・、
馬鹿な真似はしないでね・・」

愛が心配そうに問いただしています。

「ハイ…、先ほどは恥ずかしいところをお見せしました。
もう・・、私は大丈夫です…。
由美子さんたちに思いを全て吐き出したのですっきりしました。

家の主人も可愛がってくれますし・・・、
お店に行けば、それこそ、太いの、長いの…
男なんて、より取り見取りですから・・・、
馬鹿な真似をする余裕がありません…」

「そう・・・、そうよね・・・・、
それで安心した…」

愛が何度も頷いています。

「毎日・・、咲江さんとは会うのでしょう…、
彼女の口から良い報告が出たら、また聞かせてください…」

「ハイ…」

由美子の言葉で今日の会合は終わりました。

これで咲江の問題は全て解決したと、三人の女は確信したのです。店を出て自宅へ向かう由美子の歩
調が軽やかでした。


[34] 新しい章に移ります  鶴岡次郎 :2017/02/21 (火) 16:02 ID:jVjgatjw No.2961
新スレを立てます。ジロー


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フォレストサイドハウスの住人達(その15)  - 現在のレスは29個、人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2016/09/19 (月) 14:32 ID:J9vM0XIA No.2895

泉の森の取り持つ縁で、由美子と愛はSFハウスに住む千春と知り合いました。最初から波長が
合ったのでしょうか、あるいは千春のとんでもない浮気現場を由美子が偶然目撃したせいで、出
会った最初から三人の女は何も隠さず、自身の恥ずかしい過去をさらけ出すことになりました。そ
のせいでしょうか、三人はすっかり親しくなりました。

由美子は殆ど毎週のように愛の売店に出向き、そこで二、三時間たわいのない会話を弾ませるのが
習慣ですが、その二人の仲に千春も仲間入りする様子です。それぞれ個性的な女性ですし、由美子
と千春は夫公認の愛人を持つ多情な女ですから、三人集まれば、この先も面白い事件が起きそうな
予感がします。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
ます。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
ていただければ幸いです。


[20] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(514)   鶴岡次郎 :2016/10/27 (木) 14:33 ID:bFrLtGJ6 No.2915

しばらくの沈黙を破ってゆっくりと千春が口を開きました。先ほどまでとは異なり、どこか晴れやか
な表情です。

「なぜあの咲江が、旦那さんや子供のことを忘れ、
50男の村上に走ったのか・・、
どう考えても、その理由が判らなくて・・、
彼女も私と同じ浮気性なのだと疑ったこともあったけれど・・・、
由美子さんの解説を聞いて、なんだかすっきりした…。
免疫のない咲江がとんでもない男に偶然出会ってしまったのね・・、
男のテクニックを咲江は男の真心だと思い込んでいるのね・・
何も知らない、初心な咲江が色地獄に迷い込んだのね…」

「そうよ・・、
子供のように純粋な気持ちを持った咲江さんだからこそ、
村上の餌食になり、抜き差しできないところまで行ってしまったのよ…
村上も・・、彼は彼なりに・・、真剣に・・、
咲江さんの思いに応えようとしているのよ…」

由美子が冷静に答えています。

「村上のような男に遭遇すると・・、
女なら・・・、
誰でも・・、確実に落ちると思う・・、
彼の罠に落ちない女が居たとしたら…、
そんな女は・・、おそらく・・」

言い過ぎたと思ったのでしょう、そこで由美子は言葉を飲み込みました。

「それで・・、
村上は咲江さんをどうするつもりかしら・・・?
ずっと情婦にしておくつもりはないでしょう…、
どこかで働かせて金を掴むつもりかしら…」

愛が質問しています。

「いえ・・、そんなことは考えていないと思う・・・、
村上はそれなりに誠実な男だと思う・・、
それはその後の彼の付き合い方を見ればわかる…、
咲江さんを落として、金にしようと思っているのなら、
もっと早い段階で、汚い手を使ったと思う・・」

「確かにそうね・・・」

「彼は・・、本気で咲江さんに惚れていると思う・・
・・と言っても、一般の男が女に惚れるのとは少し違うけれどね・・・、
少なくとも、咲江さんと一緒にいる間は・・
彼女を心から愛していると思う・・・」

由美子の説明に愛も、千春も頷いています。

「心を通い合わせた二人が、ずるずると付き合い続けて、
一年経った・・
二人とも、この先どうするのか決めていないと思う…
多分・・、自分たちでは決められないのだと思う…・」

「なるほど・・・
愛の形は人それぞれと言うことね…・、
でも・・終着点のない愛って・・、どこか危険な気がする…」

愛が心配そうに言っています。

「そうなのよ・・、
二人に・・、どこへ行くつもりなの・・と、
無理に結果を求めると・・、
とんでもない処へ行ってしまう危険がある・・」

大きな吐息を吐き出し、由美子が答えています。

「・・・・・」

言葉なく千春が大きなため息を吐き出しています。

「二人の内どちらかでも遊び心が多ければ、
なんとか手の打ちようはあるのだけれどね…、
咲江さんは勿論だけれど、
遊び人である村上までかなり真剣だから困るのよ…」

由美子が嘆いています。


[21] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(515)   鶴岡次郎 :2016/10/28 (金) 14:18 ID:y9sL7xsI No.2916

突然・・、千春がその場に両手をついて愛と由美子に向かって深々と頭を下げました。

「難しいのは良く判っています・・。
それでも、今私が頼れるのは由美子さんと愛さんだけなのです。

人一倍責任感が強く・・、今まで浮気どころか、
他の男に気を許したこともない咲江を村上から救い出したい・・。
できれば彼女の家庭を壊さないで、すんなりと別れさせたい…、

同時に、彼女の心に巣食っている大きな罪悪感も少しは取り除きたい・・、
別れた後も・・、罪の意識を引きずるようでは、
咲江があまりに可愛そうだと思いますから…。

これが私の願いです…、勝手なことばかり並べましたが・・、
力を貸してください・・、この通りです、お願いします…・」

千春が由美子と愛に訴えています。

「千春さんの気持ちは良く判っている・・、
私たちで出来るだけのことはやりましょう…。
これから先は、どんなことがあっても・・・、
私と由美子さんは咲江さんと千春さんの見方だよ・・」

愛が千春を見て宣言しています。涙ぐみながら千春が頭を下げています。由美子が何度も頷いていま
す。

「一年以上続いた二人の仲を割る方法・・、
この問題の解決策はそんなにたくさん無い・・、
一つの考えは、ご主人にすべてを打ち明けること・・・、
これで、全て問題は解決する…・」

由美子があっさり言っています。

「でも・・、そんなことをすれば・・・、
最悪・・、離婚となり、家庭が崩壊することになる・・」

愛が心配そうに答えています。

「そうね・・・、離婚の可能性は高いね・・・」、

由美子が冷たく言い放っています。

「私なら・・、夫に告白する道は選ばない・・
割り切って、一生その秘密を隠し続ける…」

千春が言葉を挟んでいます。

「私も千春さんの考えに一票入れる・・・」

愛がすかさず千春の意見に賛成しています。

「女って・・、誰もが・・、
秘密の一つや二つ隠し持って生きているし・・・、
それに、秘密を隠し続ける才能も備わっていると思う・・・、
咲江さんも秘密を抱えて生き抜くことができるはず…、
いえ・・、やり抜くべきよ…、
私たちがサポートすれば、何とかなると思う・・・」

愛が珍しく口調を強めて主張しています。

「決まりね・・・、旦那様に告白する選択肢はないと考えよう・・、
その前提で、これから先、彼女の身の振り方を考えよう・・・」

どうやら最初から告白する選択肢を由美子は考えていなかった様子です。愛と千春の意向を確かめる
ために、あえて由美子は告白の手段を話題に挙げたのです。二人が告白案に反対だと判ると、あっさ
りと告白案を捨てています。愛と千春が嬉しそうに大きく頷いています。


[22] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(516)   鶴岡次郎 :2016/10/29 (土) 15:01 ID:tcgxfZmg No.2917

「旦那様に告白しないとなると・・・、
さらに、問題解決は難しくなる…・、
咲枝さん自身が自発的に村上と切れるのが一番いいのだけれど、
これがまた難しい・・・、
むしろ・・、現状維持で秘密をひた隠し続ける道の方が簡単に思える・・」

愛が難しい表情で言っています。

「愛さんのおっしゃる通りです…、
愛欲の関係を清算するには、二人はあまりに長く付き合い過ぎた・・。
私の経験から言っても、咲江さんが村上との関係を清算するのは難しい・・、
彼女の体が別れることを許さないと思う…

それに・・、仮に・・・、別れることが出来ても・・・、
その先に待っているのは地獄・・・・
そう考えると・・、別れることが、本当に最善の策なのかしらとさえ思う……」

千春が呟いています。由美子が千春のつぶやきを聞いて少し気にしています。

「千春さん・・、
何か言いたいことがあるのなら、聞かせて…
村上と別れることが出来ても…
その先は地獄・・・と、言ったわね…
私・・・、そのことが少し気になっているのよ・・、
もしかして・・、別れる必要がないと思っているの…?」

「ハイ・・、確かに迷っています・・、
とんでもない発想で、お二人には叱られる覚悟で言います…」

何事か決心をした表情を浮かべ千春が由美子と愛を見詰めています。

「もし・・、村上と切れることが出来ても・・・、
自分の犯した罪の意識から咲江は永久に逃げられないと思うのです。
昔の朗らかで、明るい咲江は永久に戻ってこないと思うのです・・
そう・・・、考えると・・・、私…・・」

ポツリ、ポツリと千春が話しています。堪えて涙を抑えていますが、今にも泣きだしそうです。

「無理に村上と別れないで、家族を捨てる道もあるのではと思うのです・・。
幸い彼は独身ですから・・・、
彼と所帯を持てば、旦那様や、子供の顔を見ないで暮らせることになります、
家族を捨てた罪の意識は残りますが・・・、
逃げ場のない不倫の罪からは解放されると思うのです・・・。
ゴメンナサイ・・、そんなバカなことさえ考えてしまうのです…」

「・・・・・・・・」

愛がびっくりして何かを言い出そうとして、慌てて口を押さえています。軽はずみなことは言えない
と愛はとっさに考えたのです。由美子は黙って千春を見つめています。

「本当は・・、私にも・・、どうしていいか判らないのです・・。
村上と別れるべきだと思いながらも・・・、
一生、罪の意識を背負って行くよりは・・・、
たとえ、人の道から外れても・・・、
村上と面白おかしく暮らした方が咲江は幸せかなとも思うのです…
本当にバカな話だと思うでしょう…、でも可能性はあると思っています・・・」

千春が首を垂れ、そっと涙を拭いています。

「一生・・、犯した罪の意識に怯えるより・・、
思い切って、村上と一緒になる道もあると言いたいのね・・
むしろ、そちらの道が人間らしいと千春さんは思っているのね・・
バカな話だなんて・・、そうは思わない…、
咲江さんの幸せを本当に願っている千春さんだからこそ・・、
そんな発想が出たと思う…・」

微笑みを浮かべて愛が言っています。千春はただ頷くだけです。

先ほどまで、村上と戦い、咲江を取り戻す勇ましい話が展開されていたのですが、一転して、その場
に少し沈んだ雰囲気が流れています。村上と関係を続けるのも一策かな・・、といったムードが流れ
ているのです。


[23] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(517)   鶴岡次郎 :2016/10/30 (日) 11:21 ID:4kIL9I7M No.2918

沈滞したムードを由美子の声が吹き飛ばしました。

「何を言っているの・・・、
その考えは間違っているよ・・・、

浮気女の罪悪感なんかに振り回されては・・、ダメ・・・、
浮気女の罪悪感なんてものは・・、底の浅いものだよ・・・、
一見、深刻そうに見えて、その実、一過性のモノよ・・・、
時間が経てば跡形もなく消えるものだよ…
特に女の罪悪感なんて・・、長続きしないのが相場なの…」

由美子が断定的に発言しています。愛は勿論、千春もその意見を聞いてうれしそうな表情を浮かべて
います。実のところは、由美子のような歯切れの良いレスポンスで不安を一掃してほしいと千春は期
待していた様子なのです。

「浮気女の心に巣食っている罪悪感は・・・、
浮気相手とすんなりと別れることが出来れば・・、
殆どあとかたなく消えるものよ・・・、
だから、咲江さんの場合も、それほど気にする必要はない…
散々、他の男と遊んでいるこの私が言うのだから信用してほしい…」

由美子が断定的に言っています。それでも、二人の女は半信半疑の様子です。

「まだ信用できない様子だけれど、嘘じゃないのだから・・・、
私の経験から言って・・、
浮気女が罪悪感に悩むのは、浮気相手に惚れ込んでいる間だけのことなの、
単なる浮気だのに、体の関係を続けると、
互いの深い愛がその中に存在すると思い込んでしまうのね…・。
そうなると、夫や家族への罪悪感にさいなまれることになる。

浮気相手のことを単なる性欲処理用の男か、
通りすがりのセックス相手と考えることが出来れば、
それほど罪悪感に悩まされることはないのだけれどね・・」

自身の経験を語る口ぶりで由美子が話しています。

「一年余り、村上の手管にどっぷりつかりこんだ咲江さんは、
もう・・、彼なしでは生きて行けないと思い込んでいるに違いない・・。
頭では彼から離れたい、別れるべきだと思っても、
体が意志に反して彼を求めるのよ・・

セックスと愛情を切り離すことが出来ないのが女の本性で、
夫とは違うやり方で抱かれればその男に魅力を感じ、
夫が授けてくれない深い喜びを与えてくれる男こそ、
真の伴侶だと考えるようになる・・。
咲江さんは村上を運命の人だと考えるようになっているかも・・

彼に抱かれた生々しい情感を、
彼への愛情だと咲江さんは考えているはず・・、
そうなると・・、彼女の罪悪感は最高に燃え盛ることになる…

千春さんが今、咲江さんの中に見ているのは、
今を盛りに燃えている最悪状態の罪悪感なの…、
咲江さんが苦しむのを見て、こんなに苦しむのなら・・、
今の生活を捨てた方が良いと、傍で見ている者は思うのよ・・・、

もう少し待ってご覧・・、
そんなことがあったかしら・・と、
彼女が言いだすようになるから・・
同情をして損をしたと・・、きっと思うから…」

「・・・・・・・・」

由美子の情熱的な話はまだ続くようです。愛も、千春も驚きの表情を浮かべ、黙って聞いています。


[24] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(518)   鶴岡次郎 :2016/10/31 (月) 15:02 ID:X2q3KLoQ No.2919

浮気女の罪悪感の底が浅いことを由美子がこれほど情熱的に力説するには訳があるのです。浮気女が
罪悪感で悩むのは、身から出た錆で、致し方がないことだとしても、周りにいる者までも巻き込ん
で、彼女の罪悪感の犠牲者にしてはいけないと由美子は常々思っているのです。それが・・、浮気女
が気を配るべき最低限の礼儀だと由美子は考えているのです。

罪を悔いて悩むのであれば一人静かに反省すればいいことで、自身の中で燃え盛る罪悪感を制御でき
なくて、沈み込んだ姿を家族に見せたり、最悪自身の命を絶ったりして、残された夫や家族に迷惑を
かけるのは、二重の罪を犯すことになると由美子は考えているのです。

由美子にしても、最初からこの割り切った考えを持っていたわけではありません、散々に悩んだ末に
この考えに到達したのです。そして、出来ることならこの考えを全ての浮気女に教えたいと由美子は
思っているのです。

浮気をする以上、秘密を隠しきる覚悟と、バレた時の潔い身の処置方を常に準備するのは当然です
が、そのことに加えて、自身の罪の意識を表に出さないことが大切だと由美子は考えているのです。
むしろ、罪を犯したことなど一度もないとふてぶてしく構えるべきだと彼女は考えているのです。

夫から許しを得ているとはいえ、由美子自身、他の男に身をゆだねた直後、少なからぬ罪悪感にさい
なまれることが多いのです。男に抱かれている瞬間、その男が行きずりの男であっても、由美子はそ
の男に以前から惚れ込んでいるように、身も心も投げ出す厄介な癖があるのです。

一度燃え出すと、その男に身も心もすべて投げ出してしまうのです。それだからこそ、由美子に一度
でも接した男たちは誰も、「この女に好かれている・・、少なくても嫌われてはいないと・・」と、
思い込むのです。そして、由美子のことを永久に忘れないで、再会を求めるのです。

男と別れて一人になった時、どうしてあんなに燃えたのだろう・・、あの瞬間、夫のことを忘れ、男
の体に四肢を絡めて、身も世もなく絶叫した彼女自身のことを思い出して、悔いることが毎回なので
す。そして、最悪なのは、その罪悪感が家に着くころには跡形もなく消えていることなのです。そん
な由美子を彼女自身は嫌いでしかたないのです。

〈女の・・、いえ・・、浮気女の罪悪感なんて…、
こんなに儚いモノなのかしら・・、
それにしても・・、
自分ながら、あきれるほどあっさりしている・・・。
これで良いのかしら…〉

そして、何度も浮気の経験を積むと徐々にその感情にも慣れてくるのです。

〈良いも悪いも・・、これが私なのね…
くよくよ悩まないことにしよう…、

これは・・、もって生まれた感性・・、
神が私に授けてくれた・・、贈り物・・

夫や、家族を裏切ったことは事実だから・・、
その罪滅ぼしに・・、精一杯彼らに尽くそう・・・〉

かなり手前勝手な考えですが、ある時から由美子はそう割り切って、あまり彼女自身を責めないよう
にする習慣を身に着けているのです。


[25] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(519)   鶴岡次郎 :2016/11/02 (水) 15:14 ID:ywL4lJGE No.2920

千晴と愛がまだ納得していない様子を見て、由美子は思いました。

〈ああ・・、この人たちも皆と同じように・・、
罪悪感に打ちひしがれる浮気女を良しとする感性を持っているのね・・・、
普通はそう思うのが当然だけれどね・・、

口を拭って、毅然としている浮気女こそ立派だと私は思うけれど…、
なかなか私の気持ちは判ってもらえない・・、
ダメ元で、もう少し説明して見よう・・、
千春さんなら・・、あるいは・・、少しは判ってくれるかも…〉

千春と愛がやや当惑しているのは承知しているのですが、由美子はさらに自説を語ることにしたので
す。

「ある日突然、何かが起きて…・
彼を愛しいと思う気持ちが萎え・・、
彼への情欲が消えると・・・、
不思議なことに・・、
あれほど強かった罪悪感も衰えることになる・・・・、

浮気女の罪悪感って、そういうものなのよ…・
悲しい女の性だけれど、情欲と罪悪感は背中合わせなのよ・・
情欲が消えれば、罪悪感も消滅する…」

「・・・・・・・」

愛と千春はただ黙って聞いています。由美子の説明について行けないところがあるのです。

「浮気をして、相手の男に惚れてしまうと・・、
夫や、家族のことを思い・・、
女は酷い罪悪感を抱くことになるけれど…、

男への興味が消え、浮気が止まると・・・、
女は何事もなかったように口を拭うことができるのよ・・・、
要するに・・・、
浮気女の罪悪感はあきれるほど底が浅いと言える…・」

由美子が語るとその言葉に重みが加わります。それでも、愛も千春も心から納得した様子ではありま
せん。これではどこまで行っても平行線だと、由美子はある決心をして口を開きました。彼女にして
は珍しいことです。

「散々に浮気をして、夫を裏切っていながら・・、
罪悪感を過度に持たない方が良い・・、
それが・・、女が幸せに生きて行く知恵だと・・・。

浮気女その者である私が・・、何を勝手なことを言うと、
千春さんも、愛さんも思うでしょう・・、
その通りだと思う…。

でも…、判ってほしい・・・、
悪いことだと判っていても、
体の要求に理性が負けることってあるでしょう、

私にとって・・、男が欲しいと思う感情はまさにそれなの…、
どうしてもたまらくなって浮気をしてしまうのね・・・、
それを責められたら・・、ただ頭を下げることしかできない・・、
反省はするけれど、それ以上は何もできない…、

こんな時・・、私は何をすればいいと思う・・・、
私は・・・、
開き直って、与えられた人生を懸命に生きることしかできない…」

普段は絶対口にしない心の底を由美子が切々と語っています。

「良く判りました…、
由美子さんの説明を聞いていて、私には違和感がありません・・。
私も・・、由美子さんと同じ悩みを抱えています…。
これからは、由美子さんのおっしゃるとおり、
浮気をしても・・、毅然と自分に立ち向かい、
一生懸命、私の人生を生き抜きます・・」

千春が明るい表情で言っています。由美子は満足そうな顔をしています。


[26] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(520)   鶴岡次郎 :2016/11/03 (木) 15:02 ID:dxjp7rlE No.2921
「でも・・、咲江は違う気がして・・・、
純粋で、穢れを知らない咲江のことだから・・、
村上と別れた後もずっと罪悪感を抱きつづけ、
永久にその罪を忘れることが出来ないで、
肩身の狭い思いで一生を過ごすのではないかと心配しているのです・・
そうであれば・・、思い切って、家庭を捨て、自由に生きた方が…・」

それ以上は語ろうとしないで千春が視線を落としています。自説に自信が持てないのです。それで
も、親友だけに・・、普段の明るく、素直な咲江を知っているだけに・・、犯した罪の重さに咲江
が一生苦しみ通すのではないかと千春の心配は尽きないのです。

「友を思う千春さんの気持ちは立派だと思う・・。
でも、咲江さんはお人形じゃないのよ・・、
血の通った・・、情欲も人並みにある大人の女なのよ・・・、
聖処女のように親友を枠にはめて思うのはちょっとね…・、
千春さんの気持ちを知ったら、彼女もきっと重荷に思うよ・・」

「・・・・・・」

はっとして千春が由美子の表情を見ています。ようやく何かに千春は気が付いた様子です。

「ああ・・・、そうなんですね・・・、
私・・・、知らず知らずの内に・・・
咲江の中に自分の理想像をはめ込んでいたのですね…・」

「・・・・・・・・」

笑みを浮かべて由美子が頷いています。

「気ままに他の男に抱かれ、さらには、ソープ勤めさえやっているのですが、当然のことながら、
決してこれが正しい生き方だと思ったことは一度もありません。それどころか、いつも言いしれな
い劣等感を持っているのです。

浮気の罪の重さに慄く初心な咲江をみて・・・、
こんな女こそ、理想の女だと・・、
こんな女になりたいと・・、私・・思い込んでいるのです…。

咲江が罪悪感に苦しむ様子を見て、
そんなに悩むなら、家庭を捨て、好きな相手との生活を選ぶべきと考え・・、
咲江に私の考えを押し付けようとしているのですね…」

何かが吹っ切れたのでしょう、嬉しそうな表情で咲江が語っています。

千春の気持ちは由美子には良く判るのです。かって、由美子も千春と同じように、好色な自身を卑下
し、出来ることなら何も知らなかった、普通の主婦に戻りたいと何度も思ったことがあるのです。し
かし、その願いは空しい結果しか生みませんでした。

そんな時・・・、夫の言葉が由美子を救ったのです。

〈由美子はそのままが良い・・、
浮気をして、ケロンとしている由美子が好きだ…、
浮気をして悩んでいる由美子なんて、何の魅力もないよ…
これからも・・、好きなように生きてくれたらいいよ…
ただし・・、私を捨てないことが条件だよ…、フフ…・〉

それを契機に由美子は、自身の犯した罪に毅然と立ち向かう気持ちを固めたのです。

「ようやく、判ってくれたようね・・。
千春さんには千春さんの人生があるように・・、
咲江さんには咲江さんの人生がある・・・。

男遊びを繰り返しても、平然として生き抜く女を演じる千春さん・・、
初めての浮気の罪深さに慄きながら、それでも浮気を続ける咲江さん・・、
それぞれに人生があるのよ、

何が正しいかなんて・・、
誰にもわからないし、そのことを追求する意味さえない…」

「はい・・、
私・・、知らず知らずに・・、
自分の頑なな考えを咲江に押し付ける処でした…。
罪を犯した、咲江自身が身の振り方を決めればいいのですね・・、
私がとやかく口を出す必要はないのですね…」

「そうよ・・、
私たちは寄り添うけれど、咲江さんを支配してはいけない・・。

私たちがお膳立てをして・・、
苦しみ抜いている咲江さんを少しでも楽にしてあげよう・・、
その先は・・、咲江さんの自由意思に任せましょう…

村上と別れるにしても・・、このまま進むにしても・・、
それは彼女の自由意思・・・

私たちは・・、私たちの考えで、
できる限りのサポートをしましょう…
そのサポートを咲江さんが拒むなら、潔く引き下がりましょう…」

「はい・・・」

千春の表情に明るさが戻っています。


[27] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(521)   鶴岡次郎 :2016/11/04 (金) 14:29 ID:/F13JabY No.2923

「さて・・・、次の課題は・・、
これが一番難しい問題だけれど・・、
咲江さんの中で燃えている村上へのひたむきな情欲を・・、
その感情を、咲江さんは村上への愛情と考えていると思うけれど・・、
この気持ちを、どのようにして散らし、抑え込むかだね…」

「はい…」

愛と千春が緊張した面持ちで答えています。

「村上が与えてくれる肉の喜びは、
彼の専売特許品でないことを咲江さんに教えたい・・・。
他の男からでもその喜びを十分得ることが出来ると教えたい・・・。
要するに喜びを与えてくれる男は村上一人でないことを教えるのよ・・・、
それには、村上以上の快楽を与えてくれる男を探し出し、
咲江さんに与えるのが一番簡単な方法だと思う・・」

「そんな男って・・、都合よく居るかしら…
仮に、居たとしても・・、
その男の味があまりに良くて…、
咲江さんがまた惚れ込んだら、大変ね・・・」

笑みを浮かべた愛が冗談ぽく言って、由美子に睨まれ、首をすくめています。

「愛さんじゃあるまいし・・・、
咲江さんはそんな女ではありません…。
・・・と言いたいところだけれど・・・、
愛さんの心配は当然ね・・・」

由美子が笑いながら愛の言葉に応えています。

「女は凄腕の男にかかると一コロだからね…・
咲江さんが次の男に夢中になる可能性は高い・・、
そう考えると・・、女って…、本当に厄介な動物だね…・。
そんなことになれば、また一苦労だね…・
愛さんもそうした女心が判るようになったのね・・、フフ…・」

愛をからかうように、笑いながら由美子が言っています。

「由美子さんたら・・・、
そこじゃないの・・、問題は・・、
由美子さんならそんな心配があるけれど、
咲江さんに限って、次の男にまで惚れ込むことはあり得ない・・、

私が問題にしたいのは・・
そんな都合のいい男が見つかるかと、言うこと…」

愛が慌てて訂正しています。

「フフ…、判っている・・、
心配しないで・・、
男のことなら・・、私には目論見がある…、
村上に匹敵する男って・・、
案外簡単に見つかる気がしている・・、
それは・・、後で話すは…、楽しみにしていて…」

「えっ…、本当ですか、簡単に見つかるのですか…?
楽しみ・・、
そんな男なら、咲江さんの後でもいい、
ちょっとだけでもいい・・、味見したい…、フフ・・」

美味しい男の話題になると、早速千春が口を挟んでいきます。

「そうだ…、何なら・・、
本当に美味しい男かどうか判定するお毒見係になってもいい・・」

淫蕩な笑みを浮かべ千春が言っています。

「ふふ・・・、スケベな本領を発揮してきたわね・・・、
その言葉を、実は・・、待っていたの…、
千春さんにもその男を食べていただくことになるかもよ…、
咲江さんを救うため、千春さんには一肌脱いでほしいと思っているから・・」

「エッ・・、本当ですか・・・、
私、美味しい男を味見できるのなら・・、
いえ、いえ・・・、咲江のためなら・・・、
一肌どころか・・、全裸になってもかまわない…
男の一人や、二人・・、
いつでも、しっかりいただきますから…・、声をかけてください・・」

「頼もしい…」

スケベーな笑みを浮かべ千春が本気を見せています。この調子なら、咲江のためなら、千春は数人の
男を相手にすることも簡単にやってのけるでしょう。そんな千春を見て、由美子が淫蕩な笑みを浮か
べて何度も頷いています。


[28] フォレストサイドハウスの住人達(その15)(522)   鶴岡次郎 :2016/11/13 (日) 15:32 ID:t3qBpBxU No.2924
「村上に匹敵するたくましい男を見つけ出し・・、
その男を咲江さんに与える…、
これで咲江さんの情欲はかなり癒されるはず…・」

「咲江がうらやましい…」

好色そうな笑みを浮かべ千春が言っています。

「残された課題は咲江さんの中にある村上への思いね…
咲江さんはその思いを愛情と勘違いしているはずだけれど・・、
彼への思いを決定的に消すことが次の課題・・。
それには咲江さんの心に直接働きかける手段が必要になる・・・」

「心に直接働きかける手段ね・・・、
体の欲望を治めるのと違い、
恋しい男を忘れるのは、女にとって難しい…・」

愛が困った表情でつぶやき、千春も頷いています。

「こんなのどうかしら・・・
有ること、無いこと・・、村上の女癖の悪い噂話を作り出して、
例えば、近所の人妻を抱いているとか・・、
そんな作り話を咲江さんに吹き込むのはどうかしら…、
でも・・、ダメね・・、
人の噂くらいでは咲江さんの心は動じないはず・・」

アイデアを出していながら、その場でその案を否定している愛です。

「咲江さんの中にしっかり築かれている村上のイメージを壊したい・・、
荒療治でもいい・・、どんな汚い策を弄しても良い、
村上を陥れ・・、咲江さんの目の前で大きな失敗を犯させる・・、
それによって、村上への熱い思いに、水をかけるのよ・・・」

そう言いながらも、由美子自身、いいアイデアが思い浮かばないのです。

「『こんなだらしがない男なのだ…』と、
咲江さんが悟れば成功よ・・・、
そうなれば、村上へ傾斜した心を、
咲江さんは彼女自身で立て直せると思う・・・。
何か・・、いいアイデアがないかしら…?
村上を陥れる工夫が・・・」

困り果てた様子で由美子が千春と愛に質問をなげかけているのです。そうはいっても、生身の男、
それもかなりのやり手の男を陥れる案など、愛と千春に簡単に見つけ出せるはずがありません、し
ばらく静寂が続きました、由美子が大きな吐息を吐き出し、口を開きました。

「やはり・・・、これしかないわね・・・
ちょっと汚い手を使うことになるけれど…・
仕方ないわね・・・、
今の私にはこのアイデアしか浮かばない・・・」

愛と千春の表情に笑みが戻っています。由美子が導き出す答えを二人はずっと待っていたのです。

「私が考えた作戦を聞いてほしい…、
私たち三人の力だけでは難しい作戦だけれど、
千春さんの旦那様、そしてUさんの力を借りれば何とかなると思う・・・」

由美子はかなりの時間を割いて、愛と千春に作戦を披露しました。

「素晴らしい・・、さすが、由美子さん・・、
作戦を聞いて、何とかなりそうな気がしてきた…、
そうはいっても、由美子さんの役割は本当にきつそうだけれど・・、
勿論、私も、主人も頑張ります…」

由美子の説明を聞き終わった千春の表情が明るくなっています。

「千春さんご夫妻には、大いに働いてもらうことになりそうね・・、
今回の作戦では、ある意味、お二人が主役になると思う・・・。
お互い頑張りましょう…」

三人の女が両手を差し出し互いに固く握り合いました。咲江と彼女の一家の幸せのため、三人の女は
力を合わせ、セックス作戦を展開することになったのです。


[29] 新しいスレに移ります  鶴岡次郎 :2016/11/14 (月) 09:39 ID:MAWbGSP2 No.2925
新しいスレに章を立てます。 ジロー


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フォレストサイドハウスの住人達(その14) - 現在のレスは41個、スゴイ人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2016/05/10 (火) 15:31 ID:T6I9F1Dg No.2851
浦上千春はその日、夫、浦上三郎と長男の三人で泉の公園内を散歩していました。偶然、トラックの
荷下しをしている山口と遭遇しました。山口とは何度か5Pなど乱れた遊びをした仲なのです。夫に
事情を説明し千春は山口と二人きりになりました。自然の流れで公園内に停めた山口のトラックの中
で、千春は山口と昼下がりの情事を展開することになりました。その光景を通りがかった由美子に見
られたのです。

恥ずかしい光景を見られて、千春と山口は大いに慌てましたが、由美子の反応は若い二人の予想を超
えてかなり好意的なものでした。二人の情事が秘められた浮気行為だと気づいていながら、若い二人
の熱い情事を由美子はむしろ祝福する姿勢を見せていたのです。そんな由美子を見て、千春は由美子
の中に彼女自身の中にも存在する女の業に似たものを嗅ぎ取っていたのです。

あの日恥ずかしい光景を見られた婦人のことが千春の頭から離れなくなっていました。由美子に会い
たい・・、その気持ちが千春の中で日に日に強くなっていました。山口と情事に耽った公園で待ち伏
せを続けること一週間、ついに千春は由美子と再会できたのです。由美子に案内されるまま千春は彼
女の親友、三津崎愛の経営する公園側にある売店へ行きました。その売店の中で女三人、大いにガー
ルズトークを楽しむことになったのです。

話を進めるうちに、目下、千春の情人であり、その上人生の大恩人である佐王子保と由美子の間に深
い関係が存在することに千春は気が付くのです。尊敬する人生の先輩由美子と、これまた大恩人であ
り恋人である佐王子の色恋模様に千春は無関心を装うことはできません。タブーだと知りながら、二
人の馴れ初めからその後のことが聞きたいと千春は由美子に懇請するのです。果たしてどんな話が由
美子の口から出るのでしょうか・・。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
  します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
 ていただければ幸いです。


[32] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(487)  鶴岡次郎 :2016/07/27 (水) 16:07 ID:bFrLtGJ6 No.2885

「佐原さんから教えられたのでもなく・・、
マンション内をキョロキョロ覗きまわったわけでもない・・、
今の今まで、佐原さんと千春さんを結び付ける証拠は何も掴んでいなかった、

それが・・・、千春さんと佐王子さんの関係を聞いて・・、
突然・・、閃いた・・・。
一つの謎が解けると、後は簡単だった・・・。
どう・・、名探偵由美子の話をもっと聞きたい…?」

由美子が二人の女の表情を見ながら少し威張って見せています。二人の女が笑いながら頭を下げてい
ます。判ったから早く話せと背ついているのです。

「それでは謎解きをするわね・・・」

由美子がゆっくり語り始めました。


佐原と由美子、愛が知り合いになって、二、三ヶ月経った頃でした。その頃には、佐原も喜んで歓迎
しますし、彼との会話が楽しいので、休日になると二人の女は気軽にマンションを訪れるように
なっていたのです。

その日、由美子と千春はいつものように連れだって佐原の自宅へ向かいました。マンションの入り口
で案内を請い、佐原が部屋の中でキー操作して玄関ゲイトを開けます。住人がゲイトを開けない限り
何人もそのマンションには入れない仕組みになっているのです。

45階建てのビルで、3階以上が住宅に使用されているかなり大きなマンションで、各階に50室が
あります。佐原の居る十六階までエレベータを使います。エレベータを出るとエレベータホールで
す、そこから各部屋を結ぶ廊下が伸びていています。廊下は原則ビルの中心部に作られていて、各部
屋はすべてビルの外面に接しているので、どの部屋からも、街の景観を楽しめるようになっていま
す。特にビルの南側が公園ですから、公園に面した部屋は人気があるのです。

二人がエレベータを出ると、佐原が玄関ホールで待っています。佐原を先頭に、愛、そして最後尾に
由美子が、少し薄暗い廊下を歩きます。めざす1613号に近づいた時、佐原家の隣の家、1614
号室前を最後尾の由美子が通りすぎた直後、扉が内側から開けられて・・、誰かが部屋から出てきま
した。

「振り返るのも行儀が悪いし、ただ気配だけを感じ取っていた。
その男性が・・、そう・・、明らかに男性の気配だった…」

「その時私も一緒だったはずだけど・・・、
私は何も感じ取れなかった…」

「その方はすさまじい男の精気を発散していた・・。
恥ずかしいけれど、女の芯がくらくらと来て、濡れだすほど感じていた・・・、
振り返ってその男の顔を見たい欲望を必死で抑えていた・・・・」

「・・・・・・」

千春と愛があきれた表情を浮かべ由美子の話を聞いています。勿論、男の精気を感じ取ることが出来
る由美子の特殊能力を愛は良く知っています、しかし千春は知らないはずです。

背中で男の精気を感じ取り、濡れ始めたと言う由美子の表現はまともではありません、それでも千春
は黙って耳を傾けているのです。ここで下手な質問を発すると、由美子から失笑されると警戒してい
るのでしょうか・・、あるいは由美子の特殊能力にそれほど驚いていないのでしょうか・・。

「この男はただ者でないと思った…、
でも・・、彼のことを佐原さんに聞くわけにはゆかないし、
気にはなるけれど、彼のことは忘れるともなく、今日まで忘れていた…」

ここでコップを取り上げ、中の冷たい水を一気に飲み干しています。妖しくうごめく白い喉を愛と千
春がじっと見つめています。早く話の先が知りたいのです。


[33] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(488)  鶴岡次郎 :2016/08/01 (月) 16:04 ID:AsyGzxic No.2886

「千春さんの話を聞いた時・・・、
はっと、ひらめきが走った…・、
すさまじい精気を発散させていたあの男の正体は・・・。
もしかしたら、佐王子さんでは・・と思った・・
彼が佐王子さんであれば・・・・、
彼が出てきた家は千春さんのお宅である可能性が高いと思った…」

「・・・・・」

愛がびっくりして千春の顔を見ています。千春は冷静な表情です、由美子の話の先が読めているの
でしょう。

「そんな偶然あり得ないと思ったけれど・・・、
冷静に考えれば・・・、
彼ほどの精気を持った男は世の中にそんなに多くないからね・・
あの男が佐王子さんであってもおかしくないと思いなおした・・・
それで、失礼だとは思ったけれど・・、
千春さんに思い切ってかまをかけた質問をした・・」

「由美子さんには何も隠せませんね・・・、
ご推察の通り、その男は佐王子さんです…。
そして、佐原さんの隣家が私の家です・・・・」

「誰からも教えられていない千春さんのお家を由美子さんが見事言い当てた時には驚いたけれど、
こうして種明かしを聞けば意外と簡単なことだったのね・・・、スケベーな由美子さんが佐王子さ
んの精気を感じ取ったのが始まりだった・・」

愛が感心した表情でつぶやいています。そして、何事か気が付いた様子で、声を高めて言いました。

「それにしても・・、不公平だとは思わない…?
由美子さんは男の精気感じ取って濡れ始めていたと言うのに、
一緒に居た私は何も感じ取れなかった・・・、
同じ女に生まれてこんな不公平なことがあってはいけない・・・
神様に文句を言いたい・・・・」

愛が憤慨し、由美子が艶然と笑っています。愛の憤慨ぶりを見て千春も笑っています。

「笑っているけれど・・、千春さんは腹が立たないの…?
エッ・・・、まさか・・、千春さんもなの・・・、
同じ能力を持っているの…?
男のアレが勃起しているのを感じ取れるの・・・・」

「ハイ・・・、私も・・、時々・・、
これがそうかな・・と、漠然と感じることがあります…。
特に・・、スケベーな気分になった時は・・、
敏感に男の精気を感じることが出来ます・・」

「へぇ…・、そうなの・・・
お二人ともすごいね・・・」

愛が感嘆の声を出しています。

「お二人には男根の様子が手に取るように見えるのね・・・、
それじゃ・・、普通の女は到底、かなわないよ・・」

男性の精気を離れた場所に居ても感じ取ることが出来る上、興奮した男性の勃起状態を、その姿を透
視しているように正確に由美子は察知できるのです。千春はどうなのでしょう。もう少し、修行を積
めば由美子の域に到達するのかもしれません。

「この能力は女なら誰でも持っていると思っていました…。
そんなに珍しいものなんですか・・・」

真面目な表情で千春が愛に聞いています。

「そうだよ・・、とっても珍しい能力だよ・・・、
あなた方は特殊能力の持ち主だよ、
女の誰もがそんな力を持っていたら・・、
スケベー女が手当たり次第勃起した男を襲うようになって、
きっと、世の中は乱れると思う・・・」

「あら、あら・・、そんなことになったら大変・・・」

三人の女がまた大笑いしています。


[34] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(489)  鶴岡次郎 :2016/08/03 (水) 14:55 ID:dxjp7rlE No.2887

「それにしても驚きました・・・・、
愛さんも、由美子さんも、お隣の佐原さんとお知り合いなんて・・・、
本当に奇遇ですね…」

千春が本当に驚いた表情で無邪気に笑っています。

千春が佐原家の隣人だという由美子の懸念は的中したのです。表面上は笑みを浮かべていますが、
由美子は少し迷いを抱えていました。そして、迷った末に結論を出していました。千春とはこれか
ら先も親しく付き合うつもりですが、この事件については軽々しく話題にすべきでないと由美子は
決めたのです。隣人ですから、あるいは幸恵失踪事件について千春は何らかの情報を持っているか
もしれませんが、千春から先に話題を出さない限り、由美子からこのことを話題にしないと決めて
いたのです。

一方・・、千春は千春で、由美子と愛が佐原家と付き合っていたことを知ってびっくりしながらも、
どこまで佐原家の事情を知っているのか・・、知らないのなら、どこまで事実を二人に話していいも
のか・・、千春なりに悩んでいたのです。

幸恵の失踪を手助けし、佐王子の店を紹介したのは千春です。そして千春も少し遅れて幸恵と同じ店
のソープ嬢となり、幸恵の借りているアパートで一緒に男遊びをする仲になっているのです。

千春自身のことは二人には何も隠すつもりはないのですが、こと幸恵に関しては事実を話すことはで
きないのです。佐原家とはただの近所付き合いの仲だと二人には話そうと、千春は腹を固めているの
です。女三人、こと佐原家に関しては互いの腹の内を探り合う対決になっているのです。

「佐原さんの奥様はよくご存じなのですか…」

由美子がそれとなく探りを入れています。

「ハイ・・、
実の娘のように可愛がっていただいております・・。
家の子なんか・・、私より幸恵さん・・、奥さんの名前ですが・・、
幸恵さんの方が良いというのですよ・・・、
今日だって、私の勤めがある日ですから・・、
幼稚園から帰ったらまっすぐ幸恵さん家に行っているはずです・・」

「千春さんがお勤めの時は幸恵さんがお子さんを預かることになっているのですね、
まるで実家の母親のようですね・・、うらやましい・・」

「由美子さんのご実家は…?」

「母は私が結婚した年に亡くなりました…」

「それは失礼しました…、お寂しいですね・・」

どこまで行っても、由美子と千春の会話は核心に迫りません。傍で聞いている愛は事情がある程度
読めるだけにイライラしています。愛が覚悟を決めました。

「幸恵さんと、千春さんは同じ店にお勤めなんでしょう・・?」

「・・・・・」

「・・・・・・・」

愛の爆弾発言に由美子も、千春も目を見開き、あぜんとしています。そして、突然二人は笑い出した
のです。かなり大声で笑い続けています。一人、愛だけが苦虫をかみしめたような膨れ面をしていま
す。


[35] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(490)  鶴岡次郎 :2016/08/12 (金) 15:27 ID:A7svNszk No.2888

「なあ・・んだ・・、そこまでご存じなのですか・・・、
なら・・・、何も隠すことはありません・・。
幸恵さんの失踪を手伝い、ソープ勤めを勧めたのは私と佐王子さんです・・。
そして・・、幸恵さんの後を追うようにして私もお店勤めを始めました・・」

笑いをこらえながら千春が告白しています。

「実は・・・、私・・・、
幸恵さんの事件を調査した探偵社の臨時職員なのです。
私の勧めで、佐原さんが幸恵さん失踪の調査を私の事務所に依頼され、
私もその調査に参加することになりました。
それで・・、佐原家の事情はかなりよく知っています。
幸恵さんのアパートで、彼女と面談したこともあります・・・」

「エッ・・、あのアパートへも行ったことがあるのですか・・・、
そうですか。あのアパートも知っているのですか・・・」

5Pなど派手な男遊びをそのアパートでやった経験があるだけに、幸恵のアパートを由美子が知って
いると聞いて、千春は少し気の引ける感じになっています。

「千春さん・・・、
一つ聞いてもいいですか・・・・」

「ハイ・・・、どういうことでしょうか・・・、
由美子さんと愛さんになら何でも答えられそうです・・・」

「ありがとうございます…、
それでは・・・、単刀直入にお尋ねします…」

千春の好意的な発言に由美子がにっこり微笑んでいます。

「千春さんと、佐王子さんはなぜ幸恵さんにソープ嬢の道を勧めたのですか・・、
幸恵さんにソープ嬢の道を勧める際、迷いはなかったのですか…」

「ソープ嬢は幸恵さんご自身が選ばれました。
私と佐王子さんはそのお手伝いをしたのです」

「・・・・・・」

「事実はこの通りですが・・・、
これでは由美子さんの疑問に答えたことにはなりませんね…」

「・・・・・・・」

由美子が無言でこっくり頷いています。

「幸恵さんをなぜ止めなかったのかと・・・、
不審に思っているのですね・・・」

「はい・・・」

素直に由美子が頷ています。幸恵が望んだにしろ、その世界のことをよく知っているはずの佐王子
が、なに不自由なく暮らしている、ずぶの素人である幸恵のソープ嬢転身を本気で進めたことが由美
子には不可解なのです。店の利益を考えて幸恵をソープ嬢に堕とすような佐王子ではないと由美子は
考えているのです。

「由美子さんは佐原さん夫妻のこと、どの程度までご存じなのですか・・・、、
佐原さんから、ご夫婦の事情を聞かれているのですか・・・・?」

千春が由美子に質問しています。かなり深刻な佐原夫妻の問題だけにうかつに話すことが出来ないと
千春は思っている様子です。

「佐原さんからはかなり突っ込んだ話を伺っています・・。
おふたりの間には、何年も夫婦の交渉がない状態であったこと、
そんな状況下で、佐原さんがSMクラブに通い詰めるようになり、
そこでやや変則的な性交を楽しむようになっていたことなどを、
佐原さんは私と愛さんに話してくれました・・」

「ああ・・そこまでご存じなら、隠すことは何もありません…」

由美子の返事を聞いて、千春が安どしています。


[36] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(491)  鶴岡次郎 :2016/08/23 (火) 15:27 ID:B/.bqhCM No.2889

「当時、幸恵さんはパソコン教室に通い始めた頃で、まだ彼女専用のパソコンを持っていなかった
時、夫の留守中、彼のパソコンに単純に興味を持ち、教室で教えられた通り操作して、パソコンの中
にあるファイルを偶然開くことに成功したのです。まさか妻がパソコンを操作できると佐原さんは
思っていませんからパスワードさえ設定していなかったのです・・・」

千春の説明に由美子と愛が軽く頷いています。どうやらここまでの経緯を二人は承知している様子で
す。

「やはりそうでしたか・・、
パソコンの中にある動画とか写真を見て、
幸恵さんは夫の秘密を知ったのですね…・
佐原さんもその疑いが一番濃いと言っていましたが・・・・、

話を聞いた私たちも、その可能性が高いと思ったのですが、
幸恵さんはパソコンを操作できないと聞いていましたから、
どのようにしてその秘密を知ったのか、不明だったのです…・・」

由美子が納得の表情で口を開いています。

「最初、幸恵さんの失踪原因には全く心当たりがないと佐原さんは言い張っていたのですが、私たち
とのおつきあいが深まるにつれ、心許すようになり、自身のSM趣味を告白してくれたのです。そし
て、もし・・、幸恵さんが何らかの手段で、または偶然の機会を得て、夫の秘密・・、変態的なSM
趣味・・、の存在を知れば彼女が怒りと失望から失踪しても不思議はないと明かしてくれたので
す・・」

由美子の説明に千春が頷いています。

「確かに・・、パソコンの秘密ファイルを覗いたことが、幸恵さんが失踪を決意したトリガーに
なったことは間違いないのですが・・・・、失踪を決意したのは、佐原さんに対して怒りや失望を抱
いたからではありません・・」

「エッ・・・・、
怒りや失望から、夫が嫌になり、失踪したのではなかったの…?」

愛がびっくりして大きな声を出しています。

「夫の悪趣味を知って幸恵さんが怒りや失望から失踪したのかとの質問であれば・・、
それは間違っていると言えます・・・」

「そうなの…、
何年も尽くしてきた夫に裏切られ、
悪趣味な夫の行為に嫌気がさして・・・
何もかも、どうでもいいと思うようになり・・、
それで・・・、自棄になって、ソープ嬢に落ちたのかと思っていた…・」

意外な事実を知り、愛が驚いています。一方、愛ほど驚いた様子を見せないで、由美子は何か物思い
に耽る様子です。

「では一体・・・、何が幸恵さんを失踪させたの…、
素人の幸恵さんを突き動かし、
ソープ嬢に身を落とす決意をさせたのは何なの・・・・?」

愛がほとんど叫ぶように問いかけています。

「パソコンの中でSM遊戯に溺れこんでいる佐原さんを見て、
彼を軽蔑したり、彼のやっていることを幸恵さんは非難したりしなかった…。
それどころか・・・、
彼がそんなに溺れている遊戯であれば、それをもっと詳しく知りたい・・、
できることなら・・・・
彼女自身もその遊戯に加わり、彼を喜ばせ、彼と一緒に楽しみたい・・、
そう思ったのです・・・・」

「・・・・・・・・」

千春の言葉に愛が絶句しています。それほど大きな衝撃を受けたのです。

「う・・・・ん・・・・、
素晴らしい・・・、素晴らしい発想ね・・・、
私・・・、そんな発想が出来る幸恵さんが好きになってきた…・」

愛が手放しで幸恵を褒め、由美子も笑みを浮かべて頷いています。

「男たちが思うほど、女はSM遊戯に興味を持たないものだけれど・・・、
愛する夫のためなら、幸恵さんは自分を犠牲にすることなど、気にもかけないで、
夫の趣味に付き合うと決めたのね・・・」

愛が興奮して話しています。

「その通りよ・・・、
旦那様と一緒に遊ぶため・・、夫を喜ばせるため・・、
SMクラブの女と同じテクを身につけたいと幸恵さんは思ったの・・」

「そこまでやるの…!
それで・・、ソープに勤めることにしたのか…!」

愛は凄く驚いた表情で、ほとんど叫ぶように声を出しています。


[37] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(492)  鶴岡次郎 :2016/08/25 (木) 12:09 ID:Xitas282 No.2890
一方、由美子は冷静で、微笑みを浮かべて千春の説明を受け入れているのです。そんな由美子を不審
そうに千春が見ています。

「由美子さん・・、あなたにとっては・・・、
幸恵さんの発想と行動は意外なものではないようですね・・、
もしかして・・、この経緯を知っていたのですか…・・」

「いえ・・、初めて知りました…、
でも・・、幸恵さんの発想と行動に私は共感できるのです。
千春さんの説明を聞きながら・・・、
もし・・・、私が幸恵さんの立場に立てば・・・、
私も同じように考え、同じ行動をしただろうと・・・、考えているのです・・」

「ああ・・・、そういうことですか・・・、
素晴らしいことですね・・・
由美子さんは幸恵さんと同じ発想が出来るのですね・・・・、
私は違いました…・、
初めて幸恵さんの話を聞いた時、
私は怒りで我を忘れ・・、
直ぐ、旦那様と別れなさい・・!・・・と、言いました・・・・」

「私も・・、
きっと千春さんと同じ反応をすると思う・・・」

愛が千春の言葉に同意を示しています。

「もし・・・、
幸恵さんが・・、私や、愛さんと同じ反応を見せていたら・・、
幸恵さん夫婦の仲はどうなっていただろう・・・」

千春が呟いています。

「たぶん・・・、夫婦仲は完全に崩壊し、
佐原さんも、幸恵さんも、今頃は、一人寂しく暮らしていると思う・・」

愛が千春のつぶやきに返事をしています。

「だとしたら・・・、
幸恵さんや、由美子さんの判断が正しいことになる…」

千春が答えています。

「必ずしもそうだとは言えない…、
夫の裏切り、秘密を知った時、幸恵さんは当然、絶望し、怒りでいっぱいになったと思う。
でも・・、旦那様を愛する気持ちが彼女を立ち直らせたのだと思う・・」

由美子が解説しています。

「・・と言うことは・・・、
私たちの夫への愛情が少ないということかしら・・・、
ふふ・・・・・」

愛がすかさず由美子の言葉に絡みついています。からかっている様子で笑みを浮かべているのです。

「そう取るのは勝手だけど…、
夫への愛情が強すぎて、裏切った夫をどうしても許さない女だっているはず、
むしろ、その方が女として自然で、私や幸恵さんのように冷静に対応する女を、
男性は敬遠するかもしれない・・・」

笑いながら由美子が答えています。

「人それぞれ、その時の状況に応じて・・
いろんな反応をするものなのね…・・
何が正しくて、何が間違っているか・・・、
人それぞれ、その立場と、置かれた状況で、判断が分かれるのね…」

千春が呟くように言い、そこで口を閉じています。その場に静かな沈黙が広がっています。女三人、
それぞれの思いで自身の胸の内を確かめている様子を見せています。


[38] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(493)  鶴岡次郎 :2016/09/05 (月) 14:44 ID:mhK4LO7o No.2891

しばらく静寂が続きました。女たちはそれぞれ自身の心の中を覗き込み、いろいろ考えている様子を
見せています。やがて・・、由美子がゆっくりと口を開きました。

「夫婦の仲は、何が正解で、何が間違っているか、
人それぞれと言うことかしら…、
私のようにみだらな女でも妻として夫は認めてくれている…。

ありがたいと感謝はするけれど・・・、
私が間違っていると人から言われると反論したくなる…。

私たちの夫婦仲を考えるのは後にして・・・、
話を佐原さん夫妻の事件に戻してもいい・・・」

由美子の言葉に、にっこり微笑み、千春がこっくり頷いています。

「私の想像だけど…、旦那様の秘密を偶然パソコンの中に見つけた幸恵さんは、そんなに悩まない
で、直ぐに旦那様好みの女に変身する決意を固めたと思う・・。
しかし、奥様育ちの幸恵さんにはSM遊戯を学ぶ方法など判るはずがない…。
そこで千春さんを思い出したのだと思う・・・」

千春が軽く頷いています。由美子の想像が当たっているのです。

「自分よりかなり若いけれど、その道で苦労している千春さんなら、
きっといいアイデアを出してくれると思ったのね・・」

愛が口を挟んでいます。

「その通りです・・、
突然訪ねてきて、大切な相談があると言った・・・。
秘密のビデオを見せてくれて…、
ソープ嬢になりたいと告白した・・・」

千春が答えています。

「・・・で、
ハイ・・、判りました、協力しましよう・・と、答えたの…?」

愛が真剣な表情で質問しています。

「冗談言わないで・・、
愛する旦那様を思ってのこととはいえ・・、
一歩間違えば、夫婦仲が破滅する危険な行動です・・・、
そんな危険な行為に同意するわけがありません…。
私はその場で断り、思い直すように幸恵さんの説得にかかりました」

「・・・・・・・・」

由美子も愛も黙って聞いています。

「しかし…、幸恵さんの決意は固かったのです・・。
私には迷惑をかけないから、お店を紹介してくれの一点張りです・・、
それで、保さん・・、ああ・・、佐王子さんに相談すると約束しました。
幸恵さんは随分と喜んでいました・・・、

私に頼ったのは、佐王子さんを紹介してほしかったからだと思います。
私は私で・・、佐王子さんの口から、その道の恐ろしさを語ってもらい、
幸恵さんの決意を変えさせるつもりで、幸恵さんの思いを彼に伝えることを約束したのです・」

「・・・・・・・・」

何か質問したそうな様子を愛が見せたのですが、由美子が口を開かないのを見て、ここは黙って聞く
気になった様子で、神妙な姿勢を見せています。


[39] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(494)  鶴岡次郎 :2016/09/08 (木) 16:27 ID:s6ryXkKA No.2892
「結論から言えば、佐王子さんは何の役にも立ちませんでした。
事前に事情を詳しく説明し、その業界の恐ろしさを誇張して教え、
なんとか幸恵さんの決心を変えさせてほしいとお願いしていたのですよ…。
それだのに・・・・」

恨めしそうな表情で千春が語っています。この話題になると今でもすっきりしない気分になるようで
す。

「一通り幸恵さんの話を聞き、幸恵さんが持ってきたパソコンのファイルを見て、
佐王子さんはあっさりと幸恵さんの申し出を引き受けたのです。
今日からでも彼の店で働いて良いと告げ、3ヶ月も働けば、パソコンの中に居る商売女以上の技量を
身につけることが出来ると保証したのです・・」

千春の説明は続きます。かなり前の事件なのですが、千春は鮮明に覚えている様子です。それだけ記
憶に残る事件だったのだと思います。

「あろうことか・・、幸恵さんなら売れっ子になるとまで言ったのよ…・。
何も知らない、幸恵さんは嬉しそうでした…・・。
私・・、あの時の幸恵さんの無垢な笑みを思い出すと・・、
今でも、罪の意識にさいなまれる…・・」

千春が沈んだ表情で説明しています。

「そうですか・・、
佐王子さんが賛成したのですか・・・・、
失踪の形をとったのも・・、
佐王子さんのアイデアですね・・・」

由美子が質問しています。

「ハイ・・・、
幸恵さんが黙って家を出れば、幸恵さんからお仕置きを受けたと受け取り、
ご主人が悩むだろうと・・、少し佐原さんを困らせるのもいい薬になると、
佐王子さんが提案して、幸恵さんもそのアイデアに乗ったのです・・」

「迷うことなく、幸恵さんを失踪させ、
その日の内にソープ嬢に仕立て上げたのでしょう・・・、
そうすることが、佐原夫妻が幸せを掴む道だと・・、
佐王子さんは確信していたのかしら・・・?」

由美子が質問しています。

「さあ…、私には良く判りません・・・
私自身は当時も迷いましたし、今でも、あれでよかったのかと釈然としません・・。
ただ・・、幸恵さんも佐原さんも幸せそうなのが、今となっては救いです…」

千春が自信無さげに返答しています。ここへきて、由美子も愛も、同じ気持ちらしく首をかしげてい
るのです。男と女の考え方の差と言ってしまえばそれまでなのですが、佐王子の思い切った対応は到
底女達には理解できない様子です。


[40] フォレストサイドハウスの住人達(その14)(495)  鶴岡次郎 :2016/09/09 (金) 13:57 ID:YI8FfAAc No.2893
「私・・・、思うんだけど…、
さすがの佐王子さんでも、その時は確信まで持てなかったと思う・・・
迷いながら、幸恵さんの気持ちを優先させたのだと思う…・
けなげな幸恵さんの気持ちを大切にしたいと彼は思ったのよ…」

愛が突然口を挟んできました。

「うん…、私もそう思う…、
幸恵さんの気持ちは本当に純粋で、誰でも応援したくなるから・・・、
佐王子さんもその気持ちを大切にしたいと思ったに違いない・・・」

千春が頷きながら愛に同意を示しています。

「でも・・、
もし、佐原さんが幸恵さんの気持ちを正しく理解しなかったら…、
仮に・・、理解できたとしても・・、
汚れてしまった妻を許せる度量を佐原さんが持っているのか・・・、
そんな心配を佐王子さんは抱かなかったのかしら…・」

由美子がひとりごとのように呟いています。彼女自身へ問いかけているようにも聞こえます。

「幸恵さんの佐原さんを思う強い気持ちに打たれ、一方では、高い社会的地位にある佐原さんの人物
を評価して、この夫妻であれば、少しくらい危ない賭けをしても、どん底まで転落しないと佐王子さ
んは読んだのだと思う。

万が一、賭けに失敗して、佐原さんご夫婦の仲がこじれても、お二人なら時間をかけて修復できるは
ずだと、佐王子さんは読み切っていたのだと思う…・」

由美子の問いかけに愛が返事をしています。

「なるほど、愛さんの説には一理ある…、
もし・・、私が当時の幸恵さんの立場に立っていたとしたら・・・、
佐王子さんは、ソープ嬢への道を私には与えないと思う・・・、
何故なら、スケベーな私は直ぐに娼婦の道に溺れ、どん底に落ちることになるから・・・、
むしろ・・、尼さんに成れというかもしれない・・、ハハ・・・」

千春がおどけて愛の説明に同意を示しています。由美子もつられて笑っています。

「それにしても…、
不思議な縁と言えば、それまでのことだけれど・・、
ほんの数時間前までは、互いに名前さえ知らなかった私たちが、
10数年来の親友のように互いの秘密さえ共有するようになっている・・・」

「そうね・・、そういわれれば、不思議なことね・・・、
でも・・、ちっとも違和感はない・・、
こうして三人で、私の店の中に座っているのが普通に思える・・」

愛の言葉に千春と由美子が大きく頷いています。

「たまたまあの日、公園を通りがかった私が、普段は利用しないトイレへ入り、そこで一生忘れられ
ないトラック事件にかかわりを持った。そして、一方では、千春さんを知る以前に、千春さんのお友
達である幸恵さんの旦那様と偶然、公園で知り合い、私も愛さんもどっぷりと幸恵さん失踪事件にか
かわりを持つことになっていた・・・」

「そのままで終わっていれば、千春さんのトラック事件と幸恵さんの失踪事件は、由美子さんと私の
中では決して重なることはなかった…。
二つの独立した事件として、いつまでも私たちの記憶に残っているだけだった…」

「私が余計なあがきをして、由美子さんを探し出し、
二つの事件を重ね合わせることになった・・
なんだか・・、悪いことをしたような気がする・・・・」

「ううん・・、これも運命なのよ・・・、
神様か・・、何かわからない力が働いて千春さんを動かした。
公園で幸恵さんの旦那様を見かけ、この売店にお連れした時から、
今日の結果と成り行きは、決まっていたと私は思っている…。
私たち三人はいずれ、こうして友達になる運命だったと思う…」

「そうね・・、運命だね・・、
二つの事件とも泉の森公園が事件の発端場所であり、
私の売店で事件はさらに成長した・・・。
そう考えると、この狭くて、汚いこの売店もまんざら捨てたものではないのね・・。
これからも、この売店でいろいろな事件が起きるような気がする…。
さあ・・、おしゃべりを一休みして・・、お茶にしましょう…。
いつものように、お一人様150円いただきます・・・・」

売り物の缶コーヒーと駄菓子が三人の前に出されました。三人の女の会話はとどまることがありませ
ん。これから先、いくつかの事件がこの場所で語られ、三人の女はそれぞれにその事件にかかわりを
持つことになります。いずれ、面白い事件が起きたなら、また立ち寄ることになると思います。


[41] 新しい章へ移ります  鶴岡次郎 :2016/09/19 (月) 14:29 ID:J9vM0XIA No.2894
新しいスレを立てます。 ジロー


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フォレストサイドハウス(その13) - 現在のレスは44個、スゴイ人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2016/02/12 (金) 16:28 ID:A7svNszk No.2806

山口と千春の問題は大事にならずにひとまず治まりました。それでも、二人の関係は完全に切れた
わけでなく、再会して肌を合わせ、互いの愛を確かめ合ったことで、二人の間には新たな関係が出
来上がった様子です。これから先、山口が千春の勤めるソープ店に訪ねてくる可能性はかなり高い
のです。山口に迫られれば千春は簡単に落ちる雰囲気です。その上、山口との関係を千春の夫、浦
上三郎は何となく認めている様子です。これから先、山口と浦上夫妻の間に何事か起こりそうな気
がします。今回は久しぶりに由美子を登場させます。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。
卑猥な言葉を文脈上やむを得ず使用することになりますが、伏字等で不快な思いをさせないよう注意
しますが、気を悪くされることもあると存じます。そうした時は読み流してご容赦ください。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示
  します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
 ていただければ幸いです。


[35] フォレストサイドハウス(その13)(450)  鶴岡次郎 :2016/04/18 (月) 16:28 ID:yyReHfXA No.2841

「一度食べたら忘れられない味と言われても・・・、
ようするに、食べてみないと判らないということね・・・、
千春さんがお膳立てをしてくれれば、ごちそうになってもいいけれど、
こればっかりは、そういうわけには行かないね・・・。
由美子さんはどう思います・・・」

「そうね・・・、確かに・・・、
大きくなくても、凄い人はいるものよ…」

思い入れたっぷりに由美子が答えています。どうやら過去に味わった男の味を思い出している様子で
す。

「由美子さんもそんな男の味を知っているようね・・・、
もしかして・・、由美子さんも・・・、
佐王子さんを食べたことがあるの…?」

「ちょっと…、止めて…、
冗談でもそんなこと言わないで…」

「アハハ…・、悪い冗談だね・・・、ゴメンナサイ・・・、
私だけがその味を知らないから、嫌味を言いたかったのよ・・・」

愛の冗談に由美子がかなり慌てています。調子に乗って悪い冗談を言ってしまったと愛は潔く頭を下
げています、一方千春は冷静な表情で由美子を見ているのです。由美子の様子から彼女なりに何かを
感じ取ったのかも知れません。

「由美子さんまでそういうなら・・・、
そうかもしれない・・、
男はただアレが大きいだけではダメなのね・・・」

「そうです・・・
愛さん・・、男の味はサイズで決まるわけではないのです…、
判ってください…」

「アレの味は大きさだけで決まるわけではないということね・・、
奥が深いね…、
どうやら私にはこの話題を論じる知識も経験も乏しいようだね…」

これ以上この話題を続けるべき知識も、経験もないと愛は判断した様子です。これで男性器に関する
熱い議論は終わるかと思えたのですが、どうやら千春は佐王子の男性器に関連して、別の疑惑を抱え
始めている様子です。

「由美子さん・・・、
間違っていたらごめんなさいね・・・」

思い切った様子を表情に浮かべて、千春が由美子に声をかけました。

「もしかして・・、
由美子さんは佐王子さんを以前から知っているのではありませんか・・・、
男と女の関係を持ったことがあるのではありませんか・・・」

「・・・・・・」

千春が笑みを浮かべてゆったりと質問しています。質問の内容は、唐突で、かなり挑戦的なものです
が、それでも決して詰問調の問いかけではありません。慌てる様子を見せないで由美子はただ黙って
千春を見ています。沈黙を保っているのは心の動揺を表に出さないためかもしれません。


[36] フォレストサイドハウス(その13)(451)  鶴岡次郎 :2016/04/20 (水) 15:36 ID:0/SPKTpw No.2842

「佐王子さんはその道のプロですから、過去にも現在でも、たくさんの女性と関係を持っていること
はよく知っています。私のマンションに限っても10人を超える女性と関係があるのを知っていま
す。妬けないと言えば嘘になりますが、それがあの人の稼業ですから、あきらめて現状を受け入れる
ことにしているのです」

千春がゆっくりと説明しています。由美子は平静な表情で千春を見つめています。しかし笑顔はあり
ません。由美子と千春の間に火花が散っているのに気が付いたのでしょう・・、愛は困惑した表情を
浮かべて二人の表情を交互に見ています。

「それで・・、もし・・、
由美子さんと彼の間に何らかの関係があったにしても私は驚きません。
もしそうした関係があったのなら・・・、
むしろ、うれしい…、そう思えるのです・・」

「困ったわね・・・、
どうして気が付いたの…」

「私が佐王子さんのことを説明し始めた、その時・・、
由美子さんは『珍しい名前ね・・』と言って突然口を挟んできた…。
そして、佐王子さんの年齢を聞いた・・。
愛さんと違って・・・、
私ごとき女が口にした男の話を聞いて、
直ぐに反応する由美子さんではないはずと思っていたのです・・・、

ああ・・、ゴメンナサイ・・、愛さん・…、
軽蔑しているわけではありません・・。
ただ・・」

「いいの、いいのよ・・・、
こと男女のことに関して、私は好奇心が旺盛だから・・」

愛が笑って答えています。

「それが・・、あのレスポンスでしょう・・、
単純にびっくりしたのです…・」

「・・・・・・・」

「もしかしたら…、
私の佐王子さんを・・・、
由美子さんは知っているかも・・・と、
そう思いました・・・」

「鋭いね・・・・・・」

「そして・・、愛さんが佐王子さんのサイズを話題にして・・、
それほど大きくないと私が言った時・・・、
由美子さんが・・、ゆっくり、何度も、頷いていたのです…。
由美子さんは佐王子さんとアレを食べたことがあると・・、
この時、確信しました・・」

「そうなの…、困ったものね・・・、
うっかり本音を漏らしてしまったのね・・・
まだまだ未熟だね…・」

由美子が苦笑しています。

「そして・・、はっきり・・、思い出したのです…・
以前・・、大分・・、前のことですが・・・、
佐王子さんの口から聞かされた話を思い出したのです。
しばらく忘れていたのですが、今、鮮やかに思い出しています…・」

「・・・・・・」

意外なことを話し出した千春の表情を愛も、由美子も見つめています。


[37] フォレストサイドハウス(その13)(452)  鶴岡次郎 :2016/04/21 (木) 14:19 ID:uYCjRJPM No.2843
「結婚した後…、
体の中で悪い虫が騒ぎ出し、夫と佐王子さんが相談して、
佐王子さんに再び抱かれるようになった頃でした…」

千春がその時を思い出しながら、豊かな笑みを浮かべて話し始めました。

「夫が認めてくれているとはいえ、
人妻が他の男に抱かれるのは異常なことです。
肉体は満足しても、心は日々すさんで行きました。
佐王子さんに抱かれた後、
罪悪感と自己嫌悪感で押しつぶされそうになっていた時・・、
保さん・・・、いえ・・、佐王子さんが・・、
慰めと元気づけのために、こんな人もいるよと・・、
ある女性の生き様を話してくれたことがあったのです・・・」

「その人が・・、由美子さんだったのね…・」

「ハイ・・・、その時に限らず私が行き詰まった時、佐王子さんは私にいろいろと女の生きる道を
教えてくれました。そしてその都度、彼は具体的に実在の女を登場させて、その女の生き様を話し
てくれるのです。勿論名前までは明かしてくれませんが、彼の話に登場する女たちはみんな彼が抱
いた女だと私は気が付いていました。感銘する話も多いのですが、どちらかと言うと、反発を感じ
る話の方が多かったと思います・・・」

「それはそうだね・・・、
他の女の話は、それがいくらありがたいお説教でも、
女にとっては、ごめんこうむりたいものだからね・・・、
それが判らない佐王子さんではないと思うけれどね…、
多分・・、千春さんを理想の女に育てるため、
野暮だと知りながらも、嫌われる仕事を買って出ているのね・・」

「そうかしら・・、
私を恋愛対象の女と見ていないのだと思います…、
いつも、自分の娘に説教するような口ぶりです…。
散々に抱いていながら、女とみなしていないなんて・・・、
失礼なことだと思いますが・・」

やや不満そうな口調ですが、千春の表情は笑っているのです。

千春が語り続けます。

「当時、彼はある闇の組織に身を置いていて、同じ組の者からでさえ嫌われる売春組織の一員でし
た・・。その女の方と出会ったのは、そうした闇社会で活動中のことだったそうです。その方は表
向きは堅気のサラリーマンの妻で、小学生と中学生になる子供を育てながら、一方では、著名な的
屋の親分の情婦でもあったのです・・」

話し始めると忘れていた内容が鮮明に思い浮かんでいる様子で、よどみなく話し続けているのです。


「的屋・・、知っているか・・?・・・、そうだ・・、その通りだ・・・、古い言葉で最近はあまり
使わないが、お祭りなどで屋台を出している業者のことをそう呼んでいるのだ。正業のないヤクザと
は基本的に違うのだが、それでも彼女が育った社会では親しくなる機会がなかった別世界の人である
のは確かだ・・。その夫人はある事情から的屋の親分の愛人になった。勿論その方のご主人も承知の
上でのことだ…・」

佐王子はその女のことを千春にこのように紹介したのです。

「その親分の愛人となった夫人は、その日から毎日のように親分に抱かれるのは勿論のこと、月の内
何度か、仲間の親分衆へも貸し出されるようになった。それが彼らの習慣だったのだ。こうして、夫
人は毎日のように違う男を相手するようになり、抱かれた男の数もあっという間に100人を超え
た。普通の家庭の主婦であった夫人が娼婦並の男性経験をすることになったのだ。

このように話すと、夫人は堕ちるところまで堕ちた場末の娼婦の様に変貌したと思うだろうが、上品
な雰囲気は変わらず、ただ、多数の男達と接した結果、一寸した仕草ににじみ出る色香がさすがと思
わせるほどすごいものに変わって、もう・・、誰も近づけないほどの雰囲気を持った女に成長してい
た・・・・・」

その夫人にかなり入れ込んでいる様子を隠さないで佐王子は話していました。


[38] フォレストサイドハウス(その13)(453)  鶴岡次郎 :2016/04/22 (金) 16:29 ID:fr9XWKa6 No.2844

「もともと稀代の才能に恵まれていた夫人の性感は、激しい情交を重ねることで大きく花開いた。夜
の夫人は昼間の淑やかな様子からは想像もできないほどすごかったと思う・・・。おそらく一度でも
その女に接した男は生涯彼女の虜になるほどだったと思う。その証拠にこと女性に関しては、百戦錬
磨の全国の親分衆が列をなしてその夫人を抱く順番を待っていると噂されていたほどなんだ…。勿
論、ご主人も夫人のその変化を歓迎されていた・・・」

「でも・・、いろいろな男の味を知ったら、女は元へは戻れないと思う・・、
結局、その夫人はご主人の元を離れ、家庭は崩壊し、
いずれ、彼女自身はどん底の社会に堕ちることになるのでは・・」

千春が当然の質問をしています。

「そうだね・・、夫人のような環境に堕ちた女のほとんどは、
二度と這い上がれない社会の底辺に落ちるものだ・・・。
俺も・・、そんな女を数え切れないほど見てきた…」

千春の追及にあっさり佐王子が折れています。できれば反論してほしいと思っている千春は少し不満
げにしています。

「主婦が体の欲するままに男遊びをすれば、彼女の家庭が崩壊し、いずれ女は社会の底辺に落ち込ん
で行く…、これが一般的な結果だね…。

しかし、その夫人の場合は違った・・・、
一年経っても、三年経っても、彼女は勿論、彼女の家庭も変わらなかった…」

「・・・・・・・」

その訳が知りたいのだと、千春は黙って佐王子を見つめています。

「実を言うと、私も一度その夫人と接したことがある。
その時感じたのだが、私と一緒に居る間・・・、
私の腕の中では、夫人は完全に私の女になっていた・・。

ご主人のことも、情夫である親分のことも、全部忘れて、
私のことだけを考えている雰囲気だった。
私自身は『夫人に愛されている』と、全身で感じることが出来た。

そうはいっても私もその道のプロだから、女の演技に騙されることはない。
そんな私が『・・・惚れられている・・』と感じたのだから、
姐さんはあの瞬間、本気で、私に惚れていたに違いないと思う・・・」

「・・・・・・・・・」

他の女との関係をここまであからさまに千春に話したことがありません、うっかり口が滑ってし
まったのです。千春の反発を待っていた佐王子ですが、彼女が口を開かないのを知り、また話し始め
ました。

「全てが終わって、衣服を着けてお話しする段になると、その時は礼儀正しい令夫人の居ずまいに
戻っていて、わずか30分前、私の腕の中で娼婦の様に悶えた夫人の姿はどこにもなかった」

「・・・・・・・」

何か言いたそうなそぶりを見せるのですが、心のもやもやが言葉にならない様子で、千春はじれった
そうにだんまりを続けています。


[39] フォレストサイドハウス(その13)(454)  鶴岡次郎 :2016/04/27 (水) 11:46 ID:bFrLtGJ6 No.2845
佐王子と女の濡れ場を詳しく聞かされても、千春がそれほど不愉快な様子を見せていないと思ったの
でしょう、佐王子はさらに話を続けました。ここまで話してしまった以上、今日は、この場で、日頃
考えていることをすべて吐き出すつもりになっている佐王子です。

「その時になってようやく気が付いた・・・。
夫人が俺に惚れていたのは確かだが・・・、
それは30分前のことで、
今、衣服を着けて目の前に座っている夫人は別の人だと悟った・・・」

「・・・・・・・」

不審な表情を浮かべ、それでも真剣に佐王子の話を聞こうとしている千春の態度を見て満足したので
しょう、小さく頷きながら佐王子はさらに話を続けました。

「夫人を抱いている時、私は夫人から惚れられていると感じたのだが・・、
それは夫人の演技のせいでもなく、俺の思い込みでもなく、
間違いなく夫人は俺に惚れていた…・。
それは間違いのない事実だと今でも確信している…・・」

千春の表情を見ながら佐王子は言い切りました。千春が軽く頷いていました。佐王子ほどの男がそう
言い切る以上否定する材料がないのです。

「そしてわたしは別のことにも気が付いた。
夫人の態度は、それが私に限ったことではなく、
他の男に抱かれている時も同じなのだと気が付いた。

夫人はすべてを忘れ、その男に惚れこみ、その男の女になって情事に没頭し、
事が終われば、寝室での戯事をすべて忘れたかのように他人の関係に戻る。
夫人にはそんな切り替えのできる天性の才能が備わっているのだと悟った・・」

千春がびっくりした表情で佐王子を見つめ、佐王子の言葉に反論するそぶりを見せました。それで
も、彼女はかろうじて気持ちを抑え込み、口を閉じていました。今は、軽はずみな異論を出さず、最
後まで佐王子の説明を聞くべきだと判断した様子です。彼女が抱えている疑問が判ったのでしょう、
その問いに答えるように佐王子は説明を続けました。

「それが、それこそが、その女の演技なのだと・・、千春は言いたいのだろう…。
確かに・・、普通の女がそんなことをすれば、どこかにほころびが出て、男たちの嘲笑を受けること
になるものだが、夫人の場合は、その切り替えがあまりに見事で、男達は夫人の演技を喜んで受け入
れ、その演技を楽しむことになるのだ・・・。
いや、ここまで来れば演技と呼ぶべきでない・・、
ベッドでの夫人も・・、目の前の夫人も・・、
間違いなく夫人の素顔そのものだと思った…」

「・・・・・」

そんなことが出来るはずがないと千春は思っている様子で、不満そうな思いを表に出しています。
それに構わず佐王子は話を続ける様子です。

「男と居る間は娼婦と化し、家庭に戻ればいい妻であり、優しい母に戻っている。勿論、何もかも
知っていながらそんな夫人を信頼し、心から愛しているご主人も素晴らしいと思う、並の男ではとて
もできないことだと思う。そして、娘さん達は、もちろん夫人の乱行を知ることもなく、お二人から
愛情をたっぷり注がれ、すくすくと成長され、それぞれに大学を出て、独立され、今ではそれぞれに
幸せな家庭を築かれていると聞いている」

「私も・・、その奥様のような生き方が出来ると、言うのですか・・?
主人を愛する一方で、何人もの男に抱かれ、
その都度その男たちに心の底から夢中になり、
ことが終われば、他人に戻れ・・・、と言うのですか・・・・。
無理・・、無理・…、
想像するだけでも、私にはとてもできそうもない…」

少し怒気を含めて千春が佐王子に食いついています。

「誰にでもできることではないと思う。
そのような女性の生き方には、それをうまくやるための、方法論や、精神論は存在しないと思う。
また、誰かに教えられて、出来ることでもないと思う…。
言葉を変えて言うと、選ばれた女性だけが出来る生き方だと思う…。

俺が千春に言えるのはここまでだ…・、
これから先は、千春自身が考え、経験を重ねた末・・・、
千春自身の生き方を見つけ出すことだ・・・・」

ここで佐王子は言葉を飲み込んで、じっと千春を見つめています。千春は複雑な表情を浮かべ、必死
で何かと戦っている様子です。


[40] フォレストサイドハウス(その13)(455)  鶴岡次郎 :2016/05/01 (日) 11:07 ID:AsyGzxic No.2846

「結局、その時・・、
私にはその女の生き方が良く理解できなかった・・・、
反発する気持ちの方が強かったような気がする…。
佐王子さんも、それ以上のアドバイスはしなかった…

それで・・・、私はその夫人のことは意識して忘れることにした…・
私ごときでは、真似ることさえ難しいと思ったからです…
そして・・・、今日まで、彼女のことはすっかり忘れていた…・」

由美子と愛を前にして、千春は佐王子から聞かされたある女の生き方を事細かに説明しました。由美
子と愛がただ黙っています。

「いかがですか・・、
これが佐王子さんから聞いたある女の物語です・・・、
その夫人は今、目の前に居る方ですよね…・」

千春が笑みを浮かべて由美子に質問しています。

「偶然と言うのは恐ろしいモノね・・・、
それとも、これは神様が描いた私たちの運命かしら…・」

由美子がゆっくり口を開きました。

「そうよ、千春さんの思っている通りよ、
彼を知っている・・・・。
二度か、三度寝たことがある…、
もう何年も前のことだけれどね…」

「やっぱり…」

千春が少し気落ちした表情を見せています。愛はおろおろした表情を隠さないで二人の女の表情を交
互に見ています。少し気まずい雰囲気がその場を支配しています。

「千春さん・・・、
由美子さんの経歴を私が全部暴露したでしょう・・、
その時、どうして・・・
由美子さんがその女だと気が付かなかったの・・」

その質問にどのような意味を持たせようとしているのか意識しないで、愛が思いついたままを口に出
しています。質問を受ける千春の出方次第では気まずい雰囲気をさらに悪化させるかもしれないので
す。由美子がはっとした表情で千春と愛の顔を見ています。

「そうですよね・・、
もっと早く気が付くべきでした…、
由美子さんの愛人が的屋の親分だと教えられ、
かなり奔放に男性と関係を持っていると聞いたのですからね・・、
その時に、佐王子さんの話を思い出すべきでした・・
でも・・、私・・・、
本当に気が付いていなかった……」

千春自身も首をかしげています。

「顔を合わせたわけではないから・・、
他人の口から聞いた噂話だから・・・、
噂の人物が目の前に居ても、この人だと、判る人はむしろ少ないかも・・」

愛がとって付けたようにして慰めています。

「それは・・、そうかもしれないけれど…
それにしても不思議ね・・・」

千春自身、佐王子が話してくれた噂の女が、由美子だと気が付かなかった自身のうかつさに、本音で
驚いている様子です。


[41] フォレストサイドハウス(その13)(456)  鶴岡次郎 :2016/05/04 (水) 14:41 ID:/F13JabY No.2847

「私どうかしていたのかしら…、
由美子さんの経歴を愛さんから教えてもらった直後だのに・・、
噂の女を由美子さんとは思わなかったのでしょう・・、
あれだけの情報を与えられていながら・・、
気が付かないなんて…、
普通・・・、そんなことありえない……」

ぶつぶつ独り言を言いながら、千春がしきりに頭を捻っています。由美子の経歴を愛から教えられた
時、佐王子から聞かされていた的屋の情婦が由美子だと気が付かなかったことがかなり気になってい
る様子です。

「ああ・・、そうか・・・、
そういうことなんだ…・、

判りました…、
これこそが、由美子さんのミステリアスなところなのね・・、
男たちと同じように私も・・、
由美子さんのマジックに嵌っていたのですネ・・・。
ああ・・、スミマセン・・、マジックだなんて…・。
他に適当な言葉が見当たらないのです・・」

千春が少し大きな声を上げ、慌てて由美子に頭を下げています。由美子が苦笑いしながら首を軽く
振っています。

「そうか・・・、そうなのね・・・
私にも読めてきた…。
千春さんも由美子さんに騙された口なんだ…、
何百、何千と言う男たちと同じように、騙されたのね…」

「何よ・・、愛さん・・・、その言い方、引っかかるな・・・・
何百、何千の男をだましている性悪女のように聞こえますが・・」

「あら・・、違ったかしら…・
ハハ・・・…」

愛と由美子が朗らかに笑っています。

「愛さんのおっしゃる通りです・・。
私の中に居る噂の女のイメージと由美子さんが一致しなかったのです・・・。
あまりに違いがありすぎて・・、気が付きませんでした・・・。
佐王子さんの話を聞いてイメージしていた女性はもっと・・、
性悪女そのものでした・・・」

千春が朗らかな表情で話しています。

「ここへきて・・、初めて・・・
佐王子さんの言っていた由美子さんの凄さが・・・、
今、ようやく実感できました…・」

感動した面持ちを隠さないで千春が由美子に話しかけています。

「佐王子さんから由美子さんの生き方を教えられた時、
私はとうていそんな女には成れないと・・・、
強く反発しました…。
今の今まで、その女のことを意識して忘れるようにしてきました。

そんな女など存在するはずがない、
男たちは騙されているのだ、
女の私なら、簡単にその女の化けの皮をはがしてやる…。
そう思っていたのです」

千春が正直な気持ちを吐露しています。愛が軽く頷いています。

「由美子さんにお会いして、その神秘的な凄さがよく判りました。
佐王子さんが言っていたことが正しかったと素直に認める気持ちになりました。
これからは、少しでも由美子さんに近づきたい…、そう思っています・・」

「・・・・・・・」

由美子の手を取り、千春がほとんど泣きそうになりながら話しかけています。由美子が黙って頷いて
います。女の業にかかわる苦悩を共有する女二人、心がまた一歩近づいた瞬間でした。


[42] フォレストサイドハウス(その13)(457)  鶴岡次郎 :2016/05/05 (木) 17:45 ID:mhK4LO7o No.2848

その場が少しシリアスな雰囲気に変わっています。燃え盛る情炎をその内に抱え、毎日のように、数
知れない男たちの腕の中で悶え狂いながら、家庭に入ればいい妻を演じている由美子、そんな女の存
在を認めなかった千春がようやく由美子の実像に触れたのです。

由美子のような生き方をしたい・・。千春は心からそう思っているのです。一方、体と心のギャップ
と戦いながら、必死で生きる道を探し続けている千春の苦悩を由美子は誰よりも良く理解していまし
た。そして、由美子の苦悩とこれまでの血の滲むような努力を一番理解してくれるのが、知り合った
ばかりの千春であることを、由美子は本能的に感知していました。

傑出した女の性を持つ女二人がしっかりと手を握り、黙って見つめ合い、永遠の友情を誓い合ってい
るのです。

「同じ女性と関係を持った男性達を『穴兄弟』と呼ぶでしょう・・、
同じ男性と関係を持った女性は何と呼べばいいのかしら…」

ニコニコほほえみながら愛が千春と由美子の表情を見ながら質問しています。少し湿っぽくなった
その場の雰囲気を変えようと、ことさら陽気に振舞おうとして選んだ話題なのです。

「肉棒姉妹・・・、なんだか即物的ね・・・、
おチンコ姉妹・・・、これでは品がないし・・」

千春が愛の意図を受けて、きわどい言葉を連発しています。

「マラ姉妹と言うのが一般的だけれど…、
私は竿姉妹がいいと思う…」

由美子もその場の雰囲気を盛り上げようとしています。

「さすが由美子さん・・・、
それがいい…、きれいな言葉…」

愛が大きな声を上げています。

「私と由美子さんは竿姉妹なのね・・・、
由美子さんが長女で私が何番目かの妹…、
それにしても、何人の姉妹がいるのかしらね・・・、
100人・・、いや・・、1000人は軽く超えるかも…」

千春が思いを込めて言っています。由美子も軽く頷いています。どうやら二人の間には大きなわだか
まりは存在しない様子です。そのことを確認して愛が安どの表情を浮かべています。そんな愛の安堵
を吹き飛ばすような言葉を千春が吐き出しました。

「由美子さん・・、良かったら…・、
佐王子さんとの馴れ初め・・、
聞かせていただけませんか・・」

「エッ・・・、千春さん、本気なの…。
佐王子さんと由美子さんの関係を聞きたいなんて…、
今更、掘り起こさなくても…、
惚れている男と昔なじんだ女の話など不愉快になるだけだよ…
せっかくこうして親しくなれたのに、喧嘩別れは嫌だよ…」

当然の忠告を愛がしています。

「いえ、良いんです…、
おっしゃるとおり、佐王子さんは私にとって特別な人です…。
その特別な男が、由美子さんを尊敬して、強い関心を持っているです。
だから、私は・・・、お二人のことを詳しく知りたいのです・・」

「・・・・・・・・」

千春から聞いた今までの経緯を考えると、佐王子が由美子に敬意に近い特別の関心を持っているの
は明らかです。男と女の間で、敬意が強い愛情に代わるのは簡単です。それだけに愛も、由美子も、
千春の本心を測りかねて、複雑な表情を浮かべています。


[43] フォレストサイドハウス(その13)(456)  鶴岡次郎 :2016/05/09 (月) 14:42 ID:YI8FfAAc No.2849
「変だと思うでしょう・・・
なぜこんなことを言い出したのかと私自身が驚いています。
でも・・、やはり、私・・・、知りたいのです……
彼と由美子さんのことが…・・」

千春自身にも迷いはある様子ですが、どこかで迷いを吹っ切った様子できっぱりと言い切っていま
す。

「佐王子さんは昔からずいぶんとお世話になった恩人です。
由美子さんとは今日親しくなったばかりですが、
昔からの友達のような気がしています。
今では、どちらも、私にとって、特別な人です…・」

微笑みを浮かべて千春が話しています。

「大好きはお二人が昔・・、親しかったと聞いて、少し妬けますが、
それでも、馴れ初めや、親しかった様子が詳しく知りたい気持ちは変わりません。

変ですよね・・、私・・、
自分でも変だと思います。

お約束します、お二人の親密な様子を聞いたからと言って、
佐王子さんが嫌いになったり、
由美子さんとの友情にひびが入るような真似はしません。
安心して、何もかも隠さず話してください…・・」

「そうね・・・、
かなり前の話で記憶が薄れているところもあるけれど、
思い出しながら話してみようか・・、
千春さんと旦那様の関係ほど、面白い話にはならないと思うけれど・・」

由美子にとって決して気楽に話せる話題ではありません、それでも案外簡単に引き受けています。
この先、千春がいろいろ妄想して悩み続けるより、ここで、できるだけ詳しく話しておくのが、千
春にとっても、由美子にとっても一番いいと判断したのです。それだけ、千春との友情を大切にし
たい気持ちが由美子の中でも強いのです。


「三年前・・、いや・・、数年前だったかもしれない・・、
何しろ・・、毎年、登場人物は違うけれど、似たような経験をしているものだから・・」

ゆったりとした口調で由美子が語り始めました。どうやら、千春は、予定している午後のソープ出
勤を見合わせて、このガールズトークを続けるつもりのようです。由美子と愛は特に予定がありま
せん。日暮れまで女たちは語り合うことができるのです。


[44] 新しいスレに移ります  鶴岡次郎 :2016/05/10 (火) 14:17 ID:T6I9F1Dg No.2850
ここで新しい章を立てます。ジロー


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フォレストサイドハウスの住人達(その12) - 現在のレスは54個、スゴイ人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2015/09/11 (金) 14:26 ID:UJ4zW1Bo No.2747

山口の問題は片が付いたのですが、今回の事件の元を質せば、それは千春の体に芽生えてきた堪え
がたい疼きのせいだと言えます。万人に一人の感性に恵まれた千春は、夫、杉浦三郎と愛人、佐王
子保に交互に抱かれ表面上は穏やかな生活を続けていたのですが、子供が幼稚園に入学し子育てに
一区切りが来たことで、本来の女性機能がより活発に動き出したのです。

幸恵のアパートで出会った運転手の杉下にあっさり抱かれ、彼の仲間である隆司と山口を交えた5
Pの遊びに溺れたのも、全て千春のたぐいまれな性感が活発に動き出した結果だと思います。この
先、千春はどこへ向かうのでしょうか・・、もう少し千春を追ってみます。相変わらず、大きな変
化の少ない市民の話題です。ご支援下さい

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・〈(1)2014.5.8〉 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示  します。
・〈記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8〉 文頭にこの記事があれば、記事番号1779
 に二回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直し
 ていただければ幸いです。


[45] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(408)  鶴岡次郎 :2016/01/16 (土) 11:50 ID:UlkFm./E No.2795
「あら・・、彼が・・・」

「エッ・・」

最初は千春の独り言かと思ったのですが、首を持ち上げ、声のする方向を見て、山口は驚きました。
あろうことかトイレにいる人物と千春が会話しているのです。山口は反射的に起き上がりました。
千春の肩越しに女の表情を見たのです。

窓の女が山口に気が付いて、笑みを浮かべて山口に会釈しているのです。千春も振り向き、山口が
ベッドに座って厳しい表情でこちらを見ているのに気が付いて、笑みを返しています。二人の女の表
情を見て、山口の表情が柔らかくなっています。

「若くて・・、イケメンね…、
アレもよく見える・・、太くて、長くて・・・、
あら・・・、もう元気になっている・・・。
また襲われるよ・・・・

あなた・・・、大丈夫・・、壊れない・・・、
なんなら、交代してあげようか・・、ふふ・・。
余計な心配する必要はなさそうね・・・、
あなたは十分スケベーそうだから・・、彼に十分対抗できそうね…、
うらやましい・・・・・・・」

「・・・・・・」

窓の女が千春にだけ聞こえるようにささやいています。千春が淫蕩な笑みを浮かべて軽く頷いてい
ます。

「彼・・、若いのに相当テクニシャンね…、
それにあなたも・・、
こんなこと言うべきでないかもしれないけれど・・・、
あなた・・・、旦那以外に相当経験を積んでいるでしょう・・・
それに・・・、本物のスケベーだと思う・・・・
毎日誰かに抱いてほしい口でしょう・・・」

「エッ・・、そんな・・・
どうして判るのです……、恥ずかしい・・・・」

「判るよ・・・、私がそうだから・・・
こういうことって、女同志だと判るでしょう・・・・」

「はい・・・」

女二人、にっこり微笑みあっています。淫蕩な血を二人の女は認め合って、微笑んでいるのです。

「それと・・、わたしに見られていると判った後、
わざと見せつけるようにしていたでしょう・・・
スケベーなんだから・・・・」

「だって・・・、
いまさら慌てても仕方ないし、
あなたの顔を見て、この方なら安全だと思ったし・・・、
それなら・・、楽しもうと思って・・・」

「見られていると思うと・・、よけい興奮したのでしょう・・・」

「うん・・・、とっても・・・」

「そこが普通と違うところなんだよ・・・
複数の男と絡み合ったこともあるのでしょう・・・」

「はい・・・」

二人女の淫らな話はいつ終わるかわからないほど弾んでいます。


[46] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(409)  鶴岡次郎 :2016/01/18 (月) 15:07 ID:DNjUdB0I No.2796

二人の女が話しこむ様子を観察している山口は少し安どしていました。窓の女に情事を見られたの
は間違いないのです。真昼間、いくら人通りの少ない場所とはいえ、公共の場である公園内に違法
駐車したトラックの中で絡み合っているのです。普通の主婦であれば騒ぎ立て、その場から逃げ出
し、警察に通報する可能性さえあるのです。そんなことになれば良くて厳重注意、最悪の場合は逮
捕されることだってあり得るのです。

もしそんなことになれば、独り身の自分はいいとしても、家庭を持つ千春を事件に巻き込むことに
なるのです。まじめに生活している山口だからこそ、そのことが心配だったのです。

彼女の様子を見る限りその心配は遠のきました。逃げようと思えばいつでも逃げ出すことが出来るの
ですが、窓の女はこの場に居座り、しっかり二人の痴態を見届けた後も、あろうことか痴態を繰り広
げた千春本人と話し込んでいるのです。

窓の女の立場に立てば、破廉恥にも真昼間トラックの中で絡み合っている千春と山口は得体の知れな
い男と女です。普通の常識で考えればまともな人間とはとても思えないのです。そうであれば、二人
のセックスを興味半分でこっそり見るまでは出来ても、破廉恥な行為を最後まで見届けて、情事直
後、未だ淫臭がほのかに漂っている裸の千春と親しく話し込むことなどとても普通の女に出来ませ
ん。

〈上品な女だが・・、案外さばけている・・・・
面白い女だ・・・、
この女の前なら何でも許されそうだ・・・
そうであれば、何も遠慮することはない・・・・・〉

警察に訴えられる心配は消えたものの、別の心配が・・、と言うよりは窓の女への興味が山口にも湧
いてきているのです。山口はゆっくりと運転席へ下り、千春の後ろに迫りました。何事か企んでいる
様子です。

千春は窓枠に手をかけて、顔こそ窓の外へは出していませんがほとんど乗り出すようにして窓の女と
話し込んでいるのです。白いお尻が山口に目の前に差し出されています。

「アッ・・、ダメ…
ここではダメ・・・・・」

いきなり後ろから男根が千春の臀部に接触しました。そんなに近くまで山口が迫っていたのです。そ
のことに千春は気づいていなかったのです。窓の女は、もちろん、男根が迫っているのを知っていま
した。ぶらぶら揺れながら、千春の尻を目がけて迫る大物の景色を楽しんでいたのです。大物が千春
の亀裂に挿入される瞬間を見届けようと、窓の女は千春には悟れないよう、たわいない話を続けなが
ら、全身を熱くしてその時を待っているのです。

臀部で男根の気配を感じ取り、千春は山口の意図をはっきり悟りました。このままの姿勢で後ろから
貫かれる・・・。窓の女の前で挿入される・・、そう思うと、気を許しているとはいえ、目の前にい
る窓の女のことが本能的に気になり、本気で拒否しているのです。

一方、山口はもう・・、窓の女を気にしていません、むしろ挑戦するように窓の女を見つめながら、
千春の尻に両手をかけて、腰を突き入れようとしているのです。窓の女は笑みを浮かべ、余裕で山口
と千春を見ています。

「恥ずかしがることないよ・・、
こんなことはめったにないよ・・・・、
女だって・・、時にはやりたいようにやるのよ・・・」

窓の女が自分自身にも言い聞かせるように千春に言っています。

「ほら・・・、お尻を上げて・・、
思い切り脚を開いて、チ○ポを迎え入れなさい!・・・」

窓の女が猥雑な言葉で千春を励ましています。上気した表情で千春が頷いています。もう・・・、普
段ならとても受け入れられない猥雑な言葉もすんなりと千春に届いています。千春は全身の力を抜
き、尻を上げ迎撃態勢を整えています。


[47] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(410)  鶴岡次郎 :2016/01/21 (木) 14:25 ID:.hOKaEHY No.2797

「ああ・・・、そんなこと言わないで・・・
とっても恥ずかしい・・」

その気になったものの目と鼻の先に名前さえ知らない他人がいて、その人の顔を見ながら男根を受け
入れるのです。思い切り楽しむのだと自分に言い聞かせても体が今の情勢を受け入れようとしないの
です。お尻を振って、嫌々のそぶりを見せているのです。無理強いする必要はないと悟っているので
しょう、攻めの姿勢を保ったまま、山口は腰を止めています。男根は女陰の入り口手前で止められて
います。

「何をためらっているの・・?
入れてもらったら…」

「だって・・・」

「私が気になるのなら・・・、
消えてもいいよ・・・」

「ううん・・・、
あなたにはそこにいてほしい…」

「困ったわね・・・・」

苦笑いをしながら窓の女は千春の後ろに立っている山口を見て、顎を二度、三度前後に振りました。

〈・・この女は抵抗しているけれど、本気で嫌っていない…、
かまわないから、一気に突き入れなさい・・・〉

窓の女は山口にそう・・、意思表示しているのです。勿論山口も窓の女が示す合図の意味を理解して
いました。二、三度うなずきにっこり笑いました。

千春の尻にかけた男の両手に力がこもり、男が強く腰を前に押し出しました。千春がのけぞり、悲鳴
を上げています。

「ああ・・・ン・・・、
ダメ・・・・・・・ェ・・・、
入った・・・、入った・・・・
チ○ポ・・・、入った・・・・・・
ああ・・ん、もっと・・、もっと・・・・、奥へ入れて・・・・」

顔をしかめて甘えた声で絶叫しています。もう・・、憚る物は何もない様子の千春です。窓の女もう
れしそうです。笑みを浮かべて千春を見ています。

窓に両手をかけて尻を高々と持ち上げているのです。千春の腰に両手をかけて山口が腰をゆっくり動
かしています。音を立てて男根が出入りしています。その湿った音は窓の女の耳にも届いたと思いま
す。

「ああ・・・ン・・・・、
見て・、見て・・・・、
チ○ポ入っている・・・ぅ・・」

「・・・・・・」
 
窓の女が左手を伸ばし、千春の頬をやさしく撫ぜています。上気したうれしそうな表情で窓の女の手
に頬を寄せています。両脚を開き、頭を下げ臀部を高く差し上げ、山口を迎えているのです。男の腰
が激しく打ち付けられています。その反動で千春の上半身が窓から外へ押し出されています。

運転席の窓とトイレの窓はほとんどくっつくほどですから、千春が顔を窓から出すとトイレの中に顔
を入れるようになるのです。もう上半身がトイレの中に入り込んでいるのです。千春の喘ぎ声がトイ
レの中に響いています。窓の女がやさしく千春の頬に唇を付けました。

千春はちゅうちょしないで女の唇に吸い付きました。女も大胆に千春の唇を吸い始めました。二人の
女の様子を見ている山口も一気に駆け上がっています。窓の女に唇を吸われ、後ろから男根を打ちこ
まれ、悲鳴とも、呻きとも判別のつかない声を上げて千春は悶えています。

やがて時が来て、千春は女に唇を預けたまま深々と逝きました。今日何度目かの射精を山口は果たし
ました。窓の女は冷静に千春の体を支えています。

突然、携帯のベルが鳴りました。山口の出発時間が来たことを教えているのです。

千春が女の腕の中で正気を取り戻し、恥ずかしそうに身を引いて運転席へ体を戻しました。のろのろ
と山口も体を動かし、手にタオルを持ち男根の始末をしています。

「さようなら・・、
とってもいいものを見せてもらった・・・
ありがとう・・・
それと・・・、帰りの運転は気を付けてね・・・・」

窓の女が二人に向かって微笑み、二人の返礼の笑みを受けながら窓をゆっくりと締めました。トイレ
の中で女は紙で股間を始末して、何事もなかったような表情でその場を離れました。


[48] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(411)  鶴岡次郎 :2016/01/25 (月) 15:45 ID:XYqUAp4o No.2798
山口との激しい性交を終え、体のほとぼりも、体のいたるところから発散される性臭もはっきり
残っている状態で千春は帰宅してきたのです。夫、三郎は当然妻の異常に気が付いています。夫の
質問に答える形でかなり詳しく山口との交わりを千春は報告しました。千春の浮気報告を三郎が楽
しんでいることを千春はよく承知しているのです。

夫に一通り報告して千春はテーブルのコップを取り上げ、その中の水を一気に飲み干しました。白
い喉がそこだけ別の生き物のように動いています。彼女の前に座っている三郎はかなり興奮してい
ます。

「その女の人に見られているのに二人とも気が付かなかったんだ…、
それほど夢中だったんだね…」

「はい・・、申し訳ありません・・・、
彼も私も・・、
しばらくぶりのセックスで、ものすごく興奮していました・・・」

「しばらくぶりと言ったって・・、
千春と僕は二日前にはやっただろう・・・、
そうは言っても千春が飢えているのは、いつものことだから驚かないが・・・
千春を相手にして一時間以上彼は良く頑張ったね・・、それが驚きだよ・・・・」

「・・・・・」

千春が三郎を睨んでいます。三郎の言葉は本音です、千春の性欲は尋常でなく、最近では佐王子と
三郎が必死で頑張っても千春の性欲は底が見えない状態なのです。彼女の相手をしていると、千春
が彼女自身の性欲をかなりセーブしながら絡んでいることは判るのですが、それでも、彼女と絡ま
り合って一時間対等に相手するのは三郎には難しいのです。もし、千春が本気になれば、数分で天
国に送られるだろうと三郎はいつも恐れているのです。それで、一時間以上山口が千春の相手をし
たと報告を受け、単純に山口を礼賛する気持ちになっているのです。

「いや・・、いや・・、これは失礼なこと言った・・、
ことセックスに関しては、千春は懐が深いから、どんな時でも、どんな処でも、
十分にセックスを楽しめる才能があるといいたかったのだよ・・・
そして、千春と対等に戦った山口さんに敬意を抱いているのだよ・・・」

「まるで、色情狂のような言われ方ですね…」

「ああ・・、そんな意味ではないのだが・・」

「いいの・・・、そう言われても仕方がないと思っています」

にっこり微笑んでいる千春です。妻の笑みを見て三郎がホッとしています。


[49] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(412)  鶴岡次郎 :2016/01/29 (金) 15:36 ID:TaaEzdDI No.2799

「ところで・・・、
彼には特定の女性はいないのか・・・」

「ハイ・・、多分・・・」

「二十代の男性がそれでは溜まるよね・・」

「はい・・・、多分・・・」

千春があいまいに答えています。

「プロの女性にお世話になることも可能なはずだが・・・」

「・・・・・・」

千春に意見を求めている訳でもないようですから、だんまりを決め込んでいます。

「彼・・、仕事が忙しいのと・・、
その・・・、
こんなことは三郎さんには言い難いのですが・・」

「・・・・・・」

千春が思い切った様子を見せて口を開きましたが、そこで言葉を飲んでいます、何か迷いがありそ
うです。三郎が何事かと姿勢を正しています。

「こんなことを言うと誤解されるかもしれませんが・・・」

「聞いてみないと判らないよ、
そこまで言って、黙っているのは罪だよ・・・、ハハ・・・」

三郎が陽気に笑っています。その笑いにつられて千春が口を開きました。

「私を知って以来、私以外の女性は抱けなくなったと・・・、
彼が言うのです・・・・。
その通りだとすると・・・、
彼・・、しばらく女性と接していないはずです・・・」

「そうか・・・、そういう背景があったのか…」

そこで言葉を飲み込み三郎が、宙に視線を泳がせています。心配そうに千春が三郎を見つめていま
す。

「私・・・、変なことを言いましたか・・、
気を悪くさせたようだったら、許してください・・、
何でも、正直に言っていいと三郎さんから言われていたから、
つい、その言葉に甘えて・・、スミマセン…」

「ああ・・、そんなに気にすることではないよ・・・、
本気で千春に惚れているその山口と言う男の・・・、
その若さがちょっとうらやましくなったんだ…、
僕も、頑張らなくてはいけないと思っている・・・」

「三郎さんは今のままがいいのです・・、
今の三郎さんが私は一番好きです・・・」

「ありがとう・・・、
彼にとって、千春は女神なのだね・・・、
公園の中だろうが、他人に覗かれようが、
偶然掴んだチャンスは逃すわけにはいかなかったのだね・・」

「ハイ・・、多分そうだと思います・・」

「激しい戦いだったろうね・・・
男は若いし、千春が相手であれば、それこそ世紀の戦いだったろうね、
出来ることなら、私も覗き見したかったよ・・・、ハハ・・・・」

「そんな・・、世紀の戦いなんて・・、
そんな大げさなものではありませんが、
それでも、過去に覚えがないほど激しい交わりでした・・・・。
終わった後、二人ともトラックの中でぐったりしていました・・」

おそらく男も女も全裸で、愛液で濡れた局部を曝して、肩で息をしながら、体を投げ出していたはず
です。その光景を頭に描いて、三郎はまた全身を熱くしています。


[50] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(413)  鶴岡次郎 :2016/01/30 (土) 16:17 ID:1e1Myf9. No.2800
「彼の出発予定時間を知らせるベルが鳴って、窓の女性と別れました。私は勿論ですが、彼も疲れ果
てていました。とても車の運転が出来る状態ではありませんでした。それで少し休むことにしまし
た。出発までの猶予はぎりぎり引き延ばして、30分間ほどでした・・」

「事故でも起こしたら大変だからね、休みをとったのは正解だよ」

「ハイ・・、わたしもそう思います。
目覚ましをセットして、二人とも死んだようにその場に横になりました。

出発予定時間が来て、ベルで起こされると、さすがに若い彼は元気で・・、
さっと起き上がると、そそくさと服装を整えて、
元気に手を振って、フェリーの港へ向かいました・・・。

私は・・・、まだ、全身が弛緩していて、車から降りるのがやっとでした・・。
彼のトラックが去った後も、しばらく公園のベンチで休んでいました・・・」

「千春がそんなになるのは珍しいことだね、
何度逝かされたの・・・?」

「一時間余りの間に、何度逝ったか数え切れないほどでした・・・。
彼も三度か、四度逝ったと思う・・・・。
あっという間に時間が過ぎていた・・・」

好色な笑み浮かべて、うっとりした表情で千春は夫に答えています。

「偶然とはいえ、トイレにいた人はとんでもないものを見てしまったのだね・・、
それにしても・・、良い人で良かったよ・・、
もし・・、悪い人だったら、ただでは済まなかったはずだよ・・
そして、その方は度胸の据わった人だね…、只者ではないね…」

「そうね…、
その時はそうは思わなかったけれど、今考えると・・・、
不思議な女性だった・・・」

窓の女のことを千春は思い出している様子です。千春より年上で、両家の奥様然とした女性だけれ
ど、どこか普通とは違う雰囲気を最初から感じ取っていたのです。会話を交わして確信したのは、
彼女もまた千春と同じようにスケベーで、毎日でも男が欲しいタイプの女性だと言うことでした。
勿論、そのことは女同士の秘密情報ですから三郎には伝えません。

「私達の淫らな姿を見てもそれほど驚いていなかった…、
男と女の乱れる姿を、普段から、何度も見ているのかもしれない…」

「水商売の人かな・・・」

「そうではないと思う…、
良い処の奥様然としていた。
それでいて、人を引き付ける不思議な魅力があって、
死ぬほど恥ずかしい姿を見られているはずだけれど、
あの人は平然としていて、私達の姿を心から楽しんでいる様子だった・・」

「それで千春は声を掛けるつもりになったのだね…」

「普通なら、その場でカーテンを引いて隠れ、服装を整えて、
さっさとその場から逃げ出すべきだったと思うけれど・・、
私は見られているのを知りながら、わざと見せつけたりしていた・・、
その上・・、裸のまま・・、
何となく彼女の傍へ行き、気が付いたら窓を開けていた…」

「彼女も下半身裸だったのだろう・・・」

「ええ・・、
今考えるとショーツを引き上げ、胸を隠す時間は十分あったのよ、
でも、彼女はそうしなかった・・、
そうすることで私の羞恥心をやわらげるつもりだったのだと思う・・

心配しなくてもいいよ、私も恥ずかしい格好をしているから・・と、
私を安心させるため、ほとんど裸のままでいてくれたのだと思う…」

「そうかな・・、ソコまで考えるかな・・」

「きっとそうだと思う…、
そして、自分のアソコに指を入れて一緒に楽しんでくれて・・、
最後まで付き合ってくれた・・。

私は・・、勿論、山口さんも・・、
セックスを覗かれていたにもかかわらず、嫌な思いをしなくて済んだ、
それどころか、彼女が側に居てくれたおかげで、死ぬほどいい気持になれた・・・。

今日、公園で起きたことは一生忘れないと思う。
そうなのよ、一生忘れない良い思い出を彼女は与えてくれたのよ・・・」

「なるほど・・・、
単なる覗きで終わらせなかったのだ…、
若い恋人同士の昼下がりの情事に彼女は花を添えてくれたわけだ・・」

三郎がしたり顔で一人頷いています。千春も笑みを浮かべて頷いています。千春にとっても、山口に
とっても、そして三郎にとってさえ、トラックの中での若い二人の情事は心温まるいい思い出に
なったようです。


[51] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(414)  鶴岡次郎 :2016/02/01 (月) 11:46 ID:NTCPMEw2 No.2802

「花を添えるとは・・、さすが三郎さん・・、
うまいこと言うわね…、

そう・・、あの方は私の指輪を見て人妻だと判っていたはず、
そして相手の男が夫でないと最初から気が付いていた・・・、

私のいけない行為を見て、軽蔑するわけでもなく、
勿論、嫌がらせをすることもなく、じっと見つめていてくれたのよ・・・」

「ほう・・・、浮気だと最初から知っていたのか…」

「そうなの・・・、女の浮気には女はことさら厳しいからね、
軽蔑されて当然なのよ、それがあの方は優しく見つめてくれた・・」、

「確かに浮気のつけは、男の場合より、
女性がその罪を犯した場合の方が世間の風当たりが強いね・・・、
女性たち自身でさえ、男の罪より、女の罪を強く追及する傾向があるね・・」

「『女だって、やりたい時は、自由にやるべきだよ・・・』と・・、
あの方は私をやさしく諭してくれた・・・」

「その方は・・、
日頃から女性の置かれた不公平な立場に不満を持っているのかもしれないね・・・、
そうは言っても、千春は自由に楽しんでいるけれどね…」

「三郎さんのおかげです…、感謝しています・・」

「いや、いや・・・、知っての通り・・、
僕の場合は高遠な思想があって、千春を自由に泳がせている訳でない、
僕一人では千春を満足させられないから、千春を愛しているから、
この道を選んでいるわけだ・・・。
何時も、焦げ付く思いで千春の浮気話を聞いている・・」

「スミマセン…」

「いや、いや、千春が謝ることではない…、
僕が好きでやっていることだから・・、
最近、やっと、千春の浮気話を心から楽しめるように成った・・」

「本当にそうだと嬉しいのですが・・・、
もし・・、すこしでも嫌な思いをするようだったら・・
そう言ってください・・、私・・、覚悟を決めますから…」

少し改まった表情で千春が話しています。三郎が笑って手を振り、千春の懸念を否定しています。

「興奮していたとはいえ・・・・、
私・・、あの人にキッスをしてしまった・・・。
女の人にあんなに夢中でキスをするのは初めてだった・・・。
あの方もそれに激しく応えてくれた・・・。
恥ずかしかったけれど、気持ちよかった・・・・」

「女同士で激しいキッスか・・・
うん・・、猟奇的なシツエイションだね・・・、
近くに住んでいる人なら、また会えるかもしれないね…、
街で偶然会ったなら、どうするの・・」

「私・・、声を掛けて・・・、
これからはお友達になってくださいと言う…、
三郎だって、会えば虜になるよ、きっと・・・
絶対・・、仲良くなりたい方だよ・・」

「ほう・・、相当惚れこんだもんだね・・」

窓の女に浮気の現場を見られたにもかかわらず、あろうことか、その女と千春はすっかり打ち解け
あって話し込み、心を通い合わせ始めているのです。女同士そんな付き合い方もあるものだと・・、
心温まる思いで三郎はその話を聞いていました。


[52] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(  鶴岡次郎 :2016/02/03 (水) 12:43 ID:R7WpyLXg No.2803
+
謎の女性に浮気を覗き見られたこと以外に、千春の話の中で三郎の気になる話題がもう一つあるよ
うです。

「・・・で・・・、
欲しいと言われて、切り取らせたのか…?」

「ハイ・・・
今日の記念にしたいと言っていました・・・・
それに・・・、アソコの毛は安全運転のお守りにもなるんですって・・・・・
毛がない・・が転じて、ケガしないっていうことかしら・・、フフ・・・・」

「見せろ・・」

「ここでですか・・、
でも・・、そのまま帰ってきたから・・汚れていて・・」

「そんなに汚れているのか・・・・
中に出させたのか・・・」

「ハイ・・、ピルを飲んでいますし・・、
お店に出る前とその後はいつもの医院で洗浄してもらっていますから・・・
中に出すのが、お店でも習慣になっていますから・・・
つい・・、そのまま・・、いけませんでしたか・・・・」

悪戯っぽい笑みを浮かべてからかうように千春が三郎に訊ねています。実のところは店では絶対中
出しはさせないのです。そう言えば三郎が慌てると思っているのです。案の定、不愉快そうな、そ
れでいて興奮した複雑な表情を浮かべています。

「いいから見せろ・・・」

「酷く汚れていますよ・・・、
それでも良いですか・・」

「いいから・・」

「ハイ・・・、では・・・、どうぞ・・・」

他の男に汚された直後の局部を見るのを三郎が嫌っていないのを千春はいつ頃からか知るように
なっているのです。この日も、話の展開しだいで、最後には三郎にソコを見せることになると判って
いたのですが、わざとシャワーを使わないで汚れたままにしておいたのです。

ソファーに座ったまま、両脚をゆっくり開いています。スカートの下には何もつけていません。少し
乾いた愛液が股間にこびりついています。勿論、強烈な香りがあたりに発散されています。

商品ですから、日頃から綺麗に剃毛され、亀裂はつるつるの地肌を曝し、内部のひらひらや、時には
ピンクの内壁が亀裂の隙間から顔を出しているのさえ見ることが出来るのです。そして、アクセント
をつけるため、割れ目の上部に茂みがわずか残すように管理されています。この管理は三郎の大切な
仕事で、わずかな変化にも三郎は気が付きます。

今見ると、わずかに残された茂みが明らかに短くカットされているのです。どうやら、ハサミかカミ
ソリでその部分を刈り取ったようです。千春の説明通りだとすると、今日の記念にと山口が下の毛を
欲しがった結果なのです。

無残に刈り取られた跡を苦々しい表情で睨み付けています。その三郎の表情を、笑みを浮かべて千春
は見つめているのです。大きく両脚を開き、指で亀裂を開いているのです。亀裂から何やら白濁液が
流れ出しているのさえ見えます。

「ショーツはどうした・・、彼に与えたのか・・・?」

「ハイ・・、彼が欲しいと言うので・・」

「毛も、ショーツも取られてしまったのか・・・
これではまるで空き巣狙いか、泥棒だね・・・、
いや・・、それ以下だな・・」

憎らし気な口調でそう呟いています。

「いけなかったですか・・・、スミマセン…、
これからは、もう・・、こんなことしませんから・・、
許してください…」

ここは謝っておいた方が良いと千春は判断したようで、笑みを抑えて神妙に謝っています。

「まあ・・、太くてかたい棒を中へ突き入れられて、
散々に蹂躙され、おまけに男の汁まで注ぎ込まれているのだから・・・、
ショーツや、周りの毛がとられた程度で騒ぎ立てても始まらないがね…」

「スミマセン…」

両脚をいっぱい開いたままの姿で千春は謝っています。男も女もそれほど真剣ではなく、言葉遊びを
楽しんでいる雰囲気です。


[53] フォレストサイドハウスの住人達(その12)(416)  鶴岡次郎 :2016/02/10 (水) 14:18 ID:T6I9F1Dg No.2804

突然、三郎が行動を起こしました。

「ああ・・、ダメ・・・、
ソコは汚れている・・・、汚いよ・・・」

必死の声を上げていますが、男は止めません。股間に頭をうずめてその部分にかぶりついているので
す。女は必死で男の頭を離そうとしていますが、男の力は強く、逆にますます強くその部分を吸われ
ているのです。やがて、女の抵抗が弱まり、遂には男の頭を股間に強く押し付けるようになったので
す。

「三郎・・・、来て・・、来て・・」

男の体が女の腰を割り、いきりたった肉棒が陰唇に突きこまれました。

激しい性交が終わり、男と女はぐったりと裸体をソフアーに投げ出しています。

「その男・・・、転勤したとはいえ・・、
これから先・・、
仕事でこちらへ来る度、頻繁に店に顔を出すことになるな・・・」

「心配・・・?」

「ああ・・、心配だよ・・、
若いし、気立ても良さそうだし・・・、
何より本気で千春に惚れているのが怖い・・・。

今日のように遊びの段階なら、まあ・・、我慢できるが・・・、
千春が本気で惚れてしまわないか心配だよ・・、本当に・・」

真顔に戻って三郎が言っています。

「私も・・、自信がない・・・・
彼が毎回今日のように迫って来たら・・、
本気になるかもしれない・・、そんな私自身が怖い・・・」

笑みを忘れて千春がつぶやくように言っています。

「その時は・・、その時だよ・・・、
男に惚れるなとは言えない・・、
惚れ過ぎないことが大切なんだよ・・・、
捨てられないように、僕も頑張るから・・・、
千春も・・、出来る限り、自分を抑えてほしい…」

「ハイ・・、
佐王子さんからも、そのことを毎回言われています…。

浮気と本気の区別がちゃんとできないようでは、浮気をする資格がない・・、
浮気を許してくれる亭主が第一で、それ以外の男には適当に付き合えと・・、
佐王子さんはそう・・、私に教えてくれています。
まだまだ、修行が足りませんが、これからも実践を通して勉強します・・」

「よろしく頼むよ、ひ弱い亭主で申し訳ないが、これでもお前のことを愛していて、お前なしでは生
きてゆけないと思っているのだから・・・」

「三郎さん・・・、抱いて・・、
もう一度・・・、思い切り強く抱いて・・・」

二人は固く、固く抱き合っていました。ぼつぼつ4歳の長男がお昼寝から目覚める時間です。忙しい
母親に戻る時間が迫っています。


[54] 新しいスレへ移ります  鶴岡次郎 :2016/02/11 (木) 14:57 ID:jgHGFsJo No.2805
新しいスレを立てます。ジロー


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フォレストサイドハウスの住人達(その11) - 現在のレスは54個、スゴイ人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2015/05/14 (木) 14:43 ID:ftlgeY7A No.2689
佐原幸恵の失踪劇は6ケ月ほどで終わりました。佐原と幸恵の仲は以前よりまして親密になっています。
幸恵失踪劇が無事ハッピィエンドを迎えることができたのは佐王子保の力が大いに役に立っています。
幸恵は引き続き佐王子の店で働くことになり、浦上千春と佐王子の仲も以前通りになりました。

暇な時間を持て余しているセレブ夫人の多いこのマンションに佐王子が頻繁に出入りするようになった
のです。無事に収まるとは思えません。この章では稀代の竿師、佐王子保とマンションの住人たちが織
なす色模様をできるだけたくさん紹介したいと思います。相変わらず変化に乏しい普通の市民に関する
話題です。ご支援ください。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・(1)2014.5.8 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示しま
す。
・記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8 文頭にこの記事があれば、記事番号1779に二
回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直していた
だければ幸いです
                                        ジロー  


[45] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(357)  鶴岡次郎 :2015/08/31 (月) 13:40 ID:EvYe84ZI No.2736

10時ごろまで女はかいがいしく働きました。今まで住んでいた環境とあまりに違い過ぎるため、
最初は軽い戸惑いもあったのですが、体を動かしていると5年前の記憶が蘇ってきました。

部屋の掃除、洗濯、食器類の点検、食器類は5年前のまま手ずかずで残されていました。女の知ら
ない食器が二、三点と箸が一人前分増えていました。どうやら男は新婚家庭用に準備した夫婦セット
の食器類は使用しないで、5年間一人用の食器を別に準備してそれを使用していた様子なのです。
そのことを知り、女はまた涙していました。

四個のスーツケースの中身は衣類やバッグ、靴そして装飾品でした。それまで暮らしてきた身の回
りの品は勿論、高価な家具類まで含めて、女がその気になれば全て持ち出すことが許されていて、
輸送の手続きもやってくれることになっていたのです。それでも、これからの生活を考えて女は4
個のスーツケースに入る物だけを持ち出すことにしました。

それまでの過ごした屋敷には大きな衣裳部屋があり、その中にたくさんの衣類が収まっていました。
中には有名ディザイナーの手になる高価な物や、派手なパーティ衣装もあり、あれもこれも捨てが
たい気持ちで迷いに迷ったのですが、これからの生活を考えて思い切って地味な衣類を選んでスーツ
ケースに詰めたのです。

そっくり残されていた5年前の衣類とスーツケースから出した衣類を並べて比較すると、流行遅れは
致し方ないにしても、今の女の目で見ると、昔の衣類は恐ろしく派手で、とっぴなデザインと色彩の
物ばかりなのです。

「貧乏だったから質が悪いのは仕方ないけれど・・、
どうしてこんなものを着ていたのかしら・・・、
これでは・・、娼婦ですと公言しているようなものだ…、
とても身に着ける気になれない…」

女は口に出して苦笑いしていました。

5年の歳月が女の趣味を大きく変えたようです。街に立つ娼婦のような衣類だと女自身が言う5年前
の衣服に比べて、スーツケースから取り出した衣類は地味な色合いと控えめなディザインですが、全
てが女の美貌と品格をより際立たせる印象的な洗練された衣服なのです。

シャワーを使い、下着を取り換えて、散々迷った末、胸元が上品かつ大胆にカットされた半そでの淡
い茶のワンピースを選びました。ネックレスとイアリングは鈍い光を放つプラチナの小品です。今日
の訪問先のことも考えて、ごく普通の主婦の一寸した外出着のつもりなのですが、際立った美貌が災
いして、女の狙いとは逆に、質素で飾らない装いが女の持つ気高さをより目立たせる結果になってい
るのです。

小さめの茶のバッグを肩にして女は濃い茶皮のローヒール靴を履き表に出ました。8月の太陽はほぼ
真上に来ていて、容赦ない熱線を地上に降り注いでいます。表通りに出た女はそこでタクシーを拾い
ました。5年前であれば最寄り駅まで歩いたものですが、女はそんな習慣を忘れているようです。

10分ほどで目的の大きな私立病院へ着きました。受付でスタッフと一言二言、言葉を交わした女は
三階の外科病棟へ向かいました。通りすがりの男は勿論、ほとんどの人が彼女を見ています。たぐい
まれな美貌とモデルにしたいようなスタイルが人々の視線を引き付けるのです。そんな人々に女は控
えめに挨拶をしながら、目的の病室へ向かいました。


[46] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(358)  鶴岡次郎 :2015/09/01 (火) 14:19 ID:.5v6Syo. No.2737

その患者は特別室に居ました。応接セットを備えたかなり広い病室です。酸素吸入器を付け、全身
を包帯で巻かれた大柄な男が眠っていました。呼吸は正常で、容態は安定している様子です。

「目下のところは安定していますが、今夜から二、三日が山場です・・・。
正直言って、ここへ担ぎ込まれた時は、かなり難しい状態でした・・・。
ここまで持ちこたえられたのは・・・、
患者さんの生きようとする力のおかげだと思います…」

女が要請すると、直ぐに中年の担当医がやってきて、患者の様態を別室で女に説明しています。千
春の美貌に気おされしたのでしょうか、医者は少し緊張気味です。千春の前に香り高いティーが出
されています、これだけ見ても病院側のこの患者とその関係者への対応は丁重だと判ります。

銃と刃物による傷、そして患者の関係者達を見て、並の人たちでないと病院側は判断しているので
すが、それだからと言って、特別に警戒をしたり、怖がっている様子はありません。十分にお金を
使ってくれる上客と考え、それにあわせ丁寧に対応をしているのです。

「大丈夫なのですよね・・、先生・・」

「どんな患者さんに対しても・・・、
絶対大丈夫ですと医者は言えないものです・・。
我々は全力を傾けて対応しております・・・」

「先生・・・、主人を助けて下さい・・、
危険な状態に陥っていた私を救おうとして、
彼は…、酷いけがを負ってしまったのです・・・」

「・・・・・・・」

「もし・・、主人に万一のことがあれば・・、
私が殺したことになります・・・。
私は生きてはいられません・・・」

「・・・・・・・」

「私・・、主人を助けることが出来るのなら・・・、
私で出来ることがあれば・・、何だってやります・・・。
お願いします…、救ってください・・・」

「・・・・・・」

背筋が凍るほど、凄い美人が涙をあふれさせ、必死で懇願しているのです。二十年を超える医者生
活でも、これほど絵になる患者家族の表情を見たことがないのです。任せて下さいと言い切れない
担当医は、彼女の顔に視線を当てたまま凍り付いたようにしていました。

「ああ・・・、先生・・・、
何かおっしゃってください・・・、
そんなに酷いのですか・・、
先生が匙を投げるほどなのですか・・・」

「ああ・・、いえ、いえ・・、
酷いことはひどいのですが、治癒できない傷ではありません・・、
むしろ助かる可能性はかなり高いと思っております・・・。
万全の処置を施しておりますので、安心してください・・・」

医者の言葉を聞いて女は少しホッとした様子です。

「それにしても・・、あなたのような方にそれほど思われて・・・
患者さんは幸せですね・・、うらやましいと思います・・、

ああ・・、いや、いや、余計なことを言いました・・、
とにかく、私に任せてください、最善を尽くします・・・」

「よろしくお願い申します・・・」

千春が深々と頭を下げています。そして、ほんのりと頬を染めているのです。我を忘れて取り乱し
たことを恥じ入っているのですが、その風情がまた医者の心を揺さぶっているのです。


[47] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(359)  鶴岡次郎 :2015/09/02 (水) 11:54 ID:embuvv8A No.2738
一通り患者の様態説明が終わり、女もそれなりに納得しました。担当医として患者家族への説明は
全て終わったのです。それでも、医者は椅子から立ち上がろうとしません。忙しい身であるはずで
すが、もう少し女と会話を楽しむつもりになっているようです。どうやら、看護師がしびれを切ら
して迎えに来るまで、女とこの部屋にいると決めているようです。

「ところで・・、奥様のお名前は・・、
そうですか千春さんと言うのですね…、
それで納得できました・・・、

患者さんが夢うつつで奥様の名前を何度も呼んでいました・・。

夢の中に出て来た奥様に励まされて、頑張ったのですね…、
離れていても、奥様の励ましが彼を元気づけたのだと思います・・、
ここまで、本当によく頑張りました・・・」

医者の優しい言葉を聞いて大粒の涙があふれ出ています。大粒の黒い瞳が濡れて光っているのです、
前髪が数本白い額に掛って揺れています。そっとほほをぬぐう花柄のハンカチが見事に女の表情に
マッチしているのです。医者は仕事を忘れて女の仕草に見惚れています。

「並の患者さんなら・・、あの体で・・、あのような長旅をしたら・・・、
それこそ・・・、大変なことになっていました・・・。

いろいろ事情はあったと思いますが、あの移動は少し無謀でした・・・。

ああ・・・、もしかすると・・、
奥様はあの無謀な移動をご存じなかったのでしょう・・・」

「・・・・」

はじめから疑問に思っていることを医者はストレートに聞いています。親族であれば患者がどんな
にそれを望もうと、死につながりかねない、あのような無謀な移動を認めるはずがないと思ってい
るのです。

周りの関係者がある事情で・・、多分それは組織の利益を左右する事情があって・・、患者を日本
へ運ぶ必要が出て、むりやり患者を移送したと医者は疑っているのです。そうでなければ説明がつ
かないと医者は思っているのです。

「もし・・、人に言えないことで悩んでおられるなら・・・、
私で良かったら・・、話してみませんか・・・、
これでも医者と言う職業柄だとおもいますが、
口は固い方で、言うなと言われれば、殺されも口を開きません・・」

「・・・・・・」

この質問を受けて女はただうつむいて返事に困っている様子を見せています。

「いや・・、これは余計なことでした・・・・」

担当医はしゃべりすぎたことを恥じて慌てて口を閉ざしています。

瀕死の病床で妻の名を呼び続けた夫、夫を救うためなら何でもやり遂げようとする妻、これほど想
いあっているのに、瀕死の夫の入院に妻は立ち会うことが出来なかったのです。そして傷跡の異常
さを考え合わせると、何か深い事情が二人にはありそうだと医者は考えていました。出来ることな
ら、その訳を知り、女の力になりたいと思っているのです。しかし、今は、そこまでは聞き出す時
ではないと思い直しているのです。

ちなみに医者はいまだに独身です。何度か恋をしたことがあったのですが、恋の道より医学の道を
優先したのが災いして、女達は医者の元から離れていったのです。目の前に居る女が幸せになるの
なら、ひと肌脱いでも良いと医者は珍しく熱い思いを抱き始めているのです。男女の心の動きに敏
感な女がこんな医者の感情を察知しないはずがないのです。

「先生・・、お気遣いいただきありがとうございます…
詳しくはお話しできないのですが・・・、
夫が・・、命を懸けて働いてくれたおかげで・・、
私・・・、
今は・・とっても幸せです、ご安心ください・・・」

夫の異常な入院に立ち会うことが出来なかった妻の事情を知ろうと、立ち入った質問をする医者が、
好意以上の感情を持って接してくれていることを敏感に察知して、女は感謝の気持ちを込めて医者
をじっと見つめていました。医者は眩しそうに女の顔を見て、破顔して口を開きました・・。

「そうですか・・、それは良かった・・・、
あなたのような方が苦労するのは見たくないですからね…、

では・・、これで・・・
ああ・・、今眠っていますが、意識はしっかりしていますので・・、
目を覚ましたら顔を見せてあげてください。きっと喜ぶと思います・・」

「ハイ・・・」

話題を変えた医者を見て、女がホッとした表情を浮かべ、軽く頷いています。入院の経緯をそれ以
上追及して欲しくないのです。


[48] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(360)  鶴岡次郎 :2015/09/03 (木) 10:24 ID:z93g1nyQ No.2739

「ああ・・そうだ・・・、
もしご希望なら、今夜、奥様もご一緒に病室で過ごされてはいかがですか・・・・。
ご希望ならベッドと食事を準備させますが・・」

「お願い申します…」

「ああ・・、そうですか、承知しました。
ぜひそうしてやってください・・、患者が喜ぶと思います・・・。
粗末なものですが・・、後ほどベッドを準備させます・・」

その時ドアーをノックして若い看護師が入ってきて、無言で医者をにらみつけているのです。

〈・・ちょっと綺麗な人が来るといつもこうなのだから・・・、
時間ですよ・・、次の仕事が待っていますよ・・・〉

看護師の無言の表情はそう言っているのです。

「ああ・・、判った、判った・・
今すぐ行くよ・・・」

医者はそう言って立ち上がりました。看護師は千春に向かって一礼し、千春もまた頭を下げてい
ます。

〈きれいな方・・・、
先生がなかなか離れない気持ちが判る・・・〉

看護師が医者を見て、意味ある表情を残して先に部屋を出て行きました。

「ああ・・、それと・・、
何かありましたら、私に直接連絡を取ってください・・・
看護師には判るようにしておきますから・・・・」

女が一歩医者に近づきました。今日の訪問先に合わせて香水はつけていないのですが、女自身の体
臭でしょうか、妙なる、ふくよかな香りが医者の鼻孔を刺激していました。

「先生・・、これは些少ですが・・」

かなり厚い紙包みを女が差し出しております。

「イヤ・・、こんなことはされては・・・、
そうですか・・、それでは・・、遠慮なく・・・」

紙包みを白衣のポケットに慣れた仕草で納めています。

「先生・・・、
こんなことを申し上げると・・、
はしたない女と蔑まれるでしょうが・・」

ここで女は次の言葉を飲み込みました。これから言おうとしている言葉を頭の中でチェックして
いるのです。少し上気した表情で、瞳を潤ませ、それでも真剣な表情で、医者に強い視線を当て、
千春は何かを訴えようとしているようです。

「私・・・、
主人のために出来ることは何でもやりたいのです・・
後で後悔したくないのです・・・・」

「・・・・・・・・」

一方医者は・・、女が何を言い出すのか想像がつかない様子で千春をじっと見つめているのです。

「主人を助けていただけるのなら・・、
私を・・・、
私の身体を・・・、自由にしていただいて構いません・・」

「・・・・・・・・・」

一気にこの言葉を吐き出し、女は医者をじっと見つめています。その言葉の意味が分かったはずで
すが、医者は表情を変えないで女を見ているのです。


[49] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(361)  鶴岡次郎 :2015/09/05 (土) 15:18 ID:vXkA9qX. No.2741

「今の私には・・・、
お礼として差し上げることが出来るのはこの体しかないのです・・
私にとって夫の次に大切なものをささげて、お願いしたいのです。
主人をお願いします・・・」

「・・・・・・・・・」

医者はここでもただ黙って、女を見つめているのです。女は当惑していました。医者の反応が判ら
ないのです・・、いえ・・、医者が沈黙している理由は女には良く判っているのです。この作戦を
実行すると決めた時、一番恐れていたことが今起きていると女は悟っているのです。


治癒する可能性は高いと言って医者は千春をほっとさせたのですが、千春はその言葉を鵜のみには
していませんでした。生死の可能性は楽観的に見ても、半分半分だと思っているのです。カギを
握っているのはこの医者で、彼が能力と誠意を尽くして治療にあたってくれることが、夫の命を救
う唯一の道だと思っているのです。お礼のお金をさらに積み上げることも考えたのですが、医者の
立場を考えるとあまり過激な金額は反って彼をしり込みさせることになると思いました。それで、
次の手を考えたのです。

最初の出会いから言葉の端々に見せる医者の優しさ・・、医者が好意以上の感情を寄せていること
を女の感性が察知していました。『夫を助けたい』、『出来ることは何でもする』その強い思いが
後押しして、女の本能が自分の体を差し出す作戦を思いつかせたのです。

着ているシャツが少し汚れていて、ズボンの折り目が通っていない医者の服装、千春を女と見てい
る熱い視線等々、医者が独身か、あるいはあまり妻から大事にされていないと察知して、〈この男
なら・・、この作戦を実行しても、失敗はないだろう・・〉 と女の本能で判断していたのです。
そして、最悪のケースでも、つれなく断られて、恥をかくことはないだろうと踏んでいたのです。


一方、医者は何と答えてよいか、全くアイデアがないのです。頭の中が真っ白になり、何も考えら
れない状態なのです。それでも、女から誘われている事実は医者の男心を大いにくすぐっていて、
嫌な気分ではないのです。

デートの途中、恋人から突然『私を自由にしてもいい・・』と言われても、その恋が真剣であれば
あるほど、男は少し引きます。女を大切に思うからです。まして今日初めて会った女から・・、そ
れも瀕死の傷を負った患者の妻から誘われているのです。酒の席などでこの言葉を聞かされれば、
男なら誰でも戯言の一つも出し、それなりの対応が出来ると思いますが、医者は当惑の気持ちを通
り越して、ただ、ただ、驚いていました。それと同時に、凄まじい女の気迫に圧倒されているので
す。

『私の命を差し上げます・・・』、女がそう言っていると医者は受け止めていたのです。言葉の内
容はこの上なく隠微で、猥雑な誘いの言葉なのですが、そこにはぎりぎりまで追い込まれた女の覚
悟の気持ちがほとばしり出ているのです。

一目見た最初から好意以上の感情を抱いたきれいな女です、そんな女から誘われれば、男の劣情を
刺激されなかったと言えば嘘になります、しかし、浮いた気持ちになることなど到底できなかった
のです。あいまいな言葉を残し、その場から逃げるように去っても良かったのです。しかし、医者
は逃げませんでした。その場に留まり、鋭くも、悲しい女の言葉をしっかり受け止めていたのです。


[50] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(362)  鶴岡次郎 :2015/09/07 (月) 15:51 ID:CaFij5mg No.2742

医者の沈黙を見て、女はその場に居られないほど自身の軽率な言葉を後悔していました。娼婦の
素性を医者に気付かれたと女は思っているのです。一番恐れていた結果なのです、結婚前の一時期
そうした前科があるだけに、かなり動揺しています。

もう少し慎重に考えれば誰でもわかることだったのです。普通の暮らしをしている家庭の主婦がい
かに夫の命を助けるためとはいえ、初めて出会った男に体を差し出すことなど、絶対、起こり得な
いことなのです。そんなことが出来るのは日頃から体を売る商売をしている女に限られるのです。
そのことに千春もようやく気が付いているのです。

「先生・・・、
どうして・・・、何もおっしゃらないのですか・・・、
きっと・・、
こんなことを誰にでも言っている汚い女だと思っているのですね・・」

消え入りそうな声で千春はこれだけの言葉を絞り出し、恥ずかしさに堪えられないのでしょう、視
線を床に落としています。上から見ると彼女の首から肩にかけて、肌が朱色に染まっているのです。

その光景が・・、消えゆくような哀れな女の姿が・・、男の心を揺り動かしています。

夫を助けることだけ考えている女が、冷静な判断が出来ないまま、自身の体を差し出すと言う暴挙
に出たと医者は受け止めていました。愛する人が瀕死の重傷を負った時、人は時としてとんでもな
い言動をするものだと、それまで何度もこうした修羅場を経験している医者は千春の言動を左程異
常なものだととは思っていませんでした。まして、目の前にいる上品な女の素性が娼婦などと思い
もしていなかったのです。

そんなわけですから、女の甘い誘いをむげに断るわけにも・・、かといって、好意を受け入れるわ
けにもいかず、医者はただ黙りつづけるつもりでいたのです。そうすれば、いずれ冷静さを取り戻
し、女が自分から誘いを引っ込めるだろうと思っていたのです。

しかし、どうやら女は自身が娼婦だと思われたと誤解している様子なのです。これは医者の予想外
の出来事でした。哀れな女の姿を見て、このまま黙っているわけには行かないと、医者はようやく
口を開くことにしたのです。

「ああ・・・、いや・・・、決して・・、
汚い女などと思いません・・・。
それどころか、あなたのご主人を思う気持ちに、唯々、感動しているのです・・・。

私にはあなたが女神に見えます・・。
ご主人は幸せ者ですね・・・・
男なら、一度はそれほど、愛する人から想われたいものです・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

医者の言葉を聞き千春は言葉が出ないほど喜んでいました。

〈ああ・・・、よかった・・・・、
先生は私を娼婦と思っていないのだ・・・〉

千春は涙を浮かべて医者を見つめていました。そして、次に千春がとった行動は、おそらく彼女自
身も予定していなかった、本能的な動きだったと思います。

一歩近づき、医者の首に両手をかけて、ゆっくりと朱色の唇を医者の唇に押し付けたのです。医者
はただその場に棒のように立って、彼女の行為を受け入れていました。女はつま先だって背の高い
医者の唇に体を合わせています。彼の手はしっかりと女の腰を支えているのです。

「ベストを尽くすことを約束します・・・。
奥様のためにも・・・・、最善を尽くします・・・
奥様も気を強く持って、旦那様を励ましてください・・・
ここで奥様が倒れたら、元も子もありませんから・・・・」

千春の肩に両手をかけて、医者は女の顔を覗き込むようにそう言って、潔く背を向けて、部屋を出
て行きました。その足取りは軽やかでした。

〈ああ・・、先生・・、
口紅を付けたまま・・・、
でも・・、誰も気が付かないはず・・・〉

医者の背に、深々と頭を下げながら、女はいたずらっぽい笑いをかみ殺していました。全てをやり
つくした満足感が女の表情に現れていました。


[51] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(363)  鶴岡次郎 :2015/09/08 (火) 13:40 ID:zbzx47NI No.2743
神本達6人の勇士は全身に数えきれない傷を負い、あるビルの地下駐車場に居ました。もう数時間
も戦っているのです。

おそらくこのビルの外にはかすかですが銃声音は聞こえているはずです。ビル・オーナーが地元の
名士であり、権力者ですから、誰かが異常音を連絡しても、警察はビルの警務室に連絡をして、異
常がないと言われればそれ以上の介入はしないのだと思います。

既に敵味方共にかなりの負傷者が出ているのです。それでも、鬼神もかくやと思われる神本の超人
的な働きと、強い闘争心に支えられて、神本の達6人全員の戦う意欲は衰えていませんでした。

味方の三倍は居る敵の攻勢に堪えかねた神本達が、背後に壁を背負う背水の陣を敷いて、ここが死
に場所と覚悟を決めた時でした、それまでに圧倒的な攻勢をかけていた敵が、潮が引くように、神
本達の前から消えたのです。

後でわかったことですが、両軍のトップ同士の間で話し合いがつき、敵の軍勢が引き上げたのです。
その後数時間、神本達は古びたビルの片隅で籠城をつづけました。夜明け前、抗争停止の連絡がよ
うやく届いたのです。戦いが終わったと聞かされた時、神本達6人はその場に立っていられないほ
ど疲労困ぱいしていました。

直ぐに負傷者全員その地の病院に担ぎこもれ、輸血や傷の手当てを受けました。その二日後、医者
が止めるのを聞かないで、一番重症な神本だけが4時間の飛行機旅を敢行して日本に戻ってきたの
です。飛行機旅は一等席を数席買い取り、現地の医者と看護師が同行しました。そして、空港から
救急車を飛ばして、都内の有名私立病院に担ぎ込まれたのです。この病院は以前から神本の所属す
る組織が大切にしてきたところで、普通ならかなり問題になる患者の神本を病院側はすんなりと受
け入れたのです。

『日本へ帰りたい』、『死ぬのなら日本の地を踏んでからにしたい・・』と血の叫びをあげる神本
の言葉を組織の幹部は全面的に受け入れたのです。ほんの少し前、神本は組織の中では誰からも顧
みられることがない最下級の組員だったのです、それがこの戦場で、敵味方共に「鬼神」と呼ぶの
を憚らないほどのヒーローに変貌していたのです。

どんな組織でもそうですが、神本の所属する組織では特に、命を懸けた戦いにおけるヒーローの言
葉は絶対と言う伝統があるのです、組織の幹部たちは医者たちを説得して神本が要求した蛮行、日
本への移送をやり遂げたのです。

飛行機旅も、途中のケアーもふんだんに金を使って考えられる限りの手を尽くしました。その甲斐
あって、とにもかくにも、生きて治療を受けられる状態で日本の病院に担ぎ込まれたのです。

現地の医者は勿論、日本の医者も、瀕死の重傷を負った神本の日本移送と言う無謀な要求に眉をひ
そめながらも、献身的に働いてくれました。たぶん、神本の声にならない叫びを受け入れ、たとえ
それが蛮行とも呼べる行為であったにしても、仲間の組織員が結束して必死でやり遂げようとして
いる姿勢と意欲が、医者たちの心を揺り動かしたのかもしれません。


「待ちに待った、五年の年季が明けました・・。
それでも、すんなりと当初の約束が守られたわけではなく・・・、
お定まりのように、いろいろありましたが・・、
最終的には、晴れて・・、千春を取り戻すことができました。

彼女には言いませんでしたが・・、
私はその時密かな誓いを立てました・・・、
彼女にこの命をささげると誓いました・・。
その気持ちは今も変わっていません・・」

千春への熱い気持ちを神本は静かに語っています。大怪我を負い、生死の境をさまよった戦いの話
は山口には話さないと決めている様子で、『いろいろありましたが・・』の言葉で片づけているの
です。もし、本当のことを知ったら、山口の神本に対する気持ちは更に高いものになっていたと思
います。眩しいものを見るような目で山口は神本を見ていました。


[52] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(364)  鶴岡次郎 :2015/09/09 (水) 16:46 ID:DJ/XTMmY No.2744

「千春が戻ってからちょうど一年・・・、
色々とごたごたはありましたが・・・、
私と千春は組を抜けることができました・・・。

堅気で平穏に暮らす・・、
それさえあれば、他に何もいらない・・・
二人の気持ちはその点で一致していました。

ひょんな縁で今の親方と知り合い、拾い上げていただき、
何も聞かないで、私と千春に住まいを与えていただき、
私は親方の店で働かせていただくことになり、今日にいたります・・・・」

静かに話す神本の言葉に山口が何度も、何度も頷いています。

「中学を卒業して直ぐに組織に入りました。そこでの生活しか知りません。そこを抜けた時はどう
生活していいか皆目わかりませんでした。堅気で生活するイロハを親方から教わりました。親方に
は言葉で言い尽くせないほどお世話になりました・・・・、足を向けて眠れない気持ちです・・・」

この場に佐王子本人がいるように神本は深々と頭を下げているのです。畏敬の気持ちをその表情に
浮かべ、山口は神本をじっと見つめていました。

「私はもうじき50になりますが、今が一番幸せな時間だと実感しております・・・」

しみじみと語る神本の気持ちが山口にはなんとなく判るのです。命の危険を感じることのない安穏
な生活のありがたみは、その生活を失った時初めて気が付くのだと、山口は納得していたのです。

「親方のおかげで経済的には彼女を店で働かせる必要はないのですが、時々彼女は東京のソープ店
に出ています。多分、その仕事が好きなのだと思います。そして、店に出ていると、いろいろ誘惑
も多く、色事が好きですから、外で他の男に抱かれることもあります・・。

あなたには申し訳ないのですが・・・、
あなたとの出会いも彼女の好色な遊び心から出来た縁だと思います・・・」

山口が悲しそうな表情を浮かべ軽く頷いています。

「後になって、あなたの気持ちを幸恵さんから知らされて、若いあなたを迷わせたことを千春は本
当に悔やんでいます。あなたの純真な気持ちを結果として弄んだことを千春は本当にすまなかった
と言っています。直接お会いして頭を下げたいと言う彼女を押しとどめたのは私です・・・。

あなたとお会いすれば、千春だって女です、魅力的なあなたを見れば、そんなに強くあなたを拒否
することができなくなるはずです、そうなれば、あなたを余計に苦しめることになると思ったから
です。

私からも謝ります・・・。千春を許してやってください・・」

話を終えた神本が山口を真正面から見つめて、そして深々と頭を下げました。感情が高まり、涙が
溢れそうになるのをかろうじて抑え込み、山口もまた深々と頭を下げていました。完璧なまでの敗
北感で山口は押しつぶされそうになっていたのです。

〈千春さんを愛する気持ちでは決して負けていない・・、
しかし・・、地獄の苦しみの中を生き抜いた二人だ…、
僕など入る隙間は、彼らの仲には存在しないのだ・・・・
彼らの間には不滅の絆が存在するのだ・・・〉

これほど強い絆で結ばれた男と女の関係を山口は他に知りません。その中に割って入るのはほぼ絶
望的だと感じ取っていたのです。彼女を奪い取る自信が・・、彼女と暮らす楽しい夢が・・、彼の
中で音を立てて崩れていくのを、山口はじっと見つめているのです。


[53] フォレストサイドハウスの住人達(その11)(365)  鶴岡次郎 :2015/09/10 (木) 15:34 ID:wxS83My2 No.2745

神本が・・、多分本人はそのつもりはなかったと思いますが、止めの刃を山口の胸に深々と差し込
みました。

「千春は私の命そのものです・・。
今こうして曲りなりに生活できているのは全て彼女のおかげです・・、
おそらく彼女なしではこの先、私は一瞬たりとも生きてゆけないと思います・・・、

だからと言って、無理やり彼女を私に縛り付けておくつもりはありません・・
彼女が去ると言えば、私は黙って頷くだけです・・、
多分・・、その後・・、私は一人静かに命を絶つと思います・・・・」

「・・・・・・・・・」

驚くべき覚悟を、一つ間違えば戯事ともとられかねない覚悟を、何事もないように平然と妻の浮気
相手である若い山口に語っているのです。驚きの表情を隠さないで山口は神本を見つめていました。

〈千春を奪うなら・・、
俺を殺してからにしろ・・・〉 

言外にそう言っている・・・と、山口は受け止めていたのです。凄まじい殺気さえ山口は感じ取って
いたのです。

恐ろしく時代がかった、こっけいにも取れる言葉ですが、聞いている山口には彼の言葉が不自然に
は思えないのです。千春に心底惚れている山口だからこそ、千春を神だと讃え、千春は自分の命そ
のものだと、語る神本の気持ちが良く判り、千春との別れは、それは自身の死を意味すると言う神
本の言葉をその言葉どおり受け入れることが出来たのです。完全な敗北を山口は噛みしめていまし
た。

「長い話になりましたが・・、
どうでしょう・・、山口さん・・・、
千春のことはあきらめて、許していただけますか・・・・」

「こちらこそ、ご迷惑をかけました・・・。
人には話せないお二人の秘密までお聞かせいただきありがとうございました。
これから先、このことでご迷惑をおかけすることは絶対ないと思います・・。
何時か・・、お二人のような結婚が出来ればと思っています・・。
それでは・・、これで失礼します…」

山口が立ち上がり、一礼して、大股で店を出て行きました。一度も振り返ることなく・・・。

それ以降、山口は幸恵の店にも、アパートにも顔を出さなくなりました。『俺の女に手を出すな』
と、少し凄みを聞かせたと神本は幸恵に報告したそうです。

勿論、山口が口を開かない限り、二人の男が喫茶店で対決した真相は誰も知らないのです。そして、
おそらく、山口に語った神本の話・・、妻が突然消えて以来5年間、神本は千春への愛を貫き通し
たこと・・、そして、妻もまた、夫のひたむきな愛に応えて、5年後には夫の元へ戻ってきたこと、
こうした事実を山口以外、誰にも話したことがないと言う神本の話に嘘はないと思います。そして
おそらく、これから先、神本が夫婦の話を人に話すことはないと思います。人妻に真剣にほれ込ん
だ山口のひたむきな気持ちに報いるため、山口は重い口を開いたのです。

神本の話を聞いて、互いに信じあう男と女には怖いものは何も無い、真剣に惚れると言うことはど
んな時でも相手を信じることが出来ると言うことだと、山口は確信できたと思います。これから先、
山口は神本とその妻の深い絆を事あるごとに思い出すでしょう、その思い出のストリーが山口の心
を和ませ、勇気づけることになると思います。


[54] 新しい章へ移ります  鶴岡次郎 :2015/09/11 (金) 14:16 ID:UJ4zW1Bo No.2746
新スレを立て、新しい章へ移ります。ジロー


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フォレストサイドハウスの住人達(その10) - 現在のレスは50個、スゴイ人気のスレッドです! -

[1] スレッドオーナー: 鶴岡次郎 :2015/01/13 (火) 15:46 ID:KJbTWW7o No.2636
浦上千春の隣人、佐原幸恵と言う名を聞いて、記憶力にいい読者であれば、この物語の冒頭で紹介した
佐原靖男のことを思い出されると思います。泉の森公園のベンチに肩を落として座る50男を見て、そ
のイケメンぶりと男のすっかり憔悴したに様子に女ごころを揺り動かされ、すっかり彼に同情した由美
子が彼に声を掛け、おせっかいついでとばかりに彼のマンションまで付いて行き、そこで彼の妻幸恵の
失踪を知らされるのです。

佐原靖男が語る通りであれば、幸恵は夕餉の支度の途中で忽然と姿を消しているのです。警察には失踪
届けを出しているのですが、争った跡がないことなどから単純な家出人として警察は受け止めているよう
なのです。

この章では幸恵が失踪に至るまでの経緯を説明し、できれば事件の解決まで見届けたいと思っています。

毎度申し上げて恐縮ですが、読者の皆様のご意見、ご感想は『自由にレスして下さい(その11)』
の読者専用スレにご投稿ださい。多数のご意見を待っています。    

また、文中登場する人物、団体は全てフイクションで実在のものでないことをお断りしておきます。

発表した内容の筋を壊さない程度に、後になって文章に手を加えることがあります。勿論、誤字余脱
字も気がつけば修正しています。記事の文頭と、文末に下記のように修正記号を入れるようにしま
す。修正記号にお気づきの時は、もう一度修正した当該記事を読み直していただけると幸いです。

・(1)2014.5.8 文末にこの記事があれば、この日、この記事に1回目の手を加えたことを示しま
す。
・記事番号1779に修正を加えました。(2)2014.5.8 文頭にこの記事があれば、記事番号1779に二
回目の修正を加えたことを示し、日付は最後の修正日付です。ご面倒でも当該記事を読み直していた
だければ幸いです
                                        ジロー  


[41] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(305)  鶴岡次郎 :2015/04/15 (水) 14:10 ID:AKg2Rbu2 No.2679

覚悟を決めているのでしょう、さわやかな表情で幸恵は口を開きました。

「これだけは絶対言わないでおこうと思っていたのですが・・・、
このまま別れることになれば、その機会もなくなると思いますので、
正直に申します…。

あなたのためだと思って、この世界に入りましたが・・、
途中から・・、この世界に居ることが好きになっています…。

毎日たくさんの男にちやほやされ、
抱かれて、喜悦の限りを味わい・・、
このニケ月間、私は幸せでした…」

佐原を喜ばせる技を身に付けたいと思って、ソープの世界に入ったのですが、たくさんの男達の愛撫に
溺れ、佐原を喜ばせる技を身に付けるという最初の目論見をとっくにクリアしているにもかかわらず、
幸恵は店を辞めなかったのです。もし、佐原が現れなかったなら、行き着くところまでこの世界で生き
てゆく覚悟さえ固め始めていたのです。この世界の水にどっぷりつかり、この世界で生きてゆくことに
生きがいさえ感じ始めていたのです。

「私は…」

「幸恵・・、
もう良い・・、もう良いんだ・・・、
もう・・・、何も言わなくても良い・・」

佐原がやさしく幸恵の言葉を遮りました。

「お願いだ・・、
僕の処へ戻ってきてほしい・・・」

「あなた…、
本当にいいのですか・・・・」

「・・・・・・・」

佐原は黙って幸恵を抱きしめました。二人はその場でしっかりと抱き合っていました。


しばらく抱き合っていたのですが、佐原がゆっくりと幸恵から体を離し、彼女の頬を両手で挟み込み、
囁くように口を開きました。

「幸恵・・、
いけないことをしてきた僕を懲らしめてほしい・・」

佐原が熱い目をして幸恵を見つめ、声を弾ませながら話しかけています。かなり興奮している様子です。
佐原の中でM男が首をもたげ始めているのです。

幸恵がゆっくり立ち上がり、佐原を見下ろしています。欲情する男を見て、どうやら幸恵の中にS老女
の魂が戻ってきた様子です。

「ああ・・、老女様・・、
悪い私に罰を与えてください…」

着ていた衣類をその場で脱ぎ取り、ショーツ一枚になり、幸恵の・・、いえ、老婆の手を握り佐原が懇
願しています。

男の手を振り払い、かなりきつい表情を浮かべ老女が口を開きました。

「薄汚い奴だ・・、裸では目障りだ・・、
これを着なさい・・、これがお前のような男にはお似合いだ・・」

老女がそばにあったワンピースを男に投げ与えました。花柄模様のミニのワンピースです。嬉々として
男がワンピースを身につけています。

「その汚いショーツを脱ぐんだ・・・」

男は言われたとおりその場でショーツを脱いでいます。その場に跪いた男のミニのワンピースの裾を持
ち上げ、勃起した男根の先端が老女を睨みつけています。

「その気になって・・、
一人前に、汚いチ○ポを立たせている・・・、
いやらしい奴だ…」

女が足を上げて男の肩を軽く蹴り、男が大げさな身振りで床に仰向けに倒れ込んでいます。老女が男の
体を踏みつけています。体重を加減して足をのせているのですが、ワンピース姿の男は大げさに四肢を
ばたつかせて大声を上げています。ガウンの下に老女は下着を着けていません、久しぶりに妻の股間を
見た男は更に興奮しています。

男も女も手慣れた様子で演技をしています。男にとっても女にとっても初めての演技相手ですが、二人
にとってはこうしたプレイは何度も繰り返してきた慣れた芝居なのです。

それから一時間余り、あたりに響くような喜悦の声を張り上げて二人はたわむれました。何度か挿入し、
女が数回逝った後、男が最後に女の中に精液を注ぎ込み、さしもの長い戦いも終わりを迎えました。二
人にとって、生涯最高のセックスになったことは疑う余地がありません。


[42] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(306)  鶴岡次郎 :2015/04/16 (木) 17:18 ID:VmfSd7pU No.2680

着替えた幸恵がロビーで待っている佐原のところへやってきました。淡い色のワンピースにカジュアル
シューズのごく普通の主婦の姿です。

「親方にお別れの挨拶をしてくるわ…」

ロビーの側にある店長他スタッフの控室に通じるドアーの方向へ向かおうとした幸恵の手を佐原が捉え
ました。

「今・・、
急いで辞めることはない・・」

握った手を離さないで、笑みを浮かべた佐原が幸恵に優しく語り掛けています。

「エッ・・・
今・・、何と言った・・・?
辞める必要はないといったわね…、
本気なの・・・?」

びっくりした表情で幸恵が佐原を見つめて、問いかけています。

「僕はどちらかと言うと・・、
この店で働き続けてほしいと思っている・・。
勿論、お前が辞めたいと望んでいるのなら、話は別だが・・・」

「それでいいの・・・、
会社に知れると大変なことになるよ・・」

「ハハ・・・、勿論、会社や近所に知られては困るよ…、
奥さんがソープ勤めをするほど旦那の稼ぎが少ないと思われると、
僕の立場がなくなるからな・・・・・
そこのところは、隠し通してほしい・・・・」

「もう・・、そんなことを言って・・・、
本当にいいの、本気にするよ・・、
あなたが許してくれるなら・・・・、
私はこのまま、この仕事を続けたい・・」

「なら・・、そうするといい・・・、
僕もここで働く幸恵が好きだよ・・」

「うれしい・・、
なんだかすべてが思い通りになって・・・、
夢を見ているみたい…」

思ってもいなかった展開で幸恵は興奮して、はしゃぎ気味です。彼女がはしゃぐのは無理がないと思え
ます。思えばこのニケ月間、それまでは夢にさえ見たことがなかった世界に身を投じ、日ごとに違う男
に抱かれ、驚きと悦楽を交互に味わい、そして、アパートに戻れば、不安、焦燥、後悔と・・、ありと
あらゆる感情の荒波に曝され続けてきたのです。並の女性なら、堪えきれなくて、佐原の元へすごすご
と戻る道を選ぶか、誰も知らない土地へ逃げて行ったと思います。よく堪えたといえます。

一方、妻の喜ぶ姿を見ながら、佐原は複雑な気持ちで幸恵を見つめていました。

〈想像した以上に幸恵はこの世界に溺れこんでいる様子だ…、
もし・・、ここを辞めて元の生活に戻しても、
今の様子では、いずれここへ戻ることになるだろう・・、
その時は多分・・、離婚届を残して家出をするだろう・・・。

僕たちが選んだ道だ、どんなことになろうとも、
幸恵を守り、二人で新しい世界を開くのだ・・・〉

幸恵の仕事を続けさせると決断した佐原は、今、未知の世界に一歩踏み出したことをしみじみと噛みし
めていました。


[43] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(307)  鶴岡次郎 :2015/04/17 (金) 17:09 ID:MO/eS5cg No.2681

「お言葉に甘えて・・、
そうさせていただきます…。
勝手なことばかりして、本当に申し訳ありません・・。
でも・・、本当に・・、うれしい…」

幸恵が深々と頭を下げています。

「そうだ・・・、今日のことを親方に報告してきます。
あなたが来たことは親方に伝わっていると思うから・・、
あれでいろいろ気を使う人なのよ・・、
心配していると思うから事の顛末を報告してきます・・」

佐原に背を向けて店長室の方向を一歩踏み出した幸恵がそこで突然立ち止まり、振り返り、かなり高い
声で佐原に声を掛けました。

「そうだ・・、
せっかくだから、あなたも親方に会ってほしい・・・
会えばわかると思うけれど、中々の人物よ・・・」


ドアーをノックすると、内側から扉が開いて、満面に笑みを浮かべた佐王子が佐原夫妻を迎え入れま
した。

「ご主人が来ておられると聞いておりまして・・、
どんな様子かと、少し心配しておりました…。
お二人でここへ顔を出されたということは、悪い話ではないようですね・・」

二人が部屋に入ってきた様子から、事の展開を佐王子はある程度まで読み切っていたようです。

幸恵が手短に事の経過を報告しました。佐王子は何度も頷きながら、上機嫌で聞いていました。

「今、幸恵が報告しましたように、私達夫婦は元の鞘に収まります。
元をただせば私の悪い癖が原因ですから、今回のことに関しては、
幸恵には感謝こそすれ、不満も、怒りも何もありません。
佐王子さんには随分とお世話になりました。改めてお礼申し上げます」

佐原が心から佐王子にお礼を言っています。

「そんなに丁寧にお礼を言われると、どうお応えしていいか戸惑います。
奥様をこの店で働かせている張本人ですから、ご主人がお見えになったと聞いた時から、
一、二発殴られるのは覚悟していたのです。それが、事もあろうにお礼を言われるとは・・。

こんな商売をしていると、人様から感謝されることが少ないのです。
当然のことですが、店で働く女の子のご主人とはこうして会うことさえも稀で、
まして、ご主人からお礼を言われたことは一度もありません。
逆に、脅かされたり、泣かれたりするのはいつものことですが・・・、
ハハ・・・・・」

佐王子が笑い、二人も笑みを浮かべています。

「ところで・・、
幸恵さんはここの勤めを続けたいと希望され、
ご主人もそのことを認めていらっしゃるとのことですね…」

「はい・・、
幸恵がその気になっていますから、好きにさせようと思っています。
いえ・・、正確にいうと・・・、
私自身も・・、幸恵がこの商売をつづけることを望んでいます。
お笑いください・・、
そのことを考えるだけで酷く妬けるのですが・・、
その刺激を考えると、興奮するのです・・・・」

ソープの店主が相手ですから、何も隠さないで恥ずかしい性癖を佐原は隠そうとしていません。

「そうですか・・・、
やはり・・、仕事をつづけるつもりですか・・・・・、
困りましたね…」

簡単に仕事の継続を認めてくれると思ったのですが、意外に難しい顔をする佐王子を見て佐原と幸恵が
不安そうな表情を浮かべています。


[44] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(308)  鶴岡次郎 :2015/04/20 (月) 11:14 ID:qmsjrXpY No.2682
佐原と幸恵の顔をちらと見て、直ぐに視線を外し、テーブルからコーヒー・カップを持ち上げ、中の液
体を一口、口に含み、不味そうな表情をうかべています。

「いえね・・、
幸恵さんがここでの勤めを続けていただくのは、正直言ってありがたいことです。
幸恵さん目当ての常連客もかなりいて、
これから先、ひいきの客がもっと増えるのは確実です・・」
 
「・・・・・・」

それなら何も問題ないだろうと、佐原も幸恵も胸をなぜおろしています。

「ご主人のためソープの技術を身に付ける大きな目的を持って身一つで家を出た幸恵さんは、アパート
代を含めた生活費を稼ぐ必要もあり、これまでは、本当に良く頑張りました。

体の調子が悪い時、嫌なお客の相手をする時、どんな時でも幸恵さんは笑顔で接客してくれました。そ
れだからこそ、トップグループに入るほどの売り上げを上げることが出来たのです。

元の裕福な家庭に戻り、稼ぐことが目的でなく、遊びが目的でこの商売をやることになると、以前のよ
うな接客が出来なくなるのが人の常です。幸恵さんに限ってそんなことはないと、私も思いたいのです
が、心配は残ります・・・」

話の途中から幸恵の表情が変わりました。穏やかに話しているのですが、佐王子の一言、一言が幸恵の
体を刺し貫いているのです。

「悪いことは言いません、旦那様と和解できた今が足を洗うチャンスです。
どんな職業でも未練を残しながら引退するのが良いのです。
どうにも動きが取れなくなってからでは遅いのです。
ここでのニケ月間は夢を見たと思ってください・・」

ここで佐王子は口を閉じ、二人の表情をじっと見つめています。幸恵は下を向き何事か考えに耽ってい
る様子です。佐原はしきりに頷いています。二人の様子を見た佐王子は彼らの反応に手ごたえを感じ
取った様子で、更に言葉を続けることにしたのです。

「今から話すことは、素人の方には話したくないことなのですが、事がここまで来ると黙って居るわけ
にはまいりませんので、思い切って話します。かなり衝撃的な話ですので、ここで聞いたことは、決し
て口外しないでください・・、宜しいですか・・・?」

「・・・・・・」

佐原と幸恵が不安そうな表情を浮かべ、それでもこっくりと頷いています。

「良いでしょう・・、それでは話します・・・。

たくさんの男と接して経験した悦楽の記憶は幸恵さんの体のあちこちに残り、幸恵さんをこれから先、
悩ませると思います。

ストレートに言えば、旦那様がどんなに頑張っても、それだけではとても我慢できない状態が続くの
です。男欲しさに体が悶え、その苦しみはそれを経験した者でないと判らないと言われています。

それでも・・・、幸恵さん・・・、
堪えてください・・、我慢するのです・・、禁断症状に堪えてください。
ただ堪えるのです・・、これがまず大切です。

旦那さん・・・、幸恵さんを十分サポートしてください。
あなただけが幸恵さんを救うことが出来るのです・・、

体に残されたここでの傷跡は、それがどんなに強くても、幸恵さんの場合であれば6ケ月後には跡形も
なく消え去ると思います。しかし、ここで働く期間が増えればそれだけ、体に残る傷跡は深くなり、そ
の傷跡が消えるまでにより長い時間を必要とします。辞めるのであれば、出来るだけ早く辞めるのが良
いのです。

長年ここで働いていて、拭い取れないほど深く悦楽の記憶が刻み込まれた女達をたくさん知っています
が、そんな女たちは結局この仕事から生涯足を洗うことが出来ないのです。それが幸せだと思える女は
良いのですが、この商売から足を洗いたいと思いながら、それが出来ない女は哀れですね・・・、私は
そんな女を沢山見て来ました。幸恵さんにはそんな思いをさせたくないのです・・・・」

幸恵は先ほどから何事か考えに耽っていて、この大切な話は途中から彼女の耳には届いていない様子で
す。幸恵に比べて佐原の反応は際立っています。大きな衝撃を受けた様子です。唖然として、質問も、
反論もできない状態です。


[45] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(309)  鶴岡次郎 :2015/04/22 (水) 15:50 ID:HzBDHctU No.2683

淡々と話していますが、良く聞けば驚くべきことを佐王子は言っているのです。わずか二ケ月あまりの
経験でも幸恵の体に刻み込まれた娼婦の傷跡はそれが消え去るまでに6ケ月も必要だと言っているので
す。もし、幸恵がこの先数年にわたりその商売を続ければ、佐王子の計算に従うと、幸恵は仕事を辞め
た後、十数年間、体の記憶に悩まされ続けることになります。その間禁断症状に堪えきれなくて、また
その仕事に舞い戻ることになれば、負の循環が始まり、生涯その仕事から足が洗えなくなるのです。一
度、この世界の泥にまみれると、大方の女は生涯娼婦を続けることになると佐王子は警告しているので
す。

「この仕事を続けるべきでないと・・・、
もし続けるつもりなら・・・、
遊び心を捨てて、生涯この仕事と付き合うつもりでやれ・・・、
佐王子さんはそう言っているのですね…」

苦し紛れに佐原が佐王子の言ったことを要約して確認しています。佐王子の言葉が理解できないから質
問しているのではありません、そうでないと言ってほしいのです。

「・・・・・・・・」

佐原の質問に佐王子が黙って頷いています。冷酷な佐王子の反応を見て、佐原はがっくり肩を落として
いました。


佐王子の警告は十分説得力のある内容で、反論は勿論、異議さえも、佐原は申し立てることはできない
のです。残された道は、ここで足を洗うか、生涯、娼婦を続けると覚悟して仕事を続ける、この二つに
一つしかないのです。

娼婦を辞めることにすれば簡単ですが、幸恵が納得しても彼女の体がその決定に従えなくなっているの
を佐原は知っているのです。かといって、生涯、妻に娼婦を続けさせる決断が佐原にはできないのです。
何事にも決断の早い佐原が珍しく迷いを見せているのです。

迷い、苦悩している佐原の側で、幸恵は顔面を紅潮させ、息遣いを荒くしています。どうやら佐原とは
別のことで悩んでいる様子です。何事か必死で考えている様子です。ようやく考えがまとまりました。
何事か決心した良い表情をしています。

テーブルに着くほど深々と頭を下げて、緊張した面をゆっくり上げて、幸恵は静かに語り始めました。

「親方・・・、
申し訳ありませんでした・・・、
私の考えが甘かったのです・・・、
親方や、お姉さん方から教わったことをすっかり忘れていました・・・。

『ここへ来るお客様方は、女の体だけでなく、
出来れば、女の心まで買取りたいと高い金を支払っているのだ・・。
私達は、その期待に応えなければいけない、それがプロだ・・』と・・・、

そう教えていただきました・・・」

幸恵の言葉に佐王子が満足そうに頷いています。

「お見通しの通り、私は・・・、何人もの男に抱かれたい・・、
体に刻み込まれた悦楽の思い出を今は捨てることが出来ない・・、
その思いが強くてこの仕事を続けたいと願い出たのです。
要するにスケベな女なのです・・。

そんな気持ちでこの仕事を続ければ、お客様を欺くことになり、真剣に仕事に取り組んでいる他のお姉
さんたちを冒涜することになることにも、気が付いていませんでした。浅はかな考えを持った女をお許
しください・・・・」

佐王子の顔をしっかり見て、緊張した面持ちで幸恵が謝っています。この仕事を続けると決めた時、悦
楽を求めて、楽しめるだけ楽しんで、嫌になれば止めればいいと幸恵は安易に考えていたのは確かなの
です。そんな幸恵の安易な考えを佐王子は簡単に見抜き、手ひどい叱咤の言葉を与えたのです。佐王子
の言葉で幸恵は親方や姉さん達から教わったことをようやく思い出していたのです。

「いや・・、いや・・、
それが判ったのであれば、これ以上私から言うことは何も無い・・、
それで・・、仕事は辞めるのだろう・・・?」

「いえ・・・、
続けさせていただきたいと思っています…」

「・・・・・・」

ちゅうちょしないで答える幸恵の言葉に二人の男が声さえも出せない状態で、驚きの表情を浮かべじっと
幸恵を見つめているのです。


[46] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(310)  鶴岡次郎 :2015/04/24 (金) 11:17 ID:fru7q2xM No.2684
ここまでの流れを読む限り、幸恵は仕事を辞めると言い出すはずだと、二人の男は確信していたのです。
うまい具合に展開したと密かに喜んでいたのです。二人の男が驚いていることなど全く関心がない様子
を見せて、幸恵は畳み込むように話をつづけました。

「親方・・・、
勝手を言って申し訳ありませんが、
一週間に二度ほど、
日に3人から5人ほどのお客様に仕えるペースで、
仕事をさせていただくとありがたいのですが・・・、
いかがでしょうか…」

「できない相談ではないが…」

「その条件でよろしくお願い申します。
勿論、お店には迷惑をかけないよう・・、
これまで以上にまじめに勤めます・・。
年を取って、仕事をつづけることが無理だと思った時、
親方からそう言ってください。
それまで、私から引退を申し出ることはしないつもりです・・・」

生涯、娼婦としてこの店で働くことを申し出ているのです。既に十分腹を固めている様子で、気負いな
く、淡々と幸恵は説明しています。佐原はもちろん、佐王子も幸恵の気迫に押しつぶされたような状態
で、黙りこくって、ただ話を聞いているのです。

「あなた・・・、
この仕事続けても良いとあなたからお許しを得たことをいいことに、
生涯この仕事続けるなどと、
勝手なふるまいをしたことを許してください…。
本来であれば、先にあなたのお許しを得るべきでした。

先ほど、親方からこの仕事の心構えを改めて教えられ、
この仕事続けたいと思う私の心に、もう一度、問いかけました…。
そして・・、決心したのです…」

きりっとした表情で、何者の反対も押し切る決意を見せているのです。彼女の顔を見ただけで佐原は闘
争心を完全に失っていました。

「私はこの仕事が好きです・・・、
勿論、あなたの妻であることはこの仕事よりもっと大切です…。
妻とこの仕事が両立できないのであれば、
迷いなく妻の地位を選びます・・・・。

難しいと思いますが、あなたの理解と協力があれば・・、
良い妻でいながら、この仕事をつづけることが出来ると思います。
ご迷惑をかけないよう、努めます…。
勝手なことばかり申し上げますが、どうか願いを聞き届けて下さい・・」

これだけを一気に語り、深々と幸恵が頭を下げています。男二人顔を見合わせて、申し合せたように大
きな吐息を吐き出しているのです。ここまで畳み込んで説明されると、二人の男には選択肢はそんなに
ありません。

「仕方がないね・・、
元々・・、この仕事をすることに反対するつもりはなかったのだが・・・、
正直言って、生涯この仕事を続けることになるとは思ってもいなかった。

お前が覚悟を決めたのなら、僕は出来るだけ援助することにする・・。
人生は一度だけだ…、
今なら、やりたいことが出来る時期だよ・・・、
思い切り・・、やってみることだ・・・・」

悲壮な覚悟を決めた表情を浮かべ佐原が、絞り出すような声を上げて幸恵に告げました。

「あなた…、
それほどまでに・・・・、
そんなに思いつめられると・・、私・・・・
いえ・・・、そのことは後で・・・・

いろいろ申し上げたいことはありますが、ここでは先ず…、
あなたのお許しを得たことに感謝申し上げます…」

佐原に何か言い残したことがある様子ですが、この場では素直に頭を下げて、幸恵は夫にお礼を言って
います。生涯、娼婦勤めをすると、これから先の運命を決める大きな決断をした割には、幸恵は比較的
冷静です。それに比べて佐原は、戦士を死地へ送り出すような硬い表情を浮かべているのです。


[47] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(311)  鶴岡次郎 :2015/04/27 (月) 14:10 ID:/pBdBjhs No.2685

緊張した表情のまま、少し充血した瞳を佐王子に向け佐原が頭を下げました。ここでも最後までいい夫
の役目を果たすつもりのようです。

「佐王子さん・・、お聞きのような次第です・・・。
私からもお願い申します。
妻のわがままを聞き届けていただきますか・・、

万が一、ご迷惑を掛けるようなことが起きれば・・・、
私が責任を持って対応します・・。
よろしくお願い申します…」

苦しそうな表情を浮かべつつ、それでも明瞭な言葉で佐原は語りました。そんな夫を幸恵は涙を浮かべ
て見つめていました。

「そうですか・・、
お二人がそこまで言われるなら、私に反対する理由がありません。
今まで通り働いてください。
勤務時間の調整はいつもの様に、フロント係と調整してください。
多分、幸恵さんのご希望に沿った形でシフトを組めると思います。

ところで、アパートの方はどうしますか・・、
当然・・、ご自宅からの勤務となりますよね・・」

「できればアパートの方も今のまま使いたいのですが・・・、
勤務予定日の前夜アパートに来て、翌日、仕事をするようにしたいのです。

朝、あのアパートで目覚めて、そしてそこから直接お店に出勤する、
このルーチンだと仕事をする気分が高まると思います。
自宅からだと、どうしてもその気分になるまで時間がかかりますし・・
それに・・、自宅から真っ直ぐお店に来るのは・・、
そうはいっても・・、気が引けますから・・・・」

「なるほど・・、心構えの問題ですか・・・、
確かに・・、ご自宅とこの店では環境に差があり過ぎますからね・・・。
私もその選択が正しいと思います。
費用は余計に掛かりますが・・、
幸恵さんにとって、それは問題ではないでしょうからね…、

ご主人にはそれなりのご不自由を掛けるでしょうが、
週に二日か三日の外泊ですから、なんとか我慢できるでしょう・・、
いやいや・・、これは余計なことを申し上げました。
その件はご夫婦で話し合ってください。私の方はどちらでも対応可能です・・」

勿論、佐原は幸恵のアパート暮らしに反対しません。こうして幸恵の希望通り事が運ぶことになりまし
た。三人の話し合いは終わりました。その日、幸恵は仕事の予定を切り上げて佐原と一緒に久しぶりの
自宅へ戻ることになりました。


店を出て、階段を降り、ビルの外へ出ると、もう夕闇が迫っていて、繁華街の店々には照明が入り、仕
事を終えた顧客たちを迎える体制が整っています。背の高い佐原の左腕にぶら下がるようにして、幸恵
が腕を絡めて楽しそうに話しながら店を後にしています。二人の背を佐王子が見送っていました。

「あれだけ脅かせば、てっきり辞めると思ったのだが・・・、
仕事をつづけることになるとは…、
女の考えることは本当に判らない…、
俺としたことが女の気持ちを読み切れないなんて・・・、
まだまだ修行が足りないね…」

幸恵が下した仕事続行の決断は少なからず佐王子を驚かせたようです。二人の仲睦まじい後姿を見送り
ながら、佐王子はぶぜんとした気分で呟いていたのです。


「お前・・、本当に・・、
一生あの仕事を続けるつもりなの・・」

店から離れると佐原が一番気になっていることを質問しています。

「そんなわけないでしょう・・、
一年も勤めれば、珍しさが消えて、飽きが来るでしょう…、
そうなれば、さっさと辞めるつもりよ…」

「しかし・・・、佐王子さんは大変なことを言っていた・・・・、
その気になっても女の体が許さなくなるのだろう・・、
お前の体が男なしでは生きて行けなくなるのだろう・・・、
辞めたくても、辞めるにやめられなくなるだろう・・・、
そうなったら、本当にかわいそうだよ・・」

「バカね…、
あの言葉を本気にしたの・・・、
あきれた・・・、
あれは女をバカにした言い分なのよ・・、

もしかしたら・・、
私を辞めさせたい佐王子さんの親心かもしれない・・、

いずれにしても、あれは佐王子さんが私達をひっかけるつもりの言葉よ、
ちょっと・・、考えて見たら判るでしょう・・・」

頭ごなしに幸恵に言われて、佐原はきょとんとして半信半疑の表情を浮かべていました。


[48] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(312)  鶴岡次郎 :2015/04/28 (火) 14:38 ID:NYI85yYA No.2686

「まだ判らないようね・・」 

笑みを浮かべて男の顔を見上げた幸恵が少し声を高めて話し始めました。、

「体を売る仕事をしたり・・・、
奔放な性生活を経験すると・・・、
セックスの味が忘れられなくなり・・、
その女は奔放な生活から抜け出せなくなると・・、
佐王子さんはそう言っているのでしょう・・・」

「そうだね・・・・」

「もし・・、彼の言っていることが真実なら・・・、
セックスの良さを知った女は、体の要求に心が負けて・・、
娼婦としてしか生きて行けないことになる・・・。
もしそうであれば、この世は娼婦で溢れかえることになる・・・、
でも・・、周りを見れば、慎み深い女がほとんどで、
そうなってはいないでしょう・・」

「うん・・・、確かにそう言われるてみると・・・、
あの時は、佐王子さんの説明に反論できなかったけれど、
お前に言われて冷静に考えると、
佐王子さんの理論展開には現実味が少し欠ける気がしてきた…」

「昔、娼婦だった人も、乱れた生活をしてきた人も、足を洗った後、大部分の女は大人しく、上品に暮
らしているはずよ。あの店のお姉さんたちに聞いた話だけれど、昔働いていた女の子の多くが、お金を
貯める目的を果たした後、あの商売から足を洗って、結婚して楽しい家庭を作っている人が多いと言って
いた・・」

「そうなのか・・、佐王子さんに騙されたのか…、
お前はそれが判っていて、騙されたふりをしていたのか・・・。
僕はてっきりお前が本気で生涯あの仕事に打ち込む決心をしたと思い込み、
これも運命なら仕方がない、行けるところまでお前に付いて行く・・・、
そんな悲壮な決意を固めていたのだよ・・」

「判っていた・・・、
佐王子さんの言葉を聞いて、あなたが迷っていたのは判っていた・・、
私が・・、それでも、この仕事を続けたいと言った時、
あなたは泣きそうな表情を浮かべていた・・、
それでも、あなたは反対しなかった・・・。
例え私が娼婦に落ちても、私を見守り続ける意思を見せてくれた・・・。
本当にうれしかった・・」

幸恵は涙を浮かべていました。絡め合った腕と腕を通じて二人の血液が音を立てて交流しているような
気分に二人はなっていました。

「ところで・・・、
アパートを引き払わなかったのは、他に理由があるだろう…」

「判った…?」

「そりゃ分るよ・・、
これでもお前の夫を続けて長いからね…
仕事をする心構えを養うため、あのアパートを借りると言っていたが、
何か他に、別の計略があるはずだと思った・・・」

「・・・・・・」

夫にすべてを話そうか、このまま黙って居ようか、幸恵は迷っていました。企みを秘めた悪戯っぽい顔
をして、下から夫の顔をうかがっているのです。

「お前・・、
あのアパートに男を迎え入れたことがあるだろう・・・?」

「・・・・!」

突然の質問に幸恵が慌てています。


[49] フォレストサイドハウスの住人達(その10)(313)  鶴岡次郎 :2015/04/29 (水) 18:15 ID:Hij4gZ/E No.2687

「やはりそうなんだね・・、
お前は隠し事が出来ない質だから・・、
顔に書いてあるよ・・、
あのアパートで何人かの男に抱かれたね・・」

「すみません・・・、
仕事の流れで・・、つい・・・、
他の場所で会うよりは罪が軽いと思って…
別の部屋にいる姉さん達も盛んにやっていたので…
つい・・、その気になって、やり始めたら、止められなくなって・・、ずるずると・・・。
本当にすみません・・・・」

上から見ている佐原の優しい視線にほだされて、幸恵は素直な気持ちになって白状しています。笑みを
浮かべた表情を変えないで、佐原が頷いています。

「まあ・・、仕方がないよ・・、
仕事をうまく回転させる上で、接待は欠かせないからね・・、
ところで・・・、
当然・・、佐王子さんも迎え入れたのだろう…」

「・・・・・・」

さりげなく一番気になっていることを質問しています。話したくない急所を突かれて幸恵はまた返答に
詰まっています。それでも、ここまで話が展開すれば隠しても無駄だと思った様子で、素直に話し始め
ました。

「何でもお見通しなんですね…、
ハイ・・・、
最初の頃・・、私の様子を見に来て、そのまま・・・、朝まで・・、
でも・・、最近は全く来てくれません・・。
私は拒否していないのですけれどね…」

初めて店に出た頃、幸恵の身を案じて、佐王子は幸恵のアパートを何度か訪ねて、部屋で仕事のマナー
などをみっちり教え込んだのです。そのかいあって幸恵は数日でその仕事になれることができたのです。
しかし、仕事が順調に進み始めると佐王子が幸恵のアパートを訪ねることはなくなっていたのです。

「よく出来た雇い主だね…、
店の子とは厳しく一線を引いているのだね…」

「そうね・・・、
そんなに厳しく線を引く必要はないと思うけれどね・・」

どうやら佐王子がアパートに来ないことで、幸恵は多少不満を持っている様子です。幸恵の言葉が聞こ
えないふりをして、佐原は次の話題に移りました。

「二つの生活拠点を持つことになれば、お前も忙しくなる・・、
身体が一番だから、無理をしないようにするといい・・、
週に三日程度、自宅に居てくれれば、僕は構わないから・・」

「ありがとうございます…」

「アパートに男を迎えることも、無理に制限する必要はない・・、
流れに任せて、今まで通りやると良い・・、
あのアパートにいる限り、お前は独り身だと思えばいい・・。
僕も時々部屋へ通うことにするよ・・、
その時は、安くしてほしいね・・、ハハ・・・・」

「ハイ、ハイ・・・、
承知しました・・・。
私・・、売れっ子だから・・、必ず事前予約してね・・、
嘘、嘘・・、
あなたならいつでも歓迎よ、他の客を追い出すから・・」

二人は体をぶつけ合ってふざけています。

「ただ・・、判っていると思うが、
若い男に騙されて・・、
突然、僕を捨てるのだけは勘弁してほしい・・、
出来ればそうなる前に、丁寧に教えてほしい・・・、
ハハ・・・・」

「もう・・・、
そんなこと・・・、考えたこともありません・・。
それより、あなたこそ・・、.
以前の様に他の店に行かないでくださいね、
その気になったら、店へ来て、私を指名してください・・、
特別に、お店以外でも指名に応じますから・・、フフ…」

自宅がある公園駅に着くと、二人は大きな声を出して、笑いながら家路をたどりました。星がこうこう
と輝き、明日も晴天が予想される空模様です。


[50] 新しいスレへ移ります  鶴岡次郎 :2015/04/29 (水) 18:20 ID:Hij4gZ/E No.2688
新しいスレを立て、新しい章へ移ります。ジロー


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